〇登場人物
・櫻庭宗介
・沢城千秋
・星七緒
・古川紘
・長谷川なつき
・聖川琉華
〇シェアハウス・廊下(夜)
二階から寝起きのなつきが下りてくる
なつき「あー寝すぎちゃったかも…お腹すいちゃった」
リビングのドアを開けるなつき。
なつき「!」
ドアをゆっくり閉めるなつき。
なつき「え?あの二人何やってんの?」
千秋が帰ってくる。
千秋「ただいまー。あっなっちゃん居たんだ」
なつき「う、うん」
千秋「晩御飯の買い物してきたから食べようよ」
なつき「あっ、いい」
千秋「え?」
なつき「ちょっと、キリのいい所まで原稿済ませときたいから」
慌てて二階に上がっていくなつき。
千秋「変なの」
リビングのドアを開ける千秋。
〇同・リビング(夜)
千秋が入ってくる。
千秋「ただいま」
宗介が琉華にソファに押し倒されるようになっている。
千秋「え?何やってるの?」
琉華「なぁ、千秋。宗介って…ゲイじゃないんだな」
千秋「あぁ…その辺はまだ詳しく…」
宗介「ちょっと、どういう事なんだよ」
琉華「こっちが聞きてぇよ。てっきり宗介もゲイなのかと思ったし」
宗介「宗介も…って…え?ちょっと、ここのシェアハウスって」
琉華「あぁ、皆ゲイだぞ」
宗介「皆…おい、どういう事なんだよ」
千秋「いや…」
宗介「俺、そんなの聞いてないぞ」
千秋「まぁ、その辺は追々話そうと思ってたんだよ」
宗介「お前らゲイだったのかよ…」
引く宗介。
〇道(夜)
講習会帰りの七緒。
七緒「お腹が空きました…お腹が…」
立ち止まる七緒。
七緒「なんか嫌な予感がする…」
空を見上げる七緒。
七緒「今家に帰るのはまずい…」
来た道を引き返す七緒。
七緒「今は帰らない方がいい…これだったらまだ新宿で占いしてた方が
良かった」
〇シェアハウス・二階・なつきの部屋・中(夜)
部屋の隅でスマホで紘と話しているなつき。
なつき「そうなの!いきなりリビングで宗ちゃんと琉華が。来て早々
こんな展開有りなの?」
紘の声「えぇ!もぅそんな事になってんの?見たかったなあ(笑
う)」
なつき「もぅ紘、笑い事じゃないんだってば!(と、言いつつなつき
も笑う)」
紘の声「なつきも笑ってんじゃん」
なつき「紘が笑うからでしょ!あっねぇいつ帰ってくるの?」
紘の声「明日には戻るけど、なんで?」
なつき「うん…」
紘の声「どした?」
なつき「何でもない。明日待ってるね」
紘の声「おぅ」
紘の背後から若い男の声がする。
紘の声「俺呼ばれたから、じゃあな」
電話を切る紘。
溜息を付き、スマホを握ったままベッドにダイブするなつき。
〇同・一階・リビング(夜)
宗介、千秋、琉華。
琉華「何だよ。ゲイじゃわりぃのかよ」
宗介「いや…」
琉華「そういう反応だったじゃねぇかよ」
宗介を睨みつける琉華。
琉華「千秋。何でこんなやつ拾って来たんだよ」
千秋「いやぁ、その…」
琉華「千秋、もしかしてこいつの事好きなのか?」
千秋「ちょっと、何言ってるんだよ」
宗介「え…」
千秋「宗ちゃん、違うよ。あの時、うなだれてた宗ちゃんを見てたら
可哀想になって、つい…」
宗介「可哀想?」
千秋「あ…」
宗介「俺も、ゲイなんかに同情されるようじゃおしまいだな」
琉華「あ?今何て言った?」
宗介「は?」
琉華「ゲイなんかって何だよ」
宗介「ゲイはゲイだろうがよ!しかも俺の事そんな目で見てたのかと
思うと、鳥肌が立つよ」
千秋「…」
宗介「良い人そうな顔して、何考えてたんだよ。気持ちわりぃ」
琉華「てめぇ、いい加減にしろよ」
宗介の胸倉を掴む琉華。
千秋「ちょっと喧嘩は止めようよ」
宗介「何だよ!」
琉華「気持ちわりぃなら出てけよ」
宗介「あぁ。言われなくてもそうするよ!誰がこんなとこに」
琉華を振り払いリビングを出ていく宗介。
ムカついて舌打ちをしソファーに座る琉華。
千秋「ちょっと、琉華。謝ってきてよ宗ちゃんに」
琉華「なんで俺が謝んなきゃいけねぇんだよ」
千秋「だって、このままだと宗ちゃん出て行っちゃうだろ」
琉華「出て行きたい奴を止める事なんかねぇんだよ…千秋、やっぱ好
きなのか?あいつの事…」
千秋「…」
琉華「あの男の事忘れたいからって、宗介みたいな男」
千秋「だから、違うって!!!」
琉華「なぁ、あいつは俺達の事軽蔑してるんだぞ。見下してるんだぞ
そんな奴とわざわざ一緒に住ませる事なんかねぇだろ」
宗介を止めに行く千秋。
琉華「(溜息)何で、寄りによって宗介みたいな奴を…」
〇同・二階・宗介の部屋・中(夜)
宗介が荷物を、鞄の中にしまい込んでいる。
千秋が来る。
千秋「ちょっと、本当に出ていくの?」
宗介「あぁ…」
騒ぎが気になってなつきが来る。
なつき「あれ、宗ちゃん。どうしたの?」
宗介「出ていくんだよ」
なつき「出ていく?何で?」
宗介「何ででも」
なつき「だって、さっき琉華といい感じに」
千秋「え?」
宗介「はぁ?何でそうなるんだよ」
千秋「琉華も、悪気があって言ったんじゃないから、取り合えず落ち
着こうよ」
宗介「うるせぇ。悪気無くてあんな言い方があるかよ」
なつき「折角、ここで仲良く住むって決めたのに」
宗介「何が、仲良くだよ。俺はゲイと仲良くなんてする気サラサラね
えからな!」
なつき「え…」
千秋がなつきにまぁまぁと手で制する
荷物を纏め終える宗介。
宗介「じゃあ、世話になったな」
千秋「だからちょっと待って」
両手を広げて宗介を行かせないようにする千秋。
宗介「どけよ」
千秋「嫌だ」
宗介「どけって!」
琉華の声「千秋ー!俺仕事に行ってくるからな。さっさとあいつ追い
出しとけよ!」
宗介「言われなくても出ていくわ!」
階段を下りていく宗介。
千秋「ちょっと宗ちゃん」
宗介を追いかけていく千秋となつき。
〇同・玄関・中(夜)
宗介が靴を履いている。
二階から下りてくる千秋となつき。
立ち上がり、千秋となつきの方を向く宗介。
宗介「たった一日だったけどお世話になりました」
頭を下げる宗介。
千秋「宗ちゃん…」
宗介「じゃ」
ドアを開け、シェアハウスを出ていく宗介。
千秋「…」
なつき「ちーちゃん、いいの?」
千秋「良くはないけどさ、無理やり引き留める訳にもいかないだろ…」
なつき「でも、家も無くて仕事も決まってないんでしょ?」
千秋「うーん…」
〇道(夜)
荷物を持って歩いている宗介。
宗介「重てぇなぁ…」
ポケットから財布を出し所持金を確認する宗介。
宗介「ネカフェにでも行くか」
宗介の後姿。
〇新宿・街並み(夜)
宗介がコンビニで買った弁当の袋を下げ歩いている。
宗介「何で、俺だけこんな惨めな…」
ネットカフェを見つける宗介。
宗介「あそこでいいか…」
ネットカフェに入っていく宗介を七緒が見かける。
七緒「あ…」
〇シェアハウス・千秋の部屋・中(夜)
寝付けず、ベッドで何度も寝返りを打っている千秋。
起き上がると同時に、スマホが鳴り慌てて電話に出る千秋。
千秋「もしもし!七ちゃん?」
〇ネットカフェ・個室・中(夜)
寝ようとしている宗介だが、部屋が狭くて窮屈になり、身動
きが取れない。
宗介「ったく、これじゃ全然寝れねぇじゃんかよ…」
上は筒抜けで光が当たり、隣から鼾が聞こえてくる。
宗介「イビキかいてる…よくこんな状態で寝れるよなあ…あぁ、も
うイライラするな!」
× × ×(時間経過)
いつの間にか眠っている宗介。
宗介の個室のドアがゆっくりと開き何者かが入ってくる。
目を覚ます宗介。
宗介「イテッ…首…寝違えた」
首が曲がったまま体を起こす宗介。
背後に人気を感じ体が固まる宗介。
宗介M「嘘…後ろに誰かいる…」
怖くて振り向けない宗介。
宗介M「どうしよ…泥棒か…」
目を閉じ思い切り振り返り目を開く宗介。
宗介「!」
七緒が、しゃがんで宗介を見ている。
宗介「うわぁぁぁ!(首を押さえ)イッてぇ!」
客の声「誰だよ!うるせーぞ!」
宗介「すみません…ってか何でここに居るの?」
七緒「その疑問、そのままそっくりお返しします」
宗介「う…」
七緒「だから、あのシェアハウスから出る事はお勧めしないとあんなに言ったのに…」
宗介「…」
七緒「行きますよ」
宗介「行きます?どこに?」
個室を出る七緒。
宗介「ちょ、ちょっと待てよ。行くってどこにだよ」
宗介を置いて、歩いていく七緒。
七緒M「あぁ、起きてくれてよかった…もう少しで襲う所でした…」
続。
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