自分にやさしく #2 コメディ

都内で暮らす30代の男女4人が登場するコメディドラマ。 何でもない会話から、時々起こる事件まで、彼らの日常を描く。
Naoki 12 0 0 02/14
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第一稿

登場人物
陸  (33) 男、天然でバカ。
直人 (32) 男、皮肉屋。
ゆず子(33) 女、サバサバしてる。
沙紀 (32) 女、THE 女子。

Twitter: ...続きを読む
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登場人物
陸  (33) 男、天然でバカ。
直人 (32) 男、皮肉屋。
ゆず子(33) 女、サバサバしてる。
沙紀 (32) 女、THE 女子。

Twitter: @naokiisonline


ダサいシャツ

○直人の部屋
直人の両親が田舎から遊びに来ている。
沙紀もいる。

父親 「まったく都会の人はなんて歩くのが早いんだ。駅にいる人全員競歩の練習でもしてるのかと思った。」
母親 「直人、これあなたにプレゼント。」
直人 「なに?ありがとう。」
母親 「たまに遊びに来る時くらい、息子に服を買ってあげてもいいでしょ。かっこいいシャツを見つけたの。」
父親 「何をそんなに生き急いでいるのだか。その割に週末はキャンプや登山など、自然の中でゆったりするのが流行ってるらしいじゃないか。極端すぎる。」
母親 「お父さん、月曜から夜更かしじゃないのよ。他県のこと悪く言わないで。」

直人がプレゼントを開けると、中にはありえないくらいダサいYシャツが入っていた。
色は紫で、全体的に星やスペードの印刷がランダムに散りばめられてる。

直人 「ありが、、とう。かっこいいね。」
沙紀 「よかったじゃん、どれ見せて?あーうん、これは、よ、よかったね。」

直人と沙紀は微妙なリアクションをしている。

母親 「そうでしょ。明日一緒に出かけるんだから、その時に着てみたら?」
直人 「そうだね。明日着てみるよ。」
母親 「じゃあ、私たちは今日はホテル戻るわね。また。」

両親が直人の部屋から出ていく

沙紀 「そのシャツのオシャレ度を1~100で表現していい?マイナス70。」
直人 「ほんとだよ、悪いけどこんなシャツ着たくないよ。でも母親に着てみてねって言われたら、やだよとは言えないよ。」

直人の携帯が鳴る。

直人 「もしもし。ああ、結衣さん。連絡ありがとう。明日?ああ17時くらいからなら空いてるよ。わかった、それじゃいつものカフェで待ち合わせね。じゃあね。」

直人が電話を切る

直人 「明日両親と出かけた後、結衣さんとデートが入った。」
沙紀 「結衣さんって直人が前に誘っていたあの子?」
直人 「そう。直近は明日しか空いてないらしくて。でもこのシャツでデートに行ったらおれのセンス疑われて振られそうだから、普通のシャツも持っていって途中で着替えよう。」

○アウトドアショップ
ゆず子が買った靴を返品しようとしている。

ゆず子「すみません。先日ここで買った靴を返品したいんですけど。」
店員 「返品ですね。こちらはすでに外で使用されていますか?」
ゆず子「はい、何日か使用しました。それでサイズがあまりにも小さくて指先が内出血を起こしたんです。痛くて履けないので、返品したいです。ちなみに、購入時に店員さんに見てもらった時は、『最初は小さいくらいでいいんです。履いているうちにすぐに慣れます。』と言われて、その言葉通りに買ったらこうなりました。」
店員 「ご期待に添えず申し訳ございません。ただ、恐れ入りますが、外で使用済みの靴の返品はお受けできかねます。」
ゆず子「なんでですか?こっちは店員の指示通りに買ったらサイズが合わなかったんですよ?」
店員 「しかしですね、当店の規則で決まっていまして。室内履きのみでしたら返品可能なのですが。」
ゆず子「『履いているうちに』なんて言われたら何日か履くのは普通でしょ?それともなに、慣れるまで室内で履けっていうの?」
店員 「申し訳ありません。」
ゆず子「店長いますか?」
店員 「私が店長です。」
ゆず子「店側に非があるので、今回は返品対応していただきたいです。」
店員 「では返品を検討させていただきますが、まず失礼ですが、本当にうちのスタッフがそのような誤った対応をしたか確認させていただけますでしょうか?」
ゆず子「私が嘘ついてるっていうの?」
店員 「そうではなく、最近はモンスタークレーマーも多く、念の為の確認です。」
ゆず子「じゃあその時対応してくれた店員さんを連れてきます。」

ゆず子が店内を見渡すが、その店員さんはいない。

店員 「どのスタッフでしょうか?」
ゆず子「今ここにはいないですね。」
店員 「もしかして、身長の高いメガネかけたスタッフでしょうか?」
ゆず子「そうです!今日は休みですか?」
店員 「彼は先週いっぱいで退職しました。では仕方ないので、今回は返品対応させていただきます。」
ゆず子「ありがとうございます。」

店員が少し首をかしげる。

ゆず子「もしかして今、『当店のスタッフがそんな対応するはずないけど仕方ないか』の顔しました?」
店員 「してないです。」

店員がまた少し首をかしげる。

ゆず子「ほらまたした!」
店員 「してないです。」

○直人の部屋
直人が両親と出かける日。
たまたま沙紀と陸も遊びにきている。

直人 「よし。これでOK。リュックに普通のシャツを入れたから、これでいつでも着替えられる。」
沙紀 「意外とその派手なシャツも似合ってるよ。」
陸  「みんな何言ってるの?これ超カッコいいじゃん!」
沙紀 「なんかあんたって、センスがちょっと。」
陸  「ちょっとなに?」
沙紀 「斜め上だよね。」
陸  「斜め上って言うな。真上だろ。」
直人 「いや、真上ではない、横って感じ。」
陸  「せめて上に行かせてくれよ。」

両親が部屋に入ってくる

母親 「おはよう。あら、みんないるのね。」
沙紀 「おはようございます。」
母親 「沙紀ちゃん、この間あなたもいたのにプレゼントがなかったからこれ。どうぞ。」
沙紀 「えーいいんですか私にも。」

プレゼントを開けると、例のダサいシャツのウィメンズ版が入っていた。

母親 「女性用もあったから昨日買ってみたの。いいでしょう?」
沙紀 「え、ええ、素敵です。ありがとうございます。」
直人 「(お前も道連れだ、という顔。)」

母親 「さて、直人、そろそろ出かけましょう。行きたいところがたくさんあるんだから。」
陸  「沙紀は今日何するの?おれはこの後は仕事だ。」
沙紀 「ゆず子と買い物に行く予定。じゃあまた今度ね。」

両親との観光が終了。
夕方になり、カフェでコーヒーを飲む直人と両親。

母親 「じゃああたしたちそろそろホテルに戻るね。今回の滞在もいっぱい美味しいもの食べれて楽しかった。また今度ね。」
直人 「ならよかった。じゃあそろそろ行った方がいいね。(この後は彼女とここで待ち合わせだ)」

両親がカフェから出ていく。
それを確認した瞬間トイレに行く直人。
トイレから出てくると、無地の普通のシャツに着替えている。

陸がカフェに入ってくる。

陸  「おお直人、お疲れ。観光どうだった?」
直人 「ああ、楽しかったよ。この通りシャツも着替えたから、この後はデートに行くだけだ。」
陸  「いいなぁ。俺なんてこないだ知り合った人に連絡したけど返信なしだ。」

突然、カフェに両親が戻ってきた。
シャツを着替えたことがバレるので、瞬時に直人は机の下に隠れる。

父親 「陸じゃないか。直人はいないか?さっきまでここにいたはずなんだが。」
陸  「あいつは、と、トイレ行ってます。どうしたんですか?」
父親 「あいつに携帯の設定だけ変えてもらおうとして忘れてた。自分だと分からなくてね。」
陸  「僕が見ましょうか?」
父親 「ありがとう、でも機械はあいつが強いから直接聞いてみるよ。」

父親がトイレに行こうとする。
陸は机の下に隠れているので、今トイレに行ってもいない。

陸  「あ、あ!あ、ちょっと待って外見てください、大きい馬がいます!」

陸は両親をよそ見させるため、店の外を指差して、適当なことを言った。
そして机の下の直人を軽く足で蹴って合図を知らせる。
直人はその合図で机の下から出てきて、トイレに駆け込む。

父親 「どこに馬なんかいるんだ?」
陸  「すみません、僕の勘違いでした。」
母親 「あそこね。確かに馬がいるわ。」
陸  「え?」

なんかのイベントで本当に馬が道路を歩いていた。

陸  「(馬いるーー!!)」
父親 「やっぱり都内は華やかだな。ははは。じゃ失礼、トイレに行ってくるよ。」
陸  「(いや都内とて、馬はいないぞ普通)」

しばらくして父親と直人がトイレから出てくる。
直人のシャツはボタンが外れて乱れているが、母親にもらったダサいシャツに着替えている。

父親 「ありがとう。これで大丈夫だ。じゃ、今度こそ帰るよ。」
母親 「(直人に向かって)なんかシャツが急にしわくちゃになってない?何かあった?」
直人 「いや何もないよ。じゃあまたね。」

両親がカフェを出ていった。
同時に直人のデート相手、結衣が入店する。
直人はダサいシャツが見られそうになり、瞬時に机の下に隠れる。
あたりを見回して直人を探す結衣。
それを見て察した陸。

陸  「(結衣に向かって)すみません、あそこに馬がいませんか?あの辺です。」

陸は店の外を指差し、結衣の注意を引く。
その間に直人はまたトイレに駆け込む。

結衣 「馬なんていないですけど。」
陸  「え?(いないんかーい!どこ行ったさっきの馬。)」
結衣 「なんなんですかいきなり?どなたですか?」

トイレから直人が出てくる。シャツは着替えてある。」

直人 「ごめん!トイレ行ってた。あれ、これ友達の陸なんだけど、もう会ったみたいだね。」
結衣 「ああ、友達ですね。はじめまして。急に外に馬がいるなんて話しかけてくるからびっくりしました。」
直人 「え、お前そんなことしたの?まったく。ごめんね、こいつ変なやつなんで。」
陸  「(俺はお前を助けたんだぞ?)」
直人 「(分かってる、ありがとう)」
直人 「じゃあご飯でも食べ行こうか!」

直人と結衣がカフェを出ていく。

○ショッピングセンターの中
沙紀とゆず子が買い物している。

ゆず子「ねえ聞いて、この間、靴を返品しようとして店員と揉めたの。」
沙紀 「また揉めたの?」
ゆず子「だって、店員のおすすめで買ったサイズの靴が小さすぎて足が痛くなるんだよ?それなのに外で使用したからって最初返品対応してくれなかったの。」
沙紀 「結局どうなったの?」
ゆず子「最終的には対応してくれたよ。でも購入時の店員の対応について、私がでっちあげているんじゃないかって、店長が疑ってるのよね。それだけが腑に落ちないね。」
沙紀 「でもいいじゃん返品対応してくれたんだから。」
ゆず子「まあね。」

ふとゆず子が遠くにいる買い物中の男性に目が留まる。

ゆず子「ん?あ!あの人!あの人が私が靴買った時対応した人よ。」

ゆず子はその男性の元に走っていき話しかける。

ゆず子「あなた!この間までそこのタナカスポーツで働いてましたよね?」
男  「え、ええ。」
ゆず子「やっぱり!私が靴買った時あなたが対応して、『最初は小さいくらいでいいんです。履いているうちにすぐに慣れます。』て言ったの覚えてますか?」
男  「ああ、あの時の方ですか。はい、2週間くらい前の話なので覚えてますよ。」
ゆず子「あの後、靴に全然慣れずに靴擦れ起こして、結局返品したの!」
男  「そうでしたか、それは失礼しました。僕のアウトドア系の靴に関する理解が不足していたと思います。」
ゆず子「そんなのどうでもいいの。今から一緒にきて、タナカスポーツの店長にあなたが誤った対応したことを説明してくれない?あの人ずっと、私が靴を返品するための作り話だと疑ってるの。」
男  「つまりあなたは、もう返品はできたのに自分の潔白を証明したいということですか?」
ゆず子「そう!」
男  「はあ。」
ゆず子「返品というのはね、お金じゃないのよ、気持ちなの。適切な謝罪や、思いやりのある対応さえしてくれればそれでいいの。」
沙紀 「返品はお金でしょ。」
ゆず子「とにかく、このままじゃ私の気持ちが晴れないから今から来て。」

○タナカスポーツ 店内

ゆず子「こんにちは。」
店員 「こんにち、、またあなたですか。」
ゆず子「ほら、あの時の店員、連れてきましたよ。」
男  「お世話になってます。」
ゆず子「自分の口で当時何が起きたか言ってもらえます?」
男  「店長すみません。彼女が靴を購入した時、私の知識・経験不足で誤った対応をしました。」
ゆず子「(ほらみたことか!ヒゲやろう!)」
男  「『最初は小さいくらいでいいんです。履いているうちにすぐに慣れます。』と、確かに言いました。すみません!」
ゆず子「だから言ったろ!アホが!」
沙紀 「ゆず子、声に出てるよ。」
ゆず子「え、ずっと声に出てた?」
沙紀 「いやさっきの一回だけ。その前は声に出てなかった。」
ゆず子「し、失礼。」
店員 「分かりました。私もあなたを疑って申し訳ありませんでした。」
ゆず子「やっぱり疑ってたなハゲ」
沙紀 「また声に出てるって」
店員 「ところであなたは、返品は終わってるのに自分の潔白を証明するためにわざわざ辞めた店員をここに連れてきたってことですか?」
ゆず子「何か問題でも?頑固女とでもいいたいの?」
店員 「いえ、頑固女なんて滅相も無いです。」

○直人の部屋
別の日、直人が部屋で結衣が尋ねてくるのを待っている。
直人が例のダサい服を見ている。

直人 「(これタナカスポーツのシャツか。同じブランドでもかっこいい商品からダサい商品まであるんだな。)」

部屋のチャイムがなる。

直人 「(ドアを開けて)おはよう。わざわざうちで待ち合わせなんてどうしたの?」
結衣 「ちょっとあなたにプレゼントを渡したいと思って。」
直人 「なんのプレゼント?おれ誕生日じゃないよ?」
結衣 「理由はないけど、プレゼント渡すのが好きなの。この間はたくさんご馳走してもらったし。はいこれ。」

結衣が袋を手渡す。
袋にはタナカスポーツのロゴ。

直人 「(ま、まさか。)ありがとう。開けていい?」

直人が袋を開けると、靴下が入っていた。

直人 「(はぁ、安心した。)靴下か!いいね、ありがとう。嬉しいよ。」
結衣 「タナカスポーツ久々に行ったらいいアイテムたくさんあってさ。ほら、私もこれ買っちゃった。よくない?」

結衣は羽織っていたコートを開いて中のシャツを見せた。
それは例のダサいシャツのウィメンズバージョンだった。

直人 「(勘弁してくれ)」

○タナカスポーツに向かう途中
沙紀が直人の親にもらったダサい服を返品しようとしている。
ゆず子が付き添っている。

ゆず子「あんた本当に人の貰い物を返品する気?それちょっとひどくない?直人の親から貰ったんでしょ?」
沙紀 「そう?あたしはよくやるよ。その方が私もハッピーだし、服にとっても必要な人に着てもらえるからハッピーでしょ?」
ゆず子「あげた人はアンハッピーだと思うな。」
沙紀 「プレゼントはね、あげた時点でもうあげた人とは関係がないの。あげた人は『あのプレゼントどうだった?』とか『あれ使ってる?』とか聞いちゃダメ。相手にプレッシャーかけちゃうからね。あげたら最後、もうそのプレゼントの話はしない。所詮プレゼントなんて自己満足だから、貰った側も好きなようにしていいのよ。」
ゆず子「なるほどね。」
沙紀 「でも付き合ってくれてありがとうね。返品のプロ。」
ゆず子「私が靴返品した時の店長がいなければいいけど。」

二人がタナカスポーツに入る。
幸いにも例の店長はいないようで、全然知らない店員が対応してくれた。

沙紀 「すみませんこれ返品したいんです。」
店員 「はい、承知しました。こちらですね。」

店員は商品を調べながらチラッとゆず子の方を見て、何かに気づいた様子。

店員 「少々お待ちください。」

店員は商品を置いて、近くの棚から冊子を取り出し、それを読みながらチラチラゆず子の方を見てくる。

ゆず子「なに?ちょっとさっきからじろじろ私のことを見て。そこに何か書いてあるんですか?」
店員 「いえ、何も書いていないです。」
ゆず子「明らかに焦ってるじゃない。ちょっとその冊子見せてください。」
店員 「だめです。これは見せられません。」

ゆず子が店員に近づいて無理やり冊子を取ろうとする。
二人が冊子の取り合いになるが、何とかゆず子が勝ち取った。

ゆず子「もう!何が書いてあるの。」

冊子を見ると、「要注意」と書かれて、ゆず子の見た目の特徴が書かれていた。

ゆず子「なにこれ、私ブラックリストに載ってるの!?」
沙紀 「なに?『赤いコートを着用。犬の柄のスマホケースを使用。』ってこれ完全あんたじゃん。」

その特徴の下に備考欄があり、「頑固女」と書かれていた。
不満そうな顔をするゆず子。

ゆず子「あのくそ店長覚えとけ!」

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