『HERO-1グランプリ』スピンオフその7 オムニバス

第19話『説明しよう、少年は伝説の武器に選ばれたのだ』 第20話『説明しよう、魔法少女ルナはカニスザウルスの花子なのだ』 第21話『説明しよう、正義マンはやがて神となるのだ』
マヤマ 山本 7 0 0 03/23
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第一稿

<登場人物>
警備員(7)(64) 第19話主人公
花子  第20話主人公
光木陽菜(4) 同
正義マン(34)/死神  第21話主人公

勇者(22)
村人(37) ...続きを読む
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<登場人物>
警備員(7)(64) 第19話主人公
花子  第20話主人公
光木陽菜(4) 同
正義マン(34)/死神  第21話主人公

勇者(22)
村人(37)
後輩(25)
軍人A、B
悪魔

守村ダン  ナレーション



<本編>
○森
   雷雨。
   T「第19話 説明しよう、少年は伝説の武器に選ばれたのだ」
ダンN「悪の魔王によって、人類の平和が脅かされていた頃……」
   モンスターと戦う魔法使い、僧侶、戦士ら勇者(22)一行。
ダンN「選ばれた者にしか抜くことが出来ないと言われる伝説の武器を求め、戦いの旅を続ける勇者達がいた」
   四人に守られながら進む村人(37)と少年時代の警備員(7)。
ダンN「そして、地元村人の協力を得て、その瞬間も間近に迫っていたのだ」
警備員「皆さん、もうすぐ森を抜けます」
勇者「おう!」

○岬
   森を抜けた先の岬。台座に刺さっている警棒(ただし見えているのがグリップ部分のみのため、剣に見えなくもない)。
   そこにやってくる警備員、村人、勇者一行。
勇者「これが、伝説の……」
村人「選ばれた者にしか抜く事が出来ないと言われております。しかし、勇者様ならきっと」
警備員「大丈夫だよ。だって、勇者様だもん」
勇者「ありがとう。では、いざ」
   警棒のグリップ部分を握る勇者。
勇者「伝説の武器よ。悪しき魔王を倒すため、我に力を!」
   警棒を抜こうとする勇者。抜けない。
警備員「?」
勇者「(気を取り直し)私にお力を!」
   警棒を抜こうとする勇者。抜けない。
勇者「あれ……?」
    ×     ×     ×
   その後も魔法使い、僧侶、戦士が抜こうとするも、抜けない警棒。
    ×     ×     ×
   落胆する勇者一行を励ます村人。
勇者「そんな……俺、勇者なのに……」
   その様子を見ている村人と警備員。
警備員「う~ん……抜けそうに見えるけどな~」
   警棒のグリップに手をかける警備員。その瞬間、雲の隙間から差し込む太陽の光。
村人「お、おぉ……」
   警棒を引き抜く警備員。
警備員「抜けた……。っていうか、これ、剣じゃないの?」
村人「ゆ、ゆ、勇者様!」
   警備員に跪く村人。
警備員「え……え!?」
後輩の声「ふ~ん」

○デパート・警備員室
   並んで座る警備員(64)と後輩(25)。警備員の警棒を見ている後輩。二人とも帽子は未着用。
後輩「そんな凄い警棒なんスね、コレ」
警備員「まぁな。……おっと、そろそろ休憩も終わりだ」
   警棒を手に席を立つ警備員。
後輩「次は受付っスか? それとも巡回?」
   帽子をかぶる警備員。
警備員「屋上で、ヒーローショーの警備だよ」

○地球・外観
   地球に落ちていく隕石。
   T「第20話 説明しよう、魔法少女ルナはカニスザウルスの花子なのだ」
花子M「地球に住む下等生物のみんな、こーんにーちはー」

○山奥
   隕石のような卵から生まれてくる花子。子犬のような外見。
花子M「私はカニスザウルスの花子だよ」
   歩き出す花子。行く手を阻む巨大な岩。
花子M「遠く宇宙からやってきたこの私にとって」
   念じる花子。岩を破壊する。
花子M「これくらいの事は朝飯前だよ」
   再び歩き出す花子。前方に何かを見つける。
花子M「まずはこの星の生態系調査を……ん?」
   泣いている光木陽菜(4)。
花子M「早速人間キターッ!」
   陽菜に駆け寄る花子。
花子「ねぇ、人間。あなた、名前は?」
   泣き続ける陽菜。尚、花子の言葉は人間には通じない。
花子「何で泣いてるの? 何があったの?」
   泣き続ける陽菜。
花子「あ~、コレ通じてないな。この星の人間の知能レベルは、別の動物の言葉が理解できない程度って事か……」
   多数の足音。
花子「ん?」
   振り返る花子。隕石の落ちた場所に向かってやってくる地球防衛軍の面々。
軍人A「反応は、この辺だよな?」
軍人B「しかし、隕石か。またあのお嬢様とやらが何かしたのかね……ん?」
   花子に気付く軍人達。
軍人B「あれは……犬?」
軍人A「いいや、宇宙から飛来した怪獣に違いない。総員、撃て!」
   花子に銃口を向ける軍人達。
花子「まったく、下等生物のクセに生意気な。みんなまとめて……」
陽菜「危ない!」
   発砲する軍人達。花子を庇う陽菜。そのまま崖を転がり落ちる花子と陽菜。
花子M「え、ちょっ、ちょっと~」
    ×     ×     ×
   崖の下。目を覚ます陽菜と花子。
陽菜「もう、痛いじゃん……ん?」
   花子と自分の体を交互に見る陽菜。
陽菜「あれ……私?」
花子「え……何この体?」
陽菜「もしかして」
花子「私達」
陽菜&花子「入れ替わってる!?」
軍人Aの声「居たぞ!」
   見上げる陽菜。崖下に銃口を向けている軍人達。
陽菜「しつこいな~。イベント発動、土砂災害」
   崖崩れが起き、軍人達が皆巻き込まれる。
陽菜「おぉ……」
   自分の体を確認する陽菜。
陽菜「コレはコレでアリかも。(花子に)ね?」
   涙目で首を横に振る花子。

○交差点
   交通量の多い道路。歩行者用信号のボタンを押す通行人。
   T「第21話 説明しよう、正義マンはやがて神となるのだ」
   車の流れが途絶えたのを見て、信号が変わる前に横断する通行人。その背後に姿を見せる男、正義マン(34)。
正義マン「おい、ボタン押したんだから、信号変わるまで待ってろよ」
   一瞬怪訝そうな顔をするものの、そのまま横断して立ち去る通行人。
正義マン「ったく、お前みたいな奴がいるから、世の中が腐っていくんだよ。いっそ、死ね」
   周囲の人から冷たい視線。

○激安スーパーマーケット
   籠を持たず、複数の賞品を手にレジに並ぶ買い物客。その前に並ぶ正義マン。
正義マン「そんだけ買うなら、籠使えよ」
   怪訝そうな顔をし、別のレジに並び直す買い物客。
正義マン「頭悪ぃヤツだな。バカは罪なんだよ。いっそ、死ね」
   周囲の人から冷たい視線。

○道路
   自転車で左側を走る正義マン。そこに向かってくるように、逆走してくる自転車の男。
正義マン「危ねぇな。自転車は左側だろ!」
   無視して去っていく自転車。
正義マン「お前みたいな奴が事故で人殺すんだよ。殺す前にいっそ、死ね」
   周囲の人から冷たい視線。
正義マンの声「俺は間違った事は言ってない」

○雑居ビル・外観
   飛び降りたら死にそうな高さのビル。
正義マンの声「なのに何で、俺の声は届かないんだ?」

○同・屋上
   縁に立つ正義マン。
正義マン「こんな世界、俺がわざわざ時間と労力を割いてまで、生きてやる価値なんてない」
   飛び降りる正義マン。
   その途中、空中で止まる正義マン。
正義マン「……え?」
悪魔の声「そうだ、お前は正しい」
   正義マンの隣に姿を見せる悪魔。
悪魔「間違っているのは、人間だ」
正義マン「誰だ!?」
悪魔「俺は、お前を過去に飛ばす事が出来る者だ。どうだ? 過去に飛び、人類を作り直す神となる気はないか?」
正義マン「俺が、神に? 俺が理想とする世界を作れるのか?」
悪魔「そうだ。どうする?」
正義マン「……一度は捨てた命。それも一興か」
悪魔「契約成立だな」
   正義マンの姿が、死神に変わる。
悪魔「お前は今から、生と死を司る神だ」
死神「生きる価値のない人間よ。いっそ、死ね」
               (その7 完)

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