○高層マンション
下まで延々と続く吹き抜け。
市川ふみ奈(19)の手。
手にはスマホ。
スマホを離す。
スマホは吹き抜けを落ちてゆく。
ふみ奈「あの人の声は独特で、どう表現していいかわからない、色で言ったら青色って声だ」
○同・ベランダ
夜景を見るふみ奈。
ふみ奈の母、市川新名(42)の声。
新名「ふみ奈、できたから」
ふみ奈「ご飯何?」
新名「タコぶつ」
○同・リビング
夕食。
新名、ふみ奈、妹の七星(15)の3人。
七星、スマホを見ながら食事。
ふみ奈「タコぶつって」
新名、缶ビールを開けて飲む。
新名「ああ…」
ふみ奈「あたしも飲もっかな」
新名「取りに行く、そこまでやらせるな」
ふみ奈「やっぱいいや」
新名「そんなんでやめる人に飲む資格なし」
七星、にやにやしている。
ふみ奈「気持ち悪」
七星「これマジ面白いから」
新名「何、何、なんてアニメ?」
七星「いや、ママむり、ママには難解」
新名「何言ってんの、私は医師免許持ってるんだから」
七星「関係なき」
ふみ奈、食事をしながら指でリズムを取る。
新名「手持ち無沙汰?」
ふみ奈「は? どういう意味?」
新名「ねえ、なんでそんなバカなことしたの」
七星「ホントバカ」
ふみ奈「すべった」
七星「すべっても普通、床」
新名「吹き抜けに落とすバカいる?」
ふみ奈「うるさいな、私のスマホがどうなろうか勝手じゃん」
七星「ナームー」
七星、拝む。
七星「成仏してくれ」
新名「明日買い替えるんでしょ? 連絡取れないと困るよ、七星、夏休みで家にいるんだし、私帰れない日はふみ奈が夕飯…」
七星「テキトーにコンビニで買うし」
ふみ奈「だって」
新名「大学休みで友だちと連絡取れなくてよく平気ね、今も誰かかけてるかもしれないよ」
ふみ奈「大学に友だちいないし」
七星「だって」
ふみ奈「ケイタイの姿が見えなくなって、最後、ガシャーンとか音かするかと思ったけど無音だったな」
七星「無音」
新名「あんたまさか、自分で投げたんじゃないでしょうね?」
七星「タコぶつ、ウマっ」
新名「でしょ、取れたてだって、柳田さんとこの」
○キャンパス内
講義中。
工業デザインの歴史の授業。
一人で講義を受けているふみ奈。
遠くの席でふみ奈を見ている小西璃子(19)。
璃子は友だちと受けている。
講義が終わる。
ふみ奈、逃げるように教室を後にする。
璃子、周りの友だちに声をかけ走り出す。
○大学近くのカフェ
昼食を取るふみ奈。
璃子が来る。
璃子「実習同じだよね」
ふみ奈「は?」
璃子「今日の午後のデザイン実習」
ふみ奈「ああ」
璃子「イサムノグチの話したじゃん」
ふみ奈「え?」
璃子「だから、彫刻家でインテリアデザインとかもして」
ふみ奈「イサムノグチはわかるけど」
璃子「何で電話でないの?」
ふみ奈「電話壊れた」
璃子「壊れたって、メールもしてるし、番号交換してから一週間経つよ」
ふみ奈「ずっと壊れてる」
璃子「普通壊れたらショップ行くでしょ」
ふみ奈「そうかな」
璃子「そうだよ、避けてんの私の事」
ふみ奈「かなあ」
璃子「まあ、それならそれだけどさ、ちょっとお願いあったんだよ」
ふみ奈「私に?」
○キャンパス・中庭
ダンスする集団。
その中に璃子の姿。
踊る姿を無表情でみるふみ奈。
踊る璃子の前を人が横切る。
保坂(29)である。
ふみ奈、驚愕。
保坂を目で追う。
保坂の後を追うふみ奈。
璃子、立ち去るふみ奈に気づく。
○同・教務課前
中を覗くふみ奈。
中に入る学生とぶつかる。
○教務課
設置された資料を見ながらも挙動不審な動きをするふみ奈。
璃子「逃げんな」
ふみ奈「わあ」
璃子「そんな驚く?」
ふみ奈「またあんた? しつこいんだけど」
璃子「あんたじゃなくて、小西、小西璃子です」
ふみ奈「へえ。どうでもいいけど付きまとわないでよ」
ふみ奈、緊張。
視線の先には保坂。
璃子、ふみ奈の視線に気づく。
璃子「あ、保坂だ、辞めたんじゃないんだ」
ふみ奈「保坂っていうの?」
保坂、奥の部屋に消える。
璃子「忘れ物かな」
ふみ奈「急に辞めたよね」
璃子「や、だいぶ前に決まってたよ」
ふみ奈「え。」
璃子「保坂、学生人気あるからね、イケメンだし」
ふみ奈「人気あるの?」
璃子「教務課に何のようもないのに女子集まってんじゃん」
ふみ奈、言われてみると周りに保坂目当ての女子学生がいることに気づく。
璃子「友だちいないからわかんないだよ」
ふみ奈「いらないし、私は友だち作りに大学入ったわけじゃないし」
璃子「せっかく私が友だちになってあげようとしたのに」
ふみ奈「別にいらないから」
璃子「私がいたら保坂の情報だっていち早く」
ふみ奈「何か知ってるの? 他にも」
璃子「そりゃまあ」
○キャンパス・ベンチ
教務課の建物近く。
ふみ奈と璃子。
二人は保坂を気にしながら話をしている。
ふみ奈「でも結局はどこに行くかわかないのね」
璃子「ま、そこまではね、そこまで調べて追いかけたらストーカーだし」
ガラス越しに保坂が見える。
璃子「でも、なんか伊豆半島に行くって」
ふみ奈「伊豆?」
璃子「海あるとこ、下田とか、熱海もかな」
ふみ奈「熱海って伊豆なの?」
璃子「詳しくはわかんないけど伊豆半島のどこかっていう噂は聞いた」
保坂、職員と話をしている。
ふみ奈「熱海ならたしか新幹線で近いよね」
璃子「え? まさか行く気なの?」
ふみ奈「明日から夏休みだし」
璃子「夏休み関係ないし」
保坂、出てくる。
後を追うふみ奈。
璃子「ねえ、ふみ奈ちゃん、まじ?」
璃子もふみ奈についてゆく。
璃子「ねえ、まだ講義ふたコマ残ってるよ」
○街中
保坂を追うふみ奈と璃子。
○駅
保坂、入っていく。
璃子「ね、そのまま伊豆行くんちゃう?」
ふみ奈、突き進む。
璃子「ねえ、まってよ」
○駅構内
保坂、スマホをいじる。
カフェに入る。
○カフェ向かいの和食屋
ふみ奈と璃子。
寿司をつまむふみ奈。
ふみ奈「わたし、タコ好きなんだ」
璃子「ああ、タコね」
ふみ奈「海鮮丼でも食べなよ」
璃子「は? 何で? ああ、私もコーヒーが飲みたい」
ふみ奈の視線の先には保坂。
璃子「ねえ? いつまでストーキングする気?」
ふみ奈「は? そんなんじゃないし」
ふみ奈、注文ボタンを押す。
店員、来る。
ふみ奈「あの、たこわさ下さい」
璃子「は? マジかよ」
ふみ奈「それから」
○カフェ
スマホを見ながら、コーヒーを飲む保坂。
画面から顔を上げ、強烈な目線。
○カフェ向かいの和食屋
生ビールを飲むふみ奈。
璃子「ねえ、ねえ、こっち見た」
ふみ奈「え? 誰が?」
璃子「保坂だよ」
ふみ奈「え? マジ?」
ふみ奈が保坂を見る。
保坂、コーヒーを飲みスマホ画面を見ている。
ふみ奈「見てないじゃん、しかしカッコいい」
璃子「酔ってんの?」
ふみ奈「こんなんで酔わないし、けどなんか旅行してるみたい」
璃子「何よ、それ」
○カフェ
店を突然出る保坂。
○カフェ向かいの和食屋
ふみ奈「やば、残りのんで」
璃子「昼間からビール無理」
ふみ奈、急いで店を出る。
○駅構内
人混み。
保坂を探すふみ奈。
行ったり来たりする。
ふみ奈「どこや」
璃子、合流。
璃子「あーあ、ビールなんて…」
ふみ奈「いた!」
ふみ奈、走り出す。
追いかける璃子。
璃子「うあ、新幹線売り場に向かってるよ」
ふみ奈「どっち方面行くんだ」
璃子「マジこのまま行く気?」
ふみ奈「しゃーない適当に買おう」
切符売り場。
ふみ奈「ねえ、お金ある?」
璃子「は?」
ふみ奈「後で返すから、友だちでしょ?」
璃子「友だちの間でお金の貸し借りしたら、友情崩れるよ」
ふみ奈「早く」
○車窓
都会から海へ。
○車内
熱海。
保坂、降りる。
追いかけるふみ奈と璃子。
○構内
保坂を追いかける二人。
ふみ奈「売店、踊り子弁当だって美味そう」
璃子「伊豆の踊り子だからね」
ふみ奈「何それ?」
璃子「小説知らないの?」
ふみ奈「あ、階段上がった」
璃子「熱海降りないね」
ふみ奈「まだ進むんだね」
璃子「こりゃ下田かな」
ふみ奈「ペリーだね」
璃子「は?」
ふみ奈「下田、黒船だよ、小西教養ないな」
踊り子号に乗る。
○車内
ふみ奈と璃子、海を眺める。
遠くの席に保坂。
ふみ奈「海久しぶりだな」
璃子「ねえ、もっと計画してさ、旅行したら…」
ふみ奈「ビール飲みたいな」
璃子「私は魚貝食べたい」
ふみ奈「だからさっき海鮮丼食べたらいいのに」
璃子「地物だよ、地物食べたいって話」
ふみ奈「駅構内のだって築地って書いてあったよ」
保坂、降りる支度をする。
ふみ奈、慌てる。
ふみ奈「小西、おいおい、下田じゃないじゃん」
璃子「そんなん私だって知らないし」
ふみ奈「どこだよここ」
璃子「伊豆高原だ」
ふみ奈「海なのに高原なの?」
璃子「有名だよ、観光地だし、別荘地でもあるよ」
○駅前
保坂、進んで行く。
駐車場に入って行く。
ふみ奈、タクシー乗り場に向かう。
璃子「何で?」
ふみ奈「駐車場に入って行った」
○タクシー内
運転手「どちらまで?」
ふみ奈「えーと、小西なんだっけ名前」
璃子「は?」
ふみ奈「あそこ、ほら、名前」
ふみ奈、時間を引き延ばせのゼスチャー。
ふみ奈「ほら、山」
運転手「大室山ですか」
ふみ奈「だっけか」
運転手「じゃないとすると小室山?」
保坂が乗った車が前を通る。
ふみ奈「今の車、連れなんです。ついて行って下さい」
タクシー走り出す。
○道
保坂の車を追うタクシー。
運転手の声「お客さん、大室山じゃないね」
○坂道
保坂の車、タクシーが進む。
○山道
車は進む。
○道
鹿が飛び出る。
タクシー破損。
鹿、ぶつかって倒れるが逃げてしまう。
保坂の車は先に行ってしまう。
運転手「お客さん、すいません、大丈夫ですか」
璃子「私たちは大丈夫ですけど」
運転手「電話しないとな」
ふみ奈「私たち急いでるんで、このまま追って下さい」
運転手「事故は事故なんでこのままお客さん乗せていくのはできません。今代わりのこっちに呼びますんで」
ふみ奈「ここまでで、いいです、お代は?」
ふみ奈、保坂の車を気にしている。
保坂の車は奥の方で右折する。
運転手「お代はいいですよ、怪我なくてよかったです。これ名刺なんで後から何かありましたら連絡下さい」
ふみ奈「わかりました」
璃子「どうすんの?」
ふみ奈「は? ダッシュに決まってんでしょ」
ふみ奈、走り出す。
璃子「マジか」
璃子、いやいや後についてゆく。
○細い道
自然豊か。
コテージや別荘が点在している。
璃子「見失ったね」
璃子、スマホを見る。
璃子「電波もいまいち、マップも見れないよ」
ふみ奈「行こ」
璃子「は? だから調べようないよ」
ふみ奈「簡単じゃん。保坂の車が止まっている家を探すだけじゃん」
璃子「どこまで探すのよ、もう疲れたし、喉かわいた」
ふみ奈、璃子の口を押さえ連れて行く。
抵抗する璃子をつれて林の中に。
ふみ奈、視線を送る。
保坂、車から荷物を下ろしている。
ビニール袋いっぱいを持って家に入る。
璃子「買い込んでるね」
ふみ奈「誰かいるのかな」
璃子「いなそうだけど、いたら手伝うでしょ。これから人呼ぶのかな」
ふみ奈「人呼んで何すんの?」
璃子「バーベキュー?とか」
ふみ奈「私の中でのあの人はそういうイメージじゃないな」
璃子「まあね、静かに読書とかしそうだよね、インテリイケメン?って感じかな」
ふみ奈「し! また出てきた」
保坂、車から寝袋のようなものを出す。
璃子「何あれ」
ふみ奈「布団?」
璃子「寝袋みたいだけど中に何か入ってるみたい」
保坂、引きずって家に運ぶ。
ふみ奈「重そうだね」
璃子「ぎゃっ」
ふみ奈「うるさい!」
璃子「蚊だよ、蚊、蚊私一番だめ、刺された」
大量の蚊。
ふみ奈「蚊ぐらいなんだよ」
璃子「私マジむり虫とかムリ」
璃子、林の奥に行く。
ふみ奈、動かない。
○林の中
進む璃子。
璃子「は? 普通来るでしょ」
スマホを出す。
電波ない。
璃子「う〜ん」
璃子、戻る。
○細い道
戻る璃子。
ふみ奈、いない。
璃子「やば、どこ?」
保坂の家も変化はない。
保坂は家の中に入ったようだ。
璃子「ふみ奈」
呼ぶが誰もいない。
霧が出て来る。
璃子「どうしよう」
林に振り返ると真っ白で先が見えない。
璃子「……ふみ奈…」
白い世界で動くことができない。
保坂の家を見る。
人影はない。
二階の窓にふみ奈が現れる。
窓を叩き、何かを叫んでいるが聞こえない。
璃子「……」
ふみ奈、突然足を引っ張られて窓から姿を消す。
璃子「!」
引っ張った人間は見えない。
璃子、固まっている。
璃子、移動し保坂の家のリビングを外から眺める。
倒れたふみ奈はずるずると引きづられてリビングから見えなくなる。
引きずっている人間の姿は見えない。
璃子、スマホを見る。
圏外。
意を決して保坂の家に向かう。
○保坂の家・リビング
璃子、窓を開けようとするが鍵がかかっている。
璃子、真剣になる。
璃子、窓を叩く。
璃子「ふみ奈! ふみ奈!」
何も反応はない。
静まりかえっている。
璃子「ふみ奈…」
リビングは閑散としている。
住んでいる気配がない。
部屋の奥でゴトっという音がする。
○同・裏庭
璃子、回り込む。
外から中を見るが人の気配はない。
鍵がかかってない。
土足で中に入る璃子。
鹿や鳥の剥製がある。
璃子、寒気がする。
振り返ると、保坂が立っている。
保坂、ゴム手袋をしている。
血だらけのゴム手袋。
璃子、恐怖で尻もちをつく。
ふらふらになりながら逃げる。
保坂「待て」
璃子、身の回りのモノを投げつけながら逃げる。
璃子「来ないで」
保坂「待てよ、ちょっと待てよ」
○保坂の家
外からリビングが見える。
逃げ惑う璃子。
部屋の死角で璃子の姿が見えなくなる。
保坂の姿が現れる。
保坂の手には璃子の髪の毛。
璃子、床を引きづられてリビングから消える。
2話
○闇
闇から薄い光が見える。
○地下室
目が開き、左右に動く。
ふみ奈の目である。
口にはテープ。
首を横に向ける。
驚くふみ奈。
横には血だらけの体が横たわっている。
目が慣れてくる。
横たわっているのは璃子である。
璃子の全身を見るが微動だにしない。
ふみ奈、体を縄でしめられている。
部屋は静かである。
少しづつ、体を動かして璃子に近づく。
璃子に体を当てるが反応がない。
ドアが開く。
足音が近づく。
部屋の内部が薄ぼんやりと見える。
ふみ奈、もう一度、璃子を見る。
璃子の尻にスマホが見える。
瀕死の璃子がスマホに手を伸ばす。
ふみ奈、顔を上げる。
3話
○地下室
保坂が立っている。
保坂は璃子を見ている。
スマホをひったくる。
璃子、声にならない叫びをあげる。
保坂、スマホを地面に叩きつける。
壊れたスマホを何度も踏みつける。
保坂「こんなものがあるから人間がおかしくなるんだ。クソ機械が、こんなもので助けを呼ぼうとしてんじゃねえよ、なんだこんなもの何が便利だ、いらねんだ、こんなもんは……なあ?」
保坂、最後の「なあ?」で突然、ふみ奈を見る。
保坂「なあ?」
ふみ奈「……」
保坂「なあ?」
ふみ奈「……」
保坂「なあ? なあ? なあ?」
保坂、何度も何度もスマホを踏みつける。
保坂「だろ?」
保坂、今度は璃子を踏みつける。
しばらく踏むと、やめて部屋を出て行く。
扉が閉まると、部屋は薄暗くなる。
璃子、動かない。
ふみ奈、苦労しながら璃子に近づく。
ふみ奈の口のテープが少しづつ剥がれる。
ふみ奈「小西、小西」
声を抑えながら話しかける。
ふみ奈「小西…璃子、ねえ、璃子、大丈夫?」
反応がない。
璃子「う…ん」
呻き声のような返事。
ふみ奈「とにかくヤバいよねこの状況」
璃子「逃げないと…ふみ奈、体力あったら逃げて、私はちょっと無理っぽい」
ふみ奈「警察呼ばないと」
璃子「アイツ、完全にやばい」
璃子、咳き込む。
ふみ奈「どうしたらいいんだろう……」
璃子「ふみ奈のスマホがあればね」
ふみ奈「壊れたって言ったじゃん、てゆうか、自分で壊した」
璃子「は?」
ふみ奈「アイツがさ」
璃子「アイツ?」
ふみ奈「保坂が教務課辞めたから」
璃子「スマホ壊したの?」
ふみ奈「そう、連絡先いつか交換したくて。その内に辞めた、だからどーでもよくなってうちのマンションの上から落とした」
璃子「あの保坂のために。ウケるんだけど」
ふみ奈「……」
璃子「ふみ奈、ごめん、話すのもやっとだ」
沈黙。
璃子「ふみ奈に託した」
○保坂の家
外観。
保坂が出てくる。
車で出かける。
○地下室
璃子、動かない。
ふみ奈「璃子、大丈夫」
璃子「う…ん…」
ふみ奈「いつものうざい感じどこいっちゃったのよ」
璃子「うざい…って」
ふみ奈「バタバタして、人にくっついて来るじゃん」
璃子「……ふみ奈…喉がカラカラ…」
奇声を発して闇から老婆が出てくる。
よく見ると老婆ではなく若い女で煤だらけ。
ふみ奈、悲鳴を上げる。
璃子「……ふみ奈、どうしたの…」
奇声を上げながら、女はふみ奈につかみかかる。
ふみ奈が振り払うと女は床に倒れ動かなくなる。
璃子「誰かいるの?」
ふみ奈「うん……」
女、動かない。
が、ゴキブリのように急に動く。
ふみ奈に近づいてくる。
ふみ奈の耳元で囁く。
女「早く逃げないと」
女は力を失いその場に崩れる。
○保坂の家
保坂の車が帰ってくる。
買い物袋をさげて家に入る。
○同・玄関
保坂、家に変化がないか見回す。
○同・保坂の部屋
パソコンの前に座る。
モニターには各部屋の監視カメラの映像。
地下室のモニターを拡大する。
時間を戻して、ふみ奈と璃子の動きを見る。
女が現れ、ふみ奈が驚く。
保坂、そのシーンを笑う。
何度か繰り返し見て笑う。
先を見る保坂。
○モニター
ふみ奈、何やら動いている。
倒れた女の体を起こし運び始める。
保坂「こいつ何してんの」
ドアの近くまで運ぶ。
保坂「ご苦労様」
ドアの横に立てかける。
保坂、笑い出す。
保坂「頭いいじゃない、そいつをオレにぶつけて逃げる気ね」
保坂、立ち上がる。
保坂「こんなことやる奴はじめてだ」
ふみ奈、後ろで待機している。
保坂、スタンガンを手に部屋を出る。
○地下室
ドアを開ける保坂。
何もない。
保坂「?」
暗闇を探す。
保坂「どこだ」
ふみ奈、璃子のスマホで保坂の腹をつく。
保坂、尻餅をつく。
ふみ奈、その隙に逃げる。
璃子「ばーか、おめーみたいなサイコ野郎なら監視カメラつけてるのぐらい予想できるわ」
保坂、璃子に近寄るが瀕死の璃子よりも逃げた保坂を追いかけることを優先する。
○保坂の家
リビング。
ものにぶつかりながら必死に逃げるふみ奈。
○同・外
窓から外に逃げる。
一面、霧。
○霧の中
霧の中を進むふみ奈。
手に冷たいものを感じる。
雨が降り出す。
ふみ奈「……」
後ろに振り返ると光。
ヘッドライトをつけた保坂が追って来る。
ふみ奈、逃げる。
どさしゃぶりになる。
霧は晴れるが大雨で前が見えない。
○森の中のロッジ
ロッジが見える。
灯が灯っている。
○ロッジ
ノックするふみ奈。
しばらくすると、外国の女エレナが出てくる。
ふみ奈「すいません、道に迷ってしまって」
エレナ「そうですか」
エレナは片言であるが日本語が通じる。
ふみ奈「申し訳ないんですが、電話を貸していただけませんか?」
エレナ、一度、部屋の中を気にする。
エレナ「どうぞ」
海外のような内装。
外国人の女3人がテーブルを囲んでいる。
ふみ奈、会釈をするが外国人の反応はない。
エレナ「こちらです」
ふみ奈、110を押そうとする。
エレナ、止める。
エレナ「警察だめです」
警察という言葉に外国人一同がギョッとする。
エレナ「何で警察?」
ふみ奈「ちょっとしたトラブルで」
外国人たちが騒ぎ出す。
追い出せと言っている。
エレナ「トラブル困ります。帰って下さい」
ふみ奈、窓の外を見ると保坂が歩いているのが見える。
ふみ奈「ケイタイ無くしたので警察にかけようかと思っただけで、本当は家に、母親に電話しようとしたんです」
エレナ「言い訳いいです。あなた警察かけようとした。だから協力できない。出て下さい」
外にいる保坂がエレナの家に向かって来る。
ふみ奈「!」
インターホンが鳴る。
エレナ、玄関に向かう。
「すいません」と保坂の声がする。
ふみ奈、逃げる。
ふみ奈が勝手に奥の部屋に進む。
外国人たちが騒ぎ出し、ふみ奈を追いかける。
○同・通路
別の部屋から逃げようとするふみ奈。
しかし薄暗く窓もない。
ふみ奈「何よ、ここ」
外人がふみ奈につかみかかる。
ふみ奈、振り払う。
○同・奥の部屋
ロウソクの灯りだけの暗い部屋。
黒いガウンが所々に置いてある。
ふみ奈「何よここ」
エレナが来る。
エレナ「どうしてここに来る?」
ふみ奈「保坂は?」
エレナ「保坂? いま来た男、あなたの知り合いなの?」
ふみ奈「知り合いではないんだけど」
ふみ奈、保坂がどうなったか気になる。
エレナ「男? 女がこのうちに訪ねて来なかったかって。あなたの事だったのね」
ふみ奈「あの男、頭がおかしいの」
エレナ「安心して。ここには入ってこないわ。この家にはいかなる理由があっても、男は入れないの。そういうルールなの。ここにはいないって追い返したわ」
エレナに一人の女が近づき耳打ちする。
エレナ「しつこい男ね、まだ家の周りうろうろしてるって」
エレナ、女に外国語で話す。
エレナ「入ってこないか、見張るわ」
ふみ奈「彼は危険なの。だから警察に連絡したいの」
エレナ「警察に電話できない。ストーカーなの?」
ふみ奈「ストーカーじゃないけど。とても危険なの」
エレナ「危険? デンジャー? 体だって細いし怖くないわ」
ふみ奈「もうあなたに話すわ」
エレナ「エレナです」
ふみ奈「エレナさん、彼は家に私の友だちを監禁しているの」
エレナ「監禁?」
ふみ奈「……私の友だちを家に閉じ込めているの」
エレナ「なんですか、それは犯罪です」
ふみ奈「だから警察なんです。警察が無理なら申し訳ないんですが、車で街へ連れてって貰いたいです」
エレナ、考える。
ふみ奈「もちろん、ガソリン代やお礼はお支払いするんで、お願いします」
エレナ「それは構わないけれど、二つ問題あります」
ふみ奈「……」
エレナ「あなたはいい人そうだから嘘は言ってないと思いますが、今私たちはする事があってここに集まってます。今すぐには車を出せません。もう一つは凄い霧です。この辺りは一度この霧が出だすと、しばらくは消えません。この霧で運転無理です」
ふみ奈「…友だちを助けないと」
エレナ「この霧の中、進むのは出来ないです」
仲間の外人が来る。
エレナに話しかける。
エレナ、顔をしかめる。
エレナ「彼がまた来ました。あなたを出せと言ってます」
エレナ、玄関に向かう。
ふみ奈「何をする気ですか」
エレナ「追い返します」
ふみ奈「そんな事したら……」
玄関から女の悲鳴。
エレナ、走り出す。
ふみ奈、危険を察知して玄関以外の逃げ場を探す。
○同・通路
エレナの家は広い。
薄暗い通路を進むふみ奈。
玄関の方向から叫ぶ声。
ふみ奈、走り出す。
カーテンを開けるが窓は板が打ち込まれ封鎖されている。
さらに、逃げ場を探して進むふみ奈。
ふみ奈「この家、おかしい…なんなのよ」
個室が何部屋もある。
ドアを開けてゆくが無人。
窓も封鎖されている。
ふみ奈「ここから出なくちゃ」
一番、奥の部屋につく。
エレナの喚き声が遠くに聞こえる。
奥の部屋をあける。
○奥の部屋
ガウンを着た4人。
降霊術をしている。
女1「誰だ」
ふみ奈「…すいません、外に出たいんで」
一人の女が痙攣している。
女1「今、ちょうど降りてるところなのに」
ふみ奈「何ですか…大丈夫ですか」
女1「霊が降りたところよ、邪魔しないで」
ふみ奈「れい?」
女1「何? あなた初めて? エレナはどうしたの?」
ふみ奈「エレナさんは……」
女2「勝手に入って、今大事なところなの」
痙攣した女3が顔をあげる。
女3「この女はこの家に邪悪なものを持ち込んだ」
女3、ふみ奈を指差す。
女1「誰なの、あなたは?」
女1、女3に話しかける。
女2「いつもの人じゃない」
女1「誰なの? あなたが急にここへ入ってくるからこういうことになるの」
女4「嫌だ! 怖いわ、だからこんな霊をおろすところになんて来たくなかったのよ」
女1「落ち着いて、何でもないわ、違う霊がおりただけ」
女4「こんなことしたって私の悩みは解決しない」
女1「ちょっと待って下さい、こういことだってあるの」
女2「知らない霊が降りたことなんてないわ」
女1「あなたは黙って、とにかくあなたがこの部屋にノックもせず現れたからこんなことになったのよ」
女2が悲鳴を上げる。
女1「何よ、今度はあなた……」
入り口に保坂が立っている。
ふみ奈、たじろぐ。
保坂「こいつらのやってるいることはお遊びだ。降霊術などくだらない。特に低級な霊などおろしても仕方がない」
女1「何バカなことを。私たちのマスターは位の高い人よ」
保坂、霊の降りた女3を突き飛ばす。
保坂「こんな人間に質の高い霊が降りるかよ
女1「あなたに何がわかるのよ? あなたは何者? 誰の紹介でここに来たのよ」
保坂、女1を突き飛ばす。
ふみ奈、逃げる。
部屋から抜け出す。
元来た道を戻る。
保坂、追いかける。
ふみ奈、階段に逃げる。
○階段
階段を駆け上がるふみ奈。
追う保坂。
○二階
二階の窓は封鎖されていない。
窓の外は霧だが先程よりは濃くない。
○ベランダ
広いベランダに出るふみ奈。
追う保坂。
ベランダの端には大木がある。
ふみ奈、枝に乗り移る。
枝は折れてそのまま下に落ちる。
保坂、木に乗り移ることができない。
○庭
ふみ奈、何とか立ち上がり逃げる。
霧は雨に変わる。
○雨の中
走るふみ奈。
○別荘地の道
ふみ奈、林から道に出る。
大雨。
走るふみ奈。
前方から車。
青いヘッドライトの光。
立ち止まるふみ奈。
雨で運転手は見えない。
ふみ奈「すいません! 助けて下さい!」
ワイパー越しに運転手が見える。
保坂である。
ふみ奈「!」
ふみ奈、引き返す。
保坂の車は直進してふみ奈を轢く。
○闇
○部屋
ゆっくりと明るくなる。
ふみ奈、足を見ると包帯が巻かれている。
前を見ると保坂が座っている。
口にはテープで椅子に固定されている。
保坂「オレに捕まって、ここから逃げられた人間なんていない」
ふみ奈、顔を動かし周りを見て逃げようとする。
保坂、ふみ奈の身分証を見ながら言葉をかける。
保坂「まあ、市川ふみ奈さん、あんたの場合は自分からここに来てくれたがね」
ふみ奈、椅子に固定されたまま体を動かして逃げようとする。
保坂「私が勤めていた大学の学生とはね、あそこから連れて来る手間も省けた」
ふみ奈、体制を崩し、地面に倒れる。
後ろには投げ出されるようにして倒れている璃子。
血だらけで一点を見ている璃子。
その姿を見て気絶するふみ奈。
○保坂の家・テラス
椅子に固定されているふみ奈。
テラスの周りは森林。
霧も晴れた翌朝。
目を開くふみ奈。
体を見ると服が変わっている。
ふみ奈「!」
保坂が来る。
保坂「大声を出しても無駄だ。この辺りは誰も住んでいない」
ふみ奈「……」
保坂「洋服は変えてあげたよ。水分も補給してやった」
ふみ奈「……」
保坂「よし利口だ。お前の相棒の璃子はやたらに喚くものだからすぐに大人しくした」
ふみ奈「何が目的なの?」
保坂「目的? 一体何の?」
ふみ奈「こんなことをする意味が全くわからない。あなたに話しても無駄かもしれないけれど」
保坂「私の世界、いや計画の中に勝手に入って来たそちらの方がよくわからない」
ふみ奈「あんたみたいな人間は私が通報しなくたっていづれ捕まる。こんなことして現代で逃げ通すことなんて出来ない。私の母だって警察に相談しないとしても、なにかしら動いているはず」
保坂「全て逆だ。警察も何もない。私が全てを決める」
ふみ奈「……話にならない」
保坂「お前を今、生かしているのはこれまでの私が決めて行動したこととは違い、そちら側からこちら側に来たからだ」
ふみ奈「……私をどうする気?」
保坂「足が見えるか?」
ふみ奈、保坂の足を見る。
保坂「林の向こうだ」
緑の木々。
保坂「まっすぐ先に足が見えるだろう?」
ふみ奈が目で追うと鉄の棒のようなものが微かに見える。
保坂「母艦の足だ」
ふみ奈「何を言ってるのかわからない」
保坂「この辺は誰も来ないからそのまま置いてある。お前たちの言葉では宇宙船って言うんだろう?」
ふみ奈「UFO?」
保坂「そうだ。私は日本語の宇宙船という言葉が好きだ」
ふみ奈「……」
保坂「いよいよ私を頭のおかしい殺人鬼だと思っているのだろう」
ふみ奈「……」
保坂「それらは全て間違いだ。私はおかしくないし、殺人鬼でもない。ただあそこにとめてある舟で来たことだけは本当の話だ」
ふみ奈「……そんな話誰が信じるの? 私はここから帰りたい、帰して」
保坂「そもそも何故、お前は私の後をつけた?」
ふみ奈「……」
保坂「何か理由があったはずだ。璃子というお前の連れにも聞いたが、答えを聞く前に意識を失ってしまった。単純な質問だ。何故、私をつけた?」
ふみ奈「……あなたは何でこんなひどいことするの?」
保坂「別にひどい事などない。人間が来るところまで来たからだ」
ふみ奈「……」
保坂、立ち上がり、前に進む。
母艦の足を見る。
保坂「ここまで話した人間ははじめてだ。大概、5分も話せば人間の下らなさに辟易して、消してやった。お前は何か面白い」
保坂、振り返る。
保坂「私は食事は取らないが、お前となら人間のように夕食を食べながら話をしてもよいと思った」
保坂、ふみ奈に近づく。
縄をほどき始める。
保坂「楽にしてくれ。夕食は私が用意しよう」
ふみ奈「……」
保坂「ただ、一歩でも逃げようとしたら、消す。お前の生は一瞬で終わることになる、いや」
縄を再びゆわく。
保坂、ふみ奈をおいて立ち去る。
ふみ奈「待って!」
保坂「?」
ふみ奈「喉が渇いた……」
保坂「……全く非効率的な体だ。待ってろ、すぐ戻る」
その場に残されたふみ奈。
喉が渇いている。
保坂の車のエンジン音、走り去る音。
静かになる。
林のゆらめき。
ふみ奈、うつろな状態。
林の隙間から見える母艦の足。
ふみ奈、体を揺らし倒れる。
転がるようにしてテラスを降りる。
縄はほどけない。
もがくが縄は取れない。
諦めて前を見ると、林の中の舟が見える。
保坂が視界を遮り現れる。
保坂「そこまでして逃げたいのか」
ふみ奈「凄い」
ふみ奈、舟に感動している。
ふみ奈「見たことない、こんな美しい乗り物」
保坂、喜ぶ。
保坂「人間が呼ぶ宇宙船だ」
○林の中
母艦の一部が見える。
石と鉄板で焼き台をつくる保坂。
保坂「あの外人の家から調達した。かなり溜め込んでいた」
肉を焼き出す保坂。
肉を見るふみ奈。
保坂「安心しろ、牛肉だ」
ふみ奈「……」
皿に乗せる。
牛肉の焼き肉。
ふみ奈、食べる。
保坂「私がはじめてこの地に降りた時、この家には年寄り夫婦が住んでいた。はじめての人間だったので色々と対話をした。データではわからない。生の声を聞いた。結論は何とくだらない生き物だと感じた。この地球に降り立つ前に哲学と呼ばれるものや文学という人間の生み出したもの解読したのだが、中々これは面白いものだった。が、いざ老夫婦、つまりもうすぐ死ぬ、朽ちていく人間の話を聞くうちにあまりのくだらなさに途中で終わらせてしまった。ほとんどは金、財産と呼ばれるものをいかに増やし続けて貯蓄するかの話と寿命をいかにのばすかの話だった」
ふみ奈「大体、年寄りなんてそんなものよ」
保坂「この場所で若い者から年寄りまで色々処分してきたが、ろくな人間はいないという結論に達した」
ふみ奈「私はマシな部類ね」
保坂「まさに、食事を与えて話をしたのははじめてだ。大方は泣き喚き、騒ぎ、懺悔をして、消えていった」
ふみ奈「あなたが仮に宇宙人だとして、この地球の人間を抹殺にきたのね」
保坂「結果としてそうなってしまった。初めは調査だったがあまりにくだらない取るに足りない人間しかいないので抹殺していくことになった。ただまだ少しづつしか消してはいない」
ふみ奈「侵略ね」
保坂「侵略ではない、こんな星はいらない」
ふみ奈「何しに来たのよ」
保坂「環境も汚染されている。住んでいる人間の考えも全く美しくない」
保坂、焼いた肉をどんどんふみ奈の皿に盛る。
保坂「そもそも、食物を食べては排出し、活動時間とほぼ同じ時間、睡眠を取らなくてはいけないなどなんと無駄な生き物なのだろう。それから100年も生きられず、醜く老化して死ぬ。年寄りは見た目も醜くく、中身もそれに輪をかけて醜悪だ」
ふみ奈「何を期待してここに来たのよ」
保坂「味はどうなんだ」
ふみ奈「……すごく美味しい」
保坂「ただ焼いただけだ」
林の中に人影。
保坂、固まる。
オレンジのベストを着た猟師が出てくる。
猟師「すいません、道に迷ってしまって」
保坂「(ふみ奈に)この人種は何度か消しているが見てみろ、この顔を。自分が猪のような顔をしている」
猟師「あちらがあなたの家ですか?」
猟師、舟には気づいていない。
保坂「何故、動物を殺す? 答えろ」
猟師、保坂を撃つ。
保坂、かわす。
猟師、続けざまに撃つ。
猟師「逃げろ、こいつから離れろ」
ふみ奈、よろよろと立ち上がる。
猟師、更に撃つ。
林の中に逃げる保坂。
猟師「ちくしょう」
笛を吹く猟師。
警察が現れる。
保坂を追いかける警察。
○山の中
逃げる保坂。
○林の中
警察に保護されるふみ奈。
車に乗り込む。
○走る車の中
警察「詳細は署でお聞きします」
○道
走る車
○走る車の中
保坂が林から駆け降りて来る。
車にぶつかる。
車、急停車する。
警察官、降りて保坂に駆け寄る。
ふみ奈「ダメ!」
警察官、殴られ倒される。
車に近づく保坂。
ふみ奈、車から降りて逃げる。
○道路
警察が追いかけて来る。
保坂を撃つ。
ふみ奈を見つけ、発砲を止める。
○林の中
逃げるふみ奈。
ゆっくり追う保坂。
ふみ奈、立ち止まる。
ふみ奈の前に母艦が降り立つ。
保坂が来る。
母艦の扉が開く。
保坂「逃げることは忘れて、乗れ」
ふみ奈、戸惑う。
保坂「何も考えずにな」
ふみ奈、乗り込む。
保坂も乗る。
扉が閉まる。
警察たちは唖然としている。
3話終了。
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