雨男 ドラマ

「正義を語るなら、リスクを負え」  森田天心(23)は無駄に正義感が強く、そして「超」がつく雨男。彼はその能力を使って雨を降らせて欲しい人(雨天時の自動車の運転を教えたい教習所の教官など)の手助けをしていた。
マヤマ 山本 21 1 0 03/31
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第一稿

<登場人物>
森田 天心(23)大学生、雨男
木下 恵太(22)大学生
田中 音々(23)森田の幼なじみ、巫女
神様(60)
荻野 時郎(39)俳優
逢沢 小夜(22) ...続きを読む
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<登場人物>
森田 天心(23)大学生、雨男
木下 恵太(22)大学生
田中 音々(23)森田の幼なじみ、巫女
神様(60)
荻野 時郎(39)俳優
逢沢 小夜(22)大学生、放火魔
教官(45)
監督(50)
お天気お姉さん(26)
市長(50)
アナウンサー 声のみ



<本編>
○教習所・外観
   雨が降っている。
   数台の教習車が敷地内を走っている。

○同・駐車場
   多数の教習車が停まっている。
   教習車の前にやってくる木下恵太(22)と教官(45)。
木下「雨ですか……。私、雨の日の教習を受けるのは、初めてなんですよ」
教官「いい事だね。雨の日の運転は普段とは変わってくるから、いい経験になるよ。森田君に感謝しないとね」
   二人の後ろに立つ森田天心(23)。
森田「いえいえ。雨の日に一度も教習を受けていなくて困っていたんでしょう? そんな人を放っておくのは、趣味じゃありませんから」
木下「……先ほどから気になっていたんですが、どちら様ですか?」
森田「お気になさらず。ただの、雨男です」

○メインタイトル『雨男』

○神社・外観
   長い階段の先、山の上にある神社。

○同・境内
   おみくじ売場にいる巫女姿の田中音々(23)、その前に立つ森田と神様(60)。神様の姿は誰にも見えず、神様の声は誰にも聞こえない。
   「中吉」と書かれたおみくじを持っている森田。
森田「ちぇっ、中吉か」
音々「コラ、天心。『ちぇっ』とか言うもんじゃないし。罰当たるよ?」
神様「そうそう、罰当てるよ?」
森田「どちらにしろ、明日も雨か。最近、大吉出ねぇよな〜。どうなってんだ、ネネ子(音々のあだ名)? 神様が意地悪でもしてんじゃねぇの?」
神様「僕はそんな事しないよ」
音々「それなら運気が上がる方法、試してみない?」
神様「え、何それ? そんなのあるの?」
森田「お祓いなら断る」
神様「あ、な〜んだ」
音々「え〜、いいじゃん。祓わせてよ。やってみたいの。お願い。ね?」
森田「『ね?』じゃねぇよ。誰がやるか」
木下「失礼致します」
   振り返る森田と音々。そこに立っている木下。一礼する。

○同・客室
   十畳以上ある畳敷きの部屋。
   向かい合って座る森田、音々と木下、少し離れた場所に座る神様。
   木下の免許証を見ている森田と音々。
木下「おかげさまで、免許も取れました」
音々「木下恵太君……私たちの一個下か」
森田「そうかそうか、年下だったのか。せいぜい、言葉遣いに気をつけるんだな」
   木下に免許証を渡す森田。
神様「僕まだ見てないのに」
   木下の背後に立ち、免許証を覗き込んでいる神様。時折、何かを思い出すように「木下……木下……」等と呟く。
音々「木下君は、学生さん?」
木下「はい、大学の四年生です」
音々「天心より学年は上だし」
森田「(音々を無視するように)就活とか大変なんじゃないの?」
音々「天心より学年は上だし」
森田「……大変なんじゃないですか?」
木下「幸い、もう決まっていますので」
音々「へぇ、大手?」
木下「えぇ、まぁ。それなりに」
森田「いいな〜。じゃあ人事部に入ってさ、来年俺を採用してよ」
音々「木下君、断っていいんだからね」
木下「ハハ……」
森田「……で、俺に何の用?」
木下「あ、そうでした。教習所の先生から、こちらに来ればお会いできると聞きしまして。是非、雨男である森田さんのお力をお借りしたいと」
森田「困ってんの?」
木下「え?」
森田「だから、雨が降らないと、木下君が困っちゃうの?」
木下「あ、はい。困ります」
森田「なら、引き受けよう。困っている人を放っておくのは、趣味じゃない」
   「やれやれ」といった表情の音々。

○同・外
   階段を下りてくる森田。下りきった所で雨も降っていないのに傘をさす。森田が歩き始めると、雨が降り始める。

○駅・前
   雨が降っている。雨宿りする人々。
   傘をさして歩く森田。

○アパート・外
   雨が降っている。やってくる森田。部屋の中に入って行く。扉が閉まると、雨が止む。

○同・森田の部屋
   1Kほどの部屋。
   棚の上に飾られたスイセイバー(一六年前の特撮ヒーロー)のフィギュアに向かって拝む森田。
森田「明日また、困っている若者を助けてきます。どうか、上手くいきますように」
   テレビには、お天気お姉さん(26)による天気予報が放送されている。
お天気お姉さん「明日は全国的に晴れるでしょう」

○同・外観
   雨が降っている。

○路地裏
   雨が降っている。
   必死に逃げ回る荻野時郎(39)。荻野を追いかけるジェイソン風覆面姿の俳優。手にはチェーンソー。
   壁際に追いつめられる荻野。スマートフォンを取り出し電話をかける。
荻野「誰か、誰か助けてくれ!」
監督の声「はい、オッケー」
   荻野や俳優を囲む監督(50)ら多数のスタッフや森田、木下。
監督「じゃあ次、電話のアップな」
   森田達の元にやってくる監督。
監督「いやぁ、やっぱり本物の雨に限るね。おかげでいい画が撮れたよ」
木下「それは良かったです」
   笑いながら去って行く監督。
森田「なぁ、ここにいる人達って、みんな君の知り合い?」
木下「いえ、そういう訳では……」
森田「君、荻野時郎様の知り合い?」
木下「え、荻野……何さんでしたっけ?」
森田「荻野時郎! ほら」
   森田の指差す先に、休憩する荻野。
木下「あの方、有名なんですか?」
森田「ほら、『宇宙用心棒スイセイバー』で主役やってた、あの荻野時郎様だよ」
   言いながら、木下にケータイの画面を見せる森田。映っているのはスイセイバーの画像。
木下「私、その番組観ていないので……」
森田「嘘だろ!? 同世代だろ!? 人生のバイブルだろ〜!?」
   言いながら、木下の肩を掴み、大きく揺する森田。
木下「ゆ〜ら〜さ〜な〜い〜で〜」

○アパート・外観

○同・森田の部屋
   スイセイバーのフィギュアの隣に飾られた荻野のサイン色紙。
   それを見ながらにやける森田。
   森田のスマホに着信。
森田「どうした、ネネ子? ……俺に客?」

○神社・外観

○同・客室
   向かい合って座る森田とお天気お姉さん。離れた場所にいる神様。
お天気お姉さん「私の天気予報、当たらないんです」
森田「天気予報が、当たらない……」
お天気お姉さん「はい。『晴れ』って予報したのに、雨が降ってしまったり……」
森田「あ〜、なるほど……」
神様「あれ? もしかして『自分のせいだ』なんて思っちゃってる?」

○同・境内
   参拝している逢沢小夜(22)。リクルートスーツ姿。賽銭箱に500円玉を入れる。
小夜「木桜ホールディングスから内定が貰えますように」
   小夜の脇に立つ神様。
神様「僕、就職の神様じゃないからさ。そんな事言われても、困っちゃうんだよね」
   帰って行く小夜。
   おみくじ売場前に立つ森田と音々。タブレット端末でお天気お姉さんの天気予報の映像を観ている森田。
お天気お姉さん「明日は午後から、関東全域で雨が降るでしょう」
森田「関東全域……マジかよ」
音々「おみくじは?」
森田「そっちは吉だから問題ない」
   「吉」のおみくじを見せる森田。
森田「足も無ぇし。困っちまったな〜」
木下の声「『困っている人を放っておくのは、趣味じゃない』」
   振り返る森田、音々、神様。紙袋を持ってやってくる木下。
木下「あの言葉は、この作品の主人公の決め台詞だったんですね」
音々「あ〜、木下君。どうしたの?」
木下「先日、森田さんにお借りしたDVDをお返しに」
   『宇宙用心棒スイセイバー』のDVDを紙袋から取り出す木下。
音々「出た、スイセイバー……」
森田「もう全部観たのか。で、感想は?」
木下「感動しました。主人公の凄く強い正義感とか……。私も、困っている誰かの力になりたい、って思わされました」
森田「うんうん……(思い出して)あっ! (木下を指差し)免許、持ってたよな?」
木下「え? あぁ、はい」

○走っている車
   雨が降っているが、あまり強くない。
   初心者マークが付いている。

○車内
   運転する木下と助手席に座る森田。森田の手にはタブレット端末。
森田「それにしても、まさか車も持ってるなんてな。親のでも借りたのか?」
木下「私の車なんです」
森田「へぇ、免許取ったばっかりなのに、もう車買ったのか」
木下「いえ、この車は二〇歳の誕生日に、知り合いの方から頂いたんです」
森田「……恵太ってボンボンなのか?」
木下「なんですかね? ……あ、今、栃木県に入りましたよ」
森田「(タブレット端末で地図を見ながら)お、栃木県ね。そういや、初めて来たな」
木下「小学生くらいの修学旅行で、日光とか行きませんでしたか?」
森田「俺、修学旅行休んだから」
木下「あ、そうだったんですか……」
   ハンドブレーキの近くに置いてある薬の箱に目をやる森田。
森田「何これ? 酔い止め?」
木下「はい。私、酔いやすいんで。でも、運転していると平気なものですね」
森田「あ〜、そういうもんらしいな」
   薬の箱を眺める森田。「木桜製薬」と書かれている。

○神社・外観

○同・境内
   参拝している小夜。賽銭箱に千円札を入れる。
小夜「大手企業から内定が貰えますように」
神様「だからさ〜、何度も言わせないでよ」
   帰って行く小夜とすれ違うようにやってくる木下。おみくじ売場にいる音々の元へ。
木下「こんにちは、ネネ子さん」
音々「お〜、木下君。天心なら中だよ」
木下「またお客さんですか?」
音々「そうそう。何か、成瀬高校とかいう所の野球部の関係者だって」
木下「え? 成瀬高校って、今甲子園で準決勝まで残ってる……?」

○走る新幹線

○阪神甲子園球場・外観
   雨が降っている。やや強い。

○同・入口
   「全国高等学校野球選手権大会決勝戦 成瀬 ー 土屋学院」と書かれた看板がある。その前に傘をさして並んで立つ森田と木下。
木下「なるほど、連投のエースを休ませるために雨を降らせて欲しかった、という事だったんですね」
森田「このまま無理をさせると、困った事になりそうだったんだとさ。……エースになる奴ってのは、リスクを負ってんだな」
木下「? 森田さん?」
森田「何でもねぇよ。それにしても甲子園って思ってたよりデッケぇんだな」
木下「見るのは初めてですか?」
森田「関西に来るの自体初めてだからな」
木下「え? 中学生くらいの修学旅行で、京都とか奈良とか行きませんでしたか?」
森田「俺、中学の修学旅行も休んだから」
木下「そうなんですか……あ、車来ますよ」
   トラックに道を譲る森田と木下。「木桜運輸」と書かれたトラック。

○神社・外観

○同・境内
   参拝している小夜。賽銭箱に一万円札を入れようとする。
神様「え? そんなにいいの?」
   一万円札を入れる小夜。
小夜「もうどこでもいいから、内定が貰えますように」
   帰って行く小夜とすれ違うようにやってくる森田。おみくじ売場にいる音々の元へ。
森田「よ、ネネ子」
音々「お〜、天心。木下君なら中」
森田「また客だって?」
音々「何か、女子高生っぽかったし(と言いながらおみくじを渡す)」
森田「へぇ、そんな奴が一体何の用……(おみくじを開いて)げっ、凶だ……」
音々「え、嘘。最悪」
   建物の中から出てくる木下。森田達の元にやってくる。
木下「森田さん」
森田「おう、恵太。相手、困ってた?」
木下「はい。何でも、明日好きなバンドの野外ライブがあるそうなんです」
森田「おう、任せろ……ん?」
木下「『絶対に、雨を降らせないで欲しい』とおっしゃってました」
森田「なるほど……そっちか……」

○ライブ会場・外観
   晴れている。

○同・ステージ
   収容人数一万人規模の会場。ロックバンドのライブが行われている。出演者観客ともに大盛り上がり。

○アパート・外観

○同・森田の部屋
   柱に縛り付けられている森田。その脇に立つ木下。
木下「ここまでする必要、あるんですか?」
森田「昨日のおみくじでは『凶』だったからな。これくらいしねぇと。まぁ、気にすんなって、慣れてっから」
木下「……小学生の時から、このような事をしていたんですか?」
森田「ネネ子から何か聞いたのか?」
木下「少しだけですけど。(不満そうに)運動会とか修学旅行とか、そういうイベントの時には『俺が行くと雨が降ってみんなが困るから』って言って、森田さんはいつも休んでたって」
森田「何か不満そうだな?」
木下「確かに、凄い正義感だと思います。でも、そのせいで森田さん自身は楽しめなかった訳じゃないですか。森田さんは、本当にそれで良かったんですか?」
森田「そうだな……。『スイセイバー』に出てくる台詞の中で、俺が一番好きな、荻野時郎様本人も雑誌で『一番好きだ』って言ってた台詞があってな。何かわかるか?」
木下「いえ……どんな台詞ですか?」
森田「雪男と戦った時の回でな、戦いの前にスイセイバーはこう言ったんだ」
音々の声「『正義を語るなら、リスクを負え』?」

○神社・境内
   絵馬奉納所の前に立つ木下と音々。
音々「だから、天心が天心の正義を貫くには天心がリスクを負わないといけない、って事? そんな話、初めて聞いたし」
木下「でも凄い方ですよね。なかなかそこまで出来ないですよ」
音々「勘違いしない方がいいよ? 天心が雨に降られるのだって、半分はアイツの運が悪いのがいけないだけなんだし」
木下「え? それはどういう……」
   おみくじ売場の前に立つ森田と神様。
森田「来た〜!」
音々「まさか、来た?」
森田「大吉!」
   木下達の元にやってきて「大吉」と書かれたおみくじを見せる森田。
音々「やった、明日休みだし。何しよう?」
森田「ヤベェ、久々すぎてやりてぇ事多い」
音々「そうだ、チケットの予約」
森田「俺も、ヒマなヤツ捕まえねぇと」
   競うように建物の中に入って行く森田と音々。入れ違いにやってくる神様。
木下「中吉で弱い雨が降って、吉で普通の雨が降って……って事は、大吉だと雨が降らない、って事……?」
神様「そう、正解。凄い推理力だね〜」
   神様の方をじっと見ている木下。
神様「ん?」
木下「ずっと気になってたんですけど……」
神様「え? 何? もしかして、僕の事見えるの?」
   神様の方へ歩いて行く木下。神様の横を素通りし、絵馬の前へ。「早く就織先が決まりますように 逢沢小夜」と書かれた絵馬。
木下「(絵馬を見て)これ、漢字間違ってますよね……」
   ずっこける神様。

○同・外(夜)
   階段に寂しげに座っている森田。そこにやってくる音々。森田の隣に座る。
音々「誰も捕まらなかったんだ」
森田「うるせぇ。そう言うネネ子はチケット獲れたのか? 何のか知らねぇけど」
音々「まぁね」
森田「……不便だよな。前日にならねぇと、ロクに予定も組めねぇなんて」
音々「今に始まった事じゃないし」
   しばしの沈黙。
音々「……チケット、二枚獲れたんだよね」
森田「は?」
音々「どうしても、って言うなら、連れて行ってやってもいいし」
森田「けっ。……何のチケット?」
音々「えっとね〜……おわらいライブ」
森田「お笑いライブか。まぁ、どうしても、って言うなら、一緒に行ってやるよ」

○ライブ会場・外観(夜)
   「お祓いライブ」と書かれた看板。

○同・ステージ(夜)
   ステージ上でお祓いが行われている。
   客席に並んで座る森田と音々。目を輝かせる音々と、無表情の森田。

○走っている電車(夜)

○電車内(夜)
   並んで座る森田と音々。ライブのパンフレットを読んでいる音々。
音々「いや〜、いいライブだったね」
森田「どこがだよ。俺はお笑いのライブって聞いてたんだぞ?」
音々「いや〜、まさか『は』を『わ』と読み間違えてしまうとは」
森田「……この野郎」
   わずかに揺れる電車。しばらくして停車する。
森田「ん? 何だ?」
    ×     ×     ×
   並んで座る森田と音々。
森田「マジで人身事故か……」
音々「あと三〇分以上は動かないだろうね」
森田「どうすんだよ」
音々「やっぱり、お祓いした方がいいよね」
森田「そうじゃなくて」
   腕時計を見せる森田。二三時三〇分。
森田「日付変わったら……マズくねぇ?」

○駅(夜)
   時計が〇時過ぎを示している。
   豪雨。
   森田、音々ら多くの人が立ち往生している。
音々「天心の雨男っぷりには、頭下がるし」
森田「自分でも嫌になるよ。たまに」
   困り顔で立ち往生する他の人々を見る森田。
森田「仕方ねぇな」
   準備運動を始める森田。
音々「何してんの?」
森田「ん? ネネ子は雨が上がってから帰れよ。家に着くまでがお祓いライブなんだからな。あ、あと知らないオジサンに付いて行っちゃダメだぞ」
音々「この雨の中帰る気? せめて、もう少し弱くなるの待った方が……」
森田「ネネ子もわかってんだろ。俺がここにいる限り、この雨は止まねぇんだ。帰れなくて困ってる人がこんだけいるなら、放っておくのは趣味じゃねぇよ。じゃあな」
   雨の中走り去って行く森田。
音々「あのバカ、カッコつけすぎだし」

○神社・外観

○同・境内
   おみくじ売場の前に立つ森田と音々。
   その脇に立つ神様。
音々「ほい」
   と言って無造作におみくじを森田に渡す音々。
森田「思うんだけどさ、俺一応客じゃん?」
音々「それがどうかした?」
森田「いや、客に対して随分と塩対応だな、って(と言いながらおみくじを開く)」
音々「何? 私に神対応しろって?」
神様「(嬉しそうに)何々? 僕の出番?」
森田「そこまでしろとは言わねぇけど……(と言って固まる)」
神様「(寂しそうに)あ、そう?」
音々「けど、何……(言いながら、森田のおみくじを見て固まる)」
   そこにやってくる木下。
木下「おはようございま……(森田と音々の様子に気付いて)あの……どうかされましたか?」
森田「だ、だ、だ、だ、だ……」
音々「大凶が……」
   森田の手には「大凶」と書かれたおみくじ。
木下「そんなに凄い雨が降るんですか?」
音々「まぁ、凄いというか……」
森田「何と言うか……」
   突如風が吹き、森田の持っていたおみくじが飛ばされる。
森田「あっ」
   森田の手から落ちたおみくじを拾おうとし、同時におみくじを掴む木下と神様。二人の手が触れた瞬間、木下の体がけいれんし始める。
木下「△%#□*(言葉にならない)……」
神様「ごめん、触っちゃった」
森田「恵太? どうした?」
音々「ヤバくない?」
神様「ヤバいかも」
森田「おい、ネネ子。お祓いしろ」
音々「そんな場合じゃないし。とりあえず、奥の部屋まで運んで」

○同・客室
   布団に横になる木下。目を覚ます。周囲には森田、音々、神様。
音々「木下君?」
森田「お、気がついたか?」
神様「ごめんね、大丈夫?」
木下「あれ、皆さん……。私は一体……」
森田「いきなり様子おかしくなったから、マジで焦ったわ。何があったんだ?」
木下「何と言うか……私の体の中に、私ではない何かが入り込んできたような、そんな感覚でしたね」
音々「『体の中に何かが入り込む』?」
木下「もしかして、森田さんの大凶と何か関係あるんでしょうか?」
森田「え、俺のせい?」
神様「違う違う」
音々「そうだ、天心のせいだ」
神様「だから、違うんだって」
森田「元はと言えば、こんなおみくじ売ってる神社が悪いんじゃねぇのかよ」
音々「逆ギレしないでよ」
神様「あ〜、もう!」
   土下座する神様。
木下&神様「僕のせいでご迷惑をおかけして本当にすみませんでした」
   思わず口を押さえる神様。
森田「いや、そんな。恵太が謝らんでも」
音々「そうそう、別に木下君が悪い訳じゃないし」
木下「……私、今何か言いましたか?」
森田「は?」
音々「いや、今『すみませんでした』って」
木下「……?」
音々「……木下君、お祓いする?」
木下「……お願いできますか?」
音々「わかった。さすがに今日はアレだから今度来た時にね」
木下「わかりました」
森田「そういえば、恵太はそもそも今日何しに来たんだ?」
木下「あ、そうでした。森田さん、ニュースはご覧になりましたか?」
    ×     ×     ×
   タブレット端末に映るニュース映像。
   それを観ている森田、木下、音々。
アナウンサーの声「……成瀬市周辺では、深刻な水不足が続いています」
   市長(50)のインタビュー映像に切り替わる。
市長「今のダムの貯水量では、あと二、三日もつかどうか……。もう困ってしまって」
   立ち上がる森田。
森田「恵太、行くぞ」
木下「はい」
   部屋から出て行く森田と木下。
音々「頼まれた訳でもないのに。ホント、おせっかいな奴だし」

○成瀬市・駅
   「成瀬」と書かれた看板。
   「祝 成瀬高校野球部 甲子園大会優勝」と書かれた垂れ幕。

○同・道路
   暴風雨。
   高い建物はあまりない景観。
   「ようこそ成瀬市へ」と書かれた看板がある。
   初心者マークの付いたレンタカーが一台走っている。

○車内
   運転する木下と助手席に座る森田。
木下「どこも凄い雨ですね」
森田「まぁ、大凶だからな」
木下「この雨が、少しでも恵みの雨になるといいですね」
森田「そうだな」
   窓から外を見ている森田。更地に「木桜開発」と書かれた看板がある。

○成瀬市・駅
   暴風雨。
   中に入ろうとする森田と木下。二人を見送る市長や多数の市民。
市長「雨男さん、バンザ〜イ」
   周囲の市民も同様に万歳をする。
   嬉しさを隠せない表情の森田と木下。

○アパート・外観

○同・森田の部屋
   カップラーメンを持ってやってくる森田。テーブルの上に置く。
森田「(時計を見て)あともうちょいか」
   テレビの電源を付ける森田。流れるニュース番組、洪水の映像。
アナウンサーの声「……一昨日から豪雨に見舞われている成瀬市では、三名が死亡、今も二〇名以上が行方不明となっています」
   スマホのアラームが鳴るが、黙って止める森田。ラーメンも食べずにテレビに見入る。
   テレビ画面はお天気お姉さんの天気予報に切り替わっている。
お天気お姉さん「……急激に発達した低気圧により、成瀬市、松本郡、橋本郡では依然として大雨の特別警報が出ています」
   呆然としている森田。

○神社・外観

○同・客室
   輪になるように座る森田と木下と音々と神様。
森田「俺のせいで……」
木下「森田さんのせいではありませんよ」
神様「そうだよ。君がいたのは最初の一日だけだったんだからさ」
森田「俺、もう一回成瀬に行く」
   立ち上がり、出て行こうとする森田を止める音々。
音々「止めなって。天心が行ったって何の役にも立たないし」
森田「でも、洪水で困ってる人達を放っておく訳には……」
音々「だとしても、天心が行ったって雨降らせるだけでしょ? むしろ、迷惑だし」
神様「何もそんな言い方しなくても……」
   気まずい空気が流れる。
木下「(立ち上がり)わかりました、私が行きます。お役に立てるかわかりませんけど森田さんの分まで、困っている方々の手助けをしてきますから」
神様「(空気を変えるように明るく)うんうん、それがいいそれがいい」
音々「ここは木下君に任せよう? ね?」
森田「……だな」
神様「(引き続き明るく)よし、決まり。コレで万事解決だね。よかったよかった」
   言いながら拍手する神様。空気は重苦しいまま。

○駅・前
   雨が降っている。
   傘もささず、停車している電車を見ている森田。走り去る電車を見送り、歩いて行く森田。

○アパート・森田の部屋(夜)
   電気も付けず、スイセイバーのフィギュアと荻野の色紙のある棚の前に座る森田。
森田「……なぁ、スイセイバー。俺今困ってんだよ。なぁ、聞こえてるか?」
   棚を思い切り叩く森田。その勢いで床に落ちる色紙。
森田「何で放っとくんだよ! 趣味じゃねぇんだろ? だったら、助けてくれよ!」
   肩で息をする森田。床に落ちた色紙を見る。
森田「ん?」
   色紙を拾う森田。色紙の裏面に何かを見つける。

○神社・外観

○同・境内
   掃除中の音々の元にやってくる森田。
森田「……よぉ」
音々「おっす。おみくじ?」
森田「いや。……お祓い、してくんねぇ?」
音々「何の?」
森田「決まってんだろ?」
音々「決まってるね。すぐやる?」
森田「すぐ出来んの?」
音々「何か今日あたり来そうな気がしてたし。セッティングするから、ちょっと待ってて」
森田「おう」
   建物の中に入っていく音々。
   絵馬奉納所の方を見つめる森田。

○同・客室
   お祓いの儀式仕様の室内。
   森田のお祓いをする音々。森田の脇に立つ神様。
神様「ねぇ、本当にいいの? 今ならまだ間に合うよ? こんなお祓いには意味あるかわからないけどさ、あんな事書かれたら、願い叶えなくちゃいけないんだけど」

○同・境内
   絵馬奉納所にかけられた絵馬。「雨男の力が消えますように 森田天心」と書かれた絵馬がある。
神様の声「僕、お天気の神様なんだから」

○教習所・外観
   晴れている。

○同・駐車場
   並んで立っている森田と教官。
森田「すみません、一方的に」
教官「まぁ、こっちの事は気にしなくていいからね。もし免許取りたくなったら、またおいでよ。今までありがとね」
森田「こちらこそ、お世話になりました」
教官「でも、良かったんじゃないかな? 雨男を廃業できて」
森田「……はい」
木下の声「どういう事ですか!?」

○神社・客室
   向かい合って立つ森田と木下。その後ろでせっせと部屋をセッティングしている音々。
木下「森田さんにとって、雨男の力は簡単に捨てられるようなものだったんですか?」
森田「俺が雨を降らせたせいで、たくさんの人を困らせたんだ。放っておくのは、趣味じゃねぇ。それに、俺にとってアレは大事な力だったんだ。だからこそ俺が、俺の正義を貫くためには『力を捨てる』ってリスクを負わなきゃならなかったんだよ」
木下「だからって、そんな……」
   二人の間に割って入る音々。
音々「はいはい、準備できたから話は後。天心、邪魔だから出て行って」
森田「……ちぇっ、いい所なのに」
木下「あの〜……ネネ子さんは先ほどから何の準備をされていたんですか?」
音々「何言ってんの。お祓いだよ、お、は、ら、い。約束してたし。ね?」
木下「……本当にやるんですか?」
森田「ネネ子の奴、実は凄腕だからさ。安心しなって。じゃあな」
   と言って部屋から出て行く森田。
音々「さぁ、始めよっか」
木下「……はい」
    ×     ×     ×
   木下のお祓いをする音々。
木下「痛っ、痛たた……」
音々「(中断し)え? どっか痛むの?」
木下「あ、いえ。そんな事はないですけど」
音々「そう? じゃあ、続けるよ?」
   お祓いを再開する音々。
木下「だから痛いって……」

○同・境内
   建物を眺めている森田。
森田「(空を見上げて)あ〜あ、本当に雨降らなくなっちまったんだな」
   森田の後ろにいる神様。苦悶の表情。
神様「だから痛いって……あ〜、ソコはダメ〜!」

○木下邸・前
   並んで歩く森田と木下。
木下「本当に、一人で帰れますから」
森田「そうはいかねぇよ。散々痛がってた、って話じゃねぇか」
木下「ですから大丈夫ですって。痛みなんて全然感じませんでしたから。ただ、何故かそう口にしていただけで……」
森田「そっちの方が重症な気がするけどな。どっちにしろ、困っている奴を放っておくのは……」
   門の前で立ち止まる木下。
森田「ん? どうした、恵太?」
木下「いえ、その……着いたので」
森田「へ?」
   「木下」と書かれた表札。
   門の向こうには大豪邸。
森田「えぇ〜!?」

○同・木下の部屋
   ホテルのスイートルームのような室内を呆然と見ている森田。その様子を見ている木下。
森田「これ、マジで恵太の家……?」
木下「はい」
森田「恵太って、何者?」
木下「森田さんは、木桜ホールディングスってご存知ですか?」
森田「木桜……? 色々手広くやってる、馬鹿デカいグループだろ?」
木下「はい。現在、木桜ホールディングスは様々な会社を抱えています。(パンフレットを見せながら)木桜運輸、木桜製薬、木桜開発……」
森田「どれも見覚えあるな」
木下「ですが、そもそもは木桜物産という、小さな会社から始まりました」
   二人の男が写る写真を見せる木下。
木下「その創始者が、この桜田旭氏と、木下幸之助です」
森田「木下……?」
木下「はい、私の曾祖父です」
森田「ってことは、恵太は木桜ホールディングスの創業者一族って事?」
木下「はい。現在、桜田家は直接経営にタッチしておりませんので、私がグループの次期後継者という事になります」
森田「……超ボンボンじゃん。何で今まで黙ってたんだよ」
木下「別に……私自身は凡人ですから。グループに力がある、というだけです。それに……」
森田「それに?」
木下「嫌いだったんです、この力が」

○神社・境内
   絵馬奉納所の前にいる神様。奥の方にある絵馬を見つける。
木下の声「私には似つかわしくない、大きな力です」
   「父が私を後継者に指名しませんように 木下恵太」と書かれた絵馬。
神様「こんな事、僕に頼まないでよ」
木下の声「だから正直、捨ててしまいたいと思っていました」

○木下邸・木下の部屋
   向かい合う森田と木下。
木下「でも、森田さんやスイセイバーを観て考えが変わったんです」
森田「え?」
木下「森田さんもスイセイバーも、手にした大きな力を、逃げずに正面から受け止めて他の誰かのために使っていました」
森田「恵太……」
木下「だから、憧れていたんです。尊敬、していたんです……」
森田「……」

○神社・外観(夜)

○同・境内(夜)
   ブラブラと歩く神様。
神様「夜の神社って、ちょっと恐いよね〜。(何かに気付いて)……あれ?」
   そこに立っている小夜。
小夜「……結局、全滅だったじゃねぇか。金返せ、賽銭泥棒」
   持っていた新聞紙に火をつける小夜。
神様「え、ちょ、ちょっと〜!?」

○アパート・外観(夜)

○同・森田の部屋(夜)
   テーブルの上に置かれた「木桜運輸」「木桜製薬」のパンフレット。
   テレビを見ている森田。流れているのは以前撮影したCMの映像(雨の中逃げ惑う荻野)。
荻野「誰か、誰か助けてくれ!」
   表示される「木桜」のロゴ。
荻野の声「こんな時でも助けを呼べる。木桜通信社のスマートフォン」
森田「完成したんだ、このCM……」
   立ち上がり、荻野のサイン色紙を手に取る森田。裏面を見る。

○(回想)小学校・外観
   雨が降っている。

○(回想)同・教室
   黒板に書かれた「運動会」。黒板消しで消される。
   窓の外を眺めている音々(7)。そこにやってくる森田(7)。
森田「まだすねてんのかよ、ネネ子」
音々「だって、運動会やりたかったし」
森田「仕方ないだろ、雨なんだから」
音々「せっかく、いっぱい練習したのに」
   音々の瞳から涙がこぼれる。
森田「(涙を見て)……わかったよ。来年は俺がぜってぇ晴れにしてやるから」
音々「本当に?」
森田「おう、任せとけって」

○アパート・森田の部屋(夜)
   荻野のサイン色紙の裏面を見ている森田。荻野の字で書かれた「正義を語るなら、リスクを負え」の文字。
荻野の声「正義を語るなら、リスクを負え」
森田「リスク、か……」
   スマホに着信。
森田「(電話に出て)何だ、ネネ子。おい、落ち着けって。……え!?」
   家を飛び出す森田。
   テレビ画面はニュース。火災の映像。
アナウンサーの声「本日未明、木桜ホールディングスの本社ビルでぼや騒ぎが……」

○神社・外(夜)
   山火事が発生している。
   周囲で消防隊が消火作業をしており、さらにそれを囲むように大勢の野次馬がいる。その中に音々の姿。
   そこにやってくる森田と木下。
音々「天心! 木下君!」
木下「ネネ子さん、一体何が……」
音々「わからない。ただ、さっき消防隊の人が話してるのチラっと聞いたんだけど、結構燃え広がってて、厳しい状況らしい」
   森田に視線を移す音々。
音々「『雨でも降ってくれれば』って」
森田「……」
木下「ネネ子さん、森田さんの力、何とかならないんでしょうか?」
音々「わからないし。もう神様にでも頼むしかないんじゃ……」
   炎が一瞬、大きく立ち上る。どよめく野次馬達。
森田「マジかよ……」
音々「神社が、私達の神社が……」
   音々の瞳からこぼれる涙。

○(フラッシュ)小学校・教室
   音々の瞳からこぼれる涙。

○神社・外(夜)
   野次馬の中にいる森田、木下、音々。
森田「……ちくしょう!」
   駆け出す森田。
木下「森田さん?」
   慌てて追いかける木下。

○同・境内(夜)
   周辺が燃えている。息を吹きかけて火を消そうとする神様。当然、消えず。
神様「ダメか〜」
森田の声「……してくれ(声が遠い)」
神様「ん?」
森田の声「俺の力を返してくれ!」

○同・裏(夜)
   野次馬の少ない場所に立つ森田。神社に向かって叫ぶ。
森田「困ってる人がいるんだ!」
   木下が追いついてくる。
森田「放っておく訳にはいかねぇんだ!」

○同・境内(夜)
   絵馬奉納所の前に立つ神様。考え事をしている。
森田の声「俺には今、雨男の力が必要なんだよ!」

○同・裏(夜)
   神社に向かって叫ぶ森田とその後ろに立つ木下。
森田「悪かった。俺が間違ってた。『力』って奴の意味がやっとわかった」
   木下の体がけいれんを始める。
森田「だから頼む。俺の力を返してくれ!」
   森田の肩を叩く木下。
木下「何がわかったのかな?」
森田「何だよ、恵太? 今は……」
木下「失礼。直接話をするのは初めてだね。どうも。僕はこの神社の神だ。今、訳あってこの青年と意識を共有しているんでね、ちょっと体を貸してもらっているんだ」
森田「は? 神様? おい、冗談よせよ」
木下「信じないならそれでいいよ? その代わり、大吉が出ないように意地悪しちゃうから」
森田「……マジなのかよ」
木下「時間がないから、結論から言うね。基本的に、一度叶えた望みを取り下げるって事はしちゃいけないんだ」

○同・境内(夜)
   絵馬奉納所前に立つ神様。
神様「神様の力っていうのは大きすぎるからね。あんまり好き勝手に使いすぎると、神様の信用問題にもなっちゃうでしょ?」

○同・裏(夜)
   向かい合う森田と木下。
木下「君達の言葉を借りるなら、それが神の力の『リスク』という奴なのかな?」
森田「で、じゃあ俺はどうすればいい?」
木下「説明してくれないかな。君がわかった『力』って奴の意味とやらを」
森田「……例えば、車だ」
木下「車?」
森田「車は便利で、流通にも欠かせねぇ。けど、交通事故だって起きる。薬もそうだ。よく効く薬ほど、強い副作用もある」
木下「つまり、どういう事?」
森田「どんな力にも負の力はある。グループ企業にも、雨男にも、神様にも」
木下「フフッ、そうだね」
森田「でも、だからって捨てる訳にはいかない」

○同・外(夜)
   山火事の様子を見守る音々。
森田の声「力を捨てる事はリスクじゃない。ただの逃げだ。そんなのは正義じゃない」

○同・境内(夜)
   絵馬奉納所の前に立つ神様。
森田の声「大事なのは、力を使うリスクを受け入れて、十分に理解した上で、上手く付き合って行く事だ」

○同・裏(夜)
   向かい合う森田と木下。
森田「だから決めた。俺は雨男の力を受け入れる。力を受け入れるリスクも含めて、全部受け入れる。だから……」
木下「じゃあ、最後にもう一つ。一度撤回した願いは、二度と叶えられないよ? それでもいい?」
森田「……ちょうどいいじゃねぇか。『正義を語るには、リスクを負え』だ」

○同・境内(夜)
   絵馬奉納所の前に立つ神様。
神様「そこまで言うなら仕方ないね」
   森田の絵馬を手に取る神様。
神様「僕だって、困ってる人を放っておくのは、趣味じゃないんだから」
   森田の絵馬を取り外す神様。

○同・裏(夜)
   向かい合って立つ森田と木下。笑みを浮かべた後、意識を失い倒れる木下。
森田「おい。大丈夫か、恵太?」
木下「(目を覚まし)あれ、私は一体……」
森田「大丈夫そうだな。ちょっと濡れるけど我慢しろよ」
木下「え?」
   ポツリポツリと雨が降り始める。

○同・外(夜)
   山火事の様子を見守る音々。大雨が降り始める。
音々「……雨?」
   瞬く間に火が消えていく。野次馬から歓声が沸き起こる。
音々「(笑顔を浮かべ)天心……」

○アパート・森田の部屋
   出かける準備をしている森田。テレビではニュースが放送されており、小夜の顔写真が映されている。
アナウンサーの声「……逢沢容疑者は複数の現場に放火したとみられ……」
   テレビを消す森田。

○同・外
   中から出てくる森田。傘をさす。
   雨が降り出す。

○駅・前
   傘をさして歩く森田。

○神社・外
   階段を上る森田。雨が上がる。
   遠くで虹がかかっている。
                  (完)

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