もしもあの時あの場所で彼らに力があったなら 舞台

ここは、正体の知れぬ魔法が存在する世界。 額に手を当て、ある言葉を言うだけで人は簡単に倒れていく。 ある日、その魔法によってみんなに慕われていたラーナーがやられてしまう。 ラーナーの敵をうつため。魔法の正体を暴くため。 5人の少女たちは兵士に立ち向かっていく。 演劇台本
クロウチ 9 0 1 07/24
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第一稿

L・O

(カラフルなロアー)
(なにかBGMまたは動きに合わせてSE)
・ラーナー、母、レヴィ、カプラン、ハイム、スピラの順で下手から上手奥にかけて並んでいる
・ヘス、 ...続きを読む
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L・O

(カラフルなロアー)
(なにかBGMまたは動きに合わせてSE)
・ラーナー、母、レヴィ、カプラン、ハイム、スピラの順で下手から上手奥にかけて並んでいる
・ヘス、中央で客側を向いて立っている
・ヒードラー、上手で下手側を向いている
・ヒードラーは少しずつ声量を上げていく

ヒード …

・ラーナー、倒れる

ヒード …ブ…

・母、倒れる

ヒード ハイ…

・レヴィ、倒れる

ヒード ハ…ブ

・カプラン、倒れる

ヒード ハイブ…

・ハイム、倒れる

ヒード ハイブ

・スピラ、倒れる
・ヒードラー、客側を向いて

ヒード ハイブ!(ここでマックス)

(ロアーC・O)
(中央手前サスC・I)
・ヘスはハッとした顔をして

ヘス はぁ…はぁ…また、同じ夢
・ラーナー、中央サスに入って

ラーナ 大丈夫?またぼうっとしていたよ
ヘス ラーナーおじさん
ラーナ ほら、みんな遊んでるよ。行っておいで

(中央サスC・O)
(ボーダーF・I)
・舞台側でスピラとレヴィ、ハイムとカプランが遊んでいる

ヘス いや。僕ラーナーおじさんがいい
ラーナ そう言ってくれるのは嬉しいけど、友達と遊ぶのも楽しいよほら、ハイムとカプランがおいかけっこをしてる。
あそこに入るのはどう?

・ハイムとカプランは下手で遊ぶ

カプラ あははっ。待てよー。
ハイム 待ったら捕まっちゃうからダーメ
カプラ&ハイム あはははっ

・ヘス、首を振る

ラーナ そうか。じゃああっちはどうかな。スピラとレヴィがトランプで遊んでる。

・スピラとレヴィは上手で

スピラ どおれだっ
レヴィ うーん、これ?
スピラ 残念っ正解はこっちでしたー
レヴィ あーあ。負けちゃった

・スピラ、レヴィ、顔を向き合わせる

スピラ&レヴィ あはははっ

・ヘス、また首を振る

ラーナ そうか
じゃあおじさんと遊ぼうか

・ヘス、顔を上げて

ヘス うん!
ラーナ 何したい?
ヘス ご本読んで!
ラーナ 分かった。何にしようか

・ラーナーは立ち上がって上手へ
・ヘスはそれについていく・

ヘス オステンの国のならなんでも!
ラーナ やっぱり。そう言うと思ってた。
ヘス 僕それ大好き!

(上手に着いたら座り込む)

ラーナ じゃあ…これなんてどう?

・本棚のような箱から一冊の本を取り出す

ヘス うん!
ラーナ よし、これにしようか。
    えー『狩人と動物たち』
    あるところに、4匹の動物たちがいました。

(ボーダーF・O)
(青ボーダーか他のボーダーF・I)

カプラ ある日、ウサギさんが何かに怖がっていました
スピラ ウサギさん、どうしたの?
ハイム キツネさんは聞きました
レヴィ あそこに狩人がいるんだよ。ピストルで私たちを狙ってる
スピラ どうやら、狩人を見つけて怖がっていたようです
ハイム でも、狩人なんてどこにも見当たりません
カプラ えーどこーヒツジさんは見える?
ハイム ううん。見えないよシカさん
スピラ みんな見えないって言ってるよ。きっと気のせいだよ、ウサギさん
レヴィ みんなは見えないの?あそこにいるのに
スピラ ウサギさんはまだ怖がっています
カプラ 動物たちは、どうしてウサギさんが怖がっているのか考えます
ハイム すると、キツネさんは言いました
スピラ ウサギさんは、きっと夢を見ているんだよ
カプラ そうか!だったら僕たちでウサギさんを夢から覚まさせてあげようよ!
ハイム いいね!それなら僕にいい考えがあるよ!

・3人で耳打ちをする

スピラ なるほど!それならきっとウサギさんも夢から覚めるよ!
カプラ はたして、動物たちはどうやってウサギさんを夢から覚まさせるつもりなのでしょうか

・スピラ、レヴィにかけよる

スピラ ウサギさん、狩人はまだいる?
レヴィ うん。いるよ、キツネさん
スピラ だったら、僕たちで狩人を追い払ってやろうよ!
レヴィ どうやって追い払うの?
スピラ 大丈夫。まずは見てて!
スピラ シカさんとヒツジさんは大きく息を吸います。そして
カプラ 向こうにクマが出たぞー!
ハイム 恐ろしい恐ろしいクマだぞー!
カプラ キツネさんも大きく息を吸って
スピラ いまにもひっかいてきそうなクマが向こうにいるぞー!
ほら、ウサギさんも言って!
レヴィ えーと、ク、クマは怖いぞー
ハイム 動物たちは大きな声で叫びます。
カプラ そうです。狩人をクマで驚かせて追い払う作戦だったのです。
スピラ どうかな、ウサギさん。狩人はまだいる?
レヴィ やった!もうどこにもいないよ!
キツネさん、ヒツジさん、シカさんありがとう!

・4人、中央に集まる

カプラ これでもう狩人なんて怖くないね!
レヴィ うん!
ハイム じゃあ狩人も追い払ったことだし、今から、みんなでピクニックにいかない?
スピラ うん、そうしよう!いいよねウサギさん!
レヴィ もちろん!

・スピラはヘスに近づく

カプラ ウサギさんが夢から覚めたのでみんなはピクニックに行くことにしました。そこに
スピラ ヘスちゃん

(青ボーダー又は他のボーダーC・O)
(ボーダーC・I)

ラーナ ああ、スピラ。どうしたの?
スピラ 今からみんなで遊ぶんだけど、ヘスちゃんも誘いたかったから
ラーナ ヘス、お誘いだよ。行ってみたら?
ヘス …うん。行く
スピラ やった!みんなーヘスちゃんも入るってー
ハイム はーい
スピラ あっち行こ!

・5人下手ハケ
・モディリアーニ上手入り

モディ おやおやこんなところにいたのか、ラーナー君
ラーナ モディリアーニ皇。ど、どうしてこんな人民街に?
モディ いやあ、もうすぐ選別が始まるのにラーナー君がどこにも見当たらなかったものだから、私が迎えに行ってやろうと思ってね
ラーナ そ、それは。ありがとうございます
モディ 礼などいらんよ
ラーナ でしたら、わたしは持ち場に行かせていただきますので
モディ まあ待ちたまえ。ラーナー君。君、よく人民街に来ているそうだが、まさか、人民と戯れている。なんてことはないだろうね?
ラーナ ま、まさか
モディ なら、いいんだが

・モディリアーニ、上手に歩いていく

モディ ラーナー君
ラーナ はい
モディ せめて人民くらいは減らせるようになってくれよ。
君にはその力があるんだから

・モディリアーニ、上手ハケ

ラーナ …分かりました
ラーナ あの子たちを呼んでこないと

・ラーナー、上手ハケ
・すれ違うように5人上手入り

カプラ 次は何するー?
ハイム えーとね、じゃあ

(鐘の音・サイレン)

レヴィ あ、
スピラ あの時間が、来たね…
ハイム …行かなきゃダメなの?
スピラ 行かなくても、どのみち殺されるだけだよ
ヘス え、なになに。何のこと?
カプラ ヘスはお家で待ってて
レヴィ 嫌だ…行きたくない
スピラ レヴィ
ハイム 私も…
カプラ ハイムまで
ヘス 私は、行かなくていいの…?
スピラ ラーナーおじさんが、ヘスは行かせちゃダメだって、ずっと言ってる
カプラ ほら、行くよ。遅れたら、何されるかわかんない
レヴィ だって…
スピラ レヴィ、私達はまだ子供。だから殺されない
カプラ ハイム、大丈夫。私達にはまだ、魔法は効かないじゃない
ハイム …うん。ごめん。わがまま言っちゃって
カプラ いいよ。私だって、私だって怖いんだから
レヴィ 行こう。遅れちゃダメだ
ハイム ヘス、ちょっと待っててね
ヘス あ、待って!

・後ろに立っていた黒子二人ほどで、軽い壁、もしくはキャスター付き壁を移動させて、ヘスの前に立ちはだかる

ヘス なんで、私だけ、特別扱いするの…?

・壁が少しづつせまり、ヘス下手ハケ
・5人は残る
・ラーナー、上手入り

ラーナ あ、もう来てたんだね。もうすぐモディリアーニ皇も来るだろうから、早く並ばないと
レヴィ ラーナーおじさん。ヘスはどうして来ちゃいけないの?
ラーナ レヴィ…それは…その…
スピラ レヴィ、(首を振る)ラーナーおじさん困ってるよ
ラーナ ごめんね。レヴィが大きくなったらきっと言うよ。約束する

・チュフライ、上手入り
・兵士・男・母、下手入り

チュフ ラーナー、人民のガキと触れ合ってる暇があったら、さっさと並ばせろ
ラーナ チュフライ。すまない
チュフ モディリアーニ様はもうそこまで来ているぞ
ラーナ 分かった。みんな、いつもの場所に並んで
ラーナ レヴィ、ハイム。大丈夫だから。安心して。スピラとカプランも、落ち着いて
チュフ おい、早くしろ
ラーナ ああ

・手前から、ハイム、カプラン、レヴィ、スピラ、兵士、男、母の順で並ぶ
・チュフライ、ラーナー上手へ
・モディリアーニ、上手入り

モディ 集まったか。人民ども。ところで、私は思うんだ。少々人民の数が多すぎやしないかと。チュフライ、多すぎるものはどうすべきだと思う?
チュフ 減らすべきです
モディ そうだな。私もそう思うんだ
モディ そして、神からの授けを受けている特別な私と、その兵士には力と権利がある。そうだろ?

・兵士・男、話すマイム

ハイム カプラン、あの2人は何を話してるの?
カプラ また同じ話だよ。だってさ
モディ おいそこの子供。勝手に口を開くな。子供だから殺される心配がないからなどと思い上がるなよ。
モディ さて、話を戻そう。今回は、3人程減らそうと思っている。
そして、そのうち2人は今ちょうど決めたところだ

・モディリアーニ、下手に歩いていく

モディ ハイブ

・男、ゆらりゆらりと後退しながら下手ハケ

モディ 次は君だ
兵士 ああああああ!
モディ ハイブ
モディ 聞こえなかったのか?ハイブ

・同じように下手ハケ

モディ さて、あと一人だが、ラーナー、君がやるんだ
ラーナ わたしが…ですか
チュフ モディリアーニ様!そんな腰抜けにやらせるくらいなら私がやります!
モディ いや、ラーナーにやらせる
チュフ しかし!
モディ いつから君は私に口答えできるようになった?
チュフ あ、いえ、そんなつもりでは…!

・モディリアーニ、チュフライに近づいて

チュフ モディリアーニ様、おやめください…
モディ ハイブ

・チュフライ下手ハケ

モディ さ、ラーナー君、どれにする?
ラーナ わたしは…
モディ あの子供らとかどうだ?まだ魔法は効きにくい年だろうが、全く効かないわけでもない

・ラーナー、4人の方を見る
・4人、怖がっている

ラーナ すみません。できません
モディ そうか。期待していたんだけどね。じゃあ今回だけあの子供らは私が代わりにやってやろう
ラーナ モディリアーニ皇。わたしは殺されても構いません。ですが、先の2人の命と、チュフライと私の命で、今回は、終わりにしてくれませんか
モディ 君は本当に正義のヒーローのようだね。人民というゴミを守る、ね

・ヘス、下手入り

ヘス ラーナーおじさん!
ラーナ ヘス!?どうしてここに!
モディ じゃあね
ラーナ ヘス!来ちゃいけない!
モディ ハイブ

・ラーナー、下手にハケていく
・子供らはラーナーの腕をつかんで止める

スピラ ラーナーおじさん!ねえ!しっかりしてよ!
(他にも色々言う)
ラーナ スピラ、レヴィ、ハイム、カプラン。…ヘス
ラーナ もう僕は長くない…
ヘス そんなこと言わないで!
ラーナ 一つだけ…一つだけ今から言うことを覚えておいてくれないか…
ラーナ 魔法は、一人のものじゃない。みんなのもの、だよ

・ラーナー、下手ハケ

ヘス ラーナーおじさーん!

・5人、泣く
・母、しれっと下手ハケ

モディ おい、お前。なぜ選別にいなかった?

・ヘス、モディリアーニの方に早歩きで

スピラ ヘス!ダメ!
ヘス なんでラーナーおじさん目開けないの!
モディ まあ、選別にいなかったってことは、死んでもいいってことだよな?子供でもな、気を失わせることくらいはできるんだよ。この魔法はぁ!
スピラ ヘス!
モディ ハイブ!

・少し間

ヘス ねえ!なんで!
スピラ へ…?
カプラ え、どうして
モディ どうして魔法が効かない!?

・スピラ、ヘスの手をつかんで

スピラ 早く!逃げないと!

・5人下手ハケ

モディ 魔法が効かなかった…?聞こえなかったわけでもなかった。なのに、あの子供は平然と立っていた
モディ あのガキを探せ!あいつは生かしておくべきじゃない!

・モディリアーニ、下手ハケ
・すれ違うように5人下手入り

カプラ どこに逃げる!?今頃モディリアーニ、すごく怒って私たちを探してると思うよ
スピラ ここから私達の家は遠いし、誰かの家に隠れさせてもらうしかないんじゃない!?
ハイム 誰かの家って言っても…兵士に狙われてる私たちを置いてくれるとこなんてないよ
レヴィ どうするの!?私達だけじゃすぐ捕まっちゃうよ!
ヘス ラーナーおじさん…
スピラ ヘス!今は忘れて!

・下手から声
・母、上手入り

チュフ こっちから声がしたんだな!?
兵士 ああ!
ハイム 大変だ!もうそこまで来てる!
カプラ どうしよう…!
母 あなたたち!こっちへ!
スピラ え!?
レヴィ 誰!?
カプラ 誰だっていい!とりあえず入らせてもらおう!

・全員入り切ったら、黒子が壁でドアになる

チュフ どこだ!
兵士 もっと向こうに逃げたのかもしれません
チュフ よし、向こうも見てみるか!

・兵士・チュフライ、上手ハケ

レヴィ あれって、兵士のチュフライじゃない?
ハイム え、嘘。さっきモディリアーニにやられてなかった?
スピラ 自分の部下だ。もしかしたらやられたふりをしただけかもしれない
ハイム じゃあラーナーおじさんももしかしたら
カプラ 期待は…しない方がいいだろうな
ヘス あなたは…誰ですか
スピラ あ、そうだ。助かりました
母 落ち着いた?
カプラ はい。ごめんなさい。こんな話しちゃって。さっき選別でちょっと逆らっちゃって。
母 なるほどね。それで兵士たちが
スピラ あの、大丈夫ですか?私達がここいにいたら、あなたまで狙われてしまうかも
母 そんなこと気にしないで。大丈夫よ
ヘス あの…あなたは誰ですか?
スピラ ヘス、聞きすぎ。
ヘス あなたは…
スピラ ダメ
母 ありがとう。いいわよ、私のことくらいなんでも聞いて
スピラ なんか、すいません
ヘス あの、あなたは…
ヘス わたしのお母さんじゃないですか?

・少し間

母 どうして、そう思うの?
ヘス わたし、自分のお父さんとお母さんの顔は知らないけど、いるのかも分からないけど、あなたは、わたしのお母さん、そんな気がします
母 本当に、気がしただけ?根拠もないのに?
ヘス はい
母 名前は、いや苗字は、なんていうの?
ヘス ヘス。名前は、ないです。
母 そう…ヘス。あなたはヘスなのね
ヘス はい
母 私も…ヘスよ
母 生きててくれた。愛する私の子…!
ヘス お母さん…!
スピラ 嘘…本当に…?ヘスの、お母さん…?

・チュフライ、ノックする
(ノック音)

チュフ おい、誰かいるか
母 兵士が来たわ
母 ヘス、よく聞いて。私があの兵士たちを少しだけ、ほんの少しだけ足止めするわ。そのすきに裏から逃げなさい
ヘス どうして!お母さんも一緒に逃げようよ!
チュフ おい!誰かいるだろう!返事をしろ!
母 一緒に逃げても兵士は追ってくる。誰かが残らないと
ヘス だったら僕も残る!
母 そんなこと言わないで
ヘス お母さん!
母 あなた達はまだ子供よ。でもだからこそ、力がある。大人の私にはない力が、あなた達にはあ るの!
ヘス …
母 大丈夫よ。お母さんはいつでもあなたのそばにいる
カプラ ヘス!スピラ!早くしないと!
母 最期にあなたに会えてよかった。言いたいことが言えるもの
ヘス 最期なんて言わないで!お母さん!
母 ヘス。私の夫で、あなたのお父さんの名前は、
ラーナー。ラーナー・ヘスよ
ヘス ラーナーおじさんが、僕のお父さん…?
スピラ え…?ラーナーさんが…?ヘスの…?
母 悲しいかもしれないけど受け止めて
スピラ …ヘス、大丈夫?
ヘス うん
母 それと、もう一つ聞いてほしいの。スピラも聞いてあげて
スピラ はい
母 あなたの名前は、レイズ。レイズ・ヘス。
覚えておきなさい。名前というものは愛する人からの賜りもの。持っているだけで人は何倍もの勇気が湧いてくるのよ
母 スピラ、レイズを連れて行ってあげて

・スピラ、ヘスの手をつかんで上手へ

ヘス おかあさーん!
母 レイズ!達者に生きなさい!

・5人上手ハケ
(ドンッというSE)
・黒子、下手側に向いていた壁を客側に向ける(ドアが開くように)

チュフ こそこそと何を話していた?
母 はい?なんのことでしょうか
チュフ とぼけるな!中から声がしていたのは分かっているんだぞ!
母 声…ですか?あ、私の声そんなに大きかったんですか?
チュフ 人民ごときが…おい、もういい。やれ
兵士 素直に答えときゃあ無くさなかった命なのにな
母 ええ、そうですね。わたしもそう思います。でも、愛する我が子の為なので
兵士 ああ?

・母、兵士に近づき

母 ハイブ!

・兵士、下手ハケ

母 魔法は兵士だけの特権じゃないのよ。魔法は、みんなのものよ
チュフ 人民ごときがぁ!

・チュフライ、母を襲うように一瞬で近づく
・母、動揺して

母 ハ、ハイ…
チュフ おい!答えろ!あのガキの中にヘスとかいうやつがいただろ!どこに行った!
母 あの子はあなたなんかにはやれないわ。だって、あの子には……力があるもの
チュフ 黙れ!ヘスをどこに逃がした!答えるなら命だけは助けてやる!
母 あの子はヘスじゃない、レイズよ。
チュフ 人民ごときが名前を持つなぁ!!!

・母、チュフライにハイブをしようとする

母 ハイ…!

・チュフライ、その手を掴み、どかして

チュフ ハイブ!!!
母 みんな、ごめんね。頑張って

・母、下手にハケていく
・途中で、チュフライが背中を強く押す・
・母、下手ハケ

チュフ くそ…人民ごときが…早くモディリアーニ様のもとに、あのガキどもを持って行って差し上げないと…

・チュフライ、上手ハケ
・すれ違うように5人上手入り

・ヘス以外の4人は家を見て呆然としている
・ヘスは、何かを探しているマイム

ハイム ここは?
カプラ ここって、もしかして
レヴィ 嘘…ねえ嘘でしょ?
スピラ 嘘なもんか
ヘス 何も…ない
カプラ 壊されたというよりかは、回収されたみたいな
ハイム なんで?なんでなの?
レヴィ ここが、本当にここが…?
ハイム 私達の…家?
カプラ 家…だった場所、だね
スピラ ヘス?なにしてるの?
ヘス あった。本。
レヴィ 『狩人と動物たち』…?
ハイム それが、どうかしたの?
ヘス みんなで、読もう
カプラ 今、読むの?
レヴィ そんな時間ないよ!すぐにでも兵士が来る!
スピラ いや、読もう。読むべきだ。ラーナーさんがよく読んでくれた絵本を。
ヘス スピラ、ありがとう。
『狩人と、動物たち』
ウサギさんが夢から覚めたのでみんなはピクニックに行くことにし
ました。そこになんと、本物の狩人が現れたのです

(ボーダーF・O)
(青ボーダーか、他のボーダーF・I)
・チュフライ、上手入り

レヴィ 狩人は„占めた”と言わんばかりにこちらにピストルを向けています
ハイム ですが、動物たちはピクニックに夢中で狩人に気付いていません
カプラ ぱぁんっという大きな音で動物たちは初めて狩人に気付きました

(銃声)

ハイム わ!あれって、本物の狩人?
スピラ とっさに動物たちは大きな声で叫びます
カプラ クマが出たぞー!
ハイム 恐ろしい恐ろしいクマだぞー!
スピラ いまにもひっかいてきそうなクマが向こうにいるぞー!
レヴィ 大きな大きな…!

(銃声)

ハイム また、ぱぁんっという大きな音がしました
スピラ そしてそこには赤い血を流して倒れているウサギさんがいました
カプラ 動物達は言葉が出ません。あまりのショックに何をしてよいかわからないのです
ハイム 向こうでは狩人が嬉しそうな顔をして帰っていきます
スピラ ふつう、狩人というものは、その日その日の食べ物を手に入れるために、僕ら動物を撃つものなのです
ハイム でも、あの狩人は、何もせずに帰っていきます
カプラ つまり、あの狩人は自分たちの遊びのために、僕らのウサギさんを撃ったのです
ハイム 狩人が見えなくなってからも、動物たちは倒れているウサギさんを見つめていました
カプラ ふと、キツネさんが言いました
スピラ ウサギさんはまだ生きてるよ
ハイム ヘス!!

(青ボーダー又は他のボーダーC・O)
(ボーダーC・I)

チュフ まずは、一人
スピラ レヴィ!
チュフ さあ、次はどいつだ?
ヘス ラーナーさんが言ってたんだ。魔法はみんなのものだって
チュフ あの家にいた人民の女も同じようなこと言ってたね

・ヘスのみ、少し動揺
・カプラン、少し歩いてチュフライの方へ

カプラ 例えるなら、それはピストル。それがただ狩人にしか持てないものだと私たちは勝手に思ってしまってたんだ

・カプラン、チュフライの近くに着く

チュフ ピストル?それは私たちの魔法のことかい?

・ハイム、歩いてチュフライの方へ

ハイム 使い方さえ知っていれば、ピストルは、子供にも持てる。あなたたちのものじゃない

・ハイム、チュフライの目の前に着く
・チュフライ、ハイムの額に手をかざす

チュフ 馬鹿だね!魔法はわたしら兵士とモディリアーニ様だけの特権なんだよ!
チュフ ハイブ!

・ハイム、チュフライをにらむように

チュフ !?なぜだ!?ハイブ!ハイブ!
ハイム 聞こえないよ。何も

・ハイム、耳栓を外す

チュフ な、耳栓…!?

・レヴィ、起き上がって

レヴィ ピストルは、私にも撃てる!
レヴィ ハイブ!

・チュフライ、少し後退して

チュフ も、申し訳ありません…モディリアーニ様…

・チュフライ、下手ハケ

ハイム やった…!
レヴィ チュフライを倒したー!
ハイム 本当に私たちにも魔法が使えるなんて。信じられないよ!
カプラ ハイム、レヴィ。まだモディリアーニは生きてる。安心はできないよ
ヘス みんな。モディリアーニのところに行こう
スピラ 行くったって、どうやって行くつもり?場所も分からないのに
ヘス 私が兵士にわざと捕まる。その兵士についていけば場所が分かる
スピラ そんなのダメだよ!じゃあそのあとヘスはどうするの!?
ヘス 私には魔法が効かないらしいから…多分大丈夫だよ
スピラ そんなの理由にならない!
ヘス スピラ…でも!
レヴィ ヘス!スピラ!聞いて?聞こえる?

(鐘の音・ブザー)

レヴィ どういうことだと思う?
カプラ 選別所で待ってるってことかな
ハイム 罠かもしれないよ?
ヘス でも、ここで待ってても何も始まらないし、何も終わらない
スピラ 行くの?
ヘス これでも、まだ止める?
スピラ ううん。そんなわけないじゃない
ヘス …倒そう。モディリアーニを私たちの力で


(ボーダーF・O)
             
(ボーダーF・I)

ハイム 本当にここにいるのかな
カプラ きっといるよ。だって1日で2回もブザーが鳴るなんてありえないもの
スピラ みんな、止まって。耳栓を付けて

・ヘス以外耳栓を付ける
(足音のSE)

レヴィ モディリアーニかな
レヴィ あ、聞こえてないんだった

・モディリアーニ、上手入り

モディ よく来たね子供たち。歓迎しよう
モディ ところで、うちの兵士が2名ほど、帰ってきていないんだ。君たち、何か知らないかな
ヘス 喋らないで。全部知ってるくせに
モディ 喋るなとはひどいじゃないか。私は君たちと話し合いをするためにここに呼んだってのに
ヘス 嘘をつくな!僕たちを捕まえるためだろ!
モディ 嘘じゃない、本当さ。なのに君たちは耳栓なんかして、まるで話を聞く気がない

・ヘスとレヴィだけ驚く

ヘス 話なら僕が聞く。
モディ …そうか
モディ じゃあまず聞こう。君たち全員で私に捕まる気はないかな
ヘス ない
モディ なら、君一人が捕まって、他の子らは見逃そう、と言ったら?
ヘス …
モディ 君一人がこちらに来るだけで、君のお仲間は助かるんだ。な、いい話だろう?
ヘス 何が目的?
モディ 目的…か。魔法が効かない君が気になったから。じゃ、だめかな
ヘス いいよ。僕一人でいいなら
レヴィ ヘス!ダメ!
ヘス レヴィ!
モディ 邪魔するな!人民のガキが!
ヘス レヴィ!耳栓して!早く!
モディ ハイブ!

(レヴィ下手へ)

レヴィ ヘス…スピラ…
スピラ 待って!

(スピラ、腕をつかもうとするが、掴めない)

スピラ レヴィ!!!
ハイム こんなに離れてるのに
モディ 話し合いの途中でとんだ邪魔が入った。さあ、どうする?えーと、ヘス?
ヘス どうするも何も、友達は全員助かるっていう約束が守られていないじゃないか
モディ そうか、なら全員、この場で減らそう
ヘス みんな!耳栓はとっちゃいけないよ!(ジェスチャー込みで)
3人 うん!


〈殺陣〉


・モディリアーニ、カプラの耳栓を片方取る
モディ お探し物はこれかな?
カプラ あ、返せ!
ハイム ダメ!カプラン!
モディ ハイブ
カプラ え…ナにガ…?
ハイム カプラン!行かないで!私、まだ!

・カプラン、下手ハケ


ハイム 捕まえた!ハイ…!
モディ 分かっているのか?今君たちがやっていることは人殺しだ
その3文字で人が死ぬのを理解して、やっているのか?
ハイム あ…
モディ そしてその一瞬の迷いが自分の寿命を縮めるということを。
モディ ハイブ!

・ハイム、下手にハケて行く

スピラ ハイム待って!
ハイム ごめん…
ヘス ハイム!

・ハイム、下手ハケ
・すぐさま、スピラがモディリアーニに近づく

スピラ 今度は逃がさない
モディ 君も分かって
スピラ 分からない!でも!友達を3人もなくさせたあなたは、少なくとも、正義のヒーローじゃない
スピラ ハイブ!

・モディリアーニ、上手にハケていく

モディ 覚悟しておけ…私が消えれば、神が黙っていないぞ…

・モディリアーニ、上手ハケ

ここまで〈殺陣〉


スピラ ヘス…レヴィがカプランが、ハイムが…
ヘス うん。でも、目的は果たした…!もうモディリアーニはいない!お父さんも、お母さんも
レヴィもカプランもハイムも、きっと報われる!
スピラ そうよね…?きっと報われるよね…?
ヘス うん…!きっと、きっと!

・ヒードラー、上手入り

ヒード あーモディリアーニもやられちゃったかー
ヘス 誰?
ヒード え、僕?僕は、ヒードラー。神だよ。君たちは?
スピラ …スピラ
ヘス ヘス
ヒード 名前は?あ、人民にはないか
ヘス 僕は、ある
ヒード へーそうなんだ。めずらしいね。あ、僕はアドルフ。アドルフ・ヒードラーね
ヘス 僕は、レイズ、レイズ・ヘス
ヒード いい名前だね
ヘス 僕たちに何の用?
ヒード あ、そうだそうだ。ただ、こうしに来ただけ

・ヒードラー、スピラに向かって

ヒード ハイブ
スピラ ……え?
ヘス スピラ!

・スピラ、その場に倒れこむ

ヘス お前!
ヒード はは。面白いね。ただの思い込みで人がバタバタ倒れていくなんて
ヘス 思い込み…?
ヒード あれ?知らなかったの?ここまで来てるなら、てっきり知っているものだとばから思っていたよ。まあ、どうせ減らすし、教えてあげるよ。
ヒード 魔法っていうのは、実はただの思い込みなんだ。
手を近づけながらハイブって言われたらああなる。ってのを、赤ん坊のころから見せられることで、勝手にそう思い込んでしまう。これが魔法の正体。だから、子供に効きにくいのは、見ている時間が大人よりも短いせいだね
ヘス ただの、思い込み…そんなものに、僕たちは支配されて…
ヘス スピラを、スピラを、どうして!
ヒード 君たちが悪いんじゃないか。モディリアーニっていういいコマをうしなったんだから
ヘス いいコマ…
ヒード  人間は楽だよ。自分が神からの授けを賜ったと勝手に慢心し、人間自身の手で人間を支配する。
自分は特別?違うね。神は自分の手をわずらわせるのが億劫だから人間を適当に選び、代わりをさせただけ。そう、神は、私は、常に頂点で人間を支配していたんだよ
ヘス でも、あなたは神じゃない
ヒード 僕は神だ!じゃあ、なぜ魔法をかけたときに気絶すると思う?
失神はなぜ神を失うと書くと思う?
ヒード そいつは神に見放されたからだ
ヘス 違う!
ヒード 黙れ
ヒード ハイブ!
ヘス くっ

・ヘスの背中を押すように(実際は押さない)黒子下手から上手へ
・ヘス、ゆっくり前に進む
・黒子、ヒードラーの後ろで壁になる

ヒード は?なんで倒れないの、君!?
ヘス 頭痛がする。めまいがする。でも、僕は止まれない。みんなの思いを背負っているから…!

・黒子、ヒードラーの背中を少しづつ押していく

ヒード おかしい!ハイブ!ハイブ!なぜ呪文が効かない!くそっ!来るな!

・ヒードラー、逃げようとするが、後ろに壁がある

ヘス さんざん僕らただの人民にかけてきたんだ。一番近くでその呪文をかけ続けてきたあなたに…効かないはずがない。

・ヒードラーの目の前に到着

ヘス 僕たちには、力がある
ヘス ハイブ!

(中央、ヘスにサスC・I)


ヘス その日、支配者は消え、神も消えた。
思い込みとは時に大きな力も兼ね備えていることを、その日、僕らは思い知らされた


(照明全部C・O)


終わり

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コメント

  • どうも。作者です。
    書き忘れたことがありましたので、コメントを残しておきます。
    この脚本は「戦場のピアニスト」という映画のあるワンシーンを参考にしています。
    そのシーンというのは、ユダヤ人を並べ、支配者が銃で無差別に打っていくというものです。
    もうお気づきかもしれませんが、この脚本はユダヤ人支配を基に作りました。もしもあのとき、ユダヤ人達に対抗する力があったなら…と想像して。
    登場人物の名前は、国こそ違えど、皆ユダヤ出の苗字になっています。(レイズは完全オリジナルです/ヒードラーはヒットラーをいじったので、おそらく大丈夫です)
    つまり、実在します。なので、もし、もしも使う際は、名前を変えていただいた方がよろしいかもしれません。
    長々と申し訳ありませんでした。
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