○高校・教室
男子A「えー俺全然奢るし! いこーよ!」
優 菜「えー、んー」
男子Aに口説かれていた女子高生の滝本優菜(17)、隣にいたポニーテールの二条葵(17)の腕にしがみつく。
男子A「あ、じゃあ二条さんも。二人の分奢るよ」
無関係そうな顔で聞いていた葵、にこっと笑い
葵 「結構です」
× × ×
葵 「ああいうのって、よくわかんない」
男子Aが去った後、葵と優菜で話している。
葵 「あれで来てもらって嬉しい? てか、下心丸見えなのにそれに乗っかって奢られるのもどうなんっていうか」
優 菜「(楽しそうに葵を見ながら)葵は真面目だねえ。え、てか今日寄ってこうよ。新作飲みたい――」
男子の声「あ、二条さーん」
教室の入り口で先輩男子の佐藤が手を振っている。
葵 「(優菜に)今日、用事あるから。(佐藤に近づきながら)お疲れ様ですー」
優菜、葵を面白くなさそうに見る。
○イベント会場(夜)
女性アイドルグループがCDを手売りしている。
列に並ぶ葵。周囲は男性ファンが多く、制服姿の葵をチラチラ見る人も。
自分の番がきた葵、緊張しながらメンバーと対面する。
○道(夜)
買ったCDを嬉しそうに眺めながら歩く葵。
しばらくして、何か察したように立ち止まり、ちらっと後ろを見る。ダルダルよれよれの洋服を着た男が立ち止まってスマホを見ている。
再び歩き始める葵。だんだん速足になるが、後ろのダルよれ男もぴったり跡をつけてくる。
不安そうに振り向きつつ歩く葵、角を曲がろうとして反対から来た男性Xとぶつかりそうになる。
葵 「あっ、すいませ……」
その人とすれ違い、先を急ごうとする葵。
男性X「……二条さん?」
葵が驚いて振り向くと、声を掛けてきた男性Ⅹは伸びっぱなしのぼさぼさ頭に無精ひげ、小汚いジャージ姿。戸惑う葵。
そこへダルよれ男が角から現れる。びくっと固まる葵。
それを見た男性X、ダルよれ男に冷ややかな目を向ける。ダルよれ男は別方向へと去っていく。
ほっとする葵。だがじっと見てくる男性Xの視線に気づく。
男性X「久しぶりだね」
葵 「(警戒して)え、っと、あの……どなた、ですか」
男性X「あ。(自分の恰好を見て笑って)覚えてる? 塾でアイス配ってた人」
ぽかんと男性Ⅹを見る葵。やがて何かに気づき
葵 「あっ、えっ!? 光浦先生!?」
男性X、光浦元(32)が笑う。
冒頭終
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