建設的なロボット開発 SF

小暮博士は、今日も社会のためになるロボットを作る。人間が嫌なことは全部ロボットに押し付けようという算段だ。恋愛が面倒くさい。労働が面倒くさい。人生が面倒くさい。これが最高のロボットを活用した福祉だ。
木村デアル 12 0 0 04/15
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第一稿

チャイムが鳴る。

博士  はいはーい、今行くからね。

博士、戸をあける
局員上手いり

局員 あーどーもどーも、先生。わたくし、AI福祉局員の島田一と申します ...続きを読む
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チャイムが鳴る。

博士  はいはーい、今行くからね。

博士、戸をあける
局員上手いり

局員 あーどーもどーも、先生。わたくし、AI福祉局員の島田一と申します。本日はお忙しい中お時間作っていいただき誠にありがとうございます。

局員名刺を手渡す。

博士 まぁいいんだよそんなことは、とりあえず上がりなさい。
局員 ありがとうございます。じゃあお邪魔します。

局員家に上がる。下手側に案内して椅子に座る。

博士 で、私に協力して欲しいことがあるって言ってたね。一体どうしたの。
局員 あのですね~。実はこの度AI福祉局ではAIロボットを使った、公共サービスなるものを考えていてですね。それにつきましてはAI・ロボット研究の世界的権威小暮先生の進言を頂きたく参りました。
博士 AIロボットを使った福祉ね・・・。なんだか面白そうじゃないか。ちょっと待て。

博士おもむろにメモを取り出し何かを書き出す。すると部屋の奥から博士の発明品であるAIロボットがやってくる。
AIロボット下手いり

ロボ 小暮さん、お客さんですか。なんで来ることを言わないんですか。お茶と菓子の用意くらいしたのに。そんな風に寡黙を気取ってるからいつまでも結婚できないんですよ。あなたはいつもそうなにかを頼むときはあれやって、これやって、なにやって。あなたはコミュニケーションが何たるかを・・・。
局員 いやー。別にお気遣いなく。お仕事の依頼で立ち寄っただけですので。
博士 うるさいよ、気が散る。しっし。

ロボに向けて退室を促すジェスチャー。

ロボ 全く、癇癪持ちなんだから。せめて使用人としての務めくらい果たさせてください。

ロボ退室

局員 使用人の方ですか?せんせーいあんな邪険に扱っていいんですか。
博士 いいんだよ。あんなの。あれうちのロボットだから。
局員 え、は、あれロボットなんですか。全然見えないですよ。まるで人間じゃないですか。
博士 いやーあれは実に人間らしく作ってみたんだけど、あんまいいものじゃないね。人並み以上に賢く作ったものだからなにかある毎に小言が尽きないんだよ。人間らしいロボット反対。絶対反対。
局員 色々苦悩があるんですね。

博士書いてたメモを局員に見せながら

博士 あ、でーこんなのはどうかな。

局員渡されたメモを読む。

局員 恋愛ロボット?
博士 そうだ、恋愛ロボット。恋愛っていうのは実に面倒くさい恋仲になるまでとんでもなく煩わしい迂回路のような策略を練って意中の人を落とさなければいけない。このロボットはそんな煩わしい工程を全スキップして恋人を演じてくれるんだ。
局員 でも結局はさっきの使用人ロボットみたいに小言が多くなって疲れるだけなんじゃないですかね。
博士 じゃあ自我を消そう。ひたすら従順に理想を演じてくれる恋人、最高じゃないか。
局員 なるほどそれなら上手くいきそうですね。
博士 実はもう試作機を作っていてだね。
局員 さすがですね。先生。
博士 ちょいとお待ちよ

下手からロボット一体をもってくる
恋愛ロボット下手いり

局員 へーよく出来てますね。それになかなか男前じゃないですか。これならイチコロ間違いなしですよ。
博士 そうだろ。男前なんだよ、こいつ。女の子は喜ぶんじゃないか。
局員 僕、これを少女漫画みたいな展開を夢見る女どもに一刻も早く届けてあげたいです。
博士 よし、そうと決まったら早くこれを届けるんだ、一刻も早く。

玄関まで強引に押す。

局員 じゃあ有り難くいただきます。成果の報告は一ヶ月後
ぐらいにまた訪ねますね。
博士 楽しみに待っているよ。

局員上手はけ
青転
チャイムが鳴る。

博士 はいはーい。今行くからねー。

戸を開ける。

局員 どうも先生。恋愛ロボットの報告に参りました。
博士 はいはい、上がりなさい。

局員家に上がる。博士下手側にある椅子に案内。

博士 で、どうだね成果は。
局員 報告書を読み上げたいとおもいます

局員バインダーを開いておもむろに読み始める

局員 恋愛ロボットははじめに世田谷区に住む一人暮らしの女子大生の自宅に派遣されました。あのロボット男前でしょ。女子大生は大層喜んでいたそうです。
博士 ほーそれでそれで

女子大生と恋愛ロボット上手いり。
舞台半分で報告書の内容を再現する。女子大生と恋愛ロボットが向き合っている。

女 うーんなかなかイケメンじゃん。福祉最高。
恋ロ ・・・。
女 あー、カッコいい。もうキュン死しそう。あっあそんなに見つめないで。
女 ねーなんか喋ってよー。つまらない。

恋愛ロボット女子大生に距離を強引詰める

女 いっ意外と積極的なんだね・・・。

局員 そして恋愛ロボットは私達がタイピングで入力した甘い胸キュン不可避な言葉を ささやきました。

恋ロ オマエ、オレノカノジョナンダカラ、ダマッテマモラテリャイインダヨ
女 え?
恋ロ オレノオンナ二ナレヨ
女 ・・・。
局員 そして終いにはその手を上げ、

恋愛ロボット壁ドンをする
機械音SE 建物の倒壊が分かるSE
女子大生と恋愛ロボットはけ

局員 そのアパートは全壊しました。一瞬の出来事だったそうです。

女子大生と恋愛ロボット上手はけ

博士 ちょっと待てこれじゃただのサイコキラーロボットじゃないか。ああああ人類への反逆だあぁ。
局員 えっとあなたが作ったんですよ。まぁ失敗ですね。奇跡的に怪我人はいなかったそうなんでよかったです。
博士 悪い。取り乱した。実はあのロボットのアーム、産業用のパーツで代用したんだよね。すっかり忘れてた。ハッハッハ。そりゃすごい力でるはずだよ。
局員 それにその女子大生のアパート、レオパレスだったらしいんですよ。
博士 あぁレオパレスね。しょうがないね。施行不良だからね。薄い壁だからね。いやーでもほんとに申し訳ないことをした。レオパレス代含めて全額弁償させてくれ。
局員 何言ってるんですか。先生はそんなこと気にしないでください。革新に失敗は付き物ですよ。次もよろしくお願いします。
博士 ありがとう。そういってくれると助かるよ。
局員 今回のロボットなにが悪かったんですかね。
博士 人間らしさを消しすぎた。やっぱりもっと忠実に人間を再現する必要がある。
局員 たしかにそうですね。
博士 じゃあ次はこういうのはどうだ。

博士メモを見せる。

局員 労働ロボット?
博士 2xxx年。我が国日本では老人10人を一人の若者が支える超超高齢化社会を迎えている。近代国家として破綻寸前だ。なのに政府は頑なに移民を受け入れず人口は年々下がる一方、深刻な労働者不足に陥っている。その労働力を補うのがこの労働者ロボットだ。
局員 ほぉ。さすがです先生完璧じゃないですか。労働力を補いつつ人間がやりたくないものを押し付けることができる。一石二鳥ですね。
博士 ちょっと待てて。それももう作ってある。

博士下手から労働者ロボットを持ってくる。
恋愛ロボット下手いり

労ロ どうもはじめまして。労働ロボットです。よろしくお願いします。
局員 へーよく出来てますね。なかなか男前じゃないですか。っていうか恋愛ロボットと顔同じですね。
博士 うん、使い回しだ。早速持っていって労働者不足に苦しむ会社を助けてあげてくれ。
局員 はい。じゃあ有り難くいただきます。成果の報告は一ヶ月後にまた訪ねますね。
博士 楽しみに待っているよ。

玄関まで強引に押す
局員上手はけ
青転
地明り
チャイムが鳴る。

博士 はいはーい。今行くからねー。

戸を開ける
局員上手いり

局員 どうも先生。労働ロボットの報告に参りました。
博士 はいはい、上がりなさい。
局員家に上がる。
博士 で、どうだね成果。
局員 報告書を読み上げたいとおもいます。

局員おもむろにバインダーを広げる。

局員 労働ロボットは新宿区にある浦島商事の事務職として派遣されました。その働きぶりは目を見張るものがあったと聞いております。
博士 ほーそれでそれで

労働ロボット上手いり、リュックを前で持ち、満員電車に乗っている。

博士 我が愛ロボットは通勤をしているのか。
局員 はいこれは通勤6日めですね。なんかすごいやさぐれてますよねぇ。

通勤ロボット会社に到着した様子で、パソコンを広げ事務仕事を始める。

局員 すっごい働いてますよ。どうやら、お昼の休憩もとってなかったらしいです。
博士 これがロボットの利点だよね、一日一回の給油で、無限に働ける。全自動社畜万歳。

上司上手いり

上司 うぃっす新人君、お疲れ。頑張ってる?
労ロ お疲れ様です。めっちゃ大変で嫌になっちゃいますよ。
上司 そっか、でもここで経験積んどけー。ここに慣れれば他どんな職場も楽に感じるからさ。
労ロ そっそうですよねがんばります。
上司 よしってことで今日も残業いっちゃいますか。
労ロ はっはい。
上司 あっあとさお前休日も出勤できるようにいつでも準備しとけよ?
労ロ うっうぃっす・・・。

上司、労働ロボット上手はけ

博士 超ブラックじゃないかーー。我が子をなんて所に就職させているんだ。
大体こんな仕事をさせるために名門大学に入れたわけじゃないんだよ。こんな惨状を妻が知ったら泣き叫ぶぞ。
局員 先生は天涯孤独です。妻も子供もいません。なにもありません・・・。それにロボットなんですから長時間労働も問題ないはずです。
博士 すまない、取り乱した。でその後はどうなった。
局員 そんな残業生活が2週間程続いたそうです。

労働ロボット、上司入室。なにやらパソコンで作業をしている。
しばらく作業した後労働ロボットがいきなり立ち上がる。

上司 おい、どうした。
労ロ ・・・。
上司 おい
労ロ 俺、会社辞めます。
上司 大丈夫か、ちょっと疲れてんじゃないの?頑張りすぎだよ。今日は帰ってゆっくり休みな。
労ロ 俺、こんな所でこき使われて一生過ごすなんて無理です。辞めさせてください。
上司 は?お前さー拾ってもらったんだよな?辞めるって恩を仇で返す気?大体お前みたいな使えない奴どこの企業も必要としてないって。大人しく仕事しとけよ。な。
労ロ ・・・。

上司上手はけ
SE雑踏 会社の屋上へ
中央サス

労ロ もうだめだもうだめだもうだめだもうだめだもうだめだ
塀を乗り越えて身を投げ出す。
暗転
落ちたと分かるSE
明転

局員 そして、新宿の街の鉄くずとなりました。
博士 んーーーー。ちょっと人間らしくしすぎたな。
局員 ほんとですよ。なにも飛び降りる前の数日間なんか人生とはなにか、俺ってなんなんだとかずっとブツブツ言ってたらしいですよ。気持ち悪い悪い。
博士 ロボットに哲学なんかいらん。ロボットのくせに人生なんか考えるな。
局員 そのとおりですよ。
博士 いやーでも申し訳ないことをしたね。ごみ収集代も含めて全額弁償させてくれ。
局員 なに言ってるんですか、革新に失敗は付き物ですよ。
博士 そう言ってくれると助かるよ。でもすっかり自信なくしちゃったなぁ。
局員 人間がやりたくないことをロボットに押し付けるっていう発想は間違っていないと思うんですよ。あとはなにを押し付けるかってことだと思うんです。
博士 ほぉ、というと何か案でも?
局員 僕、凄いこと思いついちゃいました。先生のロボット貸して頂けませんか。
博士 それはいいんだけど何をする気なんだ。
局員 それは後のお楽しみということで。

暗転
局員はけ
チャイムの音
明転

博士  はいはーい、今行くからね。

博士、戸をあける
局員上手いり

局員 ご無沙汰しております。
博士 やー。で、どうあの後上手くいった?
局員 先走らないで下さいよ。今から報告書を読み上げますから。
博士 あ、すまないすまない。
上がってくれ。

席に着く。
局員おもむろにバインダーを開く

局員 では新AI福祉ロボット、人生ロボットの報告に移りたいと思います。
博士 人生ロボット?
局員 人生ロボットは生活に困窮している浦島商事で働く男性の元に派遣されました。

舞台半分で報告書の内容を再現する。
男性上手いり

博士 ちょっと待て、何人生ロボットって。
局員 言葉のとおりですよ。恋愛よりも労働よりも何が一番つらいって人生そのものです。そんな辛い人生をロボットに任せようと考えました。
博士 んー。理屈は分かるんだけどさ。どうやって人生ごとロボットと変わるの。
局員 まぁ見てて下さいよ。

舞台半分にいる男性が苦しそうな顔をしている。

男性 俺の人生なんなんだ、俺ってなんなんだ。生きるってなんなんだ。

人生ロボットが近寄って来る。男性の肩を叩く。

人ロ 変わる?
男性 うぃい

男性はける。ロボットが苦しそうな顔をする。

人ロ 俺の人生なんなんだ、俺ってなんなんだよ。生きるってなんなんだ。

博士 え、どういうこと。あの男の人結局どうなったの。
局員 今頃南国の楽園とかで幸せに暮らしてますよ。多分。
博士 なるほど人生を全て肩代わりしてくれるのか。最高じゃないか。
局員 そうです。これぞ最高の福祉です。
博士 でも国民全員分の人生ロボットを作るのは難しいぞ。たくさんの時間、お金、工夫が必要だ。並大抵の労力じゃ済まない。
局員 しかし人間が幸せになるためにはこれしかないと思うんです。
博士 君は最高の福祉を本気で実現させる気はあるのかい。私はとてもじゃないけどそんな働けないぞ。
局員 先生、落ち着いて下さい。

人生ロボットと使用人ロボット上手いり

人ロ 変わる?

博士 ういぃ

博士と局員上手はけ
暗転

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