AppaRition GraveMarker 第5話 ドラマ

AppaRition GraveMarker 妖怪の墓標。化け狸からの挑戦状に善とRainは受けて立つが、相手はNo.3。 とても敵わないRain。一方的にやられる相棒を見て、善は、憎しみと怒りを増幅させ・・・遂に現れる?良心寺善の正体とはーー
非露亞貴(令和2年8月5日開業届。脚本執筆、シナリオ代行) 6 1 0 12/21
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第一稿

【登場人物】

良心寺善 《りょうしんじぜん》(19) 妖怪ハンター。体内に最強の妖怪を宿している

Rain  相棒の傘お化け

良心寺福弥津 《ふくみつ》(44) ...続きを読む
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【登場人物】

良心寺善 《りょうしんじぜん》(19) 妖怪ハンター。体内に最強の妖怪を宿している

Rain  相棒の傘お化け

良心寺福弥津 《ふくみつ》(44) 住職、父親

赤子  福弥津の相棒。ごぎゃ泣き(子泣き)じじい。善とRainは見えない

あやこ (27) キャバ嬢=藻女《みくずめ》あやこ 九尾、女狐。バツイチ。

化け狸=阪西大学演劇部員3  第1話で出て来た部員。狸が化けた姿。善とRainに戦いを挑む

輪入道=化け狸

神=良心寺牛頭《ごず》 古代に存在する。良心寺家の先祖にあたる

良心寺美海《みみ》  (享年32) 善の母親

良心寺幸蔵《こうぞう》(享年63) 善の祖父

良心寺穂枝《ほのえ》(享年60) 善の祖母

良心寺曽福《そうふく》(享年33) 福弥津の弟で善の叔父
   
良心寺岐依《きい》(享年36) 曽福の妻。善の叔母

良心寺千木郎《ちぎろう》(享年13) 曽福の子。善の従兄弟

神八代舞理《かみやしろまいり》(享年39) 美海の姉。善の叔母

神八代岐丸《きがん》(享年42) 舞理の夫。善の叔父

*以上8人は善の体にいる妖となっている。

謎の男 草履にパーカー付きトレーナーにサングラスにマスク姿。
    正体不明。善を師と仰ぐ。2番目に強い。

サブタイトル「狸の思惑。善と8人とRainと親父と赤子とキャバ嬢」

良心寺善N 「そう、この戦いは突然だった。そして、俺の体内に潜んでいるのは」


○良心寺・リビング(朝)

 食卓を囲む。

良心寺善  「親父、楽しかったみたいだな」
Rain 「猫耳のカチューシャつけて帰って来たもんね」
良心寺福弥津「昨日はハロウィンパーティー。あやちゃん可愛かったな」
良心寺善  「鼻の下伸びてんぞ!口から茶を溢すな。閉めて、拭け」
赤子    「キモっ」
Rain 「この後さどっか行かない?依頼来ても、休もう。銀行の方にさ、
       美味しいタピオカの店があるっしょ」
良心寺善  「パスっ!タピオカ苦手だ。お前、女みたいだな」
Rain 「女だよっ」

○良心寺・外

良心寺善OFF「ええっーー」

 響く声。山門に近づく者がいる。

○良心寺・リビング

良心寺福弥津 「善!己は。ったく。耳が」
Rain 「びっくりさせるな。女だと思わせるような事ばっかりだったでしょうよ。
        マスオさんかあんた」
良心寺善   「えっそうだっけ」
赤子     「俺は男だぞ。見せようかチン」
良心寺福弥津M 「やめとけ赤子。某落語家じゃあるまい」
Rain 「一人称は私、あたし・・・それ以外に取り敢えず後で復習してみて」
良心寺善   「(見つめて)胸は」
Rain 「どうせ私は貧乳よ。10秒グラビア出来ないんだからKaitterで」
良心寺善   「ハハ。ずっと間違えてたのか。俺は巨乳好き」
良心寺福弥津 「ワシもじゃ。母さんは貧乳だったけど、そこそこ、あや」

 ○良心寺・本堂

 美海の遺影が落ちる。

赤子OFF「親子揃ってキモっ」

タイトルバック『AppaRition GraveMarker』

 ○良心寺・リビング

 呼び鈴が鳴る。食べ終わる。

良心寺福弥津 「出てくれ善」

 布巾で机を拭いている。


 ○良心寺・玄関

良心寺善   「あいよーー。どちら様ですか」

 引き戸のガラスに影が見える。

来客     「・・・」
良心寺善   「水晶の営業なら結構です。ここわかるっしょ」
来客     「・・・」
良心寺善   「あん?」
Rain 「どうした?善」
良心寺善   「いや無言でさ」
来客     「貴方達、善君と、傘お化けのRainちゃん?」
良心寺善   「真逆、妖怪?」
Rain 「いやっ感じねえけど。かささのさっ」

 玄関を開ける。

良心寺善   「(Rainの金属バットを向け)誰もんだ?てめえ・・・」

 豊満な胸。

良心寺善   「おお!(指を折り)A、B、C・・・CかD!」
あやこ    「貴方が善君ね。お父さんにそっくり」
良心寺善   「じゃあ、お姉さんが」
あやこ    「キャバクラrenard(ルナール)のあやこです。良かったら善君も来てね」

 名刺を受け取る善。

良心寺福弥津 「あやちゅわん。ようこそ、良心寺へ。ボロだけど」
Rain 「(元に戻って)くそ〜負けた。ナイスプロモーション」
あやこ    「そんな事・・・古風的で良さそうよ。クラシックて感じ」
良心寺善   「親父呼んでたのかよ。鼻、鼻、伸ばすな。俺もだけど」
良心寺福弥津 「修行体験に呼んだ。仕方ない深夜0時まで仕事だったんだ。ささっ入ってくれ」
あやこ    「邪魔するで」
良心寺善   「邪魔するんやったら帰ってや」
あやこ    「面白いね。善君。是非、店に来て楽しませてね」
良心寺善   「はっ、はい(照れる)」
Rain 「父上、拳降ろしなさいって」
良心寺福弥津 「(拳を握り締め)ワシのあやを。二人ともリビングに行け。洗い物・・・」


 ○良心寺・リビング

良心寺福弥津OFF「本堂で修行を始める。先ず座禅をやろうかいの」
あやこOFF   「座禅ってなに?」
良心寺善    「通知が来てんな」
良心寺福弥津OFF「座禅てのはな、座布団に座って、息を吸い」
Rain 「kaitterか」
あやこOFF 「寺ヨガじゃないそれ」
良心寺善    「DMだ。なっ?」

『宣戦布告。良心寺善、妖怪ハンターよ。我は、妖だ。勝負しろ!
 採石場に来い!山の下の所だ。悪戯ではない。それとも、ビビったか?』

良心寺善   「はっ?妖怪が?どうやってkaitterやってんのよ。完璧悪戯。誰だ?」
Rain 「・・・!!行こう!採石場に。今すぐ」
良心寺善   「何だRain?お前の仕業か。持ってんのか?スマホ?」
Rain 「私じゃない・・・いいから充電器抜け!ちっちとしろ」
良心寺善   「何だRain!何か知ってんのか!なあって」
Rain 「いいから行くって」
良心寺善   「痛いって!手首捻んな。こけるぞRain」

 机の下に居る赤子。

赤子     「(ハイハイして出て来て)大変だ!きっと。父上に知らせないと」
良心寺善OFF 「おい!ちょ待てよ」
RainOFF 「アホ!こんな時にキムタクの真似すんなって。生まれて」
良心寺善OFF 「動画!松たか子との」

 玄関の閉まる音がする。

 ○採石場(朝)

 石の上に座り、スマホでゲームをしてる化け狸。足元を見るとスニーカーを履いている。
 狸が人間を次々と倒すアドベンチャーゲーム。


化け狸    「(口元を映す)来たな!良心寺善と裏切り者の唐傘」

 青空遠くに光が見える。

 ○上空

Rain 「お前、堺正章も見たのか動画で」
良心寺善    「えっ?風で聞こえ」

 作務衣の上にダウンを着用。

Rain 「堺正章の!妖の猿が出て来るのだ。香取慎吾の方か」
良心寺善    「何?それ」
Rain 「だって、私、筋斗雲に変身してるからさ」
良心寺善   「あっ、これか!鳥山明の漫画の宇宙人のキャラになりたくてお前に・・・
        おい!あれ」
Rain 「採石場に着いた。誰か居るぞ」

 ○採石場(朝)

 採石場に着地する筋斗雲から降りる良心寺善。

Rain 「(元に戻って)あれ?おま・・・」
良心寺善   「阪西大学の演劇部員の」

 第1話「ここがお前の墓標だ」回の部員3、''太っちょ,, が立っている。

良心寺善   「ええっと、お名前は?それに、悪戯ね、やめてもらえます?ドッキリを
        テーマにした撮影を?俺達を標的に?会ったことあるからって、やめ」
Rain 「離れろ!善!そいつ妖だ!!」
良心寺善   「はぁ?傘開いてねえじゃ」
Rain 「影にしっぽ、危ねえ善、避けろーー」
良心寺善   「えっ?」

 化け狸が、輪入道になって襲って来る。交わす、2人。

Rain 「輪入道になりやがった」
良心寺善   「っぶねー!!なんで?」
化け狸    「(部員3に戻り)チッ。善の体のみを地獄に送ってやろうとしたのだが」
Rain 「上手いこと化けやがって!ずっと騙してたな!大学で」
良心寺善   「Rainの言う通り。それに、俺だけってどう言う意味だ」
化け狸    「ククククク、なーんにも覚えて無いのか!良心寺善」
Rain 「くっ」
良心寺善   「覚えて?どう言う・・・」
良心寺美海(化け狸)  「善!」
神(化け狸) 「お前は、善と名付けられたにも関わらず、大層悪い事を」
坊主(化け狸) 「よう!俺は、お前、お前は俺で、俺は、俺も坊主・・・」
良心寺善   「貴様だったのか、俺に化けてたの。夢で」
Rain     「ゆ、夢?」
化け狸   「(部員3に戻り)生憎、お前の脳の中はコピーしたが、俺じゃねえぜ。
       ったくよ、肝心なところはバックアップ出来ねえか?あと」
良心寺善  「何言ってんだてめえ。なぁ、Rain」
Rain 「取り敢えず、善!タブレットだ!尻尾見たけど」
良心寺善  「ああ。俺は見てねえから」

 作務衣からタブレットを出す。カメラの卍型フォーカスが、狸の腹に合う。

化け狸   「それがなきゃ・・・ふっ未熟者!自撮りして見ろよ」
良心寺善  「自撮り?遊びじゃねえんだ。出た!靄が」

 靄が渦を巻き、部員3(化け狸)を包み込む。

Rain 「正体わかるけど、凄まじい妖気だ。砂利が浮いてる」
        

 震えるRain。靄が段々と消えて行き、姿が現れると共に、砂利が鎮まる。

良心寺善  「尻尾・・・」
化け狸   「そう。我は狸。久々だね良心寺善君。思い出せないかい?まだ」
良心寺善  「だから、何のことだ!」
化け狸   「そこの唐傘は知ってるだろ?」
良心寺善  「はっ?お前、さっきも言ったけど何か知ってんのか?」
Rain M 「・・・言えるものか。父上に救ってもらった。恩があるし」
化け狸   「言えぬか。裏切り者。だったら」
Rain 「善!」
良心寺善  「えっ?(見上げる)」


 ○良心寺・本堂

赤子    「父上!父上!失礼します」

 障子を開ける。


良心寺福弥津「なんじゃ、折角のあやちゃんとの」
あやこ   「・・・(座禅中)」
赤子    「大変です父上!善が、狸に会いに」
良心寺福弥津「なんじゃと!あやちゃん中止だ」

 あやこ目を開ける。

赤子    「父上!蔵にあるあれを」
良心寺福弥津「わかっておる(帯から鍵を出す)レックラゴー」

 本堂を出る。

あやこ   「・・・」
赤子    「・・・目が合ってるけど見えて?」
あやこ  「可愛い〜よちよちしたいけど、ホントはじじいだもんね」
赤子   「俺の事見えるのか。おなごも、妖、なんのだ!おなご」

 蔵から物音がする。大量の埃が舞う。

赤子   「父上!」
あやこ  「福ちゃん!」

 タンデム自転車を出す。

良心寺福弥津「ひっくり返ってな、色んなのが。でもあったぞチャリも」

 ハンドルに引っかかる丸い物が輝いてる。

 ○良心寺・全景

 山の方からドンと音が聞こえて来る。

良心寺福弥津OFF「行くぞ2人共!乗れ、乗るんだ」
あやこOFF 「スコーンと行くよね。スコーンと」
赤子OFF 「スコーン?福ちゃん?」


 ○採石場

 Rainと化け狸が、日本のボクサーとボックスヘアの黒人ボクサーになり対決している。

Rain 「シッシッシッ」

 左右拳を出す。素早く交わす化け狸。

良心寺善    「(跪き、唾液を垂らし、腹を右手で押さえ)
         ぐはっ、ゲホゲホゲホ、うっ、くっ」


              xxx

Rain 「善!」

 見上げる善。化け狸が空高く飛び、逆光で黒く見える。


良心寺善   「しまっ、まぶっ・・・」
Rain 「マウント!離れろ!善!また離れろーー」
化け狸    「オラッ、オラッ、オラオラオラ!!」

 ガードをする良心寺善。連打を浴びせる化け狸。

化け狸    「オラッ!ほほう、親父と違ってタフだな。オラオラオラオラッオッ」
良心寺善M 「親父?って、じゃぁ、あん時の傷って、此奴に狩られたのか」
化け狸    「とどめの一発だ!人間の良心寺善!!」
良心寺善   「にんげ・・・此奴、何意味不明な事を、っきから・・・ちくしょ」

 ドンと大きな音がする!!

良心寺善   「ってーーはひゃがーー」
化け狸    「鼻じゃ無くて腹だろうがーー」
Rain 「ぜーーん!ちっくしよーー。豚犬ぅーーかささのっさ」


               xxx

良心寺善  「ぐっ、心臓も痛え。肋骨折れてねえ!あんだけやられて?意識が、頭クラっと」

 炎が8本、躍る様なのが視界に入る。


良心寺善  「えっ?今なに?Rain、一瞬変身変えたか?」
化け狸   「オラッ、オラッ、オラよ!」
Rain 「シッ、シッ、シ、なんだって?何も」
化け狸   「ほう・・・」


○住宅街・路上

 タンデム自転車を漕ぐ。

良心寺福弥津 「ハァ、ハァ、ハァ」
あやこ    「福ちゃん、声合わそう!スタコラサッサ、スタコラ」
良心寺福弥津 「サッ、サッ、サーーは、福原愛ちゃんーー」
赤子     「父上!ふざけてる場合ですか!ファイトです!早よ行きま」
良心寺福弥津・あやこ 「重いんだよ!おめえ!!」
赤子     「あははははは、そうですだ!俺、沢山食べますけぇ」

 ○住宅街・全景

良心寺福弥津 「石になってんじゃねえぞ赤子よ」
あやこ    「死ねばいいのに」
赤子     「あらま、それ知ってる松ちゃん」
良心寺福弥津・あやこ「浜ちゃんだよーー」
赤子     「見たことあるぞ、つり、ば」
あやこ    「違う!下町」
赤子     「あっ、(ポンと手を叩き)阿部寛!」
良心寺福弥津 「し・・・違うわ!赤子、アウトーー」


 ○採石場

良心寺善   「何か、ゆらゆらって今」
Rain 「善!真逆、闇じゃなくて?」
良心寺善   「や、み?」
化け狸    「オラッ!!」
良心寺善   「はっ、Rain!!」

 バキバキ音がする。腹を殴られる。

Rain 「ーーーー!!」
化け狸    「ほほう、唐傘も口から・・・それ実は雨水じゃねえだろうな。ククククク」

 仰向けに倒れる。元に戻る。涙を流す。

Rain 「ってーー痛い、痛えーー、ほほ、ほへーー」
良心寺善   「ハァハァ、れれ、Rain」
化け狸    「ほへ?骨だ唐傘。おっ」

 よろめきながら立ち上がる良心寺善。心臓を押さえている。のたうち回るRain。

化け狸    「(元に戻り)タフだな。ククククク、潜在能力だなーー良心寺善!」
Rain 「ってーー、てーー」
良心寺善   「潜在能力?ぐっ、はっ(吐血)!マジわかんねえ。俺は何か、スーパーサイ」
化け狸    「バックアップ不可だったら・・・人間は、都合の良い動物だな。
自分にとって悪い事はかき消す・・・」

 鼓動が鳴る。 

Rain 「ってーーてーーじぇ、じぇん!」
良心寺善   「心臓がドクンってする。口から飛び出そうだ。ハァハァ、ぐっ、たた、
        たねきーー」
化け狸    「たねき?狸だ!カミカミだな。船木〜じゃねえんだ。知らねえか。おっ」

 顎を押さえつける良心寺善。

化け狸    「ほう。不良気取りが!離せよ、この細い手をな」

 手首を掴む化け狸。睨み合う2人。

Rain 「じぇん、にに、にへろ〜。おお、おひゃえだけでも。お前だけでも逃げろーー」


 狸の目に、善の脳みそが映る。回転。片方は、暗号化されたデータが出ている。
 『BackupError』と出る。

良心寺善   「目・・・」

 シャットダウンして狸の目が見える。

化け狸    「チッ、未熟者が」
良心寺善   「未熟者?いい加減に・・・」

 良心寺善の手首に力を入れる化け狸。


 ○交差点・歩道
 
 白い自転車が停まっている。

警察官   「ったく。駄目ですよ。タンデムは、16歳以上であれば良いですが、信号は守って」
良心寺福弥津「すいません。急いでたもので。赤信号左右見て渡れば怖くない!」
警察官   「(笛を吹き)何を言ってるんですか!あなた。父親でしょ!娘さんに何かあっ」
あやこ   「親子じゃなくて〜夫婦でーーす!(腕を組みピースする)あんたにゃ勿体無い!」
警察官   「ご夫婦でしたか!こりゃ失敬!(敬礼)旦那さん駄目ですからねもう」
あやこ   「17歳差でーーす」
良心寺福弥津「いやっそのっ、ふぅふぅ(息を吐き)照れるな〜。ホントはの」
警察官   「タンデム3人乗りですが、お子さんはいらっしゃら」
あやこ   「居ますよ。座ってます。いしがかたいこで」
警察官   「はっ?やだなぁ奥さんったらもう。誰も」
赤子M 「父上!早くしないと。どんどん善の、人としてのエネルギーが。それと比べて、
中身のエネルギーが、膨張してる」

 ○採石場

良心寺善  「んぐっ」

 不気味に笑を浮かべる化け狸

良心寺善 「ぐあっ、てて」

 手首を押さえしゃがみ込む。

Rain 「じぇん、大丈夫か。わわ、ひゃ、私は駄目だ。かひゃだ、なひ、涙も止まらない」
化け狸M 「チッ。まだ、体内に居るのかよ。不完全体!善を覚醒させると、あの方と約束した。
      このままだと」

 焦る化け狸がRainの方へ歩く。

良心寺善 「くそっ、どうしたら・・・てて、てめえ」
Rain 「ちょっと待って。タンマ!御立派なキ○玉で・・・ハハ」
化け狸  「裏切り者!犠牲になりやがれ!罰だよ」

○採石場・全景

Rain 「うわーー、うわ、うわっあああああーー」

 Rainの悲鳴が響き渡る。山から鴉も飛んで来る。

 ○採石場

 何度も足で踏み付ける化け狸。

化け狸  「足はまだ折れてなかったよな」
良心寺善 「手が痺れて動けねえ。めろ、やめ」
化け狸M 「そうだ。悲しみで人のエネルギーを減らせ。憎しみで」
化け狸  「オラッオラよ!飛び跳ねてるだけによ、足が強いな」
Rain 「うわっ、うわーー」
良心寺善 「めてくれ、やめてくれ、たた、頼む」

 鼓動が鳴る。

Rain 「うわっ、うわーー・・・善?」
良心寺善 「やめろって、つってんだよ」

 闇が肩から出てくる。ふらつき立ち上がる。

Rain 「馬鹿、善!善!聞こえるか!ぜ」
化け狸  「こっちを見ろ!良心寺善」

 化け狸の目が光り、レーザー光線が、善の頭に照射する。電気信号で脳内に入る。
 化け狸の目に、善の脳と『Non-Rem Sleep』と出る。倒れ込む音。
 

 ○善・夢の中・山間

             xxx

良心寺千木郎(13)「何してんだよ!善!それ倒したら」

 地蔵が倒れている。

良心寺善(9) 「だって、た、あれ居ない」

 場面が変わる。山間。


神       「(呪文)キイサアンフーサ、キイサアンフーサ!!妖、印!」

 五色、青・黄・赤・白・黒の印の字が出る。何か巨大な生物で、8本の炎から闇に。     
 正体不明。魂となり穴の開いた山へ、他の魂も無数あり一緒に封印、閉じる。

           
              xxx

 ○採石場

良心寺善    「ギャオオオオオオーー」
化け狸     「出て来い、我等、妖、No.1よーー」
Rain 「意識を取り戻せーーぜーーん!!」

 肩から闇が瞬く間に、炎となり善を包み込む。変化する。


 ○大通り

あやこ    「福ちゃんやばいよ」
良心寺福弥津 「早くこれを善に」
赤子     「おい、おなご、乗り物とか、これ(自転車)じゃなく」

 ずっと輝くハンドルに引っ掛けている丸い物。走り続ける。

街の人1    「なんだあれ、採石場の方が真っ赤だ」

 歩くのをやめ、車も止まり人が降りてくる。スマホをかざす。数人、数台が止まり、見ている。

街の人2 「山火事じゃねえ。オーロラ?」
街の人3 「ママ、ウルトラ・・・見たいだね。怪獣かな」
街の人4 「なんか、危ないから帰りましょう。行くよ」


あやこ    「ごめんね。これしか化けれないの」
赤子     「じゃぁ、2人とも頑張れ!」
あやこ・良心寺福弥津「お前もしっかり、もっともっと漕げ!!」
赤子      「漕いでるぞ!でも、足がペダルについて行かない。足短い離れるぞ」
あやこ・良心寺福弥津 「老害!!」
赤子      「なんじゃと?ごぎゃ、ごぎゃ」
あやこ・良心寺福弥津 「泣くなーー、又重い!」


 ○山間

  山の下を見る謎の男。木の上に立つ。サングラスが真っ赤に染まる。
  レンズに映り込むオーロラの様な物。鴉が騒めく。

謎の男      「出たな!マグマの妖怪。だが、ここからどうするよ化け狸!
          約束だ。失敗した先はーー」

 ○採石場

 揺らめく、生物。巨大化した8本の炎。胴体部分から燃え盛る。生きている。
 手足、顔、目も鼻、口もまだ無い。正体不明。イソギンチャクの様。

マグマ妖怪善   「ギャオーー、オオーン」
Rain 「あっ、ああ」
化け狸      「チッ。まだ第2形態かよ。だが、奴の反射波は凄え。辺り一面真っ赤だ」

 化け狸、突然両拳で腹を何度も叩く。衝撃波が出る

化け狸      「ぐおっ、ぐおおおおおおーー」
Rain       「此奴・・・」

 衝撃波により、段々と化け狸の大きさが変わる。

マグマ妖怪善  「オオ」
化け狸     「巨大化同士戦おうぜ」
マグマ妖怪善  「ギャオオオオーー」

 真中の炎が狸に襲い掛かる。化け狸の手が鉄板になる。両手で掴む。

化け狸     「オラよいっしょーー」

 マグマ妖怪善、ひっくり返らず踏ん張る。

化け狸     「チッ。来やがるか!」


 燃え上がる音がする。胴体部分が渦を巻く。8本の炎が、逆流するかの様にニョロニョロ
 膨らむ。マグマ妖怪善、8本から、炎を出し、真ん中に集まり、化け狸へ攻撃する。
 だが、炎は燻る事なく。燃え盛る。

化け狸     「おっと」

 上へ飛ぶ。真っ直ぐ反射波に当たり大穴が開くが、ずっしりと重く着地。

化け狸     「(振り向き)凄まじい威力だ。(前を向き)こっちも行くぞ!マグマ善」

 化け狸の手が元に戻り、右手で左腕を引っ張る。

マグマ妖怪善  「ガガ?」

 皮膚を剥がす化け狸。

Rain 「ベリベリ、自らの組織を武器に・・・」
化け狸     「ちぃっとばかし痛いけどな」

 剥がした皮膚が大きな四角い座布団の様になる。皮膚は再生。
 目に映す、マグマ妖怪善と『Lock-On』と出る。

化け狸     「いいかぁ!!マグマぁ!!これはな、標的した物を、最後まで
         追い掛けるぜ!!喰らえや」

 座布団がブーメランの様に飛ぶ。反射波に跳ね返る。キョロキョロする様の8本の炎。

マグマ妖怪善  「ガガ・・・」

 左端が叩き落とそうとするが失敗。


マグマ妖怪善  「ガガ」
        「ガガ」

 真中も右端も失敗。ブーメランが転回して来る。

マグマ妖怪善  「グガガガガガガーー」

 炎を出す。燃えるブーメラン。

化け狸     「無駄だーー焼き上がるだけだーー」

 
 薄ら焦げ目が付いたブーメラン。

マグマ妖怪善  「ギャアアアアアアーー」

 胴体が切り裂かれる。

Rain 「怒りを増福させるな!」


 もがくマグマ妖怪善。炎を撒き散らす。化け狸にも。
 ブーメランが前から一周し、バリア化し透き通る。


化け狸    「無駄だ!まだ、打ち破れんぞ。その形態ではな」


 暴れる。端と端の首が反射波にも打つかる。真中2匹がバリアを破壊しようとするが
 上手くいかない。

Rain 「やめろ・・・善!意識を取り戻せ」
化け狸    「ごちゃごちゃうるせーな唐傘。善!悔しいか?恨むだろう」
Rain 「くっ、狸の所為で妖気が、感じ取れねえけど、あれになったら・・・」
化け狸    「憎しみを膨らませろ。この俺に対してなーー」

 化け狸の目が善の脳味噌と眠る善を映す。

化け狸    「とどめだ。隠れた瞳で見ろ。今は全身、化けの皮」
マグマ妖怪善 「グガガガガガガーー」


 ○マグマ妖怪善・体内

 闇の中で良心寺善が眠っている。無数の魂が辺りを飛ぶ。善は意識の中で

良心寺善 「ここは何処だ?俺、どうしたんだ。Rainは?Rain!Rain!あの狸、
        何をしたんだ」


 闇の中で炎が着火。燻る。


 ○善・夢の中
                xxx

 山間、山道。音声無し。ひっくり返っている地蔵の上を
 山の方から押し寄せる炎。降り注ぐ岩や土砂。目の前で燃える、良心寺千木郎(13)。
 良心寺善(9)が泣いている。父、福弥津ら家族6人が慌てて駆けて来る。

 千木郎の前でパニックになる、母、良心寺岐依。地蔵を見て驚く、良心寺幸蔵、穂枝。
 良心寺曽福が「兄さん」と口パク。数珠と経本を持って
「キイサアンフーサ、キイサアンフーサ」と口パクで呪文を唱える福弥津。
 神八代舞理が「貴方」と口パク。
「キイサアンフーサ、キイサアンフーサ」と、口パクで神八代岐丸も唱える。
   
                 xxx

 ○戻って・マグマ妖怪善・体内

 同・眠っている善。意識の中。

 良心寺善「なんだよこれ、千木郎兄ちゃんが・・・うっ、考えたら頭が痛く・・・zzz」
 
 プツンと意識を完全に失う。着火した炎が大きくなり爆発して舞う火の粉。


 ○戻って・採石場

 火の粉が散っていく。徐々に見える体。

マグマ妖怪善   「グギャギャギャギャーー」
Rain 「チクショーー。このままではまた、町がーー」

 マグマ妖怪善の足が見える。太く鋭い爪。丸い胴体、細く大きな手の平、鋭い爪。
 ワニの様な体となっている。顔が見える手前。

化け狸      「いざお出ましだ。完全体。我、妖怪、妖一族No1、妖王・・・」
完全体・善    「グギャギャギャギャーー」
Rain 「くっ、10年振りの嫌な再開・・・」
化け狸      「何!?」

 輝く丸い物が反射波を突き破り入ってくる。輝度が増し、一面眩しくなる。
 草履の足が見える。
 
Rain 「あ、ああ・・・父上、助けに」
良心寺福弥津   「すまん。Rain。待たせたな」
あやこ      「私、先に中で戦うよ」

 タンデムから降り、飛んで行き、反射波の中へ入る。

Rain 「父上、あの人は」
良心寺福弥津   「あやちゃんも妖だ」
Rain 「うっそ?安心したら痛い痛い、またまた痛い!」
良心寺福弥津  「こりゃぁ、骨が折れて。傘のとは言え、妖専門の医者へ。
         おい、赤子!石で運べるか」
Rain 「赤子?誰か居るのですか父上」
赤子      「あてっ!」

 タンデムごと転ぶ。

赤子      「ハイハイしたら大丈夫だぞ!(石になり)よっこいしょ」
Rain 「わわっ体が浮いた」
良心寺福弥津  「頼むぞ赤子。車に気をつけるんだぞ」
赤子      「俺は、普通の人間からも見えないけど、Rainは危ないかな?」
Rain 「誰かと喋って?わからないけど、取り敢えず私を見ると
         皆んな驚いて、ブレーキ踏むと思います。行って来ます」
良心寺福弥津  「さて、あやちゃんも戦う」

 帯から数珠と経本を出す。手に掛け、経本を片手で持ち広げる。

 反射波の中。眩しく、胴体と手足しか見えない。完全体の善。

化け狸     「お前、ただの人間じゃねえな」
あやこ     「久しぶりだね。狸」
化け狸     「ほう。その尻尾は」


 9本の狐の尻尾が見える。あやこから靄が出る。

化け狸     「九尾お前もそっち側だったか」

 女狐が現る。

藻女あやこ   「やめてよねその言い方。元旦那の性と似てるのよ。
         旧姓の藻女(みくずめ)って呼んでよね」
化け狸     「そうか。そこの山から出て来た時、彼奴と。そんな事より、巨大な
         俺とやるのか。チビ女狐。」

藻女あやこ   「ええそうよ」
藻女あやこ   「後ろに居るのが何かわかってんのか。その輝き・・・チッ何を!!」
藻女あやこ   「動きを止めてるのよ。目を細めてみて!輪っかが首全部纏めて、
         引っかかってるでしょ!大きくなってね。あんたと一緒」
完全体・善   「ガガ・・・」
良心寺福弥津OFF 「キイサアンフーサ、キイサアンフーサ」
化け狸      「その声は、福弥津!」

 福弥津、呪文を続ける。

良心寺福弥津   「妖、動きを封ずる、印!」

 完全体・善の胴体前に五色の文字が現れる。その腹に焼印される。

化け狸      「そうか福弥津、明に行ったのか。その輪は緊箍児だな」
藻女あやこ    「みん、中国ね。ピンポーン正解。お猿さんと一緒」
良心寺福弥津   「先祖が行ったのであろう。あやちゃん、動きを封印してる間に」
化け狸      「だろうな。魂にさせて封印ではない。クククク。息子が居る、
          山へ封印するのが出来ぬか貴様ら」

 目と目で合図し合い頷く、福弥津とあやこ。

藻女あやこ     「てかさ、もしかして私とやるのが怖いの。女に負けたら、
           馬鹿にされるもんね。誰にって感じだけど」
化け狸       「なわけねえだろうが!ふざけんなよ!狐がリコーン。
           笑えるぜ。クークックック」

 腹を抱えて大笑いする。

藻女あやこ     「何ですって、確かにそうだけど・・・」
化け狸       「狐と狸の馬鹿し合いと行こうじゃねえか」
藻女あやこ     「望むところよ!この腹太鼓ーー!!でべそーー」
化け狸       「煩えよ!九尾と腰振って男を釣った、美人局」

 バリアを解きブーメランを投げる。

藻女あやこ     「やってないわよ!彼奴昔はいい男だったけど、子供居ないし、
           今は福ちゃんが良いもんね。喰らえ」

 九尾が、パイロンになる。あやこの目が、狸を映し、『Lock-On』と出る。

藻女あやこ     「あやこーんミサイル!」


 ブーメランを弾き、化け狸にあたる。ブーメラン消滅。炎と黒煙。次第に、はれる。

化け狸      「貴様、現世の物を」
藻女あやこ    「えっ?そう言えば、工事現場で。私の創造物じゃ無かったの」
化け狸      「このっ、泥棒狐。喰らえ」
 
 臍から、BB弾が数発出る。
  
藻女あやこ    「きゃっ」

 顔を背け爆発。黒煙がはれる。

藻女あやこ   「何すんの。あんたこそ、盗人!てか火薬玉。私はうどんか」 
化け狸     「そう言えば、この山にサバイバル場が。臍胡麻だ」
藻女あやこM 「早くしないと」
化け狸     「我慢出来ねぇ」
藻女あやこ   「やっ屁こいた」
完全体・善   「グガガ」
藻女あやこM 「やばい硫黄臭さで動きがまた」
良心寺福弥津 「キイサアン、神よ聞こえますか」

 ○山間・古代
 
神       「ああ聞こえた。時は違うが」
良心寺福弥津OFF「神頼みで申し訳ない。力を貸して」
神       「良かろう。呪文は時を超える。但し、これだけは。お主と
         死んだ岐丸は、焦ったのであろう。それに名で呼べ、子孫の福弥津」
良心寺福弥津OFF「すいません。良心寺牛頭(ごず)様」
良心寺牛頭   「行くぞ!善を救うのだ」

 お互い呪文を唱える。


 ○完全体・善の体内

 良心寺善。寝ている。魂が飛ぶ中耳元で声がする。

良心寺福弥津・牛頭 「善、善」

 放射線が具現化する。

良心寺福弥津    「この魂どもは」
良心寺牛頭     「後回しだ。行くぞ子孫」

 再び放射線。耳の中に入る。


 ○夢の中での闇の中

良心寺善     「ここは何処なんだ?昔みたいに親父に蔵に閉じ込められて?意識が、
          酸素薄いのか?朦朧と」

良心寺福弥津   「(具現化)善、助けに来たぞ」
良心寺善     「親父・・・(倒れる)」
良心寺牛頭    「(同)子孫、来やがったぞ」
良心寺福弥津   「オヤ」
良心寺幸蔵    「ったくもうちょっとなのにの」

 8人現れる。

 ○採石場

化け狸     「何をじっとしてやがる?インターバルなんぞ」
藻女あやこ   「尺できた!テヘッ!次回へ続く(ウィンクする)」

第5話了


 

























 


     









 



























  




 










 




  




























   

















  















 





















 











































   





















 

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