とある、恋のカタチのおはなし ドラマ

内気な高校生のハルは学校で人気者の自由(みゆ)に憧れを持っていた。 高校三年生、最後のクラス替えで二人は一緒のクラスになり それからお互いの距離が段々と近付いて行く。
あゆむ。 36 0 0 09/08
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第一稿

「とある、恋のカタチのおはなし」

キャラクタープロフィール

楠木ハル(18)3月3日生まれ
高校三年生。ゲイで受け。
内気な性格で、不器用で友達が殆どいない。
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「とある、恋のカタチのおはなし」

キャラクタープロフィール

楠木ハル(18)3月3日生まれ
高校三年生。ゲイで受け。
内気な性格で、不器用で友達が殆どいない。
校内で上辺だけの付き合いはしている。
高校入学の時に見かけた久賀自由を気になっていたが、クラスも違い内気な性格が災いして話しかける事ができなかった。
最後の三年生でやっと、同じクラスになる。
母と二人暮らし。家庭の事情を考えて進学するか就職するか悩んでいる。

久賀自由(18)8月21日生まれ
高校三年生。ゲイで攻め。
明るく活発で名前の通り自由に生きることがモットー。 
バスケ部所属。自らカミングアウトはしないが、聞かれたらゲイだと答えるようにしている。自分とは性格が正反対のハルの事が気になり積極的にアプローチをする。
将来は海外でバスケのチームに入ってプレイするのが夢。自由も母と二人暮らし。

楠木由子(42)10月9日生まれ
ハルの母親。夫とは死別。
フルで弁当屋のパートと週末スナックで働いている。なかなかハルと過ごす時間はないものの優しくハルを見守っている。
ハルがゲイだと感づいてはいるがあえて自分の口からは聞かないようにしている。

久賀聡美(40)4月25日生まれ
自由の母。夫とは離婚。天真爛漫で明るい性格
自由がゲイだという事は知っていて、早く恋人を紹介しなさいと自由に言っている。

原口治(44)ハルと自由のクラスの担任

砂原飛鳥(18)6月30日生まれ
自由の幼馴染。自由がゲイだという事も知っていて相談相手でもある。
どこか飄々としていている。
自由とハルが上手く行くように願っている。

尾形あかね(18)9月2日生まれ
自由のバスケ部マネージャー。少々口は悪いが根は悪くない。自由の事が好き。ハルが自由を好きな事に気付き複雑な気持ちになるがのちに二人を応援する。


















※とある、恋のカタチのおはなし。








〇楠木家・ハルの部屋・中(朝)
   ベッドで眠っている楠木ハル(18)
   携帯のアラームが鳴っている。
ハル「…」
   目を覚まし起き上がるハル。

〇同・キッチン(朝)
   着替えを済ませたハルが来る。
   テーブルに母の楠木由子(42)が作ったハルの弁当と置手紙がある。
   置手紙を手に取るハル。
由子の声「ハル。おはよう。今日弁当屋、早番なので先に出ます。お弁当ちゃんと持っていくよ
うに。今日から新学期頑張ってね 」
ハル「今日から新学期だった」

〇道(朝)
   登校中のハル。
ハルN「今日から高校三年生。最後の高校生活…」
   憂鬱な表情のハル。
ハルN「クラスの皆となじめないまま高校二年が終わって、またクラス替えで人が変わる。憂鬱だ…」

〇××高校・廊下(朝)
   生徒達がクラス替えの名簿を見て騒いでいる。
   憂鬱なハルが来る。
   群がっている生徒達の後ろから自分の名前を探すハル。
   ハルの肩と久賀自由(18)がぶつかる
ハル「イタッ」
   自由はハルに気付かず、親友の砂原飛鳥(18)とクラス名簿を見ている。
自由「あー、俺一組だ。飛鳥は二組か。クラス離れたなぁ」
飛鳥「まぁ隣のクラスだけどな。てか、二年一緒だったし、もっと遡れば俺とみゅうは小学校の      
 時からの付き合いだからなぁ」
自由「そうだけどさぁ」
   ムッとしているハルに気付く自由。
自由「あっ…」
   ぶつかった相手が自由だと分かり、ハッとするハル。
自由「もしかして、ぶつかった?」
ハル「あっ、あぁ…」
自由「ごめん。何組になったか、気になっちゃって走ってきたから、悪い」
ハル「だ、大丈夫です…」
自由「じゃあ(飛鳥に)行こうぜ」
飛鳥「おぅ」
   クラスへ行く自由と飛鳥。
   もう一度クラス名簿を見るハル。
   楠木ハルの名前の一つ上に久賀自由の名前がある。
ハル「一緒のクラス…マジで…?」
   心臓が高鳴りだすハル。
ハルM「高校に入って彼を見かけた時から…ずっと憧れてた人が…同じクラス…」    
〇ハルの回想
   自由と友達が話してるのを物陰から見ているハル。

   バスケットの試合で選手達に指示を出しながら、ボールを受け取りシュートを決めガッツポーズを作る自由を見るハル。

〇回想戻り
   口を押え顔が赤くなるハル。
ハルM「僕は彼を知ってるけど、彼は僕の事なんて知らないはず…」 
   体が震えだすハル、そのままF.O(フェードアウト)

〇同・三年一組・教室・中(朝)
   生徒達が所々で固まって話をしている
   黒板に席は出席順に座るようにと書かれている。
   ハルが入ってきて、黒板に目をやる。
ハルM「出席順!」
   机の隅に番号が書かれている。
   自分の番号を確認して席へ行こうとすると、自由が先に自分の席に座っている。
ハル「!」
   ハルに気付く自由。
自由「あ」
ハル「ど、どうも…」
自由「君も、同じクラスだったんだ。初めてだよね同じクラスになるの」
ハル「そうだね…」
   緊張しながら自分の席に座るハル。
自由「俺、久賀自由、よろしく」
ハル「僕は、楠木ハル。よ、よろしく」
   自由の笑顔にハルも少し笑顔になる。
自由「楠木って、なんか、可愛いな」
ハル「え?」
   教師の原口治(44)が入ってくる。
原口「おーい、皆席に着けよー。今日から三年生。高校生活最後の一年だ。勉強はもちろん高校
生活最後悔いのないように過ごすように」
生徒達「はーい!」
   後ろを振り向く自由。
ハル「え?」
自由「うーん、何でもない」
   正面を向く自由。

〇同・食堂
   各自生徒達が昼食をとっている。
   自由と飛鳥がトレーにご飯を乗せ席を探してる。
飛鳥「あった。そこにしようぜ」
自由「おぅ」
   席に着く自由と飛鳥。
飛鳥「どうだよ。一組は、相変わらず女子からはモテモテか?」
   飯を食いながら辺りを見ている自由。
自由「うーん…」
飛鳥「まぁみゅうが女にモテても、どうする事も出来ないけどな。ってかそのモテ要素俺に分け
ろよ」
自由「うーん」
飛鳥「さっきからうーんうーんって…」
   自由を見る飛鳥。
飛鳥「おい、どこ、見てんだよ。誰か探してるのか?」
自由「うーん。ハル」
飛鳥「ハル?」
自由「俺の後ろに座ったクラスメイト。昼飯誘おうとしたら急にどっか行っちゃってさ(ハルを
 見つけ)あっ、居た」
端の席で一人弁当を食べているハル。
飛鳥「あ、楠木か?」
自由「飛鳥、知ってたのか?」
飛鳥「あぁ。でも、あいつ友達居ないし、影が薄くて居るのか居ないのか分かんねぇしあぁやっ  
 ていつも一人で飯食ってるし」
   自由が立ち上がりハルの所へ行く。
飛鳥「おい、みゅう」 
   ハルが弁当を食べてると、気配を感じ顔を上げると自由が立っている。
ハル「!」
   驚きむせてしまうハル。
自由「なぁ、ハル」
ハルM「な、名前で呼ばれた!」
ハル「え?」
自由「一緒に飯食おうぜ」
   ハルの弁当を持って飛鳥の所へ行く自由。
ハル「ちょ、ちょっと!」
   自由を追いかけるハル。
   飛鳥の所に戻り、席に着く自由、隣の席に着くハル。
自由「ハル。明日からは一緒に飯食おうぜ」
   恥ずかしくて言葉にならないハル。
自由「こいつは砂原飛鳥。小学の時からの腐れ縁」
飛鳥「おい、腐れ縁って(笑う)楠木。よろしくな」
ハル「ど、どうも…」
自由「はい!じゃあ飯の続きー!」
ハルM「どうして、彼は僕と一緒にお昼なんて誘ってくれたんだろ…僕なんかと一緒にお昼食べ
てたりしたら周りの目が…」
〇同・三年一組・教室・中
   チャイムが鳴り下校時間になる。
ハルM「彼が前に居るだけで、全然勉強に身が入らない…」
   ハルの方を振り向く自由。
ハル「!」
自由「いちいち、びっくりしてんじゃねぇよ(笑う)なぁ、一緒に帰ろうぜ」
ハル「い、一緒?僕と一緒に帰るの?」
自由「あぁ。他に誰が居んだよ」
ハル「はぁ。でも…部活大丈夫なの?」
自由「部活?」
ハル「バスケ部でしょ?」
自由「俺がバスケ部って知ってんだ」
ハル「ま、まぁ…」
自由「新学期始まったばっかだから今日は休み。さ、帰るぞー!」
   ハルを引っ張って教室を出る自由。

〇同・廊下
   ハルと自由が歩いている。
   ハルは周りからの視線が痛く感じる。
   隣のクラスから飛鳥が出てくる。
飛鳥「おぅ、みゅう。帰ろうぜ」

自由「わりぃ。今日ハルと一緒に帰るから」
   ハル、どうしていいかわからず顔を下げる。
飛鳥「おぉ…ってかみゅう…」
   自由がハルにウィンクをする。
飛鳥「(察して)分かったぁ。俺、帰りちょっと寄るとこあったし。じゃあまた明日なぁ」
自由「おぅ!」

〇道
   ハルと自由。
   緊張して、何も話せないでいるハル。
ハル「ねぇ…聞いていいかな?」
自由「ん?」
ハル「どうして、僕なんかと一緒に帰ろうと思ったの?お昼も一緒に食べてくれたり…なんでこ
 んな僕と?」
自由「うーん。俺の周りに居ないやつだなって思ったから」
ハル「そう…」
自由「俺、ハルの事は、高校二年間クラス違ったし、会う事も無かったから全然知らなかったけ
 どさ、今日席が後ろになって、どんな奴なんだろうなって思ったらなんか面白い奴だなって。
 そして笑顔が可愛いなって」
ハル「可愛いって…僕男だよ?そういう事言うの女の子に言うものなんじゃないの?」
自由「そうか?俺別に嘘言ってないし。可愛いものを可愛いって言っただけだぞ」
ハル「そうなんだけど」
   ハルの肩に手を回す自由。
   ドキッとするハル。
自由「あっ、また驚いた(笑う)」
ハル「ねぇ、もしかして僕の事、からかってる?」
自由「え?」
ハル「でしょ?じゃないとこんなのおかしいよ。根暗で友達もいない僕に…」
   ハルが言いかけてるのを自由がキスをして口を塞ぐ。
ハル「!」
   ゆっくりと口を離す自由。
ハル「ちょっと!」
自由「俺、ハルの事好きになったみたいだ」
ハル「え…」
    呆然とするハル。
ハル「な、何、言ってんの?」
自由「何言ってるって、告白だよ」
ハル「告白って…男に告白?」
自由「あぁ。俺の恋愛対象男だから」
ハル「…」
自由「もしかしてハルも俺と同じとか?」
ハル「!」
自由「今キスした時、別に嫌そうじゃなかったし」
   走って逃げるハル。
自由「おい!ハル!」
   自由の声を無視して走っていくハル。

〇楠木家・ハルの部屋・中(夕)
   ベッドで横になってボーっとしているハル。
ハルM「確かに嫌じゃなかったけど、あんな、いきなりキスするなんて…」
   由子がノックをしてドアを開ける。
由子「ハル。ご飯出来たよ」
   まだボーっとしているハル。
由子「ハル?どしたの?」
ハル「(我に返り)え?」
由子「晩御飯」
ハル「うん」

〇同・居間(夕)
   ハルと良子が晩御飯を食べている。
由子「どう?新学期始まって、クラスも変わったし新しい友達出来た?」  
ハル「まぁ…」
由子「そう…今日お母さん夜仕事だから、戸締り忘れないようにしてね」
ハル「あぁ。母さんあまり無理しないでね」
由子「ありがとう」
ハル「ご馳走様」
由子「もう、いいの?まだ結構残ってるのに」
   頷いて自分の部屋に戻るハル。
   心配そうにハルの後姿を見る由子。

〇同・ハルの部屋・中(夜)
   ベッドで何度も寝返りを打つハル。
ハルM「ダメだ…久賀君の事ばかり考えてしまう…」

〇マンション・飛鳥の部屋・中(夜)
   自由が、飛鳥と電話をしている。
飛鳥の声「はぁ?キスした?」
自由「おぅ」
飛鳥の声「みゅう、気が早いだろ…。まだ相手がみゅうと同じとは限んねぇのに」
自由「ハルの顔見たら、嫌そうじゃなかったぜ」
飛鳥の声「ただ、びっくりしてただけじゃないのか?」
自由「かも知んねぇけど、ノンケだったら拒絶するだろ?そんな感じもしなかったし…俺、一目
惚れって初めてな気がする。俺絶対にハルをものにする」

〇××高校・三年一組・教室・中(朝)
   寝不足のハルが来て席に着く。
   ハルの背後から自由が来る。
自由「ハル!おはよう!」
ハル「(ビクッとして)久賀君…お、おはよう」  
自由「久賀君って…俺の事はみゅうでいいよ名前は自由(じゆう)って書いてみゆって言うんだ
 けど、皆がみゅうって呼ぶからさ」
ハル「はぁ」
自由「ってか、何か眠そうだな?今日一時限目から体育だぞ?」
ハル「う、うん大丈夫」
自由「あんま、無理するなよ(耳元で)俺の好きなハルが倒れると心配だからな」
ハル「…」

〇同・体育館・中(朝)
   生徒達がチームに分かれてバスケットの試合をしている。
   ハルはヘロヘロになりながら走っている。
自由「ハル!」
   ボールをハルにパスする自由。
   上手く取れず敵チームにボールが行く
ハル「あっ、ごめん…」
   同じチームの生徒達が舌打ちやがっかりした顔をする。
ハルM「やだ…だから体育は嫌だ…」
   自由がハルの所に行き肩を叩く。
自由「ドンマイ!」
   自由が走りだし敵チームからボールを奪い仲間にパスしながらも自由がシュートを決め
   る。
ハル「凄いな…みゅうは…」
   自由の姿を見ながら、気を失い倒れる
自由「ハル?おい、ハル!」
   倒れたハルを抱き起す自由。
自由「ハル。どしたんだよ」
   ハルは眠ったまま。
自由「先生。ちょっと保健室連れてってきます」
   ハルを抱きかかえ保健室へ連れていく自由。

〇同・保健室・中
   ベッドで眠っているハルがゆっくりと目を開ける。
ハル「あ…」
自由「起きた…」
ハル「ごめん」
自由「睡眠不足だったんだろ?保健の先生言ってた。今先生は外に出ちゃったけど」
ハル「心配かけてごめん。もう大丈夫だから…」
   起き上がるハルを抱きしめる自由。
ハル「ちょっと」
自由「誰も居ないし、いいだろ?少しだけ」
自由に抱きしめられているハル。
ハルM「みゅうの抱きしめる力がちょっと強いけど…嬉しい…」
   ハルがゆっくりと自由の背中に手を回し、自由がハッとする。
ハル「みゅう君の身体…温かい」
自由「君付けなんてしなくていい。みゅうでいいよ」
ハル「う、うん…みゅ…う」
自由「ハル」
   もう一度強くハルを抱きしめる自由。
ハル「そろそろ、戻らなきゃ…」
自由「だな。ハル、今日も一緒に帰ろうな」
ハル「うん」
自由「その時連絡先交換もしような」
   頷くハルに笑顔の自由。そのままF.O
ハルM「そして僕達は付き合う事になった…」

〇同・体育館・中(夕)
   字幕『数日後』
   バスケ部がコートを使って練習をしている。
   自由が先導を切ってパスをしたりドリブルしてシュートを決めたりしている
   ハルがドアの陰から自由を見ている。
ハルN「みゅうが、バスケやってる所、見に来いよと言われたので数日前から見に来ている」
   背後からバスケ部マネージャーの尾形あかね(18)が走ってきてハルの肩にぶつかる。
あかね「あっ、ごめんなさい。あらハル君」
ハル「あ、尾形さん…お疲れ様です」
あかね「今日も見に来てたの?」
ハル「う、うん」
あかね「そう…」
   怪訝そうにハルを見るあかね。
あかね「じゃ、私行くね」
ハル「はい」
   体育館の中に入っていくあかね。
ハルN「尾形さんはバスケ部のマネージャーさん。みゅうとは凄く仲良くしてるように見える…」
あかね「みゅう!お疲れ」
自由「おぅ、あかね!よし、皆ちょっと休憩しようぜ」
バスケ部達「うっす」
   笑顔であかねの所へ行きドリンクを貰う自由。
   二人が楽しそうに話をしているように見えてくるハル、段々と切なくなってくる。
ハルM「きっと、普通に話してるだけなんだ…みゅうは誰にでも隔てなく仲良くなる。だからき
っと普通に話をしているだけ…」

   自由の笑顔。
ハルM「でも…どうしてこんなに心が苦しくなるんだろう…」
   ドアから離れるハル、その瞬間を自由が見る。
自由「ハル?」
あかね「え?」
自由「俺ちょっと…」
あかね「みゅう!ちょっと、どこ行くの?話まだ終わってないんだけど」

〇体育館・前(夕)
   走って、自由が出てくる。
自由「ハル!ハルー!」
   辺りを見回してるがハルの姿はない。
   自由の後姿を見ているあかね。
あかね「…」
ハルN「その日、何度もみゅうから電話がかかってきてたけど、僕は出なかった…」

〇同・三年一組・教室・中(日替わり・朝)
   席に着き勉強道具を机の中に入れているハル。
自由「おい、ハル」
ハル「あ…お、おはよう」
自由「ハル。昨日体育館から何で急に居なくなったんだよ。何度電話しても出ねぇし」
ハル「ご、ごめん。ちょっと急用があって。帰らなきゃいけなくなって」
自由「嘘だ」
ハル「え?」
自由「本当の事言えよ」
ハル「…」
自由「言え」
ハル「尾…尾形さんと楽しそうに話をしてる所見ちゃって…」
   急に笑い出す自由。
ハル「え?」
自由「もしかして、俺に焼きもち妬いたのか?」
   恥ずかしくて顔が赤くなるハル。
自由「変な心配するな。普通に話してただけだ。部活のマネージャーもやってるからな。
俺が好きなのは(耳元で)ハルだけだ」
   更にハルの顔が赤くなる。
自由「後で、あかねの所に行って話してくるわ。ハルも一緒に来い。大丈夫、あかね俺がゲイだ
 って知ってるから」

〇同・廊下
   ハルと自由とあかね。
自由「って事で俺達付き合ってるから」
   ハルは、恥ずかしくて顔を上げられない。
あかね「付き合ってるからって…サラッと言ってくれるわよね」
自由「だって、隠してても仕方ない事だろ」
あかね「はいはい。ご報告ありがとうございました。みゅう、恋もいいけど部活の方おろそかに
 しないでよね。今年で引退なんだから」
自由「おぅ。俺が今まで部活さぼったり、手を抜いたりした事無いだろ。心配するな。じゃあな」
   ハルがあかねに礼をして自由と一緒にクラスに戻っていく。
   胸に手を当てるあかねの目に涙が零れる。
あかね「胸が…苦しい」

〇道(夕)
   ハルと自由。
自由「悪かったな。俺の部活のせいで待たせちゃって」
ハル「別に、いいよ」
自由「見に来ればよかったのに。ハルが見てくれてたら、俺余計に頑張っちゃうのにな」
   シュートのマネをする自由。
ハル「なんか、ちょっと行きにくくなっちゃってさ…みゅうってさ…」
自由「ん?」
ハル「どれくらいの人に打ち明けてるの?その…ゲイって事」
自由「あぁ…ハルが知ってる奴なら飛鳥とあかねくらい?まぁ別に俺隠してないし。だからって
 言う必要もないかなって」
ハル「そうなんだ」
自由「まぁ聞かれたら、答えるようにはしてるけど。中にはゲイに偏見持ってる奴だって居るだ
 ろ?だから変に自分から口出す必要ねぇの。誰に分かってもらえなくても、ハルがこうやって
 隣にいてくれたら」
   ハルの肩に手を回す自由。
自由「ハル…キスしていい?」
ハル「ダメ。ここではダメ」
自由「チェッ!ハルのケチ!ここでダメってじゃあどこだったらいいんだよ!」
   ハルをくすぐる自由。
ハル「ちょっと、みゅう!みゅう、止めてって!」
   と、言いながらも堪えきれず笑ってしまうハル。
自由「やっぱり、ハルの笑顔はいいなぁ」
   照れるハル。

〇楠木家・外観

〇同・ハルの部屋・中
   ハルが掃除機をかけたり拭き掃除をしたりせわしなく動いている。
ハルN「後日、みゅうが泊りに来る事になった。自分の部屋に母親以外の人が入るのは初めて
 な気がした」

〇楠木家・前の道(夕)
   メモ帳に書かれた地図を見ながら自由が来る。
自由「この辺りのはずなんだけど…」
   向かいから由子が来る。
自由「あの、すみません。この辺りに楠木さんの家があると思うんですが…」
由子「楠木?楠木は私ですけど。あっもしかしてハルのお友達?」
自由「あ…(恋人と言いたい)お、お友達です…」
由子「そうだったのね。じゃあこっちに。ハル楽しみに家で待ってるんですよ」
自由「そうなんですね」

〇同・玄関・中(夕)
   由子と自由が入ってくる。
由子「ハルー!居る?お友達来たわよ!」
   急いで階段から降りてきてこけそうになるハル。
由子「ちょっと、大丈夫?」
   笑う由子。
自由「何こけそうになってんだよ」
   自由も笑う。
ハル「ハハ…(照れて)い、いらっしゃい」
自由「おぅ!ちょっと道に迷ったけど、お母さんと、前で会ったからさ」
由子「さっ、入って、入って!ハルの友達が家に来るなんて、母さんも嬉しいの」

〇同・居間(夜)
   ハル、自由、由子で焼肉を食べている
由子「さぁ、二人とも沢山、食べてね!母さん奮発してお肉いっぱい買ってきたから」
自由「ありがとうございます!沢山食べます!」
ハル「母さんの方がなんか張り切ってない…?」
由子「そう?ねえみゅう君、よくハルと友達になってくれたわねえ。この子暗いし、人見知りだ
からなかなか友達が出来なくて」
ハル「ちょっと、母さん!」
由子「いいじゃない。でも、こうやって友達出来て、連れてきてくれたんだから。あんたもいっ
ぱい肉食べなさい!」
   ハルのお皿にどんどん肉を入れていく由子。
ハル「ちょっと!肉が溢れちゃうって」

〇同・ハルの部屋・中(夜)
   お風呂上がりの自由が来る。
自由「あぁいい風呂だったなあ」
   胸をはだけてる自由を見てハルの顔が赤くなる。
自由「ハルの母ちゃん。いい人だよなあ」
ハル「そう…?ありがと」
自由「なぁ今度、俺のうちにも遊びに来いよ俺ん所も、母ちゃんと二人暮らしだけど」
ハル「お父さんは居ないの?」
自由「あぁ。俺の所はハルの所と違って、亡くなったんじゃなくて離婚だけど…」
   ふと暗い顔になる自由。
ハル「みゅう?」
自由「まっ、色々あったんだよ俺の両親は…。なぁ俺の母ちゃんも結構面白いぜ(笑う)後、俺
がゲイなのも知ってるから。俺んちに遊びに来た時は恋人として紹介するよ」
ハル「親に言ってるんだ…」
自由「ハルの所は、母ちゃんには言ってないんだろ?」
ハル「まぁ…」
自由「まっ、言ったからって、簡単に理解してくれるとは思わないからなあ。俺のとこはたまた
ま運が良かったのかもしれねぇし…」
   ハルのベッドに横になる自由。
自由「ってか、ハルの部屋。勉強の本ばっかだな…あっ高校卒業したら進学するのか?」
ハル「一応…でも、家の事を思うと、進学でまたお金かけるような事したくないなって思ったり
…母さん朝も夜も仕事出たりして 無理してるから…」
自由「そっか」
ハル「みゅうは、どうするの?進学するの?」
自由「俺は高校卒業したら、バスケのチームに入ろうかなって思ってるんだ。今のとこ進学は考
えてない。まぁいずれは、世界へ行ってプロのバスケットチームに入るのが夢なんだ」
ハル「そっか…」
自由「ハル。色々と考えるのも大切だけど、自分が思ったように生きてこうぜ。折角の一度の人
生なんだしさ。ハルが進学したければその気持ち伝えれば、きっとハルの母ちゃんも分かって
くれると思うし、応援もするさ。お金の事が心配だったら、ハルがバイトでもしてお金稼いで
いい事なんだし」
ハル「…」
自由「俺の名前のように自由に、自分のやりたいように思うように生きていこう」
ハル「みゅう…」
自由「って事で、キスしていい?」
ハル「え!ダメに決まってるだろ。下に母さんも居るんだし」
自由「キス位ならわかりゃしねぇだろぅ。別にエッチする訳じゃねぇんだし」
ハル「(大声)エッチ!!」
自由「ハル!声でけぇよ!あっもしかしてハル…エッチまだ未経験?」
ハル「あ…(恥ずかしい)」
   ふいに、ハルにキスをする自由。
ハル「ん!!」
   ハルの口から離れる自由。
ハル「もう、いっつもいきなりなんだから!」
自由「キスするって言ったじゃん」
ハル「でも、僕はいいって、言ってない」
自由「ハルのOK待ってたら、いつキス出来るか分かんねぇよ。なぁ?もう一回」
ハル「ダメ!もう寝る!あっ…みゅうの布団持ってくるの忘れた」
自由「いらねぇよ。ベッドあるんだし、一緒寝ようぜ」
ハル「一緒…」
   一緒にベッドの中に入るハルと自由。
ハル「おやすみ」
   ハルが自由に背を向けて眠る。
自由「なんで、そっち向いて寝るんだよ」
ハル「だって…」
自由「もう、こうなったら強制的にだ」
   無理やりハルを自分の方に向かせる自由。
自由「ハル…」
   ハルの目にうっすらと涙が浮かんでい   る。
ハルM「悲しくて泣いたんじゃない…でも、涙をみゅうに見せるのは恥ずかしくて…」   
自由が笑顔でハルの頭を優しく撫でる。
自由「おやすみ…」
   ハルをギュッと抱きしめて眠る自由。
ハル「ちょっとみゅう…苦しいよ…」
自由「ダメ。離さない」
ハルM「本当に、息苦しい…でも、みゅうの胸は…やぱっり、とても…温かい」
   ゆっくりと目を閉じるハル。
   × × ×
ふと目を覚ます自由。
   時計に目をやると朝の五時を指している。
自由「ちょっと、喉渇いちゃったな…」
   起き上がりベッドから出る自由。
   ハルは気持ちよさそうに眠っている。
自由「ハルは寝顔も可愛いな」
   ハルの部屋を出る自由。

〇同・キッチン(朝)
   自由が来ると、由子が朝食の準備をしている。
自由「あ…」              
由子「あら、みゅう君おはよう。まだ寝てていいのに」
自由「すみません、ちょっと喉渇いちゃって…」
由子「あぁ、お茶入れるわね」
   自由にお茶を入れ渡す由子。
自由「ありがとうございます」
   お茶を受け取り飲み干す自由。
由子「今日私弁当屋早出なの。だからいつもより早く起きて朝ご飯作ってたの。みゅう君も、後
でハルと一緒に食べてね」
自由「ありがとうございます」
由子「ねぇ、みゅう君…一つおばさんに教えて欲しい事があるの」
自由「教えてほしい事?なんすか?」
由子「ハルって…女が好きじゃなくて…その男が好きなのかしら?」
自由「え…?」
由子「ハルは何も言ってこないけど…親の勘って言うのかしら…?思う所があって…もしかし
てみゅう君も?」
自由「…」
   戸惑う自由。
由子「変な事聞いてごめんね。でも、ハルがゲイだったとしても、私の息子には変わりない。何
も変わらない。みゅう君もゲイだったとしても、おばさんは急に気持ちが変わったりしないか
ら」
自由「俺、ゲイです。そのハルと…付き合ってます」
由子「そ、そう…付き合ってるとまでは思ってなくてちょっとびっくりしちゃった…あはは…」
自由「でも、俺もハルも軽い気持ちじゃなく真剣に恋人同士として付き合ってます」
由子「そうなのね。ハルがね、あんなに楽しそうに話したりしてる所見たの、初めてな気がして
…みゅう君。ありがとう」
自由「え?」
由子「素直に色々と話してくれて。ハルの事よろしくお願いします。あんな感じで、根暗で人見
知りな子だけど、みゅう君と出会って、ハルも少しずつ変わっていきそうな気がするから。だ
から見捨てないで上げてね」
   呆気に取られている自由。
由子「何?もしかして、私がハルがゲイだと知って、そんなの許さないって激怒するかもって思
った?」
自由「いや…」
由子「安心して。ハルが自分から告白するまで、私は知らないふりをしておくから。だから私の
前ではハルとみゅう君は親友ね。ごめんね。引き止めちゃって。もう少し上で寝てなさい」
自由「はい」                                  
〇ハルの夢
   ハルが立っていて辺りは真っ暗になっている。
   離れた所に自由が笑顔で手を振っている。
ハル「みゅう」
   ハルに何かを語りかけている自由だがハルは聞き取れない。
ハル「みゅう…何て言ってるの?」
   ハルに背を向け走り出す自由。
ハル「みゅう、待ってよ!みゅう!」
ハルも懸命に追いかけるが全く自由に追いつかない。
ハル「みゅう!」

〇楠木家・ハルの部屋・中(朝)
   ハルが夢から覚める。
ハル「みゅう!行かないで!」
   ハルが勢い良く起きると、寝顔を見てた自由の額とハルの額がぶつかる。
ハル「イタッ!」
自由「イッてぇ!」
額を押さえ、悶えている自由。
ハル「みゅう…」
自由「ハル。急に起き上がるんじゃねぇよ。イテェ…」
ハル「ごめん。大丈夫?」
   自由が手を離すと額が赤く腫れている。
ハル「赤くなってる…」
自由「大丈夫だよ。これくらい…」
ハル「でも…ってか何で僕の顔の近くにいたの?もしかしてまたキスをしようとしてた?」
自由「違う。その…ハルの寝顔が可愛かったからつい…ずっと見てた」
   恥ずかしくて自由に枕を投げるハル。
ハル「イテッ!何すんだよ」
   自由もハルに枕を投げ返す。
   お互いに笑う。

〇同・居間(朝)
   ハルと自由が由子の作ってくれた朝食を取っている。
   自由が笑っている。
自由「何?俺が急に、ハルに背を向けて走り出したんだ」
ハル「そうだよ。僕がずっと走って追いかけても全然追いつかないし…何か凄く不安になって…
そこで目が覚めたんだ」
自由「それで(前髪を掻き上げ)これだもんな」
   自由の額には湿布が貼られている。
ハル「だから、ごめん…でも、夢にしては凄くリアルだった…」
自由「心配するなよ。どこにも行かねぇから!」
   心配そうに自由を見るハル。
自由「だから、そんな顔するなって」
   ハルの髪をクシャクシャとする自由。
自由「にしても、ハルの母ちゃんの飯美味いな!お代わりしてもいいか?」
   茶碗をハルに差し出す自由。
ハル「うん」
   茶碗を受け取り炊飯器を開けご飯を寄そうハル。
   ご飯を大盛にするハル。
ハル「はい(自由に渡す)」
自由「すげぇ。山盛り(笑う)明日からまた部活だし、他校との練習試合もあるし、スタミナ付
けとかないとな。あっ試合見に来いよ。飛鳥も来るみたいだし。俺のかっこいい所見せてあげ
るよ」
ハル「うん。今日はこれからどうする?」
自由「そうだなぁ…。どこか出かけたいなって思うけど…今日はハルと二人でのんびりしようか
な。ってか、俺の家来るか?今度は俺が招待する番だ。もちろん、泊って行けよ」
ハル「でも、明日学校だよ?」
自由「俺の家からいけばいいじゃん。ハルの母ちゃんにもちゃんと言っておけば大丈夫だろ?」
ハル「(少し考えて)分かった」

〇マンション・久賀家・玄関・中
   自由とハルがドアを開け入って来る。
自由「母ちゃん、ただいま!」
   奥から自由の母、久賀聡美(40)が来る。
聡美「みゅう、お帰り(ハルを見て)あっ、ハル君ね?いらっしゃい!」
ハル「初めまして、みゅう君の友達の楠木ハルです」
聡美「昨日は、お家の方でご迷惑かけちゃったみたいで、ごめんなさいね」
ハル「いえ…」
自由「おい、ハル友達じゃねぇだろ」
   ハルの肩に手を回す自由。
自由「母ちゃん。俺の恋人」
ハル「ちょっと、みゅう!」
聡美「まっ!(笑顔で)さぁ、入って入って!こんな優しい感じの子がみゅうには丁度いいのか
もね。みゅうの事よろしくお願いしますね」
ハル「はぁ…」                × × ×
   夕食を取りながら談笑しているハル、自由、聡美。

〇同・自由の部屋・中(夜)
   ベッドの中に入る自由とハル。
ハル「みゅう。今日はありがとう」
自由「おぅ。これは昨日のお返しだ。って言っても俺は殆ど何もしてねぇけど」
   笑うハルと自由。
ハル「じゃあ、明日は学校だし寝よう」
自由「おぅ、おやすみ」
   ハルがまた自由に背を向け寝ようとする。
自由「ハール」
   バツが悪く自由の方を向くハル。
ハル「はい」
自由「おやすみ」
   自由の胸で眠るハル。

〇××高校・体育館・中
   ハル達の高校と、別高校での練習試合。
   各学校でウォーミングアップしている。
   ハルが体育館に入ってくる。
ハル「あぁ、まだ試合始まってなくてよかった」
   辺りを見渡しているハルに気付く飛鳥。
飛鳥「(手を上げ)おーい楠木ー!」
   飛鳥の声に気付き、手を上げるハル。
ハル「ごめん、遅くなっちゃって」
飛鳥「俺もさっき、来たとこだ」
ハル「そうなんだ」
飛鳥「変わらず、上手く行ってんのか?みゅうと」
ハル「ま、まぁ…」
飛鳥「そうかぁ…。みゅうは相当楠木に惚れ込んでるみたいだからなあ」
   ハル、恥ずかしい。
飛鳥「腐れ縁の俺からも、あいつの事、頼むわ」
ハル「は、はい」
飛鳥「あ、手を振ってる」
   自由がベンチからハルに手を振っている。
飛鳥「手を振り返してやれよー。あれ、俺にじゃなくて、楠木に振ってるから」
ハルが自由に手を振ると、自由はまたオーバーに手を振り返す。
   自由の隣にあかねが来てハルを見る。
ハル「あ…」
   手を振るのをやめるハル。
あかね「ちょっと、みゅう。あんた露骨に愛情表現出しすぎてんじゃないの?」
自由「そうか?」
あかね「周りにばれても知らないわよ」
自由「別に隠してねぇから俺はそれでも構わねぇよ」
    審判の笛が鳴る。
自由「よし、皆行くぞー!」
バスケ部達「うっす!」  
自由「あかね、勝ってくるからな」
あかね「当たり前でしょ。負けたらぶっ飛ばすからね」
自由「怖ぇ!」
   自由達がコートの中に入っていく。
   × × ×
   自由が率先してチームにパスをしたりドリブルをしてシュートを沢山決めていく。
   観客達の歓声。
自由「入れ!」
   思い切りジャンプしてダンクシュートを決める自由。
自由「っしゃー!」
   審判の笛が鳴り試合が終了する。
   自由のチームの圧勝。
ハル「本当に凄い…」
   ハルの目には感動で涙が浮かんでいる。

〇同・入口
   ハルと飛鳥。
ハル「え?帰っちゃうの?もう少し待ってたらみゅう達出てくるんじゃない?」
飛鳥「うーん。待っててもいいんだけどさ。まぁ…分かるだろ?」
ハル「え?何が?」
飛鳥「本当に楠木って…(笑う)」
ハル「何がおかしいの?」
飛鳥「いや…後でみゅうにはメール入れとくからさ。じゃあ俺はお先に」 
   飛鳥が帰っていく。
ハル「えぇ…」
   体育館からあかねが出てきて目が合う。
ハル「あ、お疲れさまでした」
あかね「どうも。ねぇちょっと話があるの」

〇同・裏
   ハルとあかね。
あかね「これからも、みゅうとは付き合っていくつもりなの?」
ハル「え…ま、まぁ…」
あかね「男同士で付き合っていく事が、どんなに大変で、周りを特に気にしなきゃいけないかっ 
て覚悟もできてるの?」 
ハル「…」
あかね「どうなの?答えて」
ハル「緒方さんは、みゅうの事好きなの?」
あかね「え…今はそんな話してるんじゃないでしょ?私の質問に答えて」
ハル「はい…。僕達は回りの目や声を気にして付き合っていかなくちゃいけないのは確かだと思
います…でも、大切なのは僕達の気持ちだと思ってます。それを教えてくれたのはみゅうです」
あかね「そう…そこまで思ってるんだったら…私、あなた達応援するわ」
ハル「え…」
あかね「戻ろう。みゅう待ってるから」

〇同・入口
   ハルとあかねが来る。
   自由が二人を待っている。
自由「おーい、ハルもあかねもどこ行ってたんだよ」
ハル「うん。ちょっと…」
あかね「二人だけの内緒の話」
自由「何だよ。内緒の話って」
あかね「教えないわよ。バラしたら内緒の話にならないじゃんね?ハル君」
ハル「うん」
自由「チェッ。つまんねぇの。着替えも済んだし帰ろうぜ、ハル。あかねも途中まで」
あかね「私はいい」
自由「何で?」
あかね「二人の邪魔したら、悪いから。みゅう…今日は頑張ったわね。ゆっくり休んでね」
自由「おぅ、サンキュ」
あかね「じゃあね」     
ハル「あの、尾形さん」
あかね「ん?」
ハル「ありがとうございました」
   ハルの方には向かず、手を上げて軽く振るあかね。
自由「二人で何話したんだよ」
ハル「内緒」

〇道(夕)
   ハルと自由が歩いている。
ハル「今日のみゅう、かっこよかったよ…本当にかっこよかった」
自由「だろ?秋にまた試合があってさ、そこにはスカウトの人達も見に来るみたいなんだ。そこ
で声かけてもらったら、また夢に前進できる気がするんだ」
ハル「本当だね」
自由「どうだ、ハル惚れ直したか?」
   笑いながら歩いていく自由に対しハルは立ち止まる。
   自由の後姿を見ているハル。
   ゆっくりと歩きだし、自由の手首を掴むハル。
自由「ん!」
   自由を振り向かせ、ハルが自由にキスをする。
自由「!」
   ハルなりに懸命に深いキスをしようとする。
   ハルの口からゆっくりと離れる自由。
自由「ハル」
ハル「大好き。僕、みゅうの事大好き!もう離したくないし離れたくない!」
自由「分かった。分かったから落ち着けって」
   ハルは泣いている。
   今度は、自由がハルに優しくキスをする。
自由「俺も、ハルの事離さねぇよ」
   嬉しくて、大きな声で泣き出すハル。
自由「だから、泣くなって(笑う)」
   ハルの頭を撫でる自由。
   夕陽が二人を明るく映している。









   終。

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