喜劇!トンデモ授業参観1 コメディ

小学校3年のあるクラスの授業参観で行われた伝言ゲームの結果を見て大笑いする担任の若い女性教師を見た親達が、子供達の前でその教師を非難する。ぼう然とする子供達を差し置いて、それは騒動に発展する。
NeriJ 3 0 0 01/18
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第一稿

◯ある小学校の3年生のあるクラスの教室。

今日は授業参観日で、今は国語の授業中。
生徒の親達は教室の後ろで柔かに我が子を見守っている。
担任の若い女性教師は、言葉を正しく ...続きを読む
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◯ある小学校の3年生のあるクラスの教室。

今日は授業参観日で、今は国語の授業中。
生徒の親達は教室の後ろで柔かに我が子を見守っている。
担任の若い女性教師は、言葉を正しく伝えることの大切さについて熱心に話している。
言葉が正しく伝わらないと良い人間関係を築く事ができない、と。
そこで女性教師は伝言ゲームをする、と言い出す。

女性教師「これから伝言ゲームをします。伝言ゲームは言葉を正しく聞き、正しく話すことの良い練習になります。また正しく伝わらなかった場合に何が起こるのかを体験するよい機会にもなります」

頷いて聞いている親たち。

1チーム10名の3チームがチーム毎に1列に立って並ぶ。
女性教師が同じ伝言を書いた紙を各チームの先頭の生徒に渡す。
女性教師の「スタート!」の掛け声で、生徒は次々に耳打ちをしながら伝言を伝えていく。
最後尾の生徒が伝言の内容を紙に書いて女性教師に渡す。
3チームから受け取った紙を見ていた女性教師は突然大声で笑い出す。
ほとんど「バカ笑い」と言ってよいくらい品のない笑い声。

甲高い笑い声で笑っている担任の若い女性教師と、その様子を怪訝な面持ちで見つめる生徒とその母親、父親たち。

父親A 「先生、何がそんなにオカシイのですか!」
母親A「そうよ、失礼じゃないの!?」

女性教師は腹部を押さえて笑い続ける。

父親A「こんな不愉快な授業参観は初めてだ。こっちは忙しい中時間を割いて来ているのだ。この件は学校、いや教育委員会に報告させてもらう!」

父親Aは憤慨して教室を出て行く。
女性教師はハンカチで涙を拭いながら笑いを堪えようとしている。
その様子をぼう然と見つめる生徒たち。

母親B「先生、いったい何がそんなにオカシイのですか?」

女性教師が笑いを押し殺して答える。

女性教師「す、すみません」

そう言いながらも女性教師は声を殺して笑い続ける。
それを見てざわめき始める親達。

母親B「その紙に何が書かれていたのですか、先生?」

母親A「ちょっとその紙を見せなさい!あなたその紙を読んで笑ったんでしょう!」と声を荒げる。

その声で女性教師の顔からやっと笑いが消える。

女性教師「この場ではお見せしない方が良いと思います」

女性教師は手にしていた紙を紺のジャケットのポケットにしまい込む。

母親A「あなた非常識じゃないの?何が書いてあったか知らないけど、大勢の親の前であんなバカ笑いをするなんて!私達を馬鹿にしてるの!?」

この不穏な空気にアングリと口を開ける子供たち。

母親B「先生、取り敢えず授業を続けて下さい。子供たちが不安になっています」

母親A「駄目です!こんな状態でまともに授業を続けられるわけないでしょ!」

「そうよ」と他の親からも声が上がる。

女性教師「笑ってしまった件はすみません。子供たちのためにも授業を続けた方が良いかと」

母親A「何が子供たちのためよ!あなたそんな事を言えた義理なの?あんたが授業をめちゃくちゃにしたんじゃないの!」

頭を振りながら1人の親が教室を出て行く。
子供たちはすっかり怖気づいている。

母親A「いいからその紙を見せなさい!!」

母親Aは女性教師に歩み寄る。
泣き出す1人の女子生徒。
それを見た母親Bが言う。

母親B「やはり授業を続けた方が…」

すかさず母親Aが言う。

母親A「あなたねぇ、こんな小娘にバカにされて平気なの?私は許しませんよ。子供にとってもねぇ、目の前で自分の親がこんなふうに侮辱されるのをただ見ているだけでは、それこそ教育上良くないわよ。正しくない事を正すのを見せるのも教育なの!」

母親Bは俯いてしまう。

女性教師「分かりました。お見せしますので廊下に出て下さい」

女性教師と母親Aが廊下に出て行く。
静まりかえった教室内。
しばらくすると女性教師と母親Aの怒鳴り合う声が聞こえてくる。
凍り付く生徒たち。
騒ぎを聞いた他の教室の教師たちが集まってくる。
1人の教師がその静まりかえった教室に入って来る。

その教師「しばらく自習をするように」

その教師はそう言うと、女性教師と母親Aを何処へ連れて行く。

廊下には3枚の紙が落ちていて、それぞれにこう書かれている。

「しゅうねんの母の初ゲット」
「10年の赤の鉄バット」
「ちゅうねんのババアのあつげしょう」

残された教室からは、自習する生徒たちの鉛筆がノートの上を走る音だけがカサカサと聞こえている。

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