〇登場人物
・櫻庭宗介
・沢城千秋
・星七緒
・村田唯
・古川紘
・長谷川なつき
・聖川琉華
〇シェアハウス・リビング(夜)
宗介と千秋が帰ってくる。
琉華がソファーに座ってバイト情報誌を見ている。
琉華「おぉ、お疲れー」
千秋「ただいま」
宗介「あれ、琉華一人か?」
琉華「なつきも紘も部屋に居ると思うけど。七緒は新宿で仕事だー」
宗介「そっか…何か食うか?」
琉華「何作ってくれんの?」
宗介「あぁ、簡単な物なら」
千秋「宗ちゃん」
宗介「ん?」
千秋「俺疲れたから先に休むわ」
琉華「千秋、大丈夫なのか?」
千秋「うん、おやすみー」
部屋に戻っていく千秋。
琉華「千秋、どしたんだ?」
宗介「あぁ、ちょっと」
琉華「ちょっと?」
宗介「今日、店にさ俺をスカウトしに来た人が来たんだよ」
琉華「宗介をスカウト?何のだよ?」
宗介「何のって…他の店に来ないかって言われたんだよ」
琉華「それって引き抜き?」
宗介「あぁ。何か毎日のように俺が作ったオムライス食べに来てくれて
た客が居て、それがイタリアンレストランのオーナーだったみたいな
んだけど美味しかったから、是非うちの店に来て、腕を披露してほし
いって」
琉華「マジか…」
宗介「ゆくゆくは、海外行って仕事してもらいたいって」
琉華「それで、宗介は何て答えたんだよ」
宗介「取り合えず検討だけしてくれって言って帰ったから返事はしてな
いけど…俺は行くつもりはない」
琉華「そっか」
宗介「千秋に、そう言ったんだけどさ何か機嫌が悪いって言うか」
琉華「うーん…ってか、腹減った…」
宗介「あぁ…」
〇同・千秋の部屋・中(夜)
椅子に座ってデスクスタンドを点けたり消したりしながら考え事
をしている千秋。
千秋「…」
〇同・玄関・中(日替わり・朝)
なつきが目の下に隈を作って原稿を鞄に入れて二階から降りてく
る。
なつき「あー終わった…」
階段を踏み外し、こけそうになるなつき。
紘が来る。
紘「おはよう」
なつき「おはよう」
紘「何、もう出かけるの?」
なつき「うん、原稿出来たからすぐ出版社に持ってく」
ふらつきながら玄関へ行くなつき。
紘「なっちゃんふらついてるじゃん。大丈夫なのか?」
なつき「大丈夫」
紘「全然大丈夫そうじゃないけど…」
なつき「大丈夫だってば」
立ち上がるが少しふらついてしまうなつきを支える紘。
紘「ほら、危ないって」
なつき「もう、大丈夫だって。行ってきます」
ドアを開け出て行く。
紘「絶対無理してんだろ…」
七緒の声「情緒不安定になってるかもしれません」
紘「え?」
振り返ると水晶を持った七緒が立っている。
紘「七ちゃん…」
七緒「きっと、かなりのプレッシャーがあったのではないでしょ
うか?新作描き上げる事と、サイン会の事と」
紘「だろうねぇ…一人で抱え込まなくったっていいのに」
七緒「まぁ、でもそういう所がなつきさんらしい所でもあるので
は?」
紘「まぁ」
七緒「私達はそっと見守っていましょう。今は目の前の事で精一
杯なんでしょうから。きっとまたいつものなつきさんに戻って
くれるはずですから」
紘「うん…」
〇松書房・会議室・中
編集員の唯がなつきが書いた原稿を見ている。
なつきは緊張して、ソワソワとしている。
原稿を整えながら、軽く咳払いをする唯。
なつき「…」
唯「なつき先生…」
なつき「せ、先生って…はい」
唯「これで稿了としましょう!」
溜息を付き、腰が抜けそうになるなつき。
唯「お疲れ様でした!」
なつき「はい!お疲れ様でした!」
唯「この新作は発売はまだ先になりますが、前回の本のサイン会で
すけど、日程決まりました」
なつき「本当ですか?」
唯「はい。ただ、ここまで決まって言うのもあれですけど…大丈夫
ですか?」
なつき「大丈夫ですかって…何か?」
唯「サイン会を開くという事は、なつき先生の顔が知れ渡るという
事になります。普段BLを書かれてる先生達は主に女性なんです
が…なつき先生は男性ですからどうかなと」
なつき「はぁ」
唯「もちろん、私はなつき先生の恋愛対象の話も伺って理解もして
います。ただサイン会にはどんな人が来るか分かりませんので…
なので今日はこのサイン会の最終確認も取っておきたくて」
なつき「大丈夫です。やります」
唯「分かりました…それでは来月の初めの日曜日に日程を組み込ん
でますので、それまでに何度か打ち合わせもあるかもしれないの
でその時はまた連絡させていただきます。今日はこれで終わりで
す。原稿確かにお預かりました」
なつき「よろしくお願いします」
〇道(夕)
なつきが歩いている。
なつき「確かに、BL描いてるのって、ほぼ女性だよなあ…読者も
それを思ってるかもしれない中、僕なんか出てきたら…」
〇シェアハウス・玄関・中(夕)
なつきが帰ってくる。
なつき「ただいまー」
中に入っていくなつき。
なつき「誰も居ないのかなあ…」
〇同・リビング(夕)
なつきが来ると、ソファーで紘が電話をしている。
紘「はい!分かりました!メッチャ嬉しいです。こんな機会滅
多にない事だし。はい…はい、わかりました。それじゃ」
紘が電話を切りなつきに気付く。
紘「おぅ、お疲れ。上手く行った?」
なつき「うん。サイン会も来月開催される事になったし」
紘「そっか!おめでとう」
なつき「ありがとう。紘、今の電話って」
紘「あぁ、コスプレのイベントに出てみないかって…結構大きなイ
ベントみたいでさあ。まぁ会って話をしてからなんだけど雑誌に
も載せてもらえるみたいなんだ」
なつき「凄い。やったじゃん」
紘「これで名前が売れたりとかするとなあ。コスプレだけで飯食え
るようになるのになあ。あっなっちゃんのサイン会って来月のい
つなの?俺行きたいなあ」
なつき「来月の初めの日曜日かな。本当に来てくれるの?」
紘「あぁ、絶対に行く約束する」
〇同・キッチン(日替わり・朝)
宗介が朝食を作っている。
千秋がキッチンに顔を出し、宗介が振り返る。
宗介「おぅ、おはよ」
千秋「おはよ…」
ずっと宗介を見ている千秋が気になる宗介。
宗介「ん?どした?」
千秋「いや、別に…」
宗介「今飯作ってるから、もうちょっと待ってろよ」
千秋「うん…」
キッチンから離れる千秋。
〇同・二階・紘の部屋・中(朝)
ベッドで眠っている紘。
目覚まし時計が鳴りベルを止める。
紘「うーん」
起きて伸びをする紘。
スマホを確認するとメールが入っている。
紘「メール…誰から…」
メールを確認する紘。
紘「え…マジで…この日ってなっちゃんの…」
〇同・同・同・前(朝)
紘が部屋から出てくると同時になつきも部屋から出てくる。
紘「あっ」
なつき「あ、おはよう」
紘「おはよ…仕事から解放されたから顔つきもよくなってんね」
なつき「そだね。どうしても描いてる時は集中しちゃってるから、どう
してもね…それに初のサイン会に紘も来てくれるって言ったからさ
ぁ」
紘「あっあぁ…あの…」
なつき「なんかずっと不安だったんだけど…紘が来てくれるって言って
何か吹っ切れた感じがする。ありがとう…」
紘「おっ、おぉ…」
笑顔のなつき。
紘も少し顔を引きつらせながら笑っている。
宗介が来る。
宗介「おぉ、二人とも起きてた」
なつき「宗ちゃん、おはよう」
紘「おはよう」
宗介「朝ご飯出来たから呼びに来たんだけど…」
紘となつきを交互に見る宗介。
宗介「何、二人お取込み中?」
紘「いや、そんなわけじゃ」
なつき「ないけど…?」
宗介「そう?飯食う?」
なつき「うん」
紘「食べる」
なつき「お腹すいた、お腹すいたー。宗ちゃん早くご飯食べよー」
宗介「おぅ」
先に宗介となつきが階段を降りていく。
紘「…」
〇同・一階・リビング(朝)
朝食を取っているシェアハウスの皆。
琉華「あっ俺、取り合えず働く事にしたから」
宗介「おっそうなんだ!やっと働く気になったか」
琉華「おう。そろそろ重たいケツ上げないとなって思って」
なつき「何の仕事すんの?」
琉華「あぁ…現場仕事」
紘「へぇ。琉華がねぇ。今までホストで仕事してたのに現場仕事
って体力使うんだろ?大丈夫なのか?」
琉華「これからもっと体力付けてさあ、男らしくなるんだ。あっ
紘が行ってるジム今度紹介してくれよ」
紘「おっおぅ…んで仕事いつからなんだ?」
琉華「明日から」
千秋が考え事をしながらご飯を食べているのに気付く宗
介。
宗介「千秋、食欲ないのか?」
千秋「うぅん、そんな事無い」
七緒「大丈夫ですか?」
千秋「うん、大丈夫」
壁時計を見る紘。
紘「あっ俺仕事行ってくる」
宗介「おぅ行ってらっしゃい」
千秋達「行ってらっしゃい」
なつき「(笑顔で)いってらっしゃい」
紘「う、うん…」
続。
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