憧れと上手くいかない結末 恋愛

高校の時から保健室の先生、野川菜緒子が好きだった石橋史人は社会人になってから泥酔した菜緒子と再会する。 聞けば同じく高校の時の非常勤講師、千住拓斗に別れ話を切り出されたとのこと。 一方的に話を打ち切られたらしく菜緒子は納得いっていない。 史人は疑問を解決すべく、千住のアパートに向かう
神埼隼人 16 0 0 12/24
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第一稿

とある高校の保健室
史人 「なあなあ先生、付き合おうぜー」
菜緒子「石橋君。君ねえ、先生のこと先生って言ってる時点でダメだって気づきなさいよ」
史人 「ええ、いいじゃんか先生 ...続きを読む
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とある高校の保健室
史人 「なあなあ先生、付き合おうぜー」
菜緒子「石橋君。君ねえ、先生のこと先生って言ってる時点でダメだって気づきなさいよ」
史人 「ええ、いいじゃんか先生えー」
菜緒子「だめよ。それに残念だったわね」
史人 「え?」
保健室のドアが開く
拓斗 「よくまあデカイ声で求愛出来るもんだな?ええ?2年の石橋史人(いしばしふみと)」
史人 「んだよ、千住か。今いいとこなんだから邪魔すんな。しっし」
拓斗 「てめッ。……色々ツッコミどころ多いセリフだが。とりあえず先生くらい付けろ。助けが必要ってことでいいんだよな?野川先生?」
菜緒子「イエス」
拓斗 「お前には悲報を言わねばならん。石橋」
史人 「んだよ、さっさと済ませろ」
拓斗 「俺と野川先生な。結婚することになったから」
史人 「……は?」

数年後
居酒屋入口

史人 「じゃあ、先輩方お先ーッス。ふぃー、夜風が気持ちいー」
菜緒子「なんなのよ、もう」
史人 「ん?美人な人だな。……って、は?野川先生?」
菜緒子「ん?誰?」
史人 「あー先生、酒入ってます?オレ、石橋です。石橋史人です。分かりますか?」
菜緒子「イシバシ~?あ~保健室に入り浸ってた不良か~」
史人 「お、おっと。この状態でも頭はしっかりしてるみたいですね」
菜緒子「あんた、何でこんなとこにいるのよ。居酒屋しかないのよ」
史人 「いや、何でって。オレもう社会人ですよ。働いてるんです」
菜緒子「……連れてって」
史人 「はい?」
菜緒子「アンタの部屋。連れてって!」

会社員、石橋史人の借りてるアパート
史人、野川を肩車で部屋まで連れてくる

史人 「ったく、元生徒とはいえ旦那以外の男の部屋に連れてけとか、どうなってんだ?先生、水飲みますか?」
菜緒子「うるさ~い、先生じゃないでしょうが」
史人 「……これ、酔ってんだよな?……。どうぞ」
菜緒子「んあ」
史人 「何があったんですか……って、この状態で聞いても答えられるわけないか」
菜緒子「離婚してくれって、言われたのよ」
史人 「マジか?」
菜緒子「理由聞いても答えてくれないし、別れてくれの一点張り。納得できるわけないでしょうが!」
史人 「……なんだろう。めちゃめちゃチャンスって感じなのに、喜べねえのは」
菜緒子「せめてさぁ、嫌いになったとか言ってくれればさぁ……」
史人 「浮気だったら?」
菜緒子「半殺しにして別れる」
史人 「だから何でさっきから会話が成立してるんですか」
菜緒子「今日泊めて」
史人 「また唐突かつ無遠慮に。オレが知らない人間だったらどうすんですか」
菜緒子「そもそも来てない」
史人 「酔っ払いに正論言われることほどムカツクことって無いですよ」
菜緒子「君はぁ、授業はサボり魔だったけど一線は守る子だった」
史人 「ずるいな。そんなこと言われたら襲えないじゃないですか」


22時、野川、千住の住むアパート

史人 「この部屋か。あの状態の先生から普通に住所聞き出せたのが信じらんねえ。まあいいや」

チャイムを鳴らす
返事がないのでもう一度
が、鍵は開いていた

史人 「どいつもこいつも……。千住ー、いるかー?しゃーねえ、入るぞー。えーと?奥か……。千住……うあ、あぶね。おま、いるんなら返事しろよ。危うく蹴るとこだったぞ」
拓斗 「ああ?誰だ?」
史人 「いる事分かったから、電気付けるぞ。石橋だ。覚えてるか?」
拓斗 「……誰だっけ?」
史人 「お前と野川先生取りあった……」
拓斗 「はん、お前相手にされてなかっただろうが」
史人 「余計な所だけ鮮明に覚えてやがんのな、ぶっ飛ばしてやろうか」
拓斗 「丁度いいや。お前、まだ菜緒子ことまだ好きか?」
史人 「なお?……あ、ああ野川先生の下の名前か。一瞬誰かと思った。……好きだったらなんだよ」
拓斗 「譲ってやるよ。これ」
史人 「譲るって、お前な……。これ、離婚届。そうだ。何があったのか聞きに来たんだ」
拓斗 「何がって……。いいからそれ持って帰れ。いるんだろ?菜緒子、お前の家に」
史人 「ああいる。けどせめて理由を聞かせろ。じゃねえと、殴っていいのかどうかもわかんねえ」
拓斗 「力に訴えるのはガキのすることだぞ」
史人 「オレがガキかどうかなんてどうでも良いんだよ!何が理由なんだよ。教えろ!!俺には聞く権利が、お前には言う義務があんだろ?」
拓斗 「……いっちょ前に権利だの義務だの言いやがって。ガキじゃねえってことか。そういやあ、あれから何年だ?」
史人 「オレが高校を卒業してからって意味なら、4年だ」
拓斗 「ハタチ超えてるってか、確かにガキじゃねえな。(タバコ)ふ~。借金だよ。闇金に手ぇ出した。これから多分キツイ取立が来る。あいつには知られたくねえんだ」
史人 「闇金って、額は?」
拓斗 「ウン千万だったか、億だったか……」
史人 「はあ!?また大層な額だな。何したらそんなことになるんだか」
拓斗 「あいつを俺の関係者にしとくと取立があいつの所にも行く。それは避けたい。なっさけねぇ俺の最後の良心なんだよ。あいつとの関係を切るのは」
史人 「それで、離婚か」
拓斗 「ああ。だから頼んだ」

翌日、朝、史人のアパート

菜緒子「ん、ふぁ……あぁ。……えーと、ここどこ?」
史人 「あ、おはようございます。えーと、せんせい?」
菜緒子「え?……石橋君?え?何で?」
史人 「昨日のこと覚えてます?」
菜緒子「うーん?学校帰りに友達と飲んで……、あいやいや、その前に……そうよ、拓斗に別れ話を出されて……」
史人 「そういや、千住の下の名前って、拓斗って言いましたっけ?」
菜緒子「お店を出たところまでは覚えてるんだけど……」
史人 「そんな状態でよくあんなに会話が成立したなぁ、超偶然だったのか?」
菜緒子「え、何?何か話したの?」
史人 「えーと、千住と先生の今のことです。とりあえず、水、飲みます?」
菜緒子「あ、うん。もらうわ。ありがとう」
史人 「先生は、今でも先生やってるんですか?」
菜緒子「ええ。養護教諭、保健室勤めを続けてるわ。それで、昨日、私何を話したの?」
史人 「まあ、それはこれを見せた方が早いでしょうね」
菜緒子「ん?これ、離婚届!?……しかも拓斗のサインがある。……そっか会いに行ったのね」
史人 「書きましょうよ、先生。んで、フリーになって下さい」
菜緒子「……イヤよ。そもそも理由が分からないんだから、こんなもの、納得できないわ」
史人 「でも!あいつはもうあの家に戻る気はないって」
菜緒子「出て行ったの!?何で!?」
史人 「海外に行くって、言ってました」
菜緒子「海外?いつ?」
史人 「今日、と言うか、まさに今かな?」
菜緒子「は?今……て」
史人 「空港……ですね。もう飛ぶころじゃないかな」
菜緒子「……だから、何でなのよ!?」
史人 「……借金とか言ってましたよ、普通に働いてたらまず返せない額の」
菜緒子「そ……んな、ことで?」
史人 「でも、オレは……そんな生活を先生にして欲しくないです。ムカツク話しですけど、この部分だけはあいつと、千住と同じ気持ちなんですよ。なんで借金なんてものしたのかは教えてくれませんでした。でも、自分でやらかしたことは自分で落とし前を着ける。だそうです。そしてオレも、あいつのせいで辛い思いをする先生なんて見たくないです」
菜緒子「ありがとう。でもごめんね。それでも私、あの人が好きだから」
史人 「何でだよ!なんでそんな、まるで捨てられたみたいになってんのに、何でそれで『好き』なんて言えるんだよ!オレならそんなバカな事しない。先生を捨てる事だってしない。なんでこんな、ずっと先生の事想ってるオレのこと、見てくれないんだよ!!」
菜緒子「ごめんね」
史人 「ん、んぅ(なん、これ、キス!?)」
菜緒子「君にとって、始めてだったらごめんね。」
史人 「へ?……や」
菜緒子「でも君ももう大人になったんなら分かるはずよ。人の心は、そんな単純じゃないって。それに、分かれた直後に他の男に乗り換えるなんて、尻軽女なんて、イヤでしょ?それに君が学生の頃から私の気持ちはあの人だけだったのよ。」
史人 「オレは……別に、先生なら……」
菜緒子「泊めてくれてありがとうね。何にしても帰るわ。荷物、あっちに置いてあるし。それじゃ、縁があったらまた会いましょう」

史人 「まあ、分かってたっつーかさ。先生の性格ならOKしてくれるとは思って無かったんだよな。けどせめて、あいつを追いかけるのを止めてくれねーかなって、思ってたんだ。はは、ダッセー、起死回生を狙って、逆に止めを刺されてやんの。はあ、やめやめ、なんもやる気起きねえわ。とりあえず午前中は寝よ」

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