大黒柱 ドラマ

妻や娘に邪険に扱われている大黒肇(47)。ある日、娘の部屋のエアコンが壊れ、暴風を発生し始めて……。
マヤマ 山本 9 0 0 04/16
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第一稿

<登場人物>
大黒 肇 (47)会社員
大黒 蘭 (39)大黒の妻
大黒 志音(14)大黒の娘

修理業者



<本編>
○マンション・大黒家・ダイニング(夜 ...続きを読む
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<登場人物>
大黒 肇 (47)会社員
大黒 蘭 (39)大黒の妻
大黒 志音(14)大黒の娘

修理業者



<本編>
○マンション・大黒家・ダイニング(夜)
   ファミリータイプのマンション。
   帰ってくる大黒肇(47)。食卓には食事の形跡のみがあり、大黒蘭(39)が片づけをしている。
大黒「ただいま」
蘭「え? (時計を見て)早退した?」
大黒「いや、定時で帰れればこんなもんだよ」
蘭「あっそ。だったら、電話の一本でも入れてくれないと。ご飯、無いわよ?」
大黒「まぁ、余ったもの適当につまめれば……」
   大黒の前にカップ麺を置く蘭。
蘭「余ってるカップ麺」
大黒「……ありがとう」
志音の声「ちょっと、ママ~」
   そこにやってくる大黒志音(14)。
志音「私の服、親父のと一緒に洗わないで、って言ったじゃん……(大黒に気付き)あっ」
大黒「……ただいま」
志音「(無視して)ねぇ、ママ……」
蘭「ごめんごめん。次からは分けるから」
志音「もうマジ最悪。これ着れないわ~」
   と言いながら出ていく志音。
大黒「俺はこの家の何なんだ……」

○メインタイトル『大黒柱』

○会社・オフィス
   デスクワーク中の大黒。スマホが鳴る。画面には「蘭」の文字。
大黒「ん? (スマホを手にし)どうした?」

○マンション・大黒家・廊下
   玄関から続く廊下。志音の部屋のドアの前に立つ蘭。そこに息せき切って帰ってくる大黒。
大黒「おい、志音がどうしたって!?」
蘭「アナタ。それが……」
   と言ってドアを指す蘭。ドアノブに手をかける大黒。押すも、開かない。
大黒「(ドアをノックし)志音。開けなさい!」
志音の声「開かないの!」
大黒「(蘭に)どういう事だ?」
蘭「何か、良くわからないんだけど……」

○(回想)同・同・志音の部屋
   エアコンをつける志音。異音を発する。
志音「ん?」
   暴風を起こし始めるエアコン。壁まで吹き飛ばされる志音。
志音「きゃっ!?」

○同・同・廊下
   志音の部屋のドアの前に立つ大黒と蘭。
蘭「……という事らしい」
大黒「修理業者は?」
蘭「連絡したけど、まずは志音を部屋から出してあげないと……」
   志音の部屋から何かが割れる音。
志音の声「きゃ~!」
大黒「よし、任せろ」
   体全体を使ってドアを押し、少しずつドアを開けていく大黒。
大黒「ふんぬ~!」
   ドアの隙間から志音の姿が見える。
志音「親父……」
大黒「志音。さぁ、掴まって」
   お互い、手を伸ばす大黒と志音。
大黒「あと少し……」
志音「(手を引っ込め)親父の手とか、無理」
大黒「え?」
   ショックで力が抜け、風の勢いでそのまま閉まるドア。
大黒「今のはいいだろ!」
志音の声「無理なものは無理!」
    ×     ×     ×
   再び、体全体を使ってドアを押し、少しずつドアを開けていく大黒。
大黒「ふんぬ~!」
   ドアをどんどん開けていく大黒。開いた角度が九〇度を超えた瞬間、風の勢いで一気に一八〇度まで開くドア。
大黒「ほあっ!?」
   エアコンからの暴風が廊下にまで溢れ出る中、はい出るように部屋を出る志音。蘭に抱き着く。
志音「ママ~」
蘭「志音~」
大黒「……パパにはやってくれないんだな」
蘭「でも、どうする? このままじゃ、私達も飛ばされちゃうわよ?」
   大黒の視線の先、玄関脇の窓。
大黒「そうだ、窓を開けろ。風を逃がすんだ」
志音「わかった」
   玄関脇の窓を開ける志音。窓から暴風が外に流れる。
   直後、外から悲鳴や何かが割れる音、車のクラクションの音、何かがぶつかる音などが次々と聞こえてくる。
大黒「閉めろ~!」
志音「わかった~!」
   窓を閉める志音。
    ×     ×     ×
   壁際に並んで座る大黒、蘭、志音。志音の部屋から漏れる暴風に耐えている。
蘭「とりあえず、あとは業者に頼みましょう」
大黒「そうだな」
   インターホンの音。
修理業者の声「ごめんください。エアコンの修理に伺いました」
蘭「(玄関に向け)開いてま~す!」
修理業者の声「はい、失礼します」
志音「良かった~。コレで一安心」
大黒「……いや、待て。今ドア開けたら……」
   玄関のドアが開く。その瞬間、暴風に飛ばされ、遥か彼方に消えていく修理業者。
修理業者「ぎゃああ!」
大黒「業者さ~ん!」
    ×     ×     ×
   暴風に耐えながら、一歩また一歩とエアコン(の真下の壁に固定されたホルダーの中にある、エアコンのリモコン)に向かって足を進める大黒。
大黒「う……ぐ……ぐ……」
   暴風に耐えきれず、壁際にいる蘭、志音の元になで吹き飛ばされる大黒。
大黒「痛っ。……何の、これしき」
   再び立ち上がる大黒。
志音「もう諦めなよ。あんな所にあるリモコン、取れる訳ないし」
   志音の言葉に耳を貸さず、再び暴風を突破しようと歩き出す大黒。またも暴風に飛ばされてくる。その後も、同じ事を繰り返す大黒。
大黒「痛っ。……まだまだ」
志音「ねぇ、無視? あり得ないんだけど」
蘭「こら、志音」
志音「何とか言えよ、親父!」
大黒「(振り返り)……パパはな、家族にそんな顔をさせるために働いてるんじゃない。家族にこんな思いをさせるために、このマンションを買った訳じゃない。家族の泣いている顔に比べたら、こんな痛み……うわっ!?」
   暴風に吹き飛ばされ、立ち上がる大黒。
蘭「アナタ、大丈夫なの?」
大黒「心配するな。こうやって体を張るのは、男の仕事だ」
志音「何で? 何でそこまでして……?」
大黒「それはパパがこの家の、大黒柱だからだ」
   大黒の背中、後光がさす。
志音「親父……」
大黒「さぁ、今度こそ!」
   また暴風を突破しようとし、やはり吹き飛ばされそうになる大黒。
大黒「ぬ、お、お……」
蘭「アナタ!」
   吹き飛ばされそうになる大黒に駆け寄り、背中を支える蘭。
大黒「!?」
蘭「今どき『これが男の仕事だ』なんて、考え方が古いのよ。『母は強し』よ」
大黒「そうだな。行くぞ」
   二人がかりで暴風を突破しようとする大黒と蘭。先ほどまでよりはエアコンに近づくも、その分風も強まり、二人揃って吹き飛ばされそうになる。
蘭「ん~!」
大黒「マズい、このままじゃ……」
志音「ママ!」
   吹き飛ばされそうになる大黒と蘭に駆け寄り、蘭の背中を支える志音。
蘭「志音!?」
志音「大した力じゃないかもだけど、三人で力を合わせれば、何か行けそうな気がする!」
大黒「そうだな。行くぞ、せーの!」
   一歩ずつ歩みを進める大黒、蘭、志音。尚、暴風を受けているのは実質大黒のみであるため、顔が大変な事になっている。
大黒「ば……ぼ……ぼ……」
蘭「あと少しよ」
志音「行っけ~!」
   暴風を突破し、リモコンのボタンを押す大黒。エアコンの電源が切れる。
   その場に座り込む大黒、蘭、志音。
志音「やっ……た?」
蘭「うん……やった」
蘭&志音「やった~!」
   抱き合う蘭と志音。その傍らで体力を使い果たし倒れ込む大黒。息が荒く言葉は出ないが、喜び合う蘭と志音の様子を見て笑みを浮かべる。

○同・同・志音の部屋
   エアコンを修理する修理業者。頭に包帯を巻くなどしているが、元気そう。

○同・同・ダイニング(夜)
   食卓を囲む大黒、蘭、志音。皆、笑顔。
                  (完)

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