十二人の怒れる人狼 ドラマ

日本版陪審員制度がテスト導入され、都倉萌演(23)ら12人の陪審員はとある強制性交等致死罪の判決について話し合っていた。
マヤマ 山本 12 0 0 08/10
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第一稿

<登場人物>
都倉 萌演(23)陪審員、洋菓子屋店員
柳 羽衣佳(34)同、インフルエンサー
大滝 辰也(45)同、警備員
重山 拓巳(20)同、大学生
牧野 優(55) ...続きを読む
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<登場人物>
都倉 萌演(23)陪審員、洋菓子屋店員
柳 羽衣佳(34)同、インフルエンサー
大滝 辰也(45)同、警備員
重山 拓巳(20)同、大学生
牧野 優(55)同、教師
辻本 未来(30)同、派遣社員
沢渡 神奈(41)同、主婦
酒井 隼平(52)同、飲食店経営者
成田 健(63)同、トラック運転手
井ノ瀬 垓(26)同、フリーター
小泉 敦子(61)同、家政婦
伊藤 伸悟(36)同、フリーのライター

枡田 (28)陪審員補助係

椎名 うらら(22)被害者
岸田 仁郎(49)被疑者
アナウンサー



<本編>
○メインタイトル『十二人の怒れる人狼』

○(回想)ラブホテル・外観(朝)
   警察車両が多数停車している。

○(回想)同・客室(朝)
   ベッドの上、椎名うらら(22)の遺体。全裸。警察によって袋に入れられ、担架で運び出される。
アナウンサーの声「アイドルとして活動をしていた椎名うららさん、二二歳が亡くなった事件で」

○(回想)警察署・前
   警察車両に乗って身柄を送検される岸田仁郎(49)。手には手錠。車両の周囲には多数のマスコミ。
アナウンサーの声「強制性交等致死の容疑で逮捕された音楽プロデューサー・岸田仁郎氏」

○裁判所・前
   集まる報道陣。
アナウンサー「その裁判に、日本版陪審員制度がテスト導入される事が発表され、世間の注目が集められています」
伊藤の声「皆さん、間もなく投票の時刻です」

○ホテル・外観
伊藤の声「最後にもう一度、順番にご意見を伺いたいと思います」

○同・大広間
   大きな机を囲んで座る都倉萌演(23)、柳羽衣佳(34)、大滝辰也(45)、重山拓巳(20)、牧野優(55)、辻本未来(30)、沢渡神奈(41)、酒井隼平(52)、成田健(63)、井ノ瀬垓(26)、小泉敦子(61)、伊藤伸悟(36)。
伊藤「では(萌演を指し)時計回りで」
萌演「やはり、今回の最大の争点は同意の有無だと思うんです。被告人と被害者の年齢差は二七歳。普通に考えて、純粋な同意の元、関係に至ったと考える方が変だと思います」
羽衣佳「だからそれは、報道されてた通り『枕営業』だったって考えれば、何もおかしくでしょ?」
萌演「被告人は否定していますし、仮に枕営業だったとして、それが事務所に強要されたものだとしたら『同意は無かった』という事になるんじゃないですか?」
神奈「言われてみれば、そうかも」
羽衣佳「枕営業を自分の意思でやる人なんて、今時珍しくないから。私の友達にもいるし」
井ノ瀬「こういう時の『友達』って、大体自分の事っスけどね」
   羽衣佳に睨まれ、肩をすぼめる井ノ瀬。
伊藤「では、柳さんのご意見は『無罪』という事でよろしいですか?」
羽衣佳「あぁ、うん。そう。次の人どうぞ」
大滝「有罪だ。間違いない」
重山「その根拠は?」
大滝「あの男が有罪だからだ」
羽衣佳「ダメだこりゃ。話にならない」
重山「じゃあ、次は僕ですね。僕も無罪だと考えてます。仮に枕営業だったとして、それが事務所からの強要だったとして、それでも現場のラブホテルまで自分で行っている以上、被害者もある程度は同意しているものと考えていいでしょうし、何より有罪とするには根拠が薄い印象です」
優「私も同意見です。確かに、有罪派の方のお気持ちはわかります。私も正直、有罪にしろ無罪にしろ、決定的な判断材料は無いように思っています」
神奈「言われてみれば、そうかも」
優「こういう場合『疑わしきは罰せず』。つまり『有罪という確たる証拠がない以上、無罪にすべき』というのが、刑事裁判の鉄則です」
萌演「推定無罪……」
未来「……」
伊藤「えっと……次の方」
未来「あ、はい。私は、その……どちらとも言えないというか」
重山「だとすると、無罪ですか」
未来「……はい」
神奈「言われてみれば、そうかも。私も無罪で」
酒巻「自分は、有罪に一票」
優「何か根拠がおありなんですか?」
酒巻「いいえ。ですがテストとはいえ、これまでの裁判制度を改め、陪審員制度が初めて実施された裁判なんです。これまでの常識に従うだけの判決で、良いのでしょうか?」
伊藤「と言いますと?」
酒巻「皆さん、多少なりとも『無罪』とする事に違和感をお持ちでしょう? だとしたら、それは民意です。それを判決に反映させるために、今回自分達が集められたんじゃないのでしょうか? 自分からは、以上です」
成田「何か、難しい事言われても、俺わかんねぇな。とりあえず、みんな無罪なんでしょ? だったら、俺も無罪で」
井ノ瀬「じゃあ、俺は有罪っスかね」
羽衣佳「は? アンタも?」
井ノ瀬「だって、せっかく陪審員になったんスよ? 有罪の方が面白そうじゃないっスか」
優「まったく……不謹慎ですよ」
井ノ瀬「そうっスか?」
敦子「私は……無罪にしようかしら。理由は……無くてもいいかしら? もう出尽くしちゃったから」
伊藤「良いと思います。これで一周しましたね。では、まだ言い残した事がある方は……」
萌演「伊藤さんの意見がまだですけど」
伊藤「私ですか? 僕は先ほど話にあった『一部報道』に携わった人間ですから。取材の過程では、被告人に非があったとは、正直思わなかったですね」
   アラーム音。
伊藤「どうやら、時間が来てしまったようです」
枡田の声「その通りです」
   部屋に入ってくる枡田(28)。
枡田「皆様、お疲れ様でした。ではただいまより投票に移らせていただきます」
    ×     ×     ×
   投票用紙に記入し、投票箱に投票する萌演ら陪審員達。
枡田の声「陪審員というのは古今東西、世界共通、全員一致が原則です」
    ×     ×     ×
   開票する枡田とその様子を見守る萌演ら陪審員達。
枡田の声「もし不一致の場合、全員一致するまで何日でも審議を続けていただきます」
枡田「(投票用紙を一枚一枚手にしながら)無罪、無罪、有罪」
   落胆する陪審員達。
枡田「以上、有罪三票、無罪九票。採決は持ち越しとなりました」
羽衣佳「ったく、さっさと帰りたいのに……」
重山「でも、一人減りましたね。まぁ、大滝さんではないんでしょうけど」
大滝「有罪だ。間違いない」
羽衣佳「コイツ、マジうぜぇ」
伊藤「まぁまぁ、皆さん落ち着いて」
枡田「では、ここからが日本版陪審員制度独自のシステムです。この一二人の中から審議に不要な方をお一人選び、その方を追放していただきます」
優「追放されたら、帰れるんですか?」
枡田「いいえ、審議が終わるまで別室で待機していただきます。もちろん、外部との連絡手段もございません」
重山「何もしないで隔離されるだけ、か。しんどいですね」
羽衣佳「絶対無理」
成田「じゃあ、俺でいいよ」
敦子「成田さん?」
成田「俺、難しい話はわかんねぇからよ」
伊藤「立候補でも良いんですか?」
枡田「追放者の決定方法は多数決ですから、皆様がそれで良ければ、構いませんよ」
伊藤「では、成田さんの追放の賛成の方、挙手をお願いします」
   全員が挙手。
井ノ瀬「ここは全員一致すんスか」
枡田「では成田さん、コチラへ」
成田「おう。じゃあね」
   枡田とともに出ていく成田。
萌演「追放、か……何か、人狼ゲームみたい」
井ノ瀬「わかるわ~」

○同・外観

○同・大広間
   やってくる枡田。
枡田「皆さん、午後の審議を始め……」
   萌演ら一〇人が着席しているが、羽衣佳の姿がない。
枡田「おや、お一人いないようですが?」
伊藤「柳さんがまだ見えてませんね」
井ノ瀬「寝てんスかね」
優「部屋に様子を見に行った方が良いんじゃないですか?」
枡田「わかりました。ただ、女性の部屋に行くとなると男一人で行く訳にもいきません。どなたか女性の方に一緒に行っていただきたいのですが……?」
敦子「私、行こうかしら?」
萌演「あ、いえ。年少者が行きます」
敦子「あら、そう? じゃあ、お願い」
枡田「では、参りましょうか」

○同・羽衣佳の部屋・中
   ドアを開ける枡田。萌演を促す。
枡田「先に入って頂けますか?」
萌演「あ、はい。(部屋を進みながら)柳さ~ん。起きてますか……!?」
   萌演の視線の先、羽衣佳の遺体。
萌演「(悲鳴)」
                   (完)

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