スポーツランドで子供対決 コメディ

地球に住むお父さん、お母さん、ジュン、ミサ、タク、リコの一家6人が宇宙ツアーに参加し、ホームステイしながらいろいろな星の生活を見て回ります。地球では考えられないような文化や習慣・自然環境があり、驚きの毎日を過ごしながら家族が成長していきます。宇宙を旅するが宇宙SF小説とは違う異色ホームドラマ。アニメならば約10分、1話完結の物語。
トナミKK 36 0 0 01/09
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第一稿

【登場人物】
お父さん 45歳
お母さん 41歳
ジュン 16歳
ミサ 13歳
タク 10歳
リコ 7歳
HF=ホストファーザー
HM=ホストマザー
HB(ホスト ...続きを読む
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【登場人物】
お父さん 45歳
お母さん 41歳
ジュン 16歳
ミサ 13歳
タク 10歳
リコ 7歳
HF=ホストファーザー
HM=ホストマザー
HB(ホストハウスの長男) 16歳
HS(ホストハウスの長女) 13歳
HC(ホストハウスの次男) 10歳
HT(ホストハウスの次女) 7歳


○空港

地球家族6人、バス乗り場に立っている。
父「ここで待っているように言われたんだが・・・」
その時、1台のマイクロバスが近づき、止まる。中にホストファミリー6人が乗っている。
HF「(運転席から)地球のみなさんですね。ようこそ。さあ、お乗りください」

○マイクロバスの中

総勢12人が乗っている。
HM「お子さん4人ですよね。うちもご覧のとおり4人なんですよ」
母「そうですね」
HM「そして、お子さんの年齢を事前にうかがっていて、驚いたんですけど、うちとまったく同じなんですよ。上から16歳、13歳、10歳、7歳。しかも、男、女、男、女の順で」
ミサ「すごい偶然ですね」
HT「そこで、お父さんとお母さんが思いついたの。こうなったら、今日一緒に行くところはもうここしかないって。私たちは毎週末来ているんですけどね」
ジュン「どこですか、それは?」
HT「スポーツランド」
タク「スポーツランド?」
HS「子供たちが、いろいろなスポーツをして楽しめる施設なんです。そして、個人競技の対戦もできて、勝った子供はその場で表彰されるんです。私たち、みなさんとちょうど年齢が同じだから、1対1のスポーツ対決をしたら面白いんじゃないかって・・・」
父「へえ、それは面白いアイデアですね」
タク「えー、どうしよう。僕、スポーツはさっぱり苦手で・・・」
HT「大丈夫ですよ。いろいろなスポーツから選べますから、何か一つでもお得意なものがあれば・・・」
タク「いや、本当に得意なスポーツなんて何もないんですから。その点、兄のジュンは何でも得意だからいいですけど・・・」
HT「ジュンさんはスポーツマンなんですか?」
ジュン「いや、それほどでもないですけど、まあ、ひととおりは・・・」
HT「私はリコさんとの対決ね。よろしく」
HT、となりに座っているリコに握手を求める。リコ、あわてて握手する。
ジュン「(リコに)HTさんは、リコと同い年だけど、リコと違ってよくしゃべるね。おしゃべり対決じゃなくてよかったね」
リコ、ふくれっつらをする。
HF「さあ、もうすぐスポーツランドに着きますよ」

○スポーツランドの広場

地球家族6人とホストハウス6人が座っている。
HF「今日はみなさんがゲストですから、お好きなスポーツを何でもおっしゃってください」
HM「ミサさんは、何が得意かしら?」
ミサ「私は水泳が得意ですけど・・・」
HF「よし、決まりだ。HS、ミサさんと100メートル泳ぎで勝負するんだ」
HS「うん。ミサさん、よろしく」
ミサ「よ、よろしく」

○プール

ピストルの音を合図に、ミサとHSが同時に飛び込み、クロールで泳ぐ。
他の10人、プールサイドから声をかけている。
ジュン「ミサ、しっかり」
タク「ミサ、がんばれ」
ジュンとタクが横を見ると、父、母がさらに大声をあげている。
父「ミサ!」
母「ミサ! もう少しよ!」
いい勝負をしていたが、やがてミサが遅れをとり、HSが先にゴール。
ジュン「あー」
タク「負けたか」
HSとミサがプールからあがり、かけよる。
HF「二人ともお疲れ様」
そこへ、スポーツランドの係員の男性がかけよる。
係員、すばやくカメラを取り出し、HSの顔写真を撮る。
係員「おめでとう。はい、勝利者に贈られるメダル」
係員、HSの首にメダルをかける。
係員「それから表彰状」
係員がカメラのボタンを押すと、写真つきの小さな表彰状が出てくる。
地球家族、表彰状をのぞきこむ。
表彰状には「あなたが勝利したことをここに証明します」と書かれており、その上にHSの写真がある。
係員、表彰状をHSに手渡す。
係員「はい。同じものが広場にも張り出されるから、後で見に行ってね」
HS「はい、ありがとうございます」

○スポーツランドの広場

地球家族6人とホストハウス6人が、広場の掲示板の前に立っている。たくさんの写真つき表彰状が張り出されている。
父「すごいですね」
ジュン、写真をながめる父と母を横目で見る。
HM「さあ、次は、リコちゃんとHTで対決してもらおうかしら。リコちゃんは何が得意?」
リコ「なわとび」
HT「なわとび?」
ジュン「確かに、リコの一番得意なスポーツは、なわとびだな。でも、なわとびなんてあるんですかね?」
HM「あるんですよ。ここにはなんでもそろっています。行きましょう」

○体育館

リコとHTがなわとびを持ってかまえて立っている。
他の10人が見ている。
ジュン「あんな長い縄、見たことない」
タク「ほんとだ」
リコとHTが縄を飛び始める。
リコのほうが速く飛んでいる。
ジュン「よしさすがリコ」
ジュンとタクが横を見ると、父、母がさらに大声をあげている。
父「リコ!」
母「がんばれリコ!」
そのとき、リコが失敗し、転ぶ。
ジュン「あ、プレッシャーに弱いリコが出た・・・」
リコ、縄にからまってしまう。
ジュン「リコ、大丈夫か・・・」
そこへ、スポーツランドの係員の男性がHTにかけよる。
係員「おめでとう」
係員、HTの首にメダルをかける。

○スポーツランドの広場

地球家族6人とホストハウス6人が集まっている。
ジュンとタクが小声で話し合っている。
ジュン「僕たちの連敗だ・・・」
タク「うん・・・」
ジュン「お父さんとお母さんのくやしそうな顔を見たか? 子供が同い年どうしだからライバル心を燃やしているんだろうな」
タク「うん。そう言われても、僕は泳ぎもできないし、なわとびさえできないし・・・」
ジュン「次は僕の番だ。悪いけど、タクには期待できないから、僕がなんとか勝って一矢を報いるよ」
タク「頼むよ」
HM「さあ、ジュン君とHBの対決よ」
ホストハウスの息子2人のうち背が低いほうが立ち上がる。
HB「よろしく」
ジュン「(心の中で)あれ、こっちが長男なのか。てっきり背の大きくてがっちりした彼のほうが長男だと思っていたのに・・・」
HM「ジュン君、競技は何がいい?」
ジュン「(心の中で)彼は背が低いから、バスケットボールにでもすれば楽勝かな。いや、それはあまりに卑怯かな・・・」
HM「ジュン君、バスケットボールのシュート対決なんて、どうかしら?」
ジュン「え? そうですね、じゃあ、それで・・・」

○バスケットボールのゴールネットの前

ジュンとHBがボールを持ち、順番にシュートする。
ジュンのシュートがまったく入らない。
HBのシュートが次々に入る。
ジュン「(あせった表情で)おかしいな、こんなはずじゃないのに・・・」
タク「ジュン、がんばれ・・・」
HFとHMが心配そうに話している。
HF「ジュン君がだいぶ劣勢だな・・・」
HM「あと1本決めれば勝ちが決まっちゃうわね」
HF、バッグから薬の入った小瓶を取り出す。
HF「ちょっとタイム!」
HF、ジュンのところに向かう。
HF「ジュン君、ちょっと一呼吸して落ち着こう。これを1個飲んでごらん」
HF、ジュンに小瓶を渡す。
ジュン「これは?」
HF「これを1個飲むと、10センチくらい足が長くなるんだ。さあ」
ジュン「本当に?」
ジュン、小瓶から薬を1個取り出して飲む。すると、ジュンの足が長く伸びる。
ジュン「信じられない・・・」
HF「この星には、手を長くしたり、いろいろと無害で強力な筋力増強剤があるんだよ。10分たつともとに戻るから、大丈夫。さあ、続けて」
ジュン「うん」
ジュンがシュートしようとすると、ゴールネットは目の前にある。
ジュン「おー、足が長くなると、こんなにシュートが入りやすくなるなんて」
ジュン、シュートを続けざまに決める。
ミサ「よし、ジュン、あと1本で大逆転よ」
タク「それ、行け!」
ジュン、最後のシュートを決める。
父「よし、勝ったぞ」
HFとHMもうれしそうな顔をする。
ジュンの足が元通りの長さになる。
そこへ、スポーツランドの係員の男性がジュンにかけよる。
係員「おめでとう」
係員、ジュンの首にメダルをかける。
係員、ジュンの写真を撮り、カメラから表彰状を取り出す。
係員「はい、表彰状、ん? あれ?」
ジュン、表彰状の写真をのぞきこむ。
ジュン「え? なんで?」
写真にはジュンの顔が写っていない。
係員「もしかして、君、筋力増強剤を飲んだのかな?」
ジュン「はい・・・」
係員「飲んだら失格になるんだよ」
ジュン「あ、そうなんだ・・・」
HF、ジュンにかけよる。
HF「ジュン君、すまない。失格になるとは知らなかったんだ」
ジュン「いいんですよ。どのみち僕の負けは決まってたんですから」
ジュン、HBにメダルを手渡す。
タク、ジュンに近づく。
ジュン「最後のわずかな望みはタクにかかっている。せめて精一杯がんばれ」
ジュン、タクに薬の小瓶を手渡す。
タク「うん、がんばるけど、この薬は飲めないよ・・・」
タク、薬を少し見つめた後、ポケットに入れる。
HM「さあ、少し休憩しましょう」

○スポーツランドの広場

地球家族6人とホストハウス6人、ドリンクを飲んでいる。
タクが体の大きいHCを見ている。
タク「(心の中で)彼はスポーツ万能そうだな。絶対に僕の勝ち目はないよ・・・」
父「それにしても、このスポーツランドは広いですね」
母「向こう側には、川まで流れていますね」
HM「そう、ボートレースもできるようになっていますから。あとは、魚釣りも」
父「釣りですか?」
HM「はい」
ジュン「え、ここでは、釣りもスポーツなんですか?」
HF「ええ、釣りはスポーツの一種ですよ。地球では違うんですか?」
父「まあ、それは時と場合によりますが・・・」
ジュン「(小声で)タク、願ってもないチャンスだな」
タク「え?」
ジュン「タクは釣りなら得意だろ?」
タク「うん、まあ・・・」
ジュン「(全員に)タクは釣りで対決しますよ」

○ボート乗り場

タクとHCがボートに乗り込む。他の10人が見送る。
HF「われわれはここから先は行けません。応援できなくて残念ですが・・・」
ジュン「(タクに)お父さんとお母さんのプライドがかかっているんだ。絶対に負けるな! 彼より1匹でも多く釣るんだぞ」
ジュン、タクの背中をたたく。
タク「そ、そんな・・・」

○川に浮かぶボートの上

タクとHCがボートに乗って釣りをしている。
HC「僕は、釣りはあまりやったことないけど、君は得意なのかい?」
タク「まあまあかな。君はいい体格をしているよね。スポーツ万能?」
HC「いや、全然」
タク「僕はスポーツ苦手だから、たぶん何をやっても勝ち目はないな。でも釣りだったら負けないかもしれない」
HC「タク君は、勝ち負けにずいぶんこだわっているけど、競争が好きなのかい?」
タク「いや、別にそういうわけじゃ・・・」
HC「そう。僕は、競争なんかより、みんなで協力して何かをなしとげることのほうが大事だと思うな。そう思わない?」
タク「・・・」
HC「あ」
タク「何?」
HC「ひいてる、ひいてる。どうしよう」
HC、釣りざおを一生懸命ひっぱる。
タク「え、まさか・・・」
HC「どうしよう。こんなに大きな魚、初めてだよ。引っぱるの、手伝ってよ」
タク、信じられない様子で、立ったまま動かない。
HC「何見てるんだよ。早く手伝ってよ。一人じゃ無理だよ」
タク、手を貸し、一緒に釣りざおを引っぱり始める。
タク「(小声で)僕も勝負なんか好きじゃない。協力しよう・・・」
HC「え、何か言った?」
タク「いや、別に・・・」
そのとき、HCが魚の力に耐え切れず、さおを放してしまう。さおが川に落ちる。
HC「あ、しまった」
HC、さおをつかもうとボートから身を乗り出す。
タク「ちょ、ちょっと、危ないよ。気をつけて」
次の瞬間、HCが川に転落する。
ボッチャーンという音。
タク「HC君!」
HCが川でおぼれている。
HC「助けて!助けて!」
タク「どうしよう。スポーツ万能に見えたけど、泳げなかったなんて・・・。でも、僕も泳げない・・・ 誰か助けに来ないかな・・・」
タク、思い出したようにポケットから薬の小瓶を取り出す。
タク「これを飲んでも泳げるようにはならないし・・・。いや、待てよ、この川はそれほど深くないんじゃ・・・」
タク、薬を何個か取り出して飲む。
タクの足が急に伸びる。
タク、川に入る。
タク「よし、これなら、顔を水の上に出したまま、川の中を歩けるぞ。今助けるぞ!」
HCを必死でかかえ、岸まで運ぶ。HCは意識がなくなっている。
係員がかけよる。
係員「大丈夫か!」

○川岸

係員とタクが立っている。HCが息荒げに横たわっている。
係員「良かった。助かった」
係員、タクの写真を撮る。
タク「あ、僕、釣り対決には負けましたから」
係員「いや、そうじゃないよ。これは人命救助の特別表彰状だよ」
係員、カメラから表彰状を取り出す。しかし、写真を見てまゆをひそめる。
係員「あ!」
タク、写真を見る。タクの顔が写っていない。
係員「そうか、君も薬を飲んでいたのか・・・。弱ったな・・・」
タク「いや、僕いいです。表彰状いりませんから・・・」
タク、走り出す。

○スポーツランドの出口付近

ミサ、リコとホストハウス6人が歩いている。
ミサ「HC君が無事で良かったですよ」
HC「でも誰が助けてくれたのか、わからなくて」
HM「不思議だわね」

一方、ジュンとタクが父母と話している。
タク「ごめんなさい。期待にこたえられなくて」
母「そんなこと、どうでもいいのよ」
ジュン「お父さんもお母さんも、大声で応援しているから、ライバル意識があるんだと思って」
母「あら、私は全然違うわ。ホストファミリーの歓迎にこたえるには、一つでも勝てたほうがいいと思って。お父さんは?」
父「私も同じことを考えていたんだよ。これは親善試合みたいなものだから、一方的な展開になるのはあまりよろしくない。しかし、タクには期待できないから、うちが全勝することはあり得ないと思ってね。ならば全敗しないようにと、ミサやリコやジュンを一生懸命応援したんだ」
母「HFさんがジュンを勝たせようとしてくれようとしたのも、うちが全敗しないようにとの配慮だったのね、たぶん。タクに勝ち目がないと予想していたのよ、きっと」
タク「えー、みんな、ひどいよ・・・」
タク、がっくりした表情。ジュン、父、母が笑う。

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