すべての学問を統一するテンプレート方程式がAIに読み込まれ、科学的特異点が起きた世界
シェリーから全てを聞いたリタは、人が人としての尊厳を取り戻すため、思想家として活動していた。彼女の思想は徐々に広まるも、AIはその思想の危険性を認識し、陶酔するものを要治療精神異常者として、病院に送り込んでいた。
シェリーの死から2年後。少年はリタと出会う
ボンド のちのリタと敵対する、攘夷軍のリーダー
CZq1 ボンド専用のアンドロイド
リタ のちの人類解放軍のリーダー
仲間1 リタの思想に陶酔する。
仲間2 リタの思想に陶酔する。
仲間3 リタの思想に陶酔する。
1部
ボンド
(椅子に座り、ごちそうさまをする)
「今日もいいご飯食べれたよ。さすがAIだね。何でもできるんだもん」
CZq1
(皿を下げる動作をして)
「ボンド様の好みは全て把握しておきます。今日のデザートはシナモンアップルケーキです」
ボンド
(嬉しそうに)
「本当にありがとう。なんか幸せだな〜」
CZq1
(無表情で)
「その言葉うれしく思います。食後の散歩をしてきてはどうですか?ルートは決めてあります。この最近、運動指数があまり良くないので、散歩されたほうが良いかと」
(ボンドにルートを渡す)
ボンド
(椅子から立ち上がり)
「良いね〜このルート。最高だ。行ってきます」
(舞台袖へ)
Czq1
(ボンドの後を追う)
「お見送りしましょう」
(椅子4脚舞台中央へ)
リタ
(ギターを持って舞台中央へ移動。椅子に座る)
仲間1
仲間2
仲間3
(リタの周りに座る)
リタ
(ギターを弾く)
仲間1
(嬉しそうに)
「リタ様。今日はまた一段と美しい音色です。街に流れる、音楽より心に響きます」
仲間2
仲間3
(頷く)
リタ
(恥ずかしそうに)
「まだまだ練習不足です。このギターも何回か試作していますが、思うような音に近づけませんね。もう少し改良します」
仲間2
(子供のように)
「リタ様、この前言っていた」
リタ
(微笑みながら)
「新曲ね。作ってきました。今回は歌詞も書いてきました。少し恥ずかしいですが」
(歌を歌う)
仲間1
仲間2
仲間3
(歌が終わると、立ち上がり拍手をする)
リタ
(拍手を制して)
「あまり大きな音を立てると、思考刈りに見つかりますよ」
仲間1
仲間2
仲間3
(慌てたように椅子に座る)
リタ
(咳払いをして)
「音楽は本来、心から心へと響かせるものです。AIが読み込んだテンプレート方程式は、たしかに音楽を解析できます。しかしそれは、形式的な現象論としての解析です。音楽そのものは解析していないのです。今日は皆さんにこの話をしたくて、歌を書いてきたんです」
仲間3
(立ち上がり)
「私も、いつか音楽を作って奏でてみたいです」
仲間1
仲間2
(立ち上がり、同時に)
「私も」
リタ
(立ち上がり)
「わかりました。今度集まる時は、一緒に作りましょう。あまりここにいると怪しまれます。今日はここまでにしましょう。皆さん、どうか思想刈りには気をつけてください」
仲間1
仲間2
仲間3
(これを揃えて)
「はい。わかりましたリタ様。リタ様も気をつけてください」
リタ
(微笑んで)
「ありがとう」
暗転
リタ
仲間1
仲間2
仲間3
舞台袖へ
椅子を舞台袖へ
2部
リタ
(舞台右から左へ移動。中央でハンカチを落とす)
ボンド
(舞台左から右へ移動、中央でハンカチを拾う。もじもじしながらリタを視線で追いつつ、右へ移動)
CZq1
ボンド
(舞台中央へ移動)
CZq1
(無表情で)
「おかえりなさい。ボンド様。散歩はどうでした。おや、そのハンカチは女性ものの」
ボンド
(もじもじしながら、ハンカチを見せる)
CXq1
(無表情で)
「一つ提案があります。この状況からテンプレート方程式を使い運命度数を計算できます。してみませんか?」
ボンド
(顔を明るくして、頷く)
「する、お願い、してみて」
CXq1
(無表情で)
「解析開始、解析終了。運命度数89%。ボンド様、結論から言いまして、その女性はあなたの運命の人です。是非今度あった時はご飯に誘ってみてください。」
ボンド
(恥ずかしそうに、またモジモジして)
「そう、そうだよね。あんなかわいい人が運命の人なんて、きっとこれが恋の始まりなんだね。でも、どうやってご飯に誘おうか、どこで会えるかも分からないし」
CXq1
(無表情で)
「私もついていきますから安心してください。おそらく、彼女はそのハンカチを、探しに戻ってくるはずです。どこで拾いましたか?一緒に行きましょう」
CXq1
ボンド
(舞台袖へ)
リタ
(何かを探すように、舞台中央へ移動)
「おかしいわね。このあたりで落としたと思ったんだけど。あれはおばあちゃんの…」
ボンド
CXq1
(リタのそばへ)
ボンド
(モジモジしながら、ハンカチをリタに差し出す)
「こ、これ拾った。き、君のでしょ?」
リタ
(満面の笑みで)
「ありがとう。たいせつなものなんです。本当にありがとう」
ボンド
(モジモジしする)
CXq1
(ボンドを耳打ちする)
ボンド
(恥ずかしがりながら)
「な、名前聞いていいかな?僕はボンド」
リタ
(微笑んで)
「私はリタ、よろしくねボンド。手を差し出す」
ボンド
(戸惑う)
CXq1
(ボンドに耳打ちする)
ボンド
(リタと握手する)
「こ、今度一緒にご、ご飯行きませんか。お、おいしい店を知ってるんです」
リタ
(満面の笑みで)
「はい、喜んで。たいせつなものを見つけてくれた人ですもの。今は急ぐので、また会いましょう」
(ボンドに手を振り、舞台袖へ移動)
ボンド
(リタに手を振り見送る)
「かわいい人だったな」
CXq1
(無表情で)
「彼女は嘘をついてます。彼女の個体識別ネームはリリーナです。おそらく、要治療精神異常者で間違いありません」
ボンド
(驚いたように口を手でふさぐ)
CXq1
(無表情で)
「今度食事に行った時、彼女を説得して病院へ連れて行ってください。それが、彼女の運命の人である、あなたの使命です」
ボンド
(2度うなずき)
「わ、わかった。で、でもどうすれば」
CXq1
(無表情で)
「後で遠隔操作型無線機をわたします。それ越しに私が指示を出します。安心してください。きっとうまくいきます」
暗転
ボンド
CXq1
(舞台袖へ)
3部
(椅子に2脚舞台中央へ)
リタ
ボンド
(舞台中央へ、椅子に座る)
リタ
(口をナプキンで拭く)
「ほんとに美味しかっわ。ありがとう。ボンド」
ボンド
(照れるように)
「こっこそ、来てくれてありがとう」
(迷いながらも、覚悟を決めた顔で)
「実は話があるんです」
リタ
(姿勢を正して)
「なんでしょうか」
ボンド
(深呼吸して)
「僕と一緒に病院へ行こう。君を守りたいんだ。一緒に行こう」
リタ
(顔を強張らして、首を強く横にふる)
「行かないわ。私はどこも悪くない。行く必要も意味のないわ」
ボンド
(声を少し大きくして)
「君はリタじゃない、リリーナだ。名前がわからなくなるくらい精神が汚染されてるんだ。行かなきゃダメなんだ、リリーナ」
リタ
(ため息について)
「その名前は捨てたは。私はリタよ」
ボンド
(立ち上がり、強い口調で)
「違う!!リリーナだ。君はリリーナだ!!」
リタ
(ボンドの目を見て)
「あなたの名前は、誰が決めたの?」
ボンド
(椅子に座り)
「ママが、ママがつけてくれたんだ。ちゃんと考えてつけてくれた名前だ。君もそうだろ?君のママが悩みに悩んでつけてくれたたいせつなも名前だ」
リタ
(首を横に振り)
「ボンド、あなたの名前はAIが提示した選択肢から選んだだけなの。私はそれが嫌なの。自分のことは自分で決めたい。だから、私は私にリタという名前をつけたの」
ボンド
(首を強く振り)
「イカれてる。イカれてるよリリーナ。君はもうおかしい、早く病院へ行こう」
(リタの手をつかむ)
リタ
(手を振り払う)
「嫌よ。私は私よ。ボンド、あなたもあなたのはずよ。目を覚まして」
ボンド
(慌てたように)
「う、うるさい!!」
リタ
(ため息をつき)
「なら、私はこれで失礼するわ」
(立ち上がって舞台袖へ)
ボンド
(リタの方へ手を伸ばして)
「待ってくれ、リリーナ。僕と病院へ行こう。僕は君の運命の人なんだ」
暗転
(椅子を舞台袖へ)
ボンド
(ため息をつきながら)
「彼女を救えなかった」
CXq1
(銃を持って、ボンドに近づく)
「話しは聞いてました。どうやら彼女の精神汚染度は緊急を要するようです。我々の分析では、精神汚染者と長時間接することで、伝染することが確認されています。ボンド様、彼女を救えるのはあなたしかいません。」
ボンド
(CXq1を見つめ)
「ぼ、僕は何もできなかった」
(下を向く)
CXq1
(無表情で)
「ボンド様、一つご提案があります」
(ボンドに銃を差し出す)
幕
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