女子はハイヒールをはく ドラマ

主山優紀(23)地方のテレビ記者。出した名刺は捨てられ、返しの名刺はもらえない。お洒落な格好で仕事する、その夢をかなえるために、現場にハイヒールで行く。
流合マキ 336 1 0 10/29
本棚のご利用には ログイン が必要です。

第一稿

〇長崎県振興局・事務室(朝)
   コの字に4島あるデスク島。
   入口付近のデスクの山の窓を背にした
   机に、飯島(46)が座り、主山優紀
  (23)の名刺に目を ...続きを読む
この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
 

〇長崎県振興局・事務室(朝)
   コの字に4島あるデスク島。
   入口付近のデスクの山の窓を背にした
   机に、飯島(46)が座り、主山優紀
  (23)の名刺に目を落としている。
優紀「よろしくお願いします」
飯島「ああ、今年入社の長崎テレビさんね」
優紀「ところで、明日の副知事の視察の事で
 すが」
飯島「それ、記者クラブに一斉メールしたか
 ら。読んで」
優紀「読んでます。それで、あの三号治山ダ
 ムになったのは」
飯島「読んでね」
   飯島、デスクに向き直る。
   優紀、口を結んで大きく息を吸い、吐
   いて、
優紀「…… では、明日質問します」
   背中を向けながら、名刺を置いた辺り
   を見る。
   ゴミ箱に捨てられる名刺。
   優紀、口をへの字に曲げて、振り返
   らずに、部屋を出て行く。

〇同・記者クラブ扉前(朝)
   扉横に刺さった札には
   『記者室』と書いてある。
   優紀、扉をあけようとして、慌てて耳
   を、扉に当てる。
大木「土木三課にあのお嬢ちゃんがいたぞ」
田島「あの、新しく来た課長の所ですか? 気になるなら、
 後ろに回って、話聞いて
 きたらいいじゃないですか?」
大木「あのお嬢ちゃんの後ろに? できるか
 あ。大したもん掴んじゃねええだろ」
優紀「悪かったわねっ!」
   と、優紀、扉を開ける。

〇同・記者クラブ内(朝)
   優紀、部屋に入る。
   ぐるりと壁に向かうデスクに、大木巌
   (58)・田島登(27)が座っている。
   矢山時子(33)は、出入口傍の机に
   座り、パソコンを操作している。
優紀「おはよう、ご・ざ・い・ま・すっ」
時子「優紀ちゃん、おはよう」
   優紀、仁王立ちして大木を見ている。
   田島、立ち上がりながら、
田島「主山さん、何か、掴んだ?」
   優紀、鼻と口を押えて、視線落とす。
   田島、出て行く。
優紀「時子さあん、田島さんが臭すぎるよお」
時子「お風呂、入らないもんねえ。仕方ない。
 はい」
   時子、引き出しからファブリーズを
   取り出し、渡す。
   優紀、大木の方に向かいファブリー
   ズを噴射する。
大木「矢山さん、資料まとまったら、メール
 しくよろ」
   大木、カメラを手に取り、出て行く。
   閉まる扉。
優紀「ひくんだけど。しくよろって、何?」
時子「大木ちゃんはねえ、定年まで現役! 
 の頑固ちゃんだから」
優紀「…… 未だに、挨拶返ってこないんだ
 けど。私の事、完全無視ね」
時子「そうかな?」
優紀「時子さんは、知らないから! 外での
 ぶら下がりの時だって、完全に無視! 
 されてる。記者発表の時だって、私、
 手を上げているっつうの」
時子「明日、治山三号ダムの視察で知事様が
 くるから、役所内がピリピリしてるわね」
優紀「…… カメラ持って行けって、さ」
時子「カメラマン来ないって、事?」
優紀「人手が足りなすぎ。時代錯誤のお仕事
 だもん。ハイヒール履きたかったなあ」
   優紀の履き古したジーンズとシューズ。
時子「動きやすいのが一番! 顔出しの時に
お洒落したらいいじゃない」
優紀「現場からって、やつ? あんなの、大
 抵切羽詰まった状況だから、余計、お洒
 落できないよ」
時子「一見、華やかな世界なのにねえ」
優紀「夜中でも、消防自動車のサイレンで起
 きちゃう」
時子「おーおー。でも、それって、普通でし
 ょ?」
優紀「起きるの?」
時子「寝てる。私、公務員だし。記者さん達
 は、皆、そうでしょ?」
優紀「ハイヒール履いて、都会の編集者にな
 りたかったなああああ」
時子「あのねえ、都会の編集者さん達に怒ら
 れちゃうよ。行かなくていいの? 取材」
   時子、引き出しからお菓子と紙を出し
   て、優紀に渡す。
優紀「あっ! 新商品だ! あぁ、この経歴
 明日の知事のやつ?」
時子「あからさまにテンション下げないの」
   優紀、紙を見ながらお菓子を食べる。
優紀「うわあ、若い。質問、答えてくれるか
 なあ。いや、どうせ、無視だよ」
時子「若いって事は、頭が固くなる前かもね。
 やりたいようにやってみたら?」
優紀「やりたいようにねえ。まあ、カメラマ
 ンも来ないし…… ふっ。ふふふ」
  出て行く優紀の足元。
時子「仕事の方だよ! って遅いか。頑張れ」
   閉まるドア。

〇同・記者クラブ扉前(朝)
   ドア前に立つ優紀。
優紀「いい事、考えた!」
   スキップで去る優紀。

〇警察署・全景(夕)
   玄関横の立て看板に、
   『交通違反取締月間』と書いてある。

〇同・署内・廊下(夕)
   窓に沿って並ぶ長椅子に、優紀が寝そ
   べっている。
   警察官が数人、往来している。
   中村良平(35)が通りかかり、
中村「ちょっと、こんな時に。誰か、この人
 に出て貰って」
優紀「この人って、誰の事? 女子だからっ
 てバカにしないで」
   優紀立ち上がる、よれたジーンズ姿。
中村「あ、ごめん。女子、ね。帰っていただ
 いていいですか?」
優紀「それ、どういう反応?」
警察官A「あ、長崎テレビさんですね」
中村「え? 出て行ってください!」
優紀「名前! これ」
   優紀、名刺を中村に渡し、踵を返す。
中村「待ってください」
   優紀、振り返る。
   中村、名刺を渡しながら、
中村「県警の者です。では」
   と、中村、一礼して去る。
   名刺には、
   『刑事 中村良平』と書いてある。
   優紀、呆然と見て後、少し笑う。

〇同・外の駐車場(未明)
   駐車場の車の影に隠れている優紀。
   中村が出てきて、車に乗り込む。
   警察用バンが次々に出発する。
優紀「やっぱりぃ! 県警の刑事が来るなん
 ておかしいと思った」
  優紀、自分の車に乗り込み後を追う。

〇飯島家・全景(未明)
   中村ら刑事3名が、捜査令状を掲げ
   ながら、家に入って行く。
   優紀、車から降りて、ビデオカメラ
   を回す。
捜査員A「どこの社? まだ、プレス発表
 してないんだけど?」
優紀「長崎テレビです。もう来ちゃった」
捜査員B「ほっとけ。邪魔にならんように
 お願いしますよ」
  立ち去る捜査員A・B。
  カメラを回したまま入る優紀。

〇三号治山ダム
   大木、田島を含め、10人程の記者・
   カメラマンが集まっている。
田島「主山さんにやられましたね」
大木「…… あいつ来ねえなあ。まさか、別
 の現場か?」
記者A「そんなに気にしなくても、」
田島「そちらも掴んでたんですね」
記者A「皆さんは、夕版で後追いですか?」
   田島、大木、記者Aを睨んでいる。
   ハイヒールの音。
   ハイヒールにミニスカートの優紀が歩
いて来る。
優紀「…… お疲れ様です!」
   その場の全員が呆れた顔の中、笑顔の
   優紀。
   
〇記者クラブ(朝)
   優紀と時子がコーヒーを飲んでいる。
時子「大木ちゃん、すごく荒れてたわあ。せ
 かされながら原稿書いてて、書き上げたら、ドタンバタン音立てて、出て行った」
優紀「くくく。オモシローイ!」
時子「だからって、ハイヒールとミニスカー
 トって、やりすぎじゃない?」
優紀「だって、都会で雑誌編集者になってや
 りたい事、先にやったっていいでしょ?」
時子「その行動力だけは、尊敬する」
優紀「でしょでしょ? あー早く都会に行きたい!」

この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
本棚のご利用には ログイン が必要です。

コメント

  • まだコメントが投稿されていません。
コメントをするには会員登録・ログインが必要です。