『アオダモ』
○阪神甲子園球場・前
ランニングする野球部員達の声。
新M「高校野球の聖地・甲子園」
ランニングする新慶太(17)ら野球
部員達。
新M「僕達は、この甲子園を……」
通り過ぎていく新ら野球部員達。
新M「目指さない」
『食パン咥えて走ってただけなのに』
○通学路
食パンを咥えて走る田辺奈子(17)。
奈子「遅刻、遅刻~」
角を曲がった時、何かにぶつかる。
奈子「痛った~。ちょっと、どこ見て……」
奈子の眼前、男子高校生の遺体。
奈子「死んでる……!?」
『享年15歳』
○居酒屋(夜)
「久しぶり」等と言葉を交わす三十代
半ばの男女数十名。その中に混ざる石
俣亨平(15)。
男「お~、石俣。お前、本当変わんねぇな」
男の手は石俣の体をすり抜ける。
石俣「そりゃあ、死んでるからな」
『キスシーン』
○楽屋
AD(22)の前で膝から崩れ落ちる
俳優(30)。床に落ちる台本とフリ
スク。
俳優「そんな……」
AD「すみません。相手事務所の意向で」
台本には「キス」の文字。
AD「キスシーン、無くなりました」
『ケイサツ警察』
○大通り(夜)
猛スピードで走る車を追い、サイレン
を鳴らして走るパトカー。
警察Aの声「そこの車、止まりなさい」
その後方、サイレンを鳴らして走って
くるまた別のパトカー。
警察Bの声「そこのパトカー、止まりなさい」
『JANKEN』
○試合会場
大観衆が見守る中、ステージに上がる
日本代表のユニフォーム姿の三沢藍子
(26)。同じく他国のユニフォーム
姿の選手と対峙する。
藍子M「絶対に負けられない戦いが、ある」
藍子「じゃーんけーんぽん!」
『告白』
○高校・体育館裏(夕)
対峙する吉良祐太(17)と三好愛
(17)。
愛「ねぇ、話って何?」
吉良「えっと……」
愛「何もないなら、帰るよ?」
吉良「(意を決し)み、三好さん」
愛「(笑みを浮かべ)なぁに?」
吉良「僕、あなたが嫌いです!」
『オトナビタ小学校』
○小学校・教室
前に立ち頭を下げる住谷友也(11)。
住谷「転校生の住谷友也です。よろしくお願
いします」
教室中から拍手。顔を上げる住谷。
クラスメイトの大半は一〇代後半~三
〇代にしか見えない。
『はじめまして、ご先祖様』
○墓地
藤森家の墓の前にしゃがみ込み、手を
合わせる袴田佳代(35)。上半身は
作業着を着用。
佳代「では、始めさせていただきます」
立ち上がる佳代。胸元には「墓参り代
行 袴田」というバッジ。
『POCHI』
○少年の家・玄関
靴を履く少年。
少年「さぁ、ポチ。散歩だ」
出ていく少年。犬の鳴き声。
少年の声「あはは、よせよ。くすぐったいじ
ゃないか」
さらに犬の鳴き声。
少年の声「やめろよ……やめて、やめて~、
ぎゃあああ!」
『同調圧力』
○高校・外観
○同・教室
誰もいない。窓の外、屋上から飛び降
りたと思しき生徒の姿が映る。しばら
くすると一人、また一人、最後は雪崩
のように生徒達が落ちていく。
『リア充が爆発した』
○由衣の部屋(夜)
マンションの一室、やや高層階。
スマホで同年代の女性のSNSを見て
いる由衣(22)。そこに映し出され
た、人生を謳歌する女性の姿。
由衣「けっ。リア充爆発しろ」
窓の向こう、爆発が起きる。
『モテる男の三拍子』
○繁華街
一人の男に集まる、女性達の視線。
茂木M「三高の男がモテる? そんな時代は
もう終わった。今は……」
女性達の視線の先、背が低く太ってい
て薄毛の男・茂木(28)の姿。
茂木M「チビ、デブ、ハゲの時代なのだ!」
『キカタンにガチコイ』
○津村の部屋
生田心夏(24)のポスターが貼られ
た室内。軋むベッド。
津村の声「愛してるよ、心夏。結婚しよう」
VRゴーグルを着け、心夏の抱き枕を
相手に腰を振る津村隆明(35)。
津村「君は、僕だけのものだ」
『罪名:駆け込み乗車』
○駅
間もなく発車せんとする電車に駆け込
む岡夏海(20)。
夏海「乗ります~!」
あと一歩で乗れそうなところで、警察
官に腕を掴まれ阻まれる夏海。
夏海「え? ちょっ……」
警察官「駆け込み乗車の現行犯で逮捕する」
夏海「!?」
『リスタート』
○鶴見中継所
中継所に向け、襷を握り締めて走る富
樫諒(20)。意識朦朧とした様子。
中継所で待つ先輩(22)。
富樫の声「先輩、何でそんな顔を? 何でも
う襷を? 何で……」
繰り上げスタートの号砲が響く。
『ole』
○事務所
受話器に耳を当てる鷺沼(60)。こ
の時点では顔は映っていない。
男の声「(電話口から)もしもし、オレオレ。
事故っちゃったから、二百万振り込んでく
れない?」
どう見ても堅気に見えない鷺沼の顔。
男の声「もしもーし」
『似てない分身』
○研究所
歩く博士(60)。年相応の外見。
博士M「私は、分身を作る事に成功した」
博士の隣を歩く男の影。
博士M「しかし、一つ誤算があった」
男の正体は分身(20)。イケメン。
博士M「私に似てないのだ」
『木に登れない猿は』
○森
木から落ちるサル。嘲笑する木の上の他
の猿達。
サル「くそっ。鬼の首獲ったような顔しやが
って……」
桃太郎の声「なら、獲りに行くか?」
振り返るサル。そこに立つ桃太郎と犬。
桃太郎「(きび団子を差し出し)鬼の首」
『かわいすぎるスーツアクトレス』
○撮影所
怪人と戦うピンクのスーツの戦士。激
しくかつ華麗なアクション。
監督の声「はい、OK」
スーツの面を外すピンク。容姿端麗な
音羽カナコ(27)が顔を見せる。
カナコ「ふぅ~っ」
コメント
コメントを投稿するには会員登録・ログインが必要です。