コントグランプリをめざせ コメディ

地球に住むお父さん、お母さん、ジュン、ミサ、タク、リコの一家6人が宇宙ツアーに参加し、ホームステイしながらいろいろな星の生活を見て回ります。地球では考えられないような文化や習慣・自然環境があり、驚きの毎日を過ごしながら家族が成長していきます。宇宙を旅するが宇宙SF小説とは違う異色ホームドラマ。アニメならば約10分、1話完結の物語。
トナミKK 20 0 0 03/13
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第一稿

【登場人物】
お父さん 45歳
お母さん 41歳
ジュン 16歳
ミサ 13歳
タク 10歳
リコ 7歳
HB=ホストブラザー(ホストハウスの息子) 20歳


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【登場人物】
お父さん 45歳
お母さん 41歳
ジュン 16歳
ミサ 13歳
タク 10歳
リコ 7歳
HB=ホストブラザー(ホストハウスの息子) 20歳


○飛行機の中

地球家族6人が座っている。
父が資料を読んでいる。
父「へえ。今日のホストハウスの息子さんは20歳で、歌手かコント芸人を目指しているんだって」
ジュン「歌手とコント芸人じゃ、全然違うけど」
父「どっちの道に進もうか迷っています、とここに書いてあるよ」
ジュン「コント芸人なら、ミサも昔、目指していたことがあるんだっけ」
ミサ「私がなりたかったのは、コント芸人じゃなくてコントの台本作家よ。でももうあきらめた」
父「あきらめちゃったのか? せっかく1回入選したのに。会社員が登場するコントだったよね」
ミサ「入選したのはもう1年も前よ。それから1年間、一つも新作が思いつかないのよ」
ジュン「確かに作品が一つだけじゃ、台本作家としては生きていけないな」
ミサ「その通り。コントのグランプリを決めるテレビ番組だって、決勝戦まで勝ち抜くためには、いくつものネタで勝負しなきゃいけないんだから」
父「お父さんもひとつネタを持ってるぞ。よかったら使うかい? ネタといっても実話なんだけど、会社によく電話をかけてくる人で、声が面白い人がいるんだ」
ミサ「あ、その話なら前に聞いたよ。でもあれではだめ。台本作家になるためには、声が面白い人ではなくて誰が演じても面白いネタじゃなきゃいけないの」
父「そりゃそうだな」

○ホストハウスの玄関

リコ、玄関を開ける。
リコ「おじゃまします」
HBが出てくる。
HB「いらっしゃい。地球のみなさんですね。コント芸人、副部長アンド係長の、副部長役です」
ミサ「え?」
一人の若い男性が出てくる。
HB「こっちが僕の友達で、相方の係長役です」
係長役「よろしくお願いします」

○大広間

HBと係長役、地球家族6人が立っている。
HB「ここが今日みなさんがお泊りになる部屋なんですけど、僕たちの練習場も兼ねています。後で友達がおおぜい来ますので、その時はみなさんも一緒に僕たちのコントをぜひ見てください」
ミサ「はい、楽しみにしています」
父「プロフィールには、歌手になろうかと迷っていると書かれていましたが・・・」
HB「歌手のほうはもうあきらめました。僕、音痴なので」
ジュン「音痴なのに歌手になりたかったんですか?」
HB「僕、3オクターブ出せるんですよ」
ミサ「へえ、すごい。ちょっと聞かせてください」
HB「いいですよ」
HB、高い声と低い声を混ぜながら、歌い始める。
タクとリコがそれを聞いてくすくす笑っている。
ミサ「なるほど、確かに3オクターブ出せてるけど、音程が不安定。これじゃ歌手は無理ね」
HB「歌で感動させるのは無理で、いつも笑われてばかりです。だから今は、この相方と組んでコント芸人を目指しています」
HB、係長役の男性の肩をたたく。
HB「今の目標は、テレビ番組のコントグランプリです」
ミサ「コントグランプリ? へえ、すごい。私が住んでいる国にも、同じようなテレビ番組があるんですよ」
HB「そうなんですか」

○しばらくして、居間

ミサがHBに話しかける。
ミサ「副部長アンド係長という芸名でしたよね。ということは、会社員ネタですか?」
HB「そうです。会社員ネタは圧倒的に人気が高くて笑いを取りやすいんです」
ミサ「真面目なイメージの会社員とのギャップがうけるんですかね」
HB、棚に置いてあるビデオを取る。
HB「ほら、これを見てください」
HB、ビデオに貼ってあるラベルを指差す。
HB「このビデオは去年のテレビのコントグランプリの決勝戦を録画したものです。ここに書いてあるように、優勝したコントは『ある日の会議室』。準優勝は『就職の面接』。どちらも会社員ネタなんです」
ミサ「本当だ。私、とても興味があるんです。このビデオ、見せてもらってもいいですか?」
HB「どうぞ、どうぞ。あそこにあるテレビでご覧ください。1回戦から全部見たければ、別のビデオに入っているので、取ってきますよ」
ミサ「あ、大丈夫です。とりあえず決勝戦だけで」

ミサ、テレビ画面でコントのビデオを見ている。HBが近づいてくる。
HB「どうですか? コントの感想は」
ミサ「決勝戦だけあってとても面白かったです。勝敗を判定する審査員はいないんですか?」
HB「観客の笑い声の多さで勝敗が決まるんですよ」
ミサ「そうなんですか。でも、コントが面白いわりには、観客の笑いが少ないような気がしました」
HB「お客さんたち、1回戦からずっと休みなく見続けていますからね」
ミサ「それは見るほうも大変ですね。もう疲れきっているのかな」
その時、係長役が声をかける。
係長役「おーい、副部長。仲間が全員集まったよ」
HB「そうか、今行くよ。ミサさん、行きましょう」

○大広間

大勢の若者が集まっている。
副部長アンド係長コンビが前に立っている。
地球家族6人も見ている。
HB「地球のみなさんもぜひ、あとで感想を教えてください。僕たちはこのコントで、今年のコントグランプリに勝負を挑みます」
コントが始まる。
若者たちが見ている。笑いは少ない。

○しばらくして、大広間

HB「どうでした、僕たちのコント?」
ジュン「そうですね。まあ、面白いといえば面白かったかな」
HB「厳しいコメントですね」
ジュン「実は、妹のミサも台本を書いたことがあるんですよ。同じ会社員ネタなら、僕はどっちかと言うとそっちのほうが好みかな」
ミサ「へ、そんな」
HB「そうだったんですか。ぜひ、ミサさんの台本見せてくださいよ」
ミサ「じゃあ、せっかくだから見てもらおうかな。いちおう、地球では入選した作品だし。今書きますから少し待っていてください」

○しばらくして、大広間

ジュンとタクが、台本を持って前に立っている。
父、母、ミサ、リコ、副部長アンド係長、大勢の若者が見ている。
タク「僕にできるかな?」
ミサ「大丈夫。私のコントは内容で勝負してるから、誰がやっても同じようにうけるはずよ」
ジュンとタクが台本を見ながらコントを始める。
若者たちが大笑いしている。
ミサ「やった。私のコントがこんなにうけている」

○しばらくして、大広間

HB「すごい。ミサさんのコント、面白かったですよ」
ミサ「ありがとうございます」
HB「コントグランプリで勝負するコントとしてどっちのほうが良かったか、多数決をとってみましょうか。僕たちが考えたコントが良かったと思う人、手を上げて」
多くの若者が手を上げる。
HB「ミサさんが作ってくれたコントが良かったと思う人」
一人も手をあげない。
ミサ「(心の中で)そんな・・・。さっき、みんなあんなに大笑いしてたじゃない。コントグランプリは笑いの量で勝負が決まるって言ってたし。みんな副部長さんたちの友達だから、ひいきしてるのかしら」
HB「そうだな。やっぱり、もとのコントで勝負するか」

○しばらくして、大広間

地球家族6人が座っている。
ミサ「私のコントのほうが面白かったわよね。リコもそう思わない?」
リコ「わからない」
ミサ「へ?」
リコ「会社の話はどっちもよくわからなかった」
ミサ「そうよね。小さな子供には分かりにくいわよね。それに、大人でも会社に勤めたことがない人にはわかりにくいかもしれない」
ジュン「会社員ネタにそこまでこだわる必要があるのかな」
ミサ「会社員ネタが人気らしいのよ。去年のコントグランプリでも、優勝が『ある日の会議室』、準優勝が『就職の面接』、・・・」
ミサの回想:ビデオに貼られていたラベル
ミサ「そうか、そういうことか。どうして気づかなかったんだろう」
ジュン「どういうこと?」
ミサ、部屋から走って出て行く。

○居間

ミサがHBに話しかける。
ミサ「すみません、やっぱりビデオ、一回戦から全部見せてもらえませんか? 初めからそうすればよかった・・・」

○しばらくして、居間

ミサがテレビでコントのビデオを見ている。
ミサ「やっぱりそうだ」
ジュンが近づいてくる。
ジュン「どうしたの? 何がわかったの?」
ミサ「このコントグランプリは、私が地球でよく見ている大好きなテレビ番組にとてもよく似ている。でも大きな違いがあるのよ」
ジュン「ちがい? どんな?」
ミサ「このコントグランプリで優勝するのは、コント芸人ではなくて、コントなのよ」
ジュン「どういうこと? 何が違うの?」
ミサ「大違いよ。一回戦、二回戦、三回戦、準々決勝、準決勝、決勝と勝ち進んで優勝したのは、この『ある日の会議室』というコントなのよ」(コントという言葉を強調)
ジュン「ずっと同じネタで勝負するわけか」
ミサ「そう。しかも、同じ観客の前で。だから、私が作ったコントでは全然だめ。1回目だけは笑えても、繰り返し見て笑えるようなネタじゃないから。だから、さっきの多数決で負けたのよ。副部長さんのネタのほうがまだマシだけど、それでもグランプリは厳しいだろうな」
ジュン「しかし、それは難しい注文だね。何回見ても笑えるコントなんて。その点、歌だったら何度聴いても感動できる歌というのがあるけどね」
ミサ、ジュンを指さす。
ミサ「それよ! まさにそれ! 副部長さんの特技が生かせるわ!」
そこへ、HBが入ってくる。
ミサ「副部長さん。もう一度仲間を集めてください、今すぐ!」
HB「え?」
ミサ「コントグランプリで勝負するのに、もっといいコントがあります」

○大広間

ミサが紙に台本を書いている。
ジュンとタクが横で見ている。
タク「また僕たちが演じるの?」
ミサ「いや、今度は、副部長さんたちにしかできないコントだから」
ミサ、副部長アンド係長コンビに台本を一部ずつ渡す。
ミサ「今度は、このコントで仲間の皆さんに評価してもらってください」

○しばらくして、大広間

副部長アンド係長が前に立っている。
地球家族6人とおおぜいの若者が見ている。
HB「では、コントを始めます」
電話が鳴る。プルルルル。
係長役「(電話に出るポーズをしながら)はい、東西不動産です」
HB「(受話器をもつポーズをしながら、とても低い声で)こちら南北建設のサウスと申しますが、イスト副部長はいらっしゃいますか」
係長役「あいにく外出しておりますが」
HB「(突然、とても高い声で)あー、そうですか。それではまたかけ直します」
電話を切るポーズ。
HB「ただいま」
係長役「あ、副部長。今、南北建設のサウスさんという方から電話がありました」
HB「おー、そうか」
係長役「変わった人ですね。低い声から急に高い声になって・・・」
HB「本当? こんな感じ? (とても低い声で)南北建設と申します。副部長はいらっしゃいますか? (突然、とても高い声で)あー、そうですか。それではかけ直します」
係長役「そうです、そんな感じです!」
HB「あの人、ものすごく人気があって、出世してるらしいんだよ」
係長役「電話の声を聞いただけでも面白い人ですからね」
HB「俺もまねしてみようかな」
係長役「やってくださいよ」
HB「よし。(とても低い声で)東西不動産のイストと申します。社長はいらっしゃいますか?」
係長役「あいにく外出しておりますが」
HB「(突然、とても高い声で)あー、そうですか。それではかけ直します」
係長役「いいです、いいです。これで副部長も、今年は部長間違いなしですよ」
HB「本当かい?」
二人で踊り出す。
HB「(とても低い声で)東西不動産と申します。社長はいらっしゃいますか? (とても高い声で)あー、そうですか。(とても低い声で)東西不動産と申します。社長はいらっしゃいますか? (とても高い声で)あー、そうですか」
二人のコントが続く。
ジュン「なるほど、副部長さんの調子はずれな3オクターブの声がぴったりだ」
若者たちが大笑いして見ている。
ミサ「これなら、何度見ても面白い。優勝は無理かもしれないけど、いい線いくんじゃないかな」

○飛行機の中

地球家族6人が座っている。
ジュン「副部長さんたち、コントグランプリでうまくいくといいね」
ミサ「私たち、結果が見られなくて残念だわ」
タク「でも、ミサが新しいコントを作っていたなんて知らなかったよ」
ミサ「実は、あれは私の作ったものじゃないのよ」
タク「そうなの? 誰が作ったの?」
ミサ「お父さんよ」
父「いや、正確に言えば、お父さんの実話だよ。昨日言いかけたけど、会社によく電話をかけてくる取引先の人なんだ。本当にあのコントみたいに声を途中で変えるから、電話をとった人はみんな、笑ってしまってまともに応対ができないんだよ」
ミサ「こんなところで役立つなんて。その人に伝えて差し上げて」
父「ハハハ」
ミサ「さっきから、お母さんがずっと静かね。そういえば、お別れのあいさつの時に、お母さんと副部長さんが何か話してたけど、何の話だったの?」
母「あ、副部長さんね、やっぱり、あの3オクターブの声を生かして、歌手になりたいって。今朝突然、気が変わったらしいの」
ミサ「えーっ?」
地球家族5人、驚く。

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