アルコール・ガールズ コメディ

潔癖症でアルコール除菌が欠かせない新米女弁護士×アル中で汚部屋事務所に住む敏腕女弁護士。 『アルコール浸り』な2人がタッグをとり、面倒な案件を片付けていく!
荻 安理紗 16 0 0 11/12
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第一稿

リーガル・ドラマ『アルコール・ガールズ』

人 物
 江藤志保(26)新人弁護士
 桜田もみじ(34)桜田法律事務所所長
 小谷茂雄(55)桜田の依頼人
 保坂通義(4 ...続きを読む
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リーガル・ドラマ『アルコール・ガールズ』

人 物
 江藤志保(26)新人弁護士
 桜田もみじ(34)桜田法律事務所所長
 小谷茂雄(55)桜田の依頼人
 保坂通義(42)保坂法律事務所所長

江藤志保(26)キャラクター設定
 新人弁護士。都内国立大学法学部を三年間で卒業後、法科大学院に進学。司法試験合格後、司法修習生を経て保坂法律事務所に勤務。
 高校生の頃、人権派弁護士の保坂のドキュメンタリー番組を視聴。保坂に憧れを抱き弁護士を目指すことに。
 ひどい潔癖症で除菌・殺菌グッズを常に大量に持ち歩いている。
 脳内潔癖症と比喩されるぐらい、倫理観がかなり保守的。インモラルなクライアントの話を最後まで聞いたり、気持ちによりそうことができないため、クライアントとトラブルを起こす。
 見かねた保坂が、元同僚のもみじの元へと志保を送り込むことにした。

◯マンション・もみじの部屋・玄関・前
   スーツ姿の江藤志保(26)がインター
   フォンを人差し指で押す。
   鳴るチャイム。
   志保、除菌ジェルで手を殺菌する。
志保「?」
   志保、袖で指を覆いながらインターフ
   ォンを再び押す。反応がない。
志保「(大声で)桜田先生―! 江藤です!」
   ドアがゆっくり開く。
   玄関には下着姿の桜田もみじ(34)。
   酩酊状態で左手にはビール瓶。
もみじ「あ、保坂のアホがよこした家政婦さ
 んか。入って入って〜」
志保「いや、家政婦じゃなくて弁護士の……」
もみじ「めっちゃ散らかっててさぁ。こっち」
   もみじ、廊下の奥に進む。
   志保、袖で指を覆ってドアを閉める。

◯同・同・リビング・中
   書類と法律関係の書籍と酒瓶と缶が散
   乱している室内。
   志保、呆然とし、
志保「(大声で)ぎゃーーーー!」
   もみじ、不思議そうな顔で、
もみじ「なによ〜。綺麗な部屋なら家政婦呼
 ばないっしょ」
   志保、鞄から名刺を取り出し、
志保「私は家政婦じゃありません! 新人弁
 護士の江藤志保です!」
   名刺をもみじに差し出す志保。
   もみじ、名刺を受け取り、見る。
もみじ「弁護士……。騙しがやったな保坂!」
   もみじ、名刺とビール瓶を床に投げ、
   冷蔵庫を開けてビール缶を取り出す。
志保「保坂先生の事務所に所属中だったので
 すが、桜田先生のところで研修を受けろと
 言われまして」
もみじ「(怒鳴り声で)アタシは保坂から『綺
 麗好きの女の子よこすから好きに使って』
 って言われただけだし。弁護士はいらん。
 帰れ」
志保「帰れるなら帰りますよ! こんなゴミ
 溜めみたいな事務所」
もみじ「だから帰ってって」
志保「けど桜田先生のもとで勉強しなきゃい
 けないんです! それが事務所に帰る条件」
   志保、屈む。
   志保、カバンからマスクとウイルスゴ
   ーグルと除菌スプレーと除菌ジェルと
   除菌ティッシュとポリ手袋を取り出し、
   膝の上にのせる。
   もみじ、訝しげな顔で、
もみじ「……それ、いつも持ち歩いてんの?」
志保「はい。当然です」

◯同・同・同・中(夕)
   窓から夕陽が差し込む室内。整理整頓
   された室内を、マスクとゴーグル姿の
   志保が手袋をした手で雑巾掛けをする。
   ソファーに座り、ビールを飲みながら、
   ぼんやりと志保を見つめるもみじ。
もみじ「ふーん」
   志保、もみじを睨んで、
志保「なんですか」
もみじ「アンタ潔癖症なんだ」
志保「……違います」
もみじ「いや、どうみてもそのフル装備、潔
 癖症か家政婦か潔癖症の弁護士しかありえ
 ないし」
志保「私が潔癖じゃないんです。他の人たち
 が不潔なんです」
もみじ「見えたー! 保坂の事務所から追い
 出された理由」
志保「……」
   もみじ、ニヤニヤ笑って、
もみじ「その潔癖症絡みで客とトラブル起こ
 したんでしょ」
志保「トラブルというか、ちょっとした行き
 違いで……」
もみじ「まぁ、なんでもいいけど。掃除して
 くれるし。あと十分で新規客くるから、ア
 ンタ担当なってよ」
志保「!」
もみじ「今度は行き違いにならないようにー」
志保「じゃあ、服着てください!」
もみじ「はいはい」
   もみじ、ビールを飲む。
   × × ×
   机で向かい合って座る、志保と小谷茂
   雄(55)。冴えない中年の小谷。
   ソファーでファッション誌を眺めてい
   るスウェット姿のもみじ。
志保「えーっと……。そのエリカさんという
 女子大生とパパ活をされていたと」
小谷「はい。現金だけでも三百万以上を渡し
 ました。プレゼントなんかを含めるともっ
 と……」
   志保、小谷を睨んで、
志保「それで、どうされたいんですか?」
   小谷、志保から目を逸らして、
小谷「半額だけでいいからお金を返してもら
 いたくて……」
志保「なにか金銭的な問題で?」
小谷「いや、そういうわけでもなく……。そ
 の、新しくデートする女の子ができて」
志保「(怒鳴り声で)新しいパパ活相手ですか」
小谷「ひゃっ、は、はい。まぁ、そうです。
 エリカとは違ってエッチもさせてくれるし
 ……」
   志保、カバンから除菌ジェルを取り出
   し、手を殺菌しながら、
志保「(大声で)セックスをしてくれなかった
 エリカさんからお金を取り戻して、新しい
 女の子により貢ぎたいと⁉︎」
   小谷、げっそりと俯く。
もみじの声「アンタ頭のなかまで除菌してん
 の? 潔癖症よね」
   もみじ立ち上がり、机に近づく。
志保「……小谷さん、失礼致しました。あく
 までもエリカさんに金銭を授与したに過ぎ
 ないんですよね? 借用書があれば対応で
 きるのですが」
   小谷、目をウロウロとさせながら、
小谷「や、やっぱりそうなんですか? でも
 ヤってもないのに三百万は高い……」
志保「もし仮に、売春をする契約をしていた
 としても、公序良俗に反する行為です。つ
 まり無効。勉強代だと諦めるのが無難です」
もみじ「まぁまぁまぁ。確かに弁護士の回答
 としては、この無菌室ガールの言うことは
 正しいけど」
志保「(怒鳴り声で)む、む、無菌室⁉︎」
もみじ「女子大生大好きエロオヤジの小谷さ
 ん。エリカちゃんのフルネームと住所は分
 かる?」
小谷「はい、わかりますが」
もみじ「それなら着手金十万、成功報酬は取
 り戻した額の一割で契約致します」
志保「はぁ? どうやって返金を求めるんで
 すか」
もみじ「堅物真面目処女のアンタは分かんな
 いと思うけど、大抵のパパ活女子は確定申
 告なんかしてないのよね」
志保「処女じゃないです!」
   呆然と志保ともみじを見る小谷。
もみじ「小谷さん、現金はいつも手渡しだっ
 たでしょ?」
小谷「はい。たしかに」
もみじ「エロいオッサンからもらったお金は
 預金口座に渡ることなく、ブランド品に変
 幻してるかタンスの中に貯め込まれている
 ……。意味わかる?」
志保「あっ、贈与税……!」
小谷「?」
   志保、小谷に向かって、
志保「百十万円以上の金銭の授与を受けた場
 合、贈与税を納めないといけないんです」
もみじ「せめて百五十万返さないと、脱税し
 てること税務署にチクるぞ〜っとやんわり
 エリカちゃんに言ってみます」
志保「やんわり……。脅しじゃないですか」
小谷「お金、返ってくるんですね!」
志保「でも百五十万返すなら、追徴課税払う
 んじゃないですか? 贈与額三百万から基
 礎控除百十万差し引いた額に十パーセント
 課税されたとしても……。贈与税は二十万
 程度です」
もみじ「ゆとり世代ね〜。タンスにあるお金
 がこのオッサンからの三百万だけとは限ら
 ないでしょ」
志保・小谷「え?」
もみじ「小谷さん、自分がエリカちゃん囲っ
 てたとでも思ってた? 明治時代じゃない
 んだから。他にもパパがいるに決まってる
 でしょ」
   小谷、ショックを受けて、
小谷「まさか、そんな……」
志保「小谷さん……」
もみじ「そんなことでショック受けてるんな
 ら、素人に手をだすのはやめなさいよ」
   小谷、うなだれて、
小谷「……はい」
   呆然と小谷を見る志保。

◯同・同・ベランダ(夜)
   並び立ち缶ビールを飲む志保ともみじ。
   志保、除菌ティッシュ越しに缶ビール
   を持っている。
もみじ「……なんかそんな持ち方されるとウ
 チのビールが不潔そうなんだけど……」
志保「ビールはともかく桜田先生は不潔です」
もみじ「はぁ?」
   志保、除菌ティッシュをポケットにし
   まい、直でビールを持つ。
   もみじ、それを見て、
もみじ「アンタと同じでアルコールで毎日消
 毒してるわよ。頭と体をね」
   ビールを飲むもみじ。
志保「!」            (続)

「アルコール・ガールズ」(PDFファイル:188.62 KB)
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