魔法少女に殺されたい ドラマ

数多のヒーローたちを退けてきた怪人M。元人間だった彼が、何故怪人となり、そして勝利し続けられているのか……?
マヤマ 山本 5 0 0 10/04
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第一稿

<登場人物>
怪人M
美馬 主水(39)
ナツナ  (10)(20)ヒーロー
ミカミ  (21)戦隊メンバー
イヌイ  (24)同
ハルナ  (10)魔法少女隊メンバー ...続きを読む
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<登場人物>
怪人M
美馬 主水(39)
ナツナ  (10)(20)ヒーロー
ミカミ  (21)戦隊メンバー
イヌイ  (24)同
ハルナ  (10)魔法少女隊メンバー
アキナ  (10)同
ユキナ  (10)同

USA  (30) ヒーロー
魔造博士 (60)(70)



<本編>
○市街地
   荒れ果てた街並。暴れる怪人M。
怪人MM「俺の名前は、怪人M。不束者だが、よろしくお願いしたい。この世界では今、各地で怪人とヒーローの不毛な争いが……」
ミカミの声「そこまでだ、怪人!」
怪人MM「おっと、不要不急な説明は後回しにするとしよう」
   怪人Mの元に現れる赤、緑、黄色の戦闘スーツを身に纏ったミカミ(21)、イヌイ(24)、ナツナ(20)。
ミカミ&イヌイ&ナツナ「我ら、異端戦隊!」
イヌイ「ぴぎゃっ」
   倒れるイヌイ。
ナツナ「イヌイ!?」
ミカミ「貴様……名乗る前に攻撃するとは卑怯な」
怪人MM「そんな不文律など、俺には通用しない」
ミカミ「だったら、俺が相手だ! この、この、この~!」
   怪人Mに猛攻を繰り出すミカミ。しかしダメージを受けている様子のない怪人M。
ミカミ「くそ……これでもか、これでもか!」
怪人MM「不意打ちであろうとなかろうと、俺は負けん」
   怪人Mの一撃で吹っ飛ばされるミカミ。
ミカミ「がっ!?」
ナツナ「ミカミ!」
   ナツナに迫る怪人M。
ナツナ「止めて……来ないで……」
怪人MM「どうやら、今日も不作だったようだ」
   ナツナの悲鳴。

○研究所・外観
博士の声「よくやったぞ、美馬主水」

○同・中
   向かい合って立つ怪人Mと魔造博士(70)。
博士「いや、怪人Mよ。さすが儂の最高傑作じゃ」
怪人MM「この不遜な男は、魔造博士。何の取り柄もない俺に、不相応な怪人の力を与えてくれた恩人だ」
博士「地球防衛軍を壊滅させ、鬼ヶ島で桃太郎を撃退し、そしてついにこの国最強のヒーローである異端戦隊をも圧倒するとは、儂の才能、恐るべしじゃな」
   笑う博士。
博士「これで、もはや他のヒーローはお前に手を出すことも憚れるじゃろう。居るとしたらよほどの恐い者知らずか、世界最強のヒーローか……」
怪人MM「不戦勝は困る。俺はある一組の、いや、ある一人のヒーローと戦うために、この身を怪人と化した親不孝者なのだから」
博士「とにかく、もう儂の立場も安泰で……」
   爆風。
博士「何者じゃ!?」
   そこに現れるUSA(30)。
USA「ユー達が、怪人Mとそのお仲間ネ」
博士「違う。魔造博士とその作品じゃ……って、貴様は!?」
USA「ミーの名前はUSA(ウルトラ・スーパー・アメリカン)ネ」
博士「USA……世界最強のヒーローが、何故ここに!?」
怪人MM「聞いた事がある。アメリカが生んだ、不世出の大ヒーロー・USA。ただ……」
USA「決まっているだろう? ジャスティスのためさ!」
怪人MM「不法侵入だけどな」
USA「隙あり。ウルトラスーパーパンチ!」
   USAの攻撃にひるむ怪人M。
怪人M「!?」
怪人MM「しまった、不覚をとっ……た……」

○(回想)ビル・屋上
   目を覚ます美馬主水(39)。
美馬「ん……!?」
怪人MM「不可解だった。俺の体が、改造前の人間の姿に戻っていたのだから」
美馬「しかも、この場所は……」
怪人MM「そうか、コレは走馬灯というヤツか。確かに、怪人の俺も不死身の肉体という訳ではない」
   人々の悲鳴。
   振り返ると、怪人Aが暴れている。
怪人MM「やはり、そうだ。不平不満を言いながら、不眠不休で働き、それでも不景気により不採算部門扱いされ、リストラ。長年の不摂生がたたり腎不全を患い、俺には不釣り合いなほどの美人妻は不倫に走り、不動産投資に失敗し、親不知が痛みだす。こんな不公平な世界に嫌気がさし、不惑を前に自ら命を絶とうとした、あの日。俺は怪人と、戦うべきヒーローに出会ったんだ」
   怪人Aと戦う魔法少女隊のハルナ(10)、ナツナ(10)、アキナ(10)、ユキナ(10)。それぞれ桃色、黄色、赤色、青色の衣装を着用。
ハルナ「花の舞!」
   ハルナの魔法攻撃を受ける怪人A。
怪人A「がごっ!?」
ナツナ「鳥のさえずり!」
   ナツナの魔法攻撃を受ける怪人A。
怪人A「ごぼっ!?」
アキナ「風の悪戯!」
ユキナ「月の光!」
   アキナとユキナの魔法攻撃を受ける怪人A。
怪人A「ぼふっ!? ふぬっ!?」
ハルナ「とどめよ」
四人「合体魔法、花鳥風月!」
   四人の合体魔法攻撃を受ける怪人A。
怪人A「ぬおっ!? おのれ、魔法少女隊め……」
   爆発四散する怪人A。
   その様子を見つめる美馬。
怪人MM「この日、俺の不遇の時代は終わりを告げたんだ」

○(回想)研究所・外観
美馬の声「……という理由で、怪人になりたいんです」

○(回想)同・同
   博士(60)に頭を下げる美馬。
美馬「不躾なお願いだとは思うのですが……」
博士「いいじゃろう。ただし、改造手術にはリスクもつきものじゃ。最悪、死に至ることも……」
美馬「不慮の事故は、覚悟の上です」
博士「それに、後戻りも出来んぞ?」
美馬「遠慮は不要です!」
   不敵な笑みを浮かべる博士。

○(回想)同・外観
   雨が降っている。
怪人MM「改造手術は、不測の事態が多々発生したらしい」
博士の声「あれ、おかしいな?」
怪人MM「危機の不具合や、パーツの不良」
博士の声「む……コレはどこに繋げば……?」
怪人MM「博士自身の不注意や不手際」
博士の声「う~ん……まぁ、コレでいっか」
怪人MM「そんな不穏な空気の中、手術を終えた俺は……」

○(回想)同・中
   眠る怪人Mとその脇に立つ博士。
博士「美馬主水、いや、被験体Mよ。お前はもう10ノアーツも眠っておる。もはや、世界は……む?」
怪人MM「俺の不勉強か、『10ノアーツ』という言葉の意味はわからなかったが……」
   目を覚ます怪人M。
博士「お、おぉ……」

○同・同
   USAを前に立ちあがる怪人M。ソレを見守る博士。
博士の声「目覚めたか美馬主水、いや、怪人Mよ」
怪人MM「不屈の闘志で、俺は目覚めた」
USA「まだまだネ。ウルトラスーパーキック!」
   USAの攻撃を受け、倒れる怪人M。再び立ち上がる。
怪人MM「この男、確かに強い。しかし、不運だったな」
USA「まだ、立つネ!?」
怪人MM「俺の不敗神話は、お前に止められるほど安くない」

○(回想)ビル・屋上
   怪人Aを倒す魔法少女隊。その中のナツナを見つめる美馬。
ナツナ「どうだ、ざまぁみろ!」
怪人MM「あの時、魔法少女隊に倒された怪人を見て、不謹慎にもこう思ったんだ。『羨ましい』と」

○研究所・中
   USAと対峙する怪人M。
怪人MM「だから、俺は何度でも立ち上がる。不純な動機、と言えば言え。不退転の決意を持った俺は……」
   USAに殴りかかる怪人M。
USA「!?」
怪人MM「難攻不落だぁぁぁ!」

○メインタイトル『魔法少女に殺されたい』
                  (完)

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