僕が遅刻した理由 恋愛

高校生の五十嵐理央(16)。彼は今日、何故遅刻をしたのだろうか……。
マヤマ 山本 10 0 0 01/05
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第一稿

<登場人物>
五十嵐 理央(3)~(16)主人公
佐々木 美緒(3)~(10)五十嵐の幼馴染

五十嵐 香織(38)~(51)五十嵐の母
佐々木 歩美(27)~(40)美 ...続きを読む
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<登場人物>
五十嵐 理央(3)~(16)主人公
佐々木 美緒(3)~(10)五十嵐の幼馴染

五十嵐 香織(38)~(51)五十嵐の母
佐々木 歩美(27)~(40)美緒の母
小笠原 類 (10)    五十嵐の友人
久保田 公平(16)    同

担任教師
高校教師
参列者A~C        声のみ
アナウンス         声のみ



<本編> 
○マンション・前
   五十嵐理央(3)にチョコレートを渡す佐々木美緒(3)。その両脇に立つ五十嵐香織(38)と佐々木歩美(27)。
美緒「はい」
五十嵐「え?」
美緒「ばれんたいんはね、おんなのこがおとこのこにちょこあげるんだって」
   香織の後ろに隠れる五十嵐。
香織「こら、理央。ちゃんと美緒ちゃんに『ありがとう』って言いなさい」
五十嵐「……ありがとう」

○小学校・前
   「入学式」の看板の前に並んで立つ五十嵐(7)と美緒(7)。その写真を撮る香織と歩美。

○同・教室
   下校の準備をする五十嵐(10)の元にやってくる美緒(10)。
美緒「ねぇ、理央」
五十嵐「ん……?」
   周囲を見回す五十嵐。小笠原類(10)ら生徒達かの冷やかすような目線。
美緒「あのさ、今日……」
五十嵐「悪ぃ、急いでるから。帰ろうぜ、類」
小笠原「いいのか、彼女さん放っといて」
五十嵐「全然違ぇから」
   小笠原とともに出ていく五十嵐を見送る美緒。その姿を面白くなさそうに見ている女子生徒達。

○同・外観
担任教師の声「日下部さん。国府田さん」

○同・教室
   出席確認中。美緒の席だけ空席。
担任教師「佐々木さん……は今日も休みか」
   美緒の席を見やる五十嵐。

○佐々木家・外観
歩美の声「来てくれてありがとうね」

○同・美緒の部屋
   向かい合って座る五十嵐と美緒にお菓子を持ってくる歩美(34)。
歩美「ゆっくりしていってね」
五十嵐「ありがとうございます」
   部屋から出ていく歩美。しばしの沈黙。
五十嵐「……何で学校来ねぇんだよ?」
美緒「……うん」
五十嵐「イジメられてるなら言ってくれりゃ、俺だって少しは……」
美緒「ごめん」
五十嵐「……いや、言おうとしてたか。聞かなかったのは俺だよな。悪ぃ」
美緒「いや、そんな。それに、理央にも迷惑かけたくなかったし」
五十嵐「そんなの気にすんなよ。俺は、美緒の味方だから」
美緒「……ありがとう」
五十嵐「か、勘違いすんなよ? その……幼馴染だから、って事だからな」
美緒「うん、わかってる」
   笑う美緒に釣られて笑う五十嵐。

○小学校・教室
   下校の準備をする五十嵐ら生徒達。そこにやってくる小笠原。
小笠原「理央。今日、サッカーやるけど、来る?」
五十嵐「あぁ、悪ぃ。俺、用事あるから」
小笠原「またかよ。最近、付き合い悪いよな」

○佐々木家・美緒の部屋
   美緒に勉強を教える五十嵐。
    ×     ×     ×
   一緒にゲームをする五十嵐と美緒。

○マンション・外観(夜)
香織の声「お帰り、理央」

○同・五十嵐家(夜)
   帰宅する五十嵐。待ち構える香織(45)。
香織「そこ座りなさい」
五十嵐「いや、遅くなったのは悪ぃと思ってるけど、美緒に勉強教えてたんだから……」
香織「それはわかってるから。そうじゃなくて、大事な話があるの」
五十嵐「大事な話?」

○佐々木家・美緒の部屋
   美緒に勉強を教えながらも、どこか上の空の五十嵐。
美緒「……理央? ねぇ、聞いてる?」
五十嵐「……え? あぁ、悪ぃ。何?」
美緒「だから、来週の木曜日、来てくれる?」
五十嵐「来週の木曜……一四日? 『来い』って言うなら来るけど」
美緒「来て」
五十嵐「わかった」
美緒「絶対だからね」

○繁華街
   バレンタインデーで盛り上がる。

○佐々木家・前
   インターホンを押す五十嵐。反応がない。
五十嵐「? あれ? 誰もいない……?」

○マンション・五十嵐家
   帰ってくる五十嵐。
五十嵐「何だよ。『来い』って言うから……」
香織の声「理央!」
   五十嵐に駆け寄る香織。目が赤い。
香織「理央。落ち着いて聞いてね」
五十嵐「?」

○葬儀場・外観

○同・中
   掲げられた美緒の遺影。五十嵐、香織ら多数の参列者。
参列者Aの声「聴いた? 飛び降りだって」
参列者Bの声「イジメられて不登校だったって」
参列者Cの声「かわいそうにね~」

○佐々木家・外観

○同・美緒の部屋
   歩美からチョコの入った箱を渡される五十嵐。
歩美「これ、受け取ってもらえる?」
五十嵐「(箱を開けて)コレ……」
歩美「あの子、一生懸命作ったの。でも……」

○(回想)同・キッチン(夜)
   手作りチョコを作る美緒と歩美。
美緒「あ~、ダメだ失敗。次こそ」
歩美「張り切ってるわね」
美緒「そりゃ、今までとは違うし……」
歩美「でもまぁ、電車で一本の距離なんだし、いつでも会えるわよ」
美緒「え?」
歩美「え……理央君の転校の話じゃ……?」
   床に落ちるボウル。

○同・美緒の部屋
   向かい合う五十嵐と歩美。
歩美「私が、言っちゃったから……」
五十嵐「違うよ。俺が言わなきゃいけなかったんだ。なのに……」
   チョコの箱を握り締める五十嵐。

○五十嵐家・五十嵐の部屋
   チョコの箱を手に取る五十嵐(16)。

○田所駅
   出てくる制服姿の五十嵐。同じ制服を着た久保田公平(16)がやってくる。
五十嵐「おう。おはよう」
久保田「おい、聞いたぜ理央。お前、宇佐美に告られて振ったんだって? もったいねぇ」
五十嵐「別に。そんじょそこらの女じゃ、俺は振り向かねぇ、ってだけの話だよ」
久保田「はは~ん。さては他に好きな女がいるな? 教えろよ。ほら、チョコやるから」
五十嵐「いらねぇよ。俺、チョコ食えねぇから」

○五十嵐家・五十嵐の部屋(夜)
   飾られた美緒の写真を見る五十嵐。
五十嵐「もう七回忌、か……」

○電車
   通学中の五十嵐。田所駅に着く電車。
アナウンス「田所~、田所~」
   降りようとして、足が止まる五十嵐。
五十嵐「この電車、降りなければ……」
   扉が閉まり、動き出す電車。
五十嵐の声「ったく、どうしてくれんだよ」

○墓地
   佐々木家の墓前に手を合わせる五十嵐。
五十嵐「花屋開くまで待ってたら、完全に遅刻になっちまったじゃねぇか。まぁ、高校生なら遅刻くらいどうって事ねぇけどな」
   しばしの沈黙。震える五十嵐の背中。
五十嵐「高校生の美緒、見たかったな。きっと、制服も似合ってたんだろうな……」

○田所高校・外観

○同・教室
   授業中。そこに入ってくる五十嵐。
五十嵐「遅刻しました~」
高校教師「おい、五十嵐。今何時だと思ってんだ? 理由によっちゃ、反省文だぞ」
五十嵐「先生、今日バレンタインっスよ? (小指を立て)コレに決まってんじゃないっスか」
                  (完)

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