「闇の先にある光」 ホラー

キャンプの帰り道、パンクと携帯の圏外で立ち往生した知美と敦彦は、光を求めて不気味なトンネルへ入る 。トンネル内で不穏な出来事に見舞われながらも脱出するが、たどり着いたのは民家だった 。そして親切な老夫婦の正体を見て知美は愕然としてしまう。
あゆむ。 14 0 0 08/16
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第一稿

※闇の先にある光

〇登場人物

〇弓削知美(26)
〇藤田敦彦(27)
〇露木周(70)
〇露木トメ(68)
〇トンネルに居る男



〇車内
   音 ...続きを読む
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※闇の先にある光

〇登場人物

〇弓削知美(26)
〇藤田敦彦(27)
〇露木周(70)
〇露木トメ(68)
〇トンネルに居る男



〇車内
   音楽をかけ運転している藤田敦彦(27)
   と助手席に座っている弓削知美(26)
知美「しかし二人でキャンプってのもねぇ」
敦彦「仕方ねぇよなぁ、祐樹や舞子も誘ったん
 だけど、急用入ってこれねぇって言ってたし。
 予約もキャンセルしたら金取られるしさ」
知美「私、アウトドアあんまり好きじゃないし…」
敦彦「そんな知美も楽しめる所なんだよ」
知美「本当に?」
敦彦「本当に!」
知美「まぁ、泊りって訳でもないしそこまであっくんが言うのなら」
   車がキャンプ場に着く。
敦彦「よし、着いた」

〇キャンプ場・中・調理場
   バーベキューの準備をしている知美と敦彦。
敦彦「じゃ、この串に肉と野菜交互に刺していって」
知美「こう?」
敦彦「そうそう。なんだ知美、結構楽しそうにやってんじゃん」
知美「まぁね。ここまで来たんだから、楽しもうって切り替えたの。はい、これ」
敦彦「よし、これくらいでいいだろ。俺、火を起こすからちょっと待ってろ」
  炭に火をつけ始める敦彦。
  その姿をみつつ、周りを見る知美。
  恋人同士や、家族ぐるみ、友達同士等それ
  ぞれバーベキューを楽しんでいる。
知美「まぁ、やってみれば楽しいもんね」

〇キャンプ場・駐車場(夕)
   バーベキューを終え車に乗り込む知美
   と敦彦。
知美「あぁ、お腹いっぱいだ。美味しかった!」
敦彦「最初、乗り気じゃなかったのに」
知美「ごめんってば」
敦彦「なっ?たまには自然に囲まれて食う飯
 も悪くないだろ?」
知美「うん」
敦彦「よしっ!じゃあまた今度来ような。その
 時は今日来られなかったあいつらも呼んで」
   笑顔で頷く知美。

〇車内(夕)
   敦彦が運転をし助手席でコーヒーを飲
   んでいる知美。
   走行中に「パンッ」と、音がしブレーキを踏む敦彦。
知美「え?どしたの?」
敦彦「何か、踏んづけたかな…パンクしてないといいけど」
   車から出て行く敦彦。

〇車外
   敦彦がタイヤを見ている。
   ウィンドウを開け顔を出す知美。
知美「どう?やっぱりパンク?」
敦彦「あぁ…釘踏んだみたいだ」
知美「えぇ…マジ?どうすんの?」
敦彦「電話で修理依頼するか」
   車内に戻りスマホを見る敦彦。
敦彦「あ、圏外だ…知美のスマホはどう?」
知美「あっ私のも圏外だ…さっきまで電波拾ってたのに」
   スマホを振って電波を拾おうとしている知美。
敦彦「だめだ、これじゃ立往生だ」
知美「えぇ…」
   × × ×(時間経過・夜)
知美「ねぇ、もう暗くなってきたよ、どうすん
 のよこれ」
敦彦「仕方ないだろ。連絡の手段がねぇんだし。車が通ってくれたらいいんだけど、通
 らねぇよなあ…」
知美「こんなとこで朝までなんて嫌だからね」
敦彦「(ムッとして)分かってるよ…」
   敦彦が先にあるトンネルを見る。
敦彦「なぁここ来る時トンネルとかあったか?」
知美「えぇ?無かったと思うけど?」
敦彦「来た道、戻ってるはずなのに、何で行きに通ってないトンネルがあるんだ?」
知美「道、どこかで間違ったんじゃないの?」
敦彦「ほとんど、一本道だったから間違えねぇよ…」
   溜息を付く知美。
敦彦「なぁ、あのトンネルの先良く見てみろよ。
 何か光ってないか?」
   目を凝らしてトンネルを見る知美。
知美「そう?」
敦彦「ちょっと、トンネル通ってみないか?」
知美「えっ!やだ!真っ暗の中歩いて行くな
 んて」
敦彦「でも、ここでずっと朝までって訳にはいか
 ないだろ?知美だってそんなの嫌だって言っ
 てたじゃん」
知美「…」
敦彦「スマホのライト点けて行けば少しは大丈夫だろ」
知美「分かった…」

〇トンネル・入口(夜)
   スマホのライトを点けてトンネルの中に
   入っていく知美と敦彦。

〇同・中(夜)
   ライトを照らしながら歩いている知美と
   敦彦。
敦彦「な?トンネルの先の方何か光見えるだろ?」
知美「う、うん…」
敦彦「あの光、信じて行こう」
   ゆっくりと進む知美と敦彦。
   知美が首筋に何か触れたように感じる。
知美「キャッ!」
敦彦「どうした?」
知美「な、何か首筋に触れたような…」
敦彦「(笑って)んなの、気のせいだって」
知美「えぇ、だって…」
敦彦「大丈夫だって。ちゃんと手も握ってるだろ?」
知美「…」
   男の呻き声が聞こえ出す。
敦彦「え…」
知美「ねぇ、今聞こえたよね?何か呻き声聞こえ
 たよね?」
敦彦「あぁ…」
知美「ねぇ、やっぱ引き返そうよ?車の中で朝ま
 で待ってたらきっと車も通るし形態もつながるかもしれないじゃん」
敦彦「でも」
知美「でもじゃないって!聞いたでしょ?呻き
 声。変な人とか、もしかして幽霊?とか居るか
 もしれないじゃん」
敦彦「そうだな…」
   二人が振り返り来た道を戻ろうとするが真っ暗になっている。
敦彦「ん?トンネルの入り口が見えない」
知美「嘘でしょ?」
   スマホのライトを揺らしてみる知美。
知美「えぇ…何で入り口が無いの?」
敦彦「どうなってんだよ」
   男の呻き声がまた聞こえてくる。
   敦彦にしがみつく知美。
知美「ねぇ、呻き声近くなってきてない?」
敦彦「あぁ…」
知美「ねぇ、どうしたらいいの。もぅ怖いって…」
敦彦「落ち着けって。取り合えず来た道戻ってみう。道は一本道だから、来た道戻れば大丈夫な 
 はずだ」
知美「うん…」
   踵を返し来た道を戻ろうとする二人。
   知美の足首に、何者かの手が掴む。
知美「ヒィッ!」
敦彦「どした?」
知美「(声が震え)あ、あっ…」
敦彦「知美?」
知美「(声が震え)あ…足に…何か」
敦彦「足?」
   二泪がゆっくり視線を下ろすと血だら
   けにになり瀕死状態の男が知美の足を掴んでいる。
   知美の絶叫。
男「うっ…うぅ…」
知美「何よ!離してよ!離して!」
   足をばたつかせる知美。
敦彦「なんなんだよ、てめぇ!」
   男の手首を踏みつける敦彦。
   唸り声を上げ、知美の足首から手を離す男。
知美「もぅ嫌だ!嫌っ!」
   パニックになる知美。
敦彦「知美、落ち着け!俺から手を離すなよ」
知美「うん」
   知美の手を握ってトンネルの出口方向
   へ全速で走っていく二人。
男が呻きながら手を伸ばしている男。
男「あ…そっちは…」
知美「ねぇ、こっちで大丈夫なの?」
敦彦「先見てみろ」
知美「え?」
敦彦「光が見えるんだよ。何かあるはずだって」
   光の方へ走っていく二人。

〇トンネル出口(夜)
   息を切らし、トンネルから出てくる知美と敦彦。
知美「ハァハァ…何とか出られた」
敦彦「あぁ。ハァハァ…」
街灯を見上げる敦彦。
敦彦「光って、この街灯の事だったのか…」
   辺りを見渡す知美。
知美「ねぇここ、どこ…?」
敦彦「何か、すっげぇ田舎なとこに出ちゃったな」
知美「暗くて、必死に方向分からないまま走っ
 たから入ったと所と反対側に出ちゃったのね」
敦彦「それにしても、さっきの入口とここ景色
 が全然違うな…」
知美「うん…でもやっとトンネルから出られたんだからちょっと歩いてみない?どこかに道
 が繋がってるかもしれないし」
敦彦「あぁ…確かに」
   × × × 
   少し歩くと古びた家が見えてくる。
敦彦「何か家が、結構見えてきだしたな」
知美「どこか、尋ねてみない?」
敦彦「そうだな。いつの間にかスマホ充電切れ
 てたし」
知美「私も」

〇民家・前(夜)
   知美と敦彦が来る。
   引き戸をノックする敦彦。
女の声「はーい」
敦彦「夜分遅くすみません」
   女露木トメ(68)が引き戸を開ける。
トメ「はい」
知美「すみません、私達道に迷ってしまったみ
 たいで」
トメ「あらぁ…(奥に向かって)お父さん!」
   奥から出てくる夫の周(70)
周「おぉ、どした?」
トメ「若いお二人が道に迷ったって」
   周に礼をする知美と敦彦。
周「そうか。ここよく道を間違えて迷子になる
人達が良くいるんじゃ。さぁ入りなされ」
知美「いいんですか?」
周「えぇよ。ワシらはこういうの慣れとるから」
トメ「さぁ、お上がりになって」
知美・敦彦「ありがとうございます」

〇同・台所(夜)
   周が包丁を研いでいる。
   風呂上がりの敦彦が来る。
敦彦「あ、お風呂頂きました」
周「はいはい。居間の方で妻が布団敷いてくれ
 てますからゆっくり休んで下さい」
敦彦「ありがとうございます」
   真面目な顔をして包丁を研いでいる周。

〇同・和室(夜)
   敦彦がくる。
   知美とトメが布団を敷いている。
敦彦「すみません、お風呂まで頂いて」
トメ「いいえ、お二人もこれで少しは疲れ取れ
 たでしょ?」
知美「ねぇ、さっきのトンネルの話したんだけ
 ど、あそこ時々変な人が出るんだって」
敦彦「そうなのか?」
トメ「あのトンネル、ここの住民の人達使わない
 んですよ。近道にはなるんですけど、昔から
 変な人が出るって言って」
敦彦「警察とか言ってないんですか?」
トメ「言っても、取り合ってくれないのよ。だ
 から諦めて近寄らないようにしてます。明
 日は遠回りになるだろうけど道案内しますか
 ら」
知美「ありがとうございます」
トメ「じゃ、早くおやすみになって」
敦彦「はい、本当にありがとうございました」
知美「おやすみなさい」
   × × × (時間経過・深夜)
   知美が寝ているが、傍でグサッグサッと音がし目を覚ます。
知美「ん…?何の音?」
   知美が首だけを敦彦の方に向ける。
知美「!!!」
   トメが敦彦の口を塞ぎ周が馬乗りになって腹を包丁で何度も刺している。
知美「ヒィッ!」
   知美の声にトメと周が気付く、
   身体を震わせながら起き上がる知美。
知美「な、何してるんですか…」
周「何してるって?」
トメ「食料を調達してるのよ」
知美「何言ってんですか。ちょっと敦彦!」
周「もう息はしとらん!苦しまずに処理したから心配するな!」
トメ「さて、次は…」
知美「止めて…」
   ゆっくりと知美に近づく周とトメ。
   知美は腰が抜けて体が動かない。

〇トンネル・中
   壁に座り込み荒く呼吸をしている男。
   知美の絶叫。
男「あぁ、また餌食が…」

〇露木家・居間(夕)
   テーブルに沢山の肉料理を並べていくトメ。
トメ「お父さん。ご飯 出来ましたよ」
   笑顔で周が来る。
周「おぅ、飯だ飯だ」
トメ「良いお肉が入りましたからね」
周「これでまた長生きできそうだな」
トメ「えぇ」
周「じゃあ頂きます」
トメ「頂きます」




         終。

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