ファンタジー

探偵=堂山耕史(26)は、ある日仕事中に命を落としてしまう。と、目が覚めるといつの間にか古ぼけた列車の中。夢か現か、生か死かもわからない列車の中で作家と名乗る鐘城哲夫(55)と出会う。 後悔を交えた他愛もない会話をしていると、いつの間にかそこは命を落としたあの場所になっていて──? ※30分シナリオです。
フカヤタクミ 56 0 0 01/23
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第一稿

【登場人物】
堂山 耕史(26)  私立探偵の男。
鐘城 哲也(55)  作家の男。

竹中 一平(21)  堂山の助手1。男。
橋本 りんな(18)  堂山の助手2。女 ...続きを読む
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【登場人物】
堂山 耕史(26)  私立探偵の男。
鐘城 哲也(55)  作家の男。

竹中 一平(21)  堂山の助手1。男。
橋本 りんな(18)  堂山の助手2。女。

宮間 俊平(26) 鐘城を担当する編集者。

男1  ヤクザ1
男2  ヤクザ2
男A  チンピラ1
男B  チンピラ2

編集者

男3  ヤクザ3
男4  ヤクザ4
男5  ヤクザ5

















○廃工場・全景(夜)
  海が臨める、廃れた工場跡地。

○同・構内
  ※堂山の視点。カメラの画面
  黒スーツの男二人(それぞれ以下:男1、
男2)が、柄物のシャツを着た男二人
(それぞれ以下:男A、男B)にアタッ
シュケースを渡そうとしている。
堂山のカメラ、アタッシュケースへズ
ームアップ。
男1、アタッシュケースを開けると、そ
こには白い粉の入った袋が詰まってい
る。
堂山の声「ビンゴ」
※カメラの画面おわり
   × × ×
コンテナの陰に隠れ、カメラを覗いて
いる堂山耕史(26)。『探偵物語』の工
藤俊作を彷彿とさせる格好。
堂山、シャッターを切ると──
パシャッ!
っと、カメラのフラッシュが焚かれる。
堂山「あ」
  堂山、顔を上げると、男たちが睨んでい
る。
堂山「へへっ、ど、どうもご無沙汰」
男A「アイツ、確か昼間俺らを嗅ぎ回ってた
探偵の!」
  堂山、急いでその場から駆け出す!
男B「おい、待ちやがれぇ!」
  男たちもその後を追いかける。

○路地裏
  探偵ハットを抑えながら走る堂山。
  その後ろを男たちが追う。
堂山の声「だ、誰か……!」
  男2、立ち止まると胸ポケットから拳
銃を取り出し堂山に向ける。
男2、容赦無く発砲!
堂山の胸を複数の凶弾が貫く!

○列車・車内
  跳ね起きる堂山。
  胸のあたりを慌てて触り、何事もない
と気づくとホッと胸をなでおろす。
あたりを見回すと誰も乗っていない古
びた列車の車内だった。
走ってはいるのだが、窓から覗く景色
はトンネルの中のように真っ暗。
  またも胸のあたりをさする堂山。
堂山の声「夢? いや、俺は確かに……」
  堂山、離れた席から一筋の煙が立ち上
っているのに気付く。
近づき、席を覗き込むとそこでは鐘城
哲也(55)がタバコを吸っていた。
堂山「えっと、禁煙では?」
鐘城「(堂山を一瞥し、)大丈夫なんです、こ
こでは」
堂山「……この列車、どこに向かってるんで
す?」
鐘城「まあ座ってください」
  堂山、言われるがまま鐘城の対面に座
る。
堂山「で、この列車は……」
  鐘城、遮るように堂山にタバコを勧め
る。
鐘城「一本吸います?」
堂山「ああ、いえ、自分は」
鐘城「そうですか」
  鐘城、タバコを胸ポケットにしまう。
鐘城「あなた……、えぇっと……」
堂山「ああ、自分、こういうもので」
  堂山、懐から名刺を渡す。
  名刺には『私立探偵 堂山耕作』。
  鐘城、名刺を一瞥するとすぐ閉まって
しまう。
鐘城「面白いですか?」
堂山「何がです?」
鐘城「人生、というべきでしょうか。職業柄、
人の話を糧にしなければ生計が立てら
れないもので」
堂山「はあ、職業柄……?」
鐘城「ま、しがない物書きです。どうです? 
ひとつ話でも」
 鐘城、名刺ケースを懐から取り出し、名
刺を一枚渡す。
名刺には『鐘城哲也』とだけ。
堂山、まじまじと名刺を見つめた後胸
ポケットにしまう。
  堂山、もう一度窓の外を見やる。
  真っ暗な景色が流れている。
  鐘城、その横顔を眺め、
鐘城「……列車は、遅かれ早かれ終着駅に行
き着くものです。人の人生も同じだ」
 堂山、鐘城に向き直し、
堂山「……俺も向かってる最中なんですか、
その、終着駅に」
鐘城「そう思いますか」
堂山「……まあ」
堂山、胸のあたりをもう一度触ってみ
る。
堂山「面白かったんですかね。俺の人生」
  堂山、胸をさする手を握りしめる。
堂山「一匹狼気取って、頼らず生きてみて。
結局上手くいかなかった。人は一人では
生きられないって言いますけどありゃ真
理ですね」
 鐘城の持つタバコが根元まで灰になり
かけている。
堂山「あの時、誰かいればなぁ……」
  と、鐘城の持つタバコの火種が全て落
ちて──

○廃工場・構内(夜)
  黒スーツの男1、男2、柄シャツの男A、
男B、堂山を睨んでいる。
堂山、どうやらシャッターを切った後
らしくカメラを抱えている。
堂山「え、あれ……⁉︎」
男A「テメェ!」

○路地裏
  必死にかけている堂山、その後を男た
ちが追う。
男2、立ち止まり懐から拳銃を取り出
すと、堂山へその銃口を向ける。
竹中の声「堂山さん! 危ない!」
  どこからか竹中一平(21)の声。
  堂山、振り返ると、竹中が男2の持つ拳
銃を蹴り上げている。
堂山「い、一平くんっ!」
  竹中、男たちを徒手空拳で圧倒!
   × × ×
  警察に連行されている男たち。
  竹中、堂山に駆け寄りタバコを差し出
す。
竹中「一本吸います?」
  堂山、差し出されたタバコを見て眉を
顰める。
堂山「あ、ああ」
  堂山、タバコを受け取り竹中に火をつ
けてもらう。
堂山、タバコを吸う。
タバコを見やり、首をかしげる堂山。
竹中「あ、メンソのが良かったですか?」
堂山「いや、なんか、あ、あれ? いつも俺、
君からもらいタバコしてたっけなぁって」
竹中「まあ、頻繁にじゃないですけど、して
ましたよ。二箱くらい奢ってますねハハ
ハ」
堂山「……」
竹中「にしても、証拠写真まで抑えてお手柄
でしたね」
堂山「いやいや、あそこで一平くんがいなか
ったら……、いなかったら……?」
竹中「どうしました?」
堂山「君は、竹中一平くん」
竹中「ハハッ、急にどうしたんですか。そう
ですよ」
堂山「ああいや、いつからウチの事務所にい
たっけなぁって」
竹中「あれ、いつでしたっけ? え〜っと、
高校の時からだから〜、さん、しー、四年
前くらい?」
 堂山、すこし驚き、
堂山「あ、ああ! もうそんなに経つか、い
やぁ早いね」
竹中「そう考えると早いですね」

○雑居ビル・全景(数日後)
  3階の窓ガラスにおそらく『堂山探偵
事務所』と貼られているのだが、室内か
ら貼ったのか文字が反転している。

○同・3F探偵事務所内
  荷物が溢れている室内。
  資料や衣類などが乱雑に転がっている。
  窓ガラスには『堂山探偵事務所』と貼ら
れている。
  堂山、汚いソファに座りタウンページ
をペラペラめくっている。
竹中、身支度を整えている。
竹中「新しい依頼ですか?」
堂山「まあ」
竹中「ふ〜ん、じゃ、次の仕事の調査行って
きますね」
堂山「うん」
竹中「資料、まとめといてくださいね」
堂山「んー」
  竹中、部屋を出て行く。
  堂山、廃工場で着ていた上着を拾い上
げ、その胸ポケットを弄る。
そこから出てきたのは『鐘城哲也』の名
刺。
編集者の声(先行)「鐘城さん、ですか?」

○出版社・社内
  忙しない出版社の社内。
  編集者は鐘城の名刺を見て眉を顰めて
いる。
堂山、編集者に顔を近づけ、
堂山「お願いです! 探してるんです!」
  編集者、その圧に引き気味で、
編集者「ま、まあ、極力探してみますけど」
  女性社員たち、ステレオタイプな格好
の堂山を見てクスクスと笑っている。
   × × ×
  パソコンの画面をスクロールする編集
者。画面には様々な人の名前が。
編集者「ザッと目を通してみましたけど、う
ちに鐘城さんという方は居ないですね」
堂山「持ち込みとか、含めても?」
編集者「持ち込みとか含めても」
堂山「そう、ですか。でも本人は作家と」
編集者「ほんとですかねぇ」
  編集者、もう一度鐘城の名刺を見る。
編集者「これ、名前しか書いてないじゃない
ですか。名刺として破綻してるというか、
まあ小説なんて個人の趣味で書けますか
らね」
堂山「……」

○雑居ビル・3F探偵事務所内(夜)
  堂山、鐘城の名刺を見つめている。
  竹中が帰ってくる。
竹中「お疲れ様です、ただいま帰りました」
堂山「おう、お疲れ」
  竹中、部屋に散らばった資料を見て、大
きく溜息。
竹中「資料、まとめといてくださいって言っ
たじゃないですか」
堂山「ああ、ごめんごめん」
竹中「(資料を拾いながら)ごめんって、日
がな一日何やってたんですか」
堂山「俺だってなぁ、調べ物してたんだよ」
竹中「ハイハイ」
堂山「……」
  ピリッとした空気が流れる。

○コンビニ・表(数日後)
  強盗犯に殴り飛ばされる堂山。
  強盗犯そのまま逃走。
堂山「ま、待てよッ!」
  強盗犯の逃げた先には──竹中が!
  竹中、強盗犯を殴り飛ばす!
  強盗犯、気絶。
竹中「(野次馬に向かって)すみません、誰
か警察に」
  竹中、堂山の元まで行く。
  堂山を見下ろす竹中の瞳は、冷たい。
竹中「堂山さん、あなたが言ったんじゃなか
ったんでしたっけ? 俺たちは警察じゃ
なくて探偵だって」
 竹中、倒れている堂山に手を差し伸べ、
竹中「身の丈にあったことしましょうよ」
  堂山、キッと竹中を睨みつける。
堂山「助手のくせに、偉そうなこと……,、
お前なんていなくてもなァ!」
  堂山、竹中の手を振り払い勢いよく立
ち上がると──!

○列車・車内
  になっていた。
  堂山、突然のことに狼狽している。
鐘城の声「また会いましたね」
  堂山、振り返るとまたも鐘城が席に座
りタバコを吸っていた。
堂山、吸い込まれるように鐘城の対面
に座る。
鐘城、タバコを差し出し、
鐘城「吸います、よね?」
堂山「ああ、はい」
  堂山、タバコを一本受け取り火をつけ
てもらう。
鐘城の声(先行)「気に入らないんですね、
その助手さんが」
   × × ×
  堂山、もう半分以上タバコを吸い潰し
ている。
堂山「悪い男じゃない。いやむしろ、多分き
っといい子なんですよ、いい子すぎる。た
だ……」
鐘城「ただ?」
堂山「いつもいつも俺の上をいって、見下し
てくる、気がして」
鐘城「……」
堂山「一人の方が気が楽かなって……」
鐘城「不思議ですね」
堂山「何がです?」
鐘城「以前あなたにあった時、あなたこう言
いませんでした? 『人は一人では生き
てけない』、『誰かいれば』と」
堂山「言いましたっけ、そんなこと」
鐘城「まあいいんです、そんなことは」
堂山「違うんです。結局俺が、俺が活躍しな
いと意味がないんですよ。でなければこ
の仕事をやってる意義がない」
鐘城「私も、そう思ってたところです」
堂山「は?」
  鐘城、タバコの火種が落ちる。

○廃工場・構内(夜)
  橋本りんな(18)が男A、Bに羽交い
締めにされている。
男1、カメラを地面に叩きつけ壊す。
破片の中からSDカードを拾い上げる。
男1「嬢ちゃん探偵か? 誰に雇われた?」
りんな「い、言いませんからァ……! 誰に
も……!」
男1「(ため息をつき、)見られたもんはしゃ
あねぇか。おい(男2に)」
 男2、懐から拳銃を取り出しりんなに
向ける。
りんな「やめて、助けて!」
  男たち、嘲笑していると影から火のつ
いたタバコが飛んできて男1の額に命
中する。
男1「アチっ!」
すると、堂山が駆けてきてまず男1を
蹴り飛ばす!
りんな「堂山センパイ!」
  次に男2の拳銃を蹴り上げ、そのまま
殴り飛ばすと、拳銃が転がってくる。
堂山、それをすかさず拾いあげ、りんな
を抑える男A、Bに発砲!
男A、Bの肩にそれぞれ命中し戦闘不
能に。解放されるりんな。
堂山「全く、ドジだな、りんなくんは」
りんな「堂山センパイッ‼︎」
  りんな、堂山の胸に飛び込む。
  堂山、不敵に微笑む。
堂山の声「最高だ」

○雑居ビル・全景(数日後)
  3階の窓ガラスに『堂山探偵事務所』と
正しく貼られている。

○同・3F探偵事務所内
  整理整頓された室内。
  高そうなソファに腰掛ける堂山。
  男2の持っていた拳銃を眺めている。
  りんなが山積みの資料を抱えて奥か
らやってくる。
堂山、拳銃を自分の懐にしまい、タバコ
を取り出し、火を付ける。
堂山「りんなくん、次の依頼は?」
りんな「あ、えっとえっと……、ギャッ」
  と、りんな、足を挫いて山積みの資料を
散乱させてしまう。
りんな、転倒する前に堂山に抱きかか
えられる。
りんな「あ、あの、ごめんなさい、資料」
堂山「大丈夫、それより怪我は?」
りんな「平気、です」
堂山「なら良かった」
  堂山、爽やかに微笑む。
  りんな、少し頬を赤らめる。
堂山の声「俺は、完璧だ」

○活躍する堂山
  コンビニの強盗犯を捕まえている。
堂山の声「もう失敗なんてしない」
     × × ×
  路地裏。
  ヤクザのような男たちに立ち向かう。
  軽い身のこなしで一人また一人と倒し
ていく。
堂山の声「あの列車に乗って全てが変わっ
たんだ」
     × × ×
  ホテル。
  りんなをベッドに押し倒し口づけを交
わす。
堂山の声「今なら胸を張って言える」

○ホテル・全景(夜)

○同・部屋
  タバコを咥え、夜景を見下ろす堂山。
  ベッドではりんながスヤスヤと眠って
いる。
堂山「……俺の人生は、面白い」
  ハンガーにかかったジャケットの胸ポ
ケットから鐘城の名刺を取り出す。
堂山、鐘城の名刺をライターで燃やす
と、灰皿に捨てる。
堂山「これ以上、変わらなくていいくらいに
はな」
 堂山、名刺が完全に燃え尽きるまでそ
の炎を眺めるのだった。

○廃墟・全景(数日後・夕方)
  山奥にひっそり佇む廃墟。

○同・構内
  りんなが黒スーツの男たち(それぞれ
以下:男3、男4、男5)に捕まってい
る。
     × × ×
物陰から見ている堂山。
堂山の声「またこのパターンか」
  懐から男2より奪った拳銃を取り出し、
残弾を確認する。
堂山の声「一発でも外したら、命取りだな」
  堂山、意を決して物陰から飛び出す!

○列車・社内
  と、列車の中に。堂山、後ずさり。
鐘城の声「面白いですか?」
  堂山、鐘城を見つける。
  鐘城は相変わらずタバコを吸っている。
  堂山、対面に座る。
  鐘城、タバコを勧めるが、堂山は断り、
自分の懐からタバコを取り出す。
堂山「(タバコに火をつけながら)お陰様で」
鐘城「ほう、面白いと?」
堂山「自分は無信仰者ですがね、あなたとあ
って神様の存在を信じましたよ」
  堂山、煙を天井に向かって吐く。
堂山「あなたは、俺にとって神様だ」
  鐘城、うっすらと笑う。
鐘城「私はね、人間が好きなんですよ。だか
らあなたと話しています」
堂山「そうですか、では今すぐにでも元の場
所へ返して欲しいんですがね」
鐘城「帰りたいですか? あの世界へ」
堂山「もちろん。あんなに俺にとって面白い
世界はないでしょう」
 鐘城、堂山の顔を見て、
鐘城「先程も言いましたが、私は人間が好き
です。御多分に洩れずあなたも」
堂山「尚更、俺の言う通りに……」
鐘城「(遮り)だが、私はあなたが言うよう
に神でもある。この世界ではね」
 鐘城、吸いかけのタバコを灰皿に擦り
付ける。
鐘城の瞳は暗い。
鐘城「あなたの世界はもっと面白くならな
ければならない」
堂山「ハハッ、これ以上に面白い人生なんて
あるんですかね?」
 鐘城、不気味に笑い、
鐘城「ええ、ありますよ。いえ、ありました」
りんなの声「堂山センパイ! 助けてくだ
さい!」
 どこからかりんなの声が聞こえる。
 堂山、辺りを見回す。
堂山「りんなくん?」
  列車の窓から見える世界は真っ暗だっ
たが、少しずつ灯りに包まれてくる。
鐘城「やっと着きますよ、あなたの終着駅」
  列車が止まる。
  堂山、窓の外を見やるとそこは廃墟構
内。りんなが男たちに捕まっている。
  堂山、鐘城とりんなを交互に見やる。
鐘城「さあ、行ってください」
  堂山、列車から駆け下りる!

○廃墟・構内(夕方)
  りんなを抑える男たちに向かって拳銃
を構えている堂山。
りんな「(泣きながら)堂山センパイ、助け
て……!」
  男たち、ニヤニヤしている。
男3「バカですね、この女。すっかり騙され
てやがる。ねぇ? 堂山さん?」
堂山「は? えっ?」
りんな「ずっと、騙してたんですか?」
堂山「何を、言って……」
  と、どこからか火のついたタバコが飛
んできて堂山の手に当たる。
堂山「あつッ⁉︎」
  拳銃を落とす堂山。
竹中の声「そこまでだ!」
  突如駆け込んでくる竹中、男たちを徒
手空拳で倒す。
堂山、何が起こっているのか理解でき
ていない。
  りんな、竹中の胸に飛び込む。
  りんな、堂山を睨んでいる。
りんな「信じてたのに……」
  堂山、激しく狼狽している。
  竹中、堂山にゆっくりと近づいてゆく。
竹中「あなたが犯人だったとはなッ‼︎」
  竹中、激昂し、堂山を殴り飛ばす!

○鐘城の屋敷・全景
表札には『鐘城』

○同・客間
編集者の宮間俊平(26)が原稿を読んでいる。
鐘城、宮間の顔を見ている。
宮間、読み終わり目頭を指でマッサージする。
宮間、トントンと原稿を揃える。
宮間「いや~、ハイハイ。堂山を犯人に変えたわけですね、ハイハイ。助手の二人もいい感じにキャラ立ってるし、これで行きましょう」
原稿を封筒に入れる宮間。
宮間「はははは、いやぁ〜、それにしても。先生のキャラクターはどれも、どこかにいそうと言いますか。リアルですよね」
鐘城「会って話を聞いてますので」
宮間「え?」
宮間、一瞬固まるがすぐまた笑い出す。
宮間「ははは、や、やだなぁ~もう! 先生ったら」
鐘城、席を立つ。
鐘城「では私は次の原稿がありますので」
鐘城、机の上に置かれたタバコを、懐にしまう。
ニコッと、不気味に笑う鐘城。

○タイトル
  原稿用紙に書かれた『了』の文字。

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