〇登場人物
〇森川京太郎
〇佐田真澄
〇森川渉
〇森川さくら
〇望月颯
〇桂川斗馬
〇タカコ
〇ツバサママ
〇森川京子
〇××高校・三年一組・中
渉と颯。
渉「今日学校の帰り、話があるんだけどいいかな?」
颯「話?いいけど、今じゃダメなのか?」
渉「今はちょっと…」
颯「分かった。じゃあ帰りな」
渉「うん…」
〇同・入口(時間経過・夕)
生徒達が下校してる中、颯を待っている渉。
渉の手が震えている。
颯「渉、待たせてごめん!」
渉「お、おぅ」
颯「どっか店行くか?」
渉「そだな」
〇喫茶店「Rin」・前(夕)
京太郎が店じまいをしている。
京太郎「あぁ、今日も一日終わったか。今日は真澄さん来なかったな…居たらうるさいけど、居
ないとちょっと物足らないな…」
空を見上げる京太郎。
奇麗な夕焼けの雲が広がっている。
京太郎「あぁ、寒っ。早く家に帰ろう」
〇カフェショップ・中(夕)
渉と颯。
颯「んで、話って何だ?」
渉「あぁ…」
颯「ちょ、待て。まさか俺が狙ってる女子、実は渉も気になってるとか?」
渉「そ、そんなんじゃないよ!話した事も無いのに」
颯「そっか…何か深刻そうな顔してるからそういうやつかと思った…じゃあ何だよ。俺とお前の
仲だろ?何でも話してみろよ」
渉「うん」
颯「マジでじれったいなぁ」
渉「好きなんだ」
颯「は?誰が?」
渉「俺が」
颯「誰を?」
渉「お、お前を…」
固まる颯。
颯を見る渉。
颯「は?渉が俺の事好き?」
頷く渉。
颯「なぁ、それって…」
渉「一人の男性として…恋愛として」
颯「マジかよ(溜息)」
渉「俺の気持ちに応えられないのは分かって
るけど、颯が彼女が出来そうなの知って、もし付き合う事になったら…颯が誰かに取られると
思ったら」
颯「止めろよ」
渉「…」
颯「何で…何でお前が…ずっと俺の事そういう目で見てたって事か?」
俯いている渉。
颯「気持ち悪りぃ」
顔を上げる渉。
颯「もう、学校でも話しかけて来ないでくれ」
立ち上がり店を出る颯。
渉「…」
〇マンション・森川家・さくらの部屋・中(夕)
さくらが漫画雑誌を見ている。
雑誌の隅に漫画アシスタント募集の項目を見ている。
京太郎の声「さくらー晩御飯出来たぞー」
さくら「はい!すぐ行きます!」
〇同・同・ダイニングキッチン(夜)
漫画雑誌を隠しながらさくらが来る。
京太郎「おぅ。寒いからさあ今日は寄せ鍋にしたよ」
さくらが座り、漫画雑誌を隣の椅子に置く。
さくら「あの(お父さん)」
京太郎「(遮って)渉がまだ帰ってこないんだよなあ。さくら、何も聞いてないか?」
さくら「いえ、何も」
京太郎「そうかぁ。遅くなる時はちゃんと連絡しろって言ってるのに」
スマホを手に取り渉に電話をする京太郎。
京太郎「出ないなあ…」
さくら「…」
〇道(夜)
ダラダラと真澄が歩いている。
真澄「あぁ、お腹空いたなあ。何で今日さいだ休みなんだよぉ。あぁ腹減ったー。でも自分で作
りたくない、めんどくさい…」
ふと、公園を見る真澄。
ベンチで肩を落としている渉を見かける真澄。
真澄「あら?」
〇公園・中(夜)
真澄が渉の所へ行く。
真澄「おーい少年。何してんだ?」
渉が顔を上げると泣いている。
真澄「ん?泣いてるのか?」
渉「お隣さん?」
真澄「あぁ、お隣のゲイのおじさんだ」
渉の隣に座る真澄。
急に真澄に抱き着き声を出して泣く渉。
真澄「おい、おいどうした…」
〇マンション・森川家・ダイニングキッチン(夜)
京太郎とさくら。
京太郎「渉遅いなあ…」
ドアが開く音。
さくら「あ、お兄ちゃん帰ってきました?」
京太郎「ったく、遅くなるなら連絡しろって言ってるのに…」
玄関へ行こうとする京太郎。
渉とは違うような足音が聞こえる。
京太郎「ん?渉?」
ドアを開け京子がいきなり現れ京太太郎の絶叫。
京子「何よ」
京太郎「何よじゃないよ。急に現れるんじゃないの」
京子「いいじゃないの。ねぇ、晩御飯食べたいんだけど」
京太郎「自分の家で食べなよ」
京子「今日、派遣先のスーパーのバイトしてきたんだけど、残業になってさあ。家で食べても一
人だし、めんどくさいし、だったら皆で食べた方が良いじゃない」
さくら「キョンさん、いらっしゃい」
京子「さくら、何か久しぶりね」
言いながらさくらの隣に座ろうとし、直ぐに漫画雑誌を自分と椅子の間に挟む。
京子「何?鍋なの?いいじゃん。皆で食べた方が鍋は美味しいのよ」
溜息をつきながら席に着く京太郎。
京子「あれ?渉は?まだ帰ってきてないの?」
京太郎「あっそうだ、渉だよ。急に姉貴が来たから、忘れそうになってた。まだ帰ってきてな
い。何の連絡もないんだよ」
京子「どこかで友達と話しこんだりしてるんじゃない?」
京太郎「だったら、連絡位するべきだろ、いつも言ってんのに。それにもうすぐ受験なんだよ。
友達とダラダラ話してる場合じゃないだろ」
京子「そうやって口うるさくいつも渉に言ってんじゃないの?そういうの鬱陶しいもんなのよ、
たまにはいいじゃない遅くなったって。渉も高校生だし、しかも男の子よ。ちょっと過干渉過
ぎない?」
京太郎「そうだけど…思い出すんだよ…凛の事を」
さくらがかすかに反応する。
京太郎「凛も、普通に買い物に出かけて、そこから急に連絡来なくなって、やっと電話がかかっ
て来たと思ったら…(亡くなった連絡って)」
京子「あぁ、分かった。ごめん。大丈夫だって。そのうち帰って来るから。まだ八時よ心配する
のにはまだ早い。早く鍋食べようよ」
立ち上がる京太郎。
京子「ちょっと」
京太郎「そこら辺探してくる。さくらと一緒に食べててくれ」
ダイニングキッチンを出て行く京太郎。
京子「ほんと。あの心配性何とかならないもんかね」
さくら「…」
京子「さくら。先に食べて渉帰って来るの待ってよ」
さくら「はい」
〇沼袋駅周辺(夜)
京太郎が走りながら、あちこち渉が居ないかを探している。
京太郎「(肩で息をしている)…」
〇ゲイバー「ブルースカイ」・中(夜)
カウンターで飲んでいる真澄の隣に渉。
タカコ、ツバサも居る。
タカコ「また若い男連れて来たわねぇって思ったら京さんの息子さんだったの」
ツバサ「事情知らなかったら、警察呼ぶとこだったわよ。はいこれサービス」
渉の前にコーラを渡すツバサ。
渉「ありがとうございます」
真澄「二人ともうるさいんだよ。渉ビビってるだろ」
タカコ「あーら、私達でビビるようじゃこの二丁目歩く事なんて出来ないわよ」
真澄「(渉に)聞き流しといていいから」
渉「…」
真澄「それでさ、何でノンケって分かってたのに告白したんだ?」
渉「それは…彼に彼女が出来そうだったのを見て、取られたくないって思ったから」
笑う真澄。
真澄「気持ち押さえられなかったのか…まぁ分からなくもないな。歳も若いし衝動に
駆られたんだろうな」
渉「どうせこんな結末になるの分かってたのに…もう学校でも合わせる顔無いし…死にたいで
す」
真澄「死にたいか…じゃあ今すぐ死んでみろ」
タカコ「ちょっと!」
渉「え…?」
真澄「人間、死にたい時ってわざわざ口に出さなくても死んでるよ。え?って考えてる瞬間があ
るって事はまだ生きたいって事だ。まっ俺の個人的意見だけどな」
渉「…」
真澄「たった一人フラれた位でそんな事言うなよ。俺達なんてどうすんだよって話だよ。もう死
んでるよな」
ツバサ「だね」
タカコ「跡形もなくなってるね」
真澄「辛い事があったらそこから逃げてもいいし、悲しい事があったら泣いてもいい。俺も実は
隣に引っ越して来たのは逃げてきたんだ」
渉「え?」
真澄「出版社の人に俺がゲイだってバレてね。お偉いさんが偏見持ってるやつで、そりゃもう聞
くに堪えない位酷い事言われて流石の俺もちょっと心が折れた。そいつが同じマンションに住
んでてさ、顔合わせるのしんどいから逃げてきた。小説書く事も諦める覚悟でね。逃げた先が
渉の家の隣だったんだよ。うるさいおっさんが居るけどさ(笑う)まぁ悪くはないって思って
る。渉も逃げた先にもしかしたら幸せな事があるかもしれない。逃げてもいいしお前には戻っ
てこられる家もちゃんとあるから。だから、もうちょっとだけ頑張れ俺も諦めない」
渉「真澄さん…」
真澄「コーラ飲んで、家に帰るか。お父さん、心配してるぞ」
渉「はい」
〇マンション・森川家・ダイニングキッチン(夜)
浮かない顔をしている京太郎。
時計は十時を回っている。
さくらや京子も心配している。
京子「流石にこの時間になっても連絡無いとちょっと心配ね…」
京太郎「もう一度、近くを探してくるよ」
インターホンの音。
京太郎「ん?渉か?」
慌てて玄関へ行く京太郎に、京子とさくらも続く。
〇同・玄関・中(夜)
京太郎がドアを開けると、渉と真澄が立っている。
京太郎「渉…」
中に入る渉と真澄。
京太郎が真澄を殴ろうと手を上げる。
真澄「ちょっと。渉を殴ったら、俺が京ちゃん殴るからな」
京子「京太郎。私もよ。殴る前にする事があるでしょ」
ゆっくりと手を下ろす京太郎。
渉「お父さん…」
京太郎が渉を抱きしめる。
京太郎「遅くなる時は(段々と涙声)ちゃんと連絡しなきゃダメだろ」
渉「(泣きながら)ごめんなさい」
〇同・同・リビング(夜)
京太郎、渉、さくら、京子、真澄がテーブルを囲んでいる。
京太郎「真澄さんも、一緒に居るなら連絡してくれたらよかったじゃないですか}
真澄「それは、俺が連絡させなかったんだ。連絡したら京ちゃん一人でまた騒ぎ出すだろ」
京太郎「む…それで、二人で何してたんだ?」
真澄「渉の人生相談に乗ってたんだよ」
京太郎「人生相談?」
渉の肩を組む真澄。
真澄「渉はな…俺と同じなんだってよ」
京太郎「同じ?何が?」
真澄「渉もゲイなの」
絶句する京太郎。
さくら「お兄ちゃん」
京子「えーっ!そうなの?」
真澄「それで、フラれるの分かってるのに同級生に告白して、案の定フラれて公園で泣いてたの
を俺が見つけたの。それで人生相談ついでに渉を二丁目に連れて行ってたんだ」
京太郎「えぇ…」
京子「渉、二丁目デビューしたの?いいなぁ。私も行ってみたいのに。渉今度一緒に行こうよ」
京太郎「ちょっと!姉貴は黙っててくんないかな(渉に)本当なのか?その、お前がゲイだって
事は」
頷く渉。
京太郎「そうか…」
真澄「まぁ、急にこんな事言われたら、確かに言葉無くなっちゃう京ちゃんの気持ちはわかる。
でも、渉はずっと一人悩んでたんだよ。カミングアウトして受け入れてもらわなったらとか。
もしかして家族の縁を切られるんじゃないかとか…」
京太郎「…」
真澄「京ちゃん、渉の事受け入れてやってくんないかな。時間かかるかもしれないけど、ゲイだ
ろうが何だろうが京ちゃんの大事な息子には変わりないんだからさ」
俯いたままの渉を見ている京太郎。
京太郎「ま、まぁ…」
真澄「よし、今日はこれで解散だな」
京太郎「…」
渉「お父さん。今日は心配かけて本当にごめんなさい。キョンさんもさくらも心配かけてごめん
なさい」
さくら「私は、大丈夫です」
京子「何言ってんのよ。謝らなくてもいいの。渉は何も悪い事はしてないんだから」
真澄「じゃ、俺は帰るから」
京子「真澄さん、本当にありがとうね(京太郎に)ほら、アンタもちゃんと礼を言いなさいよ」
京太郎「どうもありがとうございました」
真澄「それじゃ」
リビングを出て行く真澄。
〇同・同・京太郎の部屋・中(夜)
寝巻に着替えた京太郎が来る。
溜息を付き、ベッドの中に入る京太郎。
京太郎「…」
〇同・佐田家・真澄の部屋・中(夜)
ベッドで横になっている真澄。
真澄「渉…大丈夫だからな。京ちゃん分かってくれるよ…」
スマホを手に取り斗馬の所に電話する真澄。
真澄「あ、もしもし。俺だよ俺。は?オレオレ詐欺じゃねぇよ。そんなふざけた事言って良いの
か?折角新作書こうかなって気持ちになったのに。もう書いてやんないからな」
電話を切る真澄。
真澄「何がオレオレ詐欺だよ。詐欺じゃねぇよ。書くんだよ」
ベッドに突っ伏す真澄。
真澄「オレオレ詐欺って…」
オレオレ詐欺がジワジワ来て肩が震える真澄。
〇同・同・ダイニングキッチン(朝)
渉が朝食の準備が終わる所に寝起きの京太郎が来る。
渉「お父さん。おはよう」
京太郎「おはよう」
さくらが来る。
さくら「おはようございます」
渉「どしたの?早く食べなよ」
京太郎「あ、あぁ」
席に着き朝食をとる京太郎とさくら。。
さくら「お兄ちゃん、卵焼きの腕上げましたね」
渉「まだ、さくらみたいに上手く出来ないけどなあ」
渉の顔を見る京太郎。
渉「ん?」
京太郎「いや…」
何だか切なくなってくる京太郎。
京太郎「(渉、あのな)」
渉「(遮って)俺ちょっと今日早く行くから。じゃあ行ってきます」
京太郎「お、おぅ。行ってらっしゃい」
さくら「私も行ってきます」
京太郎「行ってきますって。さくら、あんまり食べてないじゃないか」
さくら「食べました」
京太郎「はぁ?」
さくら「食べました。行ってきます」
京太郎「おい、さくら」
さくらの皿を見ると半分残っている。
京太郎「食べてないじゃん…」
〇道(朝)
登校中の渉にさくらが近づく。
さくら「お兄ちゃん」
渉「あぁ、さくら…」
さくら「お兄ちゃん大丈夫ですか?」
渉「大丈夫だよ」
さくら「私はお兄ちゃんがゲイであっても、何も変わりはしないですからね。お兄ちゃんはお兄
ちゃんですから」
渉「さくら、ありがとう…」
さくら「私、お兄ちゃんの影響を受け、お父さんに今度ある話をしたいと思います!」
渉「ある話?何それ?」
さくら「それは…お兄ちゃんにもまだ、秘密です」
渉「え?」
さくら「じゃあ私は先に行きます」
走っていくさくらを見て苦笑する渉。
その先に颯が居るのが見える。
渉「…」
〇××高校・三年一組・中(朝)
渉が来る。
颯が他の生徒達と話している。
一瞬颯と渉の目が合うが颯の方が反らしてしまう。
席に着く渉。
渉「…」
〇喫茶店「Rin」・中
京太郎が開店準備をしている。
札を開店中にしようとドアを開けると真澄が立っている。
京太郎「ヒィィィッ」
真澄「開くのを待ってました」
京太郎「そ、そうですか」
真澄の後ろから斗馬が顔を出して京太郎は再度驚く。
斗馬「こんにちは」
真澄「入っていいよね」
京太郎「どうぞ」
斗馬「あの、京子さんは(居ますか?)」
京太郎「(遮って)居ません」
〇同・中
席に着いている真澄と斗馬。
京太郎がカウンター中でコーヒーを作っている。
真澄「渉、朝どうだった?」
京太郎「え…。あっ普通でしたけど」
真澄「そっか。俺が渉に京ちゃんが、もし変な事言ってきたり、変な態度取ったら、すぐ連絡し
ろよと言っといたけど、渉から今の所連絡無いし大丈夫だとは思ったけど」
京太郎「何ですかそれ。しませんよそういう事は…ただ正直言うとちょっと複雑ではあります」
真澄「まぁ、それが普通だよな。でも昨日も言ったけど、時間かかってもいいから受け止めてあ
げてくれよ。俺が京ちゃんだったら胸張って自慢の息子って紹介するけどな」
京太郎「そうですね」
真澄「渉はいい奴だよ」
京太郎「それは、分かってますよ」
コーヒーを持って真澄と斗馬の前に置く京太郎。
真澄「ありがとう」
斗馬「頂きます」
京太郎「ってかちょっと聞きたいんですけど、何でこの人(斗馬)が居るんですか?しかも渉の
事はあんまり周りに話してほしくないのに」
真澄「こいつなら、大丈夫だよ」
斗馬「はい。本当にオフレコにしたい話は絶対に口外しません。墓場まで持って行きます」
首を傾げ怪しんでいる京太郎。
真澄「こいつ今日連れてきたのは、俺がまた新作を書くって決めたから」
京太郎「(ちょっと嬉しそうに)え?新作書くんですか?」
真澄「まぁね。え?何か喜んでる?」
京太郎「(慌てる)いや、そんな事ない…いや、そんな事あるか。いいじゃないですか。また新し
く書き始める事出来るなんて」
今度は真澄が首を傾げる。
斗馬「昨日いきなり夜電話がかかってきてビックリしましたよ。今日は五十歳のお姉さんとデー
トだったのに、真澄さんが書くって言うから、それを中止してこっちに来たんですから詐欺と
か止めて下さいよ」
真澄「詐欺じゃねぇって昨日も言っただろ。それで取り合えずこれが企画書」
店に客が入って来る。
京太郎「いらっしゃいませ。じゃあごゆっくりと」
斗馬「へぇ、家族の物語ですかあ。真澄さん初めてのジャンルじゃないですか?」
真澄「まぁ、良いサンプルが隣に居るからなあ」
客に注文を聞いている京太郎を見ている真澄。
斗馬も京太郎を見て
斗馬「なるほどー」
真澄「これ、当ててやろうじゃねぇか」
斗馬「今回は絶対連載まで漕ぎ着けますからね!期待してますよ!」
〇マンション・森川家・ダイニングキッチン(夕)
京太郎が晩御飯を作っている。
隣でさくらが手伝っている。
京太郎「なぁ、さくら」
さくら「はい」
京太郎「渉の事だけど、お前は」
さくら「私はお兄ちゃんがどんな形であれ、何も変わりません。お兄ちゃんはお兄ちゃんです」
京太郎「そうか…そうだよな…」
さくら「お兄ちゃんもきっとお父さんからその言葉を待ってると思います」
京太郎「うん」
渉が帰って来る。
渉「ただいまー」
京太郎「お、おかえり」
渉「おなかすいたー」
さくら「今日はお兄ちゃんの大好きな牛丼です」
渉「やったー。生卵と紅ショウガもお願いしまーす」
京太郎「渉」
渉「ん?」
京太郎「飯の前にちょっと」
渉「うん」
京太郎「渉…ごめん」
渉「え?何でお父さんが謝るの?」
京太郎「いや、渉が折角カミングアウトしたって言うのに、父さんちゃんと答える事が出来なく
て」
渉「あぁ…」
京太郎「隣の真澄さんにも言われたけど、お前がどうであれ、俺の大事な…大事な息子には変わ
りない…」
渉「…」
京太郎「渉、悪かった」
渉を抱きしめる京太郎。
渉、少し泣きそうになる。
渉「お父さんの、その気持ちだけで充分だよ。ありがとう」
京太郎「あぁ」
京太郎と渉を見て感動しているさくら。
京太郎「よし、じゃあ飯食うか」
渉「うん」
さくら「あ、あの…」
京太郎「ん?さくら、どうした?」
さくら「あのですね…私ちょっとお父さんに話したい事があって」
渉「あ、そう言えば朝、なんかそんな事言ってたな」
さくら「はい」
京太郎「話したい事?何だ?」
さくら「はい…」
京太郎「何だよ。もったいぶらずに、何でもお父さんに話してみなさい」
さくら「はい。では話します」
京太郎「うん」
さくら「実は、私…春になって中学卒業した
ら、進学せずにコミック作家のアシスタントをする仕事に就きたいと思ってます!!!」
渉「え?マジで?」
さくら「はい!マジです!」
京太郎「え?高校へ行かないのか?マジで?」
さくら「マジです!!!」
続。
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