無名の怒り (Unsung Wrath) ドラマ

北沢由乃は、ごく普通で幸せな家庭に育った少女。彼女の幼なじみである中堀光明との時間は、彼女にとって宝物だった。しかし、運命は残酷にもその幸福を引き裂く。 ノワール・エンタテインメントの創業者・中堀茂が、由乃の父・清太郎を後継者に指名しようとしたことがきっかけで、実の息子・中堀信彦の怒りが爆発。信彦は清太郎への嫉妬と権力欲に駆られ、北沢家に火を放ち、両親を殺害。更には茂も殺して社長の座を奪い取る。 すべてを奪われた由乃は、「紅瀬奈」という新たな名を名乗り、復讐のためにアイドルとしての道を歩み始める。彼女
片山 沙羅 7 0 0 08/18
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第一稿

『無名の怒り』第1話 Part 1
「紅瀬奈、アイドル生活、光裏側」
脚本:片山沙羅
【オープニングシーン】
夜のスタジオ。深紅の照明がステージを染める。
電子音が鳴り響 ...続きを読む
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『無名の怒り』第1話 Part 1
「紅瀬奈、アイドル生活、光裏側」
脚本:片山沙羅
【オープニングシーン】
夜のスタジオ。深紅の照明がステージを染める。
電子音が鳴り響く。観客は熱狂の渦。
K&D ステージパフォーマンス ― 「Venus Trap」
センター・**紅生瀬奈(渋谷凪咲)**が登場。
黒とシルバーのボディスーツ。鋭くも魅惑的な視線。
【Chorus – ダンスパート】
♪ Venus Trap, kiss me slow
♪ 絡みつく夜に溺れなさい
メンバー全員が揃って踊る中、瀬奈の存在だけが異次元の光を放つ。
ファンたちが泣き叫ぶ。「瀬奈ちゃーん!」「天使!!」
【Final Chorus – カメラが瀬奈に寄る】
♪ あなたが私を選んだんじゃない… 私があなたを選んだのよ。
瀬奈の唇がゆっくりと動き、視線が鋭く画面を貫く――
暗転。
【シーン1:握手会イベント会場】
明るい会場。小学生からシニア女性まで多様なファンが並ぶ。
男性ファンはわずか。大学生くらいの若者が緊張気味に並ぶ。
瀬奈(満面の笑みで):
「今日も来てくれてありがとう。頑張ってるんだね。」
(ファンの子供にキャンディを手渡す)
「これは特別なご褒美だよ。」
スタッフ(囁き):
「本当に…どこまでも優しいな、瀬奈ちゃんは。」
モンタージュ:
・ファンとの記念撮影
・差し入れのレストラン弁当をファンに配る
・子どもに高級ブランドキャンディを「投げる」ように渡す
・上品な笑顔でスタッフと会話
・ブランドの紙袋が積み上がる楽屋風景(ポリーン、ジミー・チュウ、サンローラン…)
【シーン2:バラエティ番組 インタビュー】
MC(軽い調子で):
「紅生瀬奈さん、今って幸せですか?」
瀬奈(少し間をおいて微笑む):
「そうですね……」
(ふと遠くを見る。笑顔がすっと消える)
瀬奈:
「“幸せ”って、自分が決めるものですよね。誰かに与えられるものじゃない。」
MC(冗談っぽく):
「じゃあ、誰にも与えられてないんですか?」
瀬奈(微笑を戻しながら):
「秘密です。」
ナレーション(女性の声・低く静かに):
「日本で最も愛されるアイドル――その微笑みの裏に、誰も知らない“光の裏側”がある。」

【回想:幼少期】
INT. 北沢家・朝の食卓 – DAY
清潔で穏やかな朝。6歳の北沢由乃(後の紅生瀬奈)は、朝食を前に両親と談笑している。父清太郎はネクタイを締め、母若菜は化粧を仕上げている。
由乃
「ママ、パパ…また仕事行くの?」
若菜(微笑む)
「そうよ、あなたにきれいな洋服を買ってあげるためにね。」
清太郎
「おもちゃも買わないと。あと、遊園地にも行かなくちゃな。」
由乃(真剣な眼差し)
「私、アイドルになりたい。パパとママが働かなくてもいいように、お金持ちになりたいんだ。
…毎日、疲れさせちゃってごめんね。」
清太郎と若菜は少し驚いたように顔を見合わせ、微笑みながら由乃の頭を撫でる。
清太郎
「そんなこと言ってくれるなんて……由乃はやっぱり自慢の娘だな。」
EXT. 小学校前 – MORNING
清太郎が由乃を車で送ってくる。由乃はランドセルを背負い、校門の前で手を振る。
由乃
「パパ、またねー!」
*その直後、校庭の大きな岩のそばに座る**光明(幼少期)*の姿が目に入る。彼はヴァイオリンを抱え、すすり泣いている。
由乃(駆け寄る)
「光明先輩、こんにちは!……泣かないで。…また、お父さんに?」
光明
(黙ってうつむき、腕のアザが見える)
由乃(小声で)
「どうして腕にアザがあるの?」
INT. 保健室前 – MOMENTS LATER
教師が光明の様子を見つけ、心配そうに声をかける。
教師
「ああ……かわいそうに。保健室へ連れていきますね。」
由乃
「先生、一緒に行きたいです!」
教師
「ごめんね、由乃ちゃん。もうすぐ授業が始まるから……」
INT. 教室 – DAY
由乃は席に着いている。周囲には友達が多く、人気者の様子。
友達A
「由乃ちゃん、将来なにになりたいの?」
由乃
「アイドル!世界で一番の!」
友達B
「すごい!私も一緒のグループに入りたい!」
EXT. クリニック – AFTER SCHOOL
由乃が光明を訪ねる。光明は静かにヴァイオリンを弾いている。
由乃(そっと差し出す)
「こうちゃん、悲しまないで……。この四つ葉のクローバー、さっき見つけたんだ。きっと良いことあるよ。」
光明、少し微笑みながらクローバーを受け取り、静かにうなずく。
EXT. 中堀邸・門前 – SAME TIME
中年の女性藤崎さんが門の前で泣き崩れている。北沢清太郎が通りかかる。
清太郎
「奥様、どうなさいました?こんなところで…」
藤崎さん(嗚咽混じりに)
「藤崎と申します。私の娘……自殺したんです。中堀信彦に……〇〇されて、妊〇して……!」
清太郎の顔が一瞬で硬くなる。
清太郎
「私は中堀茂社長の秘書です。ご一緒に、中に入りましょう。」
INT. 中堀茂社長室 – MOMENTS LATER
ドアのロックが外れ、清太郎と藤崎さんが入室。茂は執務デスクの前にいる。
清太郎
「社長……門前にこのような方が。信彦さんに関する深刻な申し立てがございます。」
藤崎さん(泣き崩れながら)
「娘の命を返して…補償なんかいらない。あなたの息子も……死んで償うべきです!」
茂、深く頭を下げる。
茂(沈痛な表情で)
「ご愁傷様です……葬儀費用は全額こちらで負担させていただきます。」
藤崎さんは声を震わせながら退場。部屋に沈黙が訪れる。
茂(独白)
「信彦……お前は何度同じことを……もう終わりだ。生まれてこなければよかった…!」
INT. 同・茂の執務室 – LATER
信彦が部屋に入ってくる。
信彦
「父さん、お呼びですか?」
茂、マティーニグラスを掴んで、信彦に投げつける!

「お前は最低の怪物だ!」
信彦(嘲るように)
「なに怒ってるんだよ、親父。ボケたか?やだやだ……」
茂(怒鳴る)
「朝、藤崎さんから聞いた!17歳の女の子が、ノワールのアイドルが、自殺したと!」
信彦
「責めないでくれよ!俺の周りはみんな病んでんだ!」
茂(絶叫)
「自分の非を認められない…最低の人間だ!私は人間に育てたつもりだった!でもお前は――獣だ!」
Part 2.2「決別:茂と信彦、父と子は異なる存在」
【INT. ノワール・エンタテインメント本社ビル – CEO室前の廊下 – DAY】
信彦が社長室から出ようとする。茂が後を追う。
茂(呼び止めるように)
「おーい、待ってよ!まだ話は終わってない!」
信彦(苛立った口調で)
「だから何、じいじい。うるせぇんだよ。」
茂(怒鳴るように)
「お前を産んで、すぐに死んでいった母親との約束通り……私は一人でお前を育ててきた!それが私に返す礼か?お前は……もう人間じゃない!」
信彦(鼻で笑い)
「あんたはさ、自分のことで精一杯だっただけだろ?」
茂(息を荒げながら)
「あなたが好もうと好まざろうと、私の資産はすべて北沢秘書とノワール・エンタテインメントに渡す!
あなたはスキャンダルまみれで、何ひとつ手に入らない!」
信彦(嘲笑)
「へえ……あんたの評判が大事かよ? CEOの肩書きにすがる老いぼれが、よく言うぜ。」

「お前がいる限り、会社も私も沈む!……お前は"業"なんだ。私の人生の失敗だ!」
清太郎が割って入る。
清太郎(冷静に)
「中堀社長、冷静にお考えください。」
信彦(怒りを込めて)
「この北沢ってやつらは、俺の親父の財産を狙ってんだろ。……自分の息子より他人を選ぶとか、終わってるな。」
信彦はそのまま去る。

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