Like @ Angel コメディ

山田蒼太(23)は歌手清春(52)のファンであり、日々頭の中で清春のライブを空想していた。 ある日、蒼太は病院で日下部はるか(18)と出会う。 はるかも清春のファンだったが、手術が近いことから父にライブにいくのを反対されていた。 そんなはるかへ蒼太は「自分は脳内で清春のライブ映像を見ることができる」と秘密を明かす。疑うはるかだったが、どうやら蒼太の能力とは瞑想のことらしいとわかる。 こうしてはるかは清春のライブを脳内で楽しむべく蒼太から瞑想を習うことになる。
市川家の乱 10 0 0 10/02
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第一稿

・登場人物
山田蒼太(23) アルバイト
日下部はるか(18) 入院患者

日下部竜二(45) はるかの父
医師(40)
看護師
ガテン系
老人

清原和博(5 ...続きを読む
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・登場人物
山田蒼太(23) アルバイト
日下部はるか(18) 入院患者

日下部竜二(45) はるかの父
医師(40)
看護師
ガテン系
老人

清原和博(53) 元プロ野球選手
清春(52) 歌手 

※清原和博と清春は本人出演

・脚本
○ ライブハウス
  ステージ上に清春(52)。
  「忘却の空」の演奏が始まる。
清春「(歌う)乾いた風に吹かれ、ひとりきり歩いてる、忘却の空へたどりつけるまで」
  客席に山田蒼太(23)。
  客は蒼太一人きり。
  蒼太、耳を澄まして歌を聴いている。
  蒼太、幸せそうな顔。
  曲がサビに入った瞬間…
声「おい!」 

○ 建設現場・休憩所
  蒼太、はっと目を開ける。
  目の前にガテン系の男が立っている。
ガテン系「休憩、終わりや」
  蒼太、慌てて立ち上がる。

○ 同・作業場
  燃えるような日差し。
  蒼太、汗水流して鉄材を運んでいる。
  遠くに天守閣が見える。    

○ バスの中(夕)
  蒼太、リュックを抱えている。
  リュックには「黒夢」の文字があしらわれている。
  蒼太、ゆっくりと目をつぶる。

○ ライブハウス
  ステージ上に清春。
  清春、「少年」を熱唱している。
清春「(歌う)そう、微かにドアが開いた、僕はそこから抜け出すだろう」
  客席は蒼太一人きり。
  蒼太、耳を澄ましている。
  蒼太、幸せそうな顔。
  突然、映像が歪み、真っ暗になる。

○ (戻って)車内
  蒼太、めまいを起こす。
  蒼太、しゃがみ込むように倒れる。

○ 病院・外観

○ 同・診察室
  蒼太、医師(40)の話を聞いている。
医師「脱水症やね。まァ点滴打って数日安静にしてることやな。この暑さやさかい、ちゃんと水分取らなあかんで」

○ 同・ロビー
  蒼太、ソファーに座っている。
  とロビー内に大声が響く。
声「(叫ぶ)いやや!」
  蒼太、声に反応する。
  暴れる日下部はるか(18)を父竜二(45)がなだめている。  
竜二「わがままいうてくれんな!」 
はるか「ライブにいくんや! いくったらいくんや!」
竜二「清春がなんや! そんなもん父ちゃんがナンボでも歌ったる! (いい声で)♪だからベルベットの空の…」
はるか「いやや!」
  看護師、やってくる。
看護師「お静かにしてください」
竜二「看護婦さんは黙っといてください! 娘の一大事なんです!」
  竜二、はるかをソファーに座らせる。
  隣に蒼太。
竜二「はるか、清春ちゅう奴のどこがええねん。ワシより年上やないか」
はるか「うるさい。歌に年齢なんか関係あるかい。清春の歌声を生で聞くんや」
蒼太「(二人を見る)」
竜二「(蒼太へ)…何見とんのや」
蒼太「(慌てて目をそらす)」
竜二「なァ、はるか。手術が近いんや。絶対に安静にしとかんとアカン。手術が終わったら父ちゃんがナンボでも連れてったるわ」
はるか「…いやや…いやや(と塞ぎ込む)」

○ 同・庭
  緑の木々や花が植えてある。
  蒼太、木陰のベンチに腰をおろす。
  蒼太、ゆっくりと目を閉じる。

○ ライブハウス
  ステージ上に清春。
  清春、「Layra」を歌っている。
清春「(歌う)Ah、二人出逢った喜びのように、ピアノは鳴るよ、Layra、Layra」
  客は蒼太一人きり。
  蒼太、耳を澄ましている。
  蒼太、幸せそうな顔。
はるかの声「ジャマや!」

○ (戻って)庭
  蒼太、はっと目を開ける。
  目の前にはるかが立っている。
はるか「(むすっと)そこウチの特等席や」
  蒼太、慌ててリュックを手にし立ち上がる。
はるか「(リュックを見て)待ちい」
蒼太「(立ち止まって)…?」
はるか「それ、清春が黒夢時代に売ってた限定グッズやん」
蒼太「(頷く)」
はるか「値打ちもんやん」
蒼太「(さァと首を傾げる)」
はるか「(不審そうに)…自分、口きかれへんの?」
蒼太「(ぼそりと)…いや、きけるけど」

     ×    ×    ×

  蒼太、ジュースを持って戻ってくる。
  ベンチにいるはるかに渡す。
はるか「(受け取って)悪いな」
蒼太「…」
はるか「それで、さっきのあんたの話、清春の大ファンで東京から大阪に越してきたって、ツッコミどこ多すぎて困るわ」
蒼太「…?」
はるか「(呆れる)あんなあ、清春の出身は岐阜や。大阪関係ないやん」
蒼太「いや、名古屋で…」
はるか「黒夢時代に活動してた名古屋は愛知や。大阪ちゃう。清春は岐阜で生まれて、名古屋で活動しててん。大阪関係ないやん」
蒼太「…」
はるか「そりゃ清春はカリスマやから大阪にもたくさんファンはいてるよ。大阪の芸人にも清春のファンは多いんやで?」
  はるか、ジュースを飲む。
はるか「(しんみりと)あんた、今度の清春のライブいくんやろ? ええよな、健康体の人間は」
蒼太「…いや、いかないけど」
はるか「(驚く)は? 何でいかへんの?」
蒼太「…」
はるか「自分、健康体でライブにいかへんなんて罰あたるで?」
蒼太「(ためらいがちに)ライブにいかなくても、いつでもライブが見れるから」
はるか「…?」

     ×    ×    ×

  はるか、空になったペットボトルを手にしている。
はるか「つまりこういうことか。目をつぶると頭の中にライブしている清春の姿が映し出される。それも単なるイメージやなく映像としてはっきり見える。しかもばっちり音声つきや。おまけに好きな歌を自由に歌わせることができるお得なカスタマイズ機能もついてるっちゅうわけやな」
蒼太「(頷く)」
はるか「自分、なんでそんなバレバレのウソつくん?」
蒼太「ホントだけど…」
はるか「(疑う)んなら「さくらんぼ」も歌えるんか。大阪出身の歌手いうたら大塚愛や。清春に「さくらんぼ」歌わせてみいよ」
  蒼太、目をつぶる。
  はるか、蒼太の顔をじっーと見つめる。
  蒼太、視線を感じ、顔を背ける。
  蒼太、目をつぶる。

○ ライブハウス
  清春、振り付けしながら「さくらんぼ」を熱唱。

○ (戻って)庭
  はるか、蒼太の前に立っている。
はるか「(蒼太へ)おーい」
  蒼太、目をあける。
はるか「どやった?」
蒼太「(頷く)」
はるか「うそや」
蒼太「…ほんと」
はるか「清春がアイシアウーって歌って、もう1回ってやったんか」
蒼太「(頷く)」
はるか「絶対ウソや!(と笑う)」
蒼太「…ほんと」
  と竜二、やってくる。
竜二「はるか、診察の時間や」
はるか「(蒼太へ)ほな。また風邪でも引いたら遊びにきてくれや」
蒼太「…?」
はるか「うち、ここが住所みたいなもんやねん」
  はるか、去る。
  竜二、蒼太を見る。
竜二「…誰や」
蒼太「…え」
竜二「名前は? はるかとどんな関係や」
蒼太「あ、名前は山田蒼太で、今さっき会ったば…」
竜二「(聞いていない)東京もん。ワシの娘に指一本でも触れてみい。殺すぞ」
蒼太「(ビビる)」
  近くにいた老人、
老人「あんた、病院内で物騒な言葉使うたらアカン」
竜二「ほんの冗談やがな。なあ」
蒼太「…はあ」
  老人、去る。
竜二「(真顔に戻る)マジやで」
蒼太「…」

○ 同・診察室
  はるか、医師と話している。
はるか「先生、聞いてえな。おかしな人に会ってん」

     ×    ×    ×

はるか「な。おかしいやろ?」
医師「(考え込んで)その男は瞑想の達人かも知れんな」
はるか「…瞑想?」

○ イメージ
  あぐらをかいて瞑想をする蒼太。
医師「知り合いの話によるとや、瞑想の達人ちゅうのは脳内で自由自在に見たい映像を見れるんや」

○ (戻って)診察室
医師「おまけに音声も聞こえるとなると、ソイツ、ただもんやないな」
はるか「…なあ、先生、うちもそれできへんかな」
医師「え?」
はるか「うち、昔から病院のベッドで空想ばっかしてたもん。そういうの得意やねん」

○ 同・病室(夜) 
  はるか、ベッドの上で目を閉じる。
  はるか、眉間にシワが寄る。

○ 闇の中
  清春、うっすらと現れる。

○ (戻って)病室
  はるか、はっとする。

○ 遊園地
  薄暗く、音のない遊園地。
  清春、メリーゴーランドに乗っている。

○ (戻って)病室
  はるか、目をあける。
はるか「何やしらんけど…見えた…」
  はるか、ひとり笑い出す。

○ 病院・庭(数日後)
  蒼太、ベンチの周りを怪しげにうろついている。
  蒼太、帰ろうとする。
はるかの声「あんた!」
  蒼太、振り向く。
  はるか、やってくる。
蒼太「(気まずい)…いや、風邪で…」
はるか「(けらけら笑い出す)メリーゴーランドや!」
蒼太「…?」
はるか「清春が乗っててん! おかしくて腹がねじれそうや!」
  はるか、大笑いする。
蒼太「…(見て、つられて笑う)」

○ 同・病室
  はるか、蒼太、向き合っている。
蒼太「コツは何も考えないというか、無になること、とか」
はるか「よっしゃ。ライブ曲はウチの一番のお気に入りライクアエンジェルで決まりや」
  はるか、目をとじる。
  はるか、集中している。

    ×     ×     ×

はるか「(目を開ける)ダメや。全然見えん」
蒼太「…」
はるか「そや」
  はるか、蒼太へ手を差し出す。
蒼太「…?」
はるか「あんたのパワーわけて」
蒼太「…」
  蒼太、はるかと手を繋ぐ。
  はるか、目をつぶる。
  蒼太、はるかの顔に見とれる。

○ ライブハウス
  ステージ上に清春。
  清春、「Like @ Angel」を熱唱している。
清春「(歌う)天使の羽を広げ、そびえる夢、飛び越えたい」
  客席ははるか一人きり。
  はるか、耳を澄ましている。
  はるか、幸せそうな顔。

○ (戻って)病室
  はるか、目を開ける。
  蒼太、慌てて目をそらす。
はるか「(感激して)…できた」
  はるか、蒼太に抱きつく。
はるか「できたで! 頭ん中でばっちり清春がライブしとった!」
  蒼太、ドギマギしている。
  はるか、蒼太から離れる。
はるか「…決めたで。この夏はライブ三昧や」

  以下、カットバック

○ ライブハウス
  ステージ上に清春。
  清春、「忘却の空」を熱唱。
清春「(歌う)だからベルベットの空のした、歌う声は聞こえてる、デタラメのダウナー交わしてる、僕の声が聞こえているから」
  客席に蒼太とはるか。
  二人、歌に酔いしれている。

○ 病院・病室
  蒼太とはるか、手をつなぎながら目をつぶっている。

○ ライブハウス
  ステージ上に清春。
  清春、「ピストル」を熱唱。
清春「(歌う)壊れ壊れてゆけ、撃ち殺せないピストル」
  客席に蒼太とはるか。
  二人、歌に酔いしれている。

○ 病院・庭
  蒼太とはるか、手をつなぎながら目をつぶっている。

○ ライブハウス
  ステージ上に清原和博(53)。
  清原、「忘却の空」を熱唱。
清原「(歌う)だからベルベットの空のした」
  客席の蒼太とはるか、あ然としている。

○ 病院・病室 
  蒼太とはるか、目をあける。
  はるか、おかしそうに笑う。
  蒼太も笑う。

  カットバックおわり

○ 病院・病室(数日後)
  はるか、熱心にノートを書いている。
  隣に蒼太。
  ノートには「プレイリスト」の文字。
  曲名がずらりと並んでいる。
はるか「自分でライブの演奏曲決められるって楽しいなあ」
  はるか、ノートを眺める。
はるか「楽しすぎて曲多過ぎや。こんなんやったら清春死んでしまうんちゃう?」
  はるか、ベッドに腰をおろす。
はるか「ちょっと疲れたから休むわ」
  蒼太、立ち上がる。
  蒼太、出ていこうする。
はるか「(横になりながら)先生があんたのこと瞑想の達人いうてたで。こんな力どこで手にいれたん?」
蒼太「…気がついたら」
はるか「気がついたらできてるもんとちゃうやろ」
蒼太「…ずっと家とか、教室とかで、やってたらいつの間にか」
はるか「教室って、友達と遊ばんかったんか?」
蒼太「…いや、友達とかいたことないから」
はるか「(笑う)友達いたことない? あんたも冗談いえるんやな」
蒼太「…ホントだけど」
はるか「…」
  はるか、手をさしだす。
蒼太「…」
はるか「…握って」
  二人、手をつなぐ。
はるか「じゃあウチが初めての友達や。仲良うしような。蒼太」
蒼太「(照れる)…ありがとう」
はるか「なにそれ?」
蒼太「…いや」
  はるか、目をとじる。
はるか「…あんたの手、落ち着くわ」
蒼太「(ドギマギする)」
  と乱暴にドアが開く。
  竜二、恐ろしい形相で立っている。
はるか「(慌てる)な、なに勝手に入ってきてんねん!」
竜二「(蒼太へ)お前、表出ろ」
蒼太「(ビビる)」
はるか「父ちゃん、誤解や!」

○ 同・廊下
  蒼太と竜二、対峙している。
竜二「指一本でも触れたら殺すいうたよな」
蒼太「あ、はい」
竜二「一本どころの話やないな。五本触れとった」
蒼太「…」
竜二「大事な手術が近いんや。二度と娘にちょっかいを出すな」
蒼太「あ、はい」
  蒼太、いわれるがままに去っていく。

○ 建設現場・作業場(数日後)
  照りつける日差し。
  蒼太、汗水流して作業している。

○ 同・休憩室
  蒼太、隅っこで一人スマホを見ている。
  はるかから以下のライン。
  「何で無視すんの?」
  蒼太、返事をせずにラインを閉じる。

○ ライブハウス
  ステージ上、熱唱する清春。
  客席にぽつんとはるかの姿。
  はるか、不満げな顔。
  遠くの客席にぽつんと蒼太。
  蒼太、ライブを楽しめないでいる。

○ 病院・ロビー(数日後)
  蒼太、怪しげに周りを見渡している。
  蒼太、竜二を見つける。
竜二「(気づいて)なんやワレ」
  蒼太、慌てて竜二に封筒を差し出す。
竜二「…なんや?」
蒼太「金。手術の…」
  竜二、封筒を受け取ると中身を見る。
  数十枚の諭吉。
竜二「なんのつもりや」
蒼太「バイトで…俺、使わないから、手術の…」
  竜二、封筒を突き返す。
竜二「…悪いが受け取れん。気持ちだけはもらっといたる」
  蒼太、封筒を受け取ろうとしない。
  蒼太、足早に立ち去る。
竜二「おい!」

○ 同・外
  蒼太、建物から出てくる。
はるかの声「蒼太!」
  蒼太、声に振り向く。
  はるか、病室の窓から顔を出している。
  蒼太、足早に歩き出す。
はるか「ちょっ…なんで逃げんねん!」

○ 道
  蒼太、逃げるように歩いている。
  はるか、追ってくる。
はるか「蒼太! 待ってって!」
  蒼太、ためらいながらも歩みをとめない。
はるか「うち、明日手術すんねん!」
蒼太「…」
はるか「大手術や。もう会えへんかもしれんで!」
  蒼太、立ち止まる。
  はるか、やってくる。
はるか「(息を切らせて)なんで無視するん?」
蒼太「会うなって…」
はるか「父ちゃんなんか関係ない!」
蒼太「…」
はるか「…うちも蒼太と同じなんや」
蒼太「…?」
はるか「父ちゃんに甘やかされて育ったせいでわがまま放題や。だから友達なんてできへん。うち、蒼太しかおらへんねん」

○ 病院・病室
  蒼太、ベッドで休むはるかの手を強く握りしめている。

○ 同・病室の前
  竜二、やってくる。
  ドアの隙間から蒼太とはるかが見える。

○ 同・病室
  蒼太、はるかの手を握っている。
蒼太「…がんばろう」
はるか「なにそれ?(と笑う)」
蒼太「手術、がんばろう」
はるか「でもなあ、手術の最中は眠ってるんやで。頑張りようがないで(と寂しげに笑う)」
蒼太「…俺ががんばるから」
はるか「…?」
  蒼太、立ち上がる。
  蒼太、はるかのノートを手にする。
蒼太「ここに書いたプレイリスト、全部やるから…はるかの手術が終わるまで…代わりにがんばるから…だから手術…がんばろう」
はるか「(笑う)あんた、ほんまに口べたやなあ」
  はるか、体を起こす。
はるか「こっちきて」
  蒼太、はるかに近寄る。
  はるか、蒼太にキスをする。

○ 同・廊下
  竜二、そっとドアを閉める。
  竜二、静かに去る。
  看護師、やってきて、病室に入ろうとする。
竜二「(看護師へ)今は入らんといてください」

○ 同・手術室前(翌日)
  蒼太と竜二、スレッチャーに乗ったはるかを見守っている。
  はるか、蒼太に手を差し出す。
  蒼太、はるかの手を握る。
はるか「約束やで。うちの手術が終わるまでライブ続けててな」
蒼太「(強く頷く)」
     ×    ×    ×
  手術室に手術中のランプが灯る。
  竜二、落ち着かない様子。
  蒼太、椅子に座って目を閉じる。

○ ライブハウス
  ステージ上に清春。
  清春、「Bad Speed pray」を熱唱。
  客席に蒼太。
  蒼太、曲に合わせて拳を振り上げる。
      ×    ×    ×
  清春、「BEAMS」を熱唱。
  蒼太、一緒に熱唱する。
      ×    ×    ×
  清春、「TOKYO」を熱唱。
  蒼太、激しく拳を振り上げる。
  蒼太、汗まみれになっている。

○ (戻って)手術室前(夕)
  すっかり日が落ちている。
  竜二、祈るように両手を組んで椅子に座っている。
竜二「神様…あの子を奪わんといて…」
  蒼太、じっと目を閉じている。

○ ライブハウス
  客席の蒼太、ふいに隣を見る。
蒼太「…はるか」
  とステージの清春が叫ぶ。
清春「おらよそ見してんじゃねえぞ!」
蒼太「(集中し直し)おう!」
清春「もっと声出せ!」
蒼太「おう!」
清春「いくぞ! 「カマキリ」!」

○ 手術室前(夜)
  手術中のランプが消える。
  竜二、はっとして立ち上がる。
  手術室から医師が出てくる。
  竜二、駆けつける。
竜二「先生! あの子は!」
  蒼太、ぎゅっと目をつぶる。
  医師、竜二に何かを告げる。

○ ライブハウス
  清春のいないステージ。
  蒼太、へとへとになりながら叫んでいる。
蒼太「アンコール! アンコール! アンコール!」
はるかの声「アンコール!」
  蒼太、はっとして振り返る。
  はるかが立っている。
はるか「(笑顔)」
  蒼太、顔がぱっと輝く。
  ステージで「Like @ Angel」の演奏が始まって…

○ タイトル

(おわり)

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