盲導犬チョコとマスク男の憂鬱 ドラマ

ラジオドラマ 盲導犬チョコと紫音は、毎朝 通勤している。 そして、二人で、戦隊モノの パワーレンジャーを見るのが、 楽しみな二人だ。 でもここ最近、満員電車の中、 マスク男が僕たちチョコと 紫音ちゃんを守ってくれている みたいだ。 でも、名乗ろうとしないマスク男。 盲導犬チョコは、そこが気に食わ ないのだが、紫音ちゃんの同級生 宅丘愛佳(たくおかあいか)のお 陰で、色々とわかるのだが、ある 日、チョコと移動中に、紫音ちゃ んが怪我をして、マスク男が助け てくれて……。
祥天音 60 1 0 12/18
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第一稿

人 物
盲導犬チョコ(3)
盲導犬のラブラドール 
 
手塚(てづか)紫音(しおん)(40)
仕事中、事故に合い失明し、
盲導犬チョコと共に通勤中

名美濃悠太(な ...続きを読む
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人 物
盲導犬チョコ(3)
盲導犬のラブラドール 
 
手塚(てづか)紫音(しおん)(40)
仕事中、事故に合い失明し、
盲導犬チョコと共に通勤中

名美濃悠太(なみのゆうた)(40)
紫音の同級生で初恋の人
芸名「浪越悠太郎」

宅丘愛佳(たくおかあいか)(40)
紫音と悠太の同級生で会社員

矢田部(やたべ)鞠子(まりこ)(48)
チョコのホストファミリー
チョコを育成訓練して育ててくれた



チョコM「僕は、盲導犬チョコ。 人間なら  
 六大学レベルの難しい試験を受けて、やっ
 と合格して、手塚紫音ちゃんの家にやって
 きたんだ。 僕は、知らない人達には、少し
 シャイな紫音ちゃんが大好きだ。 だから、
 紫音ちゃんの電車通勤は、絶対僕が守るん  
 だ。」

TV「料理戦隊パワーレンジャー」のOP音楽。

紫音「チョコ―、料理戦隊パワーレンジャー
 始まるよー!」

   チョコの廊下を走る足音。

紫音「チョコは、本当にこの番組好きよね?」
チョコ「くぅーん?(あ、ばれたか)」
紫音「甘えた声を出しても、ダメよ。 私には見え
ないんだから、レシピ通りには、作れても
完成形の盛り付け方が解らないわ。」
チョコ「わん!(でも、食べたーい!)」
紫音「もう! チョコの食いしん坊! 
あっ、ほらっ、パープルレンジャーの決め台詞よ!」

パープルレンジャー「お腹一杯美味しい一杯
 食べたら戦いなんか止めたくなっちゃうぞ!
 幸せパープルパワー!(シャキーン)」

チョコ「わぉんっ!(パープルレンジャー
 かっこいいぞ!)」
紫音「あはは! 今日もパープルレンジャー
 は、かっこよかったね!」

OP「盲導犬チョコとマスク男の憂鬱」

   目覚ましの音。
   カーテンを開ける音。
   窓を開ける音。
   トースターの鳴る音。

紫音「(スープを啜って)チョコ! 
 準備できた? そろそろ行こう?」

   チョコの足音とチョコがハーネスを
   引きずってくる音。

チョコ「うぉんっ(ほいきたっ! 
 出動ですなー)」
紫音「さっ、ハーネスをつけるよ。」

   ハーネスをつける音。

紫音「さ、これから地獄通勤がんばろ!」
チョコ「わふっ!(あーあ!これから悩みの
 マスク男と会うのか・・)」

チョコM「紫音ちゃんもそろそろ気づき
 始めているとは思うんだけど、僕たちの
 通勤電車は地獄のように、めちゃめちゃ
 混んでいる。 武蔵小山から、JR目黒
 線乗り換えで恵比寿まで、かなり大変なん  
 だ。 だけど、ここ半年ぐらい、SPの
 ように、僕たちを完璧にガードしてくれる
 マスクをした妖しい男が現れるように
 なったんだ……・。」

電車のアナウンス「電車が到着します。
 ご注意下さい~。武蔵小山~武蔵小山~、
 次の停車駅は、目黒~、目黒に止まります。」

チョコ「わふっー(この牛ぎゅう詰めに、
 乗り込むのはかなり勇気がいる……
 そろそろヤツが現れる頃だし、待つかなぁ
 ー?)」
紫音「チョコ? ゴー出来ない? 見送った
 方がいい?」

   ホーム上のガヤガヤした人達の移動音。
   走ってくるスニーカーの靴音。
チョコ「クゥ。(ヤツが来た。)」
悠太「ごほごほっ。(心の声)(はぁー、
 間に合った。)」
チョコ「(ヤツが、ガードしてくれている間に、
 行くぞ! あ、また踏まれた! ちょっと、
 足痛いんですけどぉ~)」
紫音「あっ、チョコ、行くの?」
悠太「ごほっごほっ(心の声)(よっしゃー! 
今だ、チョコ行けっ! 僕がガードしてるって、
えっ? だから、なんでチョコは、僕を睨むん
だよぉー?)」

   沢山の足音。
   電車のドア閉まる音。
   ホームのドアが閉まる音楽
電車警備員「お荷物手前にお引き下さい」
悠太「うぐぐっ。(心の声)(後ろのリュック
 痛いっ)」
乗客A「おい、あれ犬? あっ、盲導犬かぁ」
乗客B「この時間は正直勘弁ですよねぇー」
乗客A「なんで雨でもないのに、カッパ着て
 んだ?」
乗客B「あ、先輩! 何かで聞いたことあり
 ます。確か……毛が飛びちらないように
 だったかと……。」
乗客A「へー、そうなんだっ。気は、使って
 んだね。 でも、もうちょっと遅い時間
 とかに通勤してくれればさー」
悠太「ごほんっ、ごほんっ」
乗客A「あ、やべっ」

チョコM「(聞こえてます!聞こえてます! 
 紫音ちゃんには、小声だって、ぜーんぶ
 聞こえてますよ! 目が悪い分、耳は、
 ずーっと良くなるんだからさっ! 僕の
 足は、踏んだっていいけど、紫音ちゃんは、
 イスのステンレス棒に捕まらさせて! 
 はぁ、悔しいけど、今やこのマスク男の
 SPばりのガードが無ければ、紫音ちゃんは、
 この時間の電車には、乗れないよなぁ。 
 僕の体力が持たないよ。)」

電車アナウンス「次は、目黒~、目黒~、
 JR線、三田線へのお乗換えのお客様は、
 こちらで、お降り下さい。」
 
   電車のドアが開く音。
   電車の様々なアナウンス音
   凄い人がホームに降りていく音。
紫音「あっ、痛っ、あっ、チョコ大丈夫よ。」
チョコ「わうっ。(大丈夫じゃないでしょ? 
 あのOLの尖った髪飾りが紫音ちゃんの
 こめかみに当たったじゃない? 紫音
 ちゃんにとっては、軽―く、武器なんだ
 よー! 全くー!)」
紫音「チョコ、壁ゴー。」
チョコ「クゥンッ(壁は、人が多いから
 一旦避難の合図だ。でも、すぐ次の
 電車が来ちゃうから、すぐ行かないと
 紫音ちゃんがもみくちゃになっちゃう!)」

電車アナウンス「二番線に次の電車が参ります。
黄色い線までお下がり下さい。」

紫音「あ、チョコの迷いは、次の電車が
 来ちゃうからなんだね。よし!早く行こう!」

チョコのハーネスのカチャカチャ音。
   通勤客の足音

悠太「ごほごほっ」
チョコ「クゥン。(っていうかさぁー、
 このマスク男が、変質者みたいに見ら
 れていて、やばそうだから、移動しよう
 としてるっなぁーんて事、紫音ちゃんは、
 知らない方がいいもんね。)」
紫音「ね、チョコ? 最近、あんなに混ん
 でいた山手線への改札が意外とスムーズ
 じゃない? なんでだろうね? たまたま
 かしら?」
チョコ「クゥ?(心の声)(そんなこと
 言われたって、僕、しゃべれないし、
 この気持ち悪いマスク男のお蔭とは言え
 ないし、言いたくたって言えないんだけど
 もさぁ~。)」
悠太「はっくしゅっん」

   大勢が電車から降りてくる足音。

ラブM「くぅん(さっ、次は、最大の難関! 
 山手線だ! 僕は、盲導犬のテストでは、
 電車のドアの音が怖くて、赤点が多くて
 よく迷惑を掛けてたんだ……、落第寸前
 の僕を根気よく育てて訓練してくれた
 ホストファミリーの鞠子さんが、ある日、
 僕に言ってくれたんだよなぁ。」

   電車のホームの雑踏の音。

鞠子「いい、チョコ? ドアの音は、怖く
 ないの。 ハッピーなドアだから。 
 チョコがハッピーなドアを開けて繋げて
 くれると未来のドアも飼い主さんに、出て
 来るわ。 大丈夫、きっと出来るわ! 
 目の見えない人達を助けてあげて? 見え
 なくなったから心を閉ざしている人が沢山
 いるけど、彼らが外に出たら、ハッピーな
 凄いパワーが沢山起こるのよ! 私はそれら
 を信じてるわ!」

チョコM「わふふっ(鞠子さんは、超真剣
 だった。 鞠子さんは、毎日、お水と
 ご飯をあげて、仏壇に手を合わせていた。 
 仏壇の壁には、沢山のおじいさんやおばあ
 さん達の古い写真があったけど、1人だけ、
 5歳ぐらいの子供の写真もあったんだ。
 その子が、鞠子さんの弟。 目が悪かった
 鞠子さんの弟は、電車に巻き込まれて
 亡くなったんだって。 だから、鞠子さんは、
 沢山の後悔があって、僕を教えてくれてる
 って言ってたんだ。」

鞠子「チョコ! 料理戦隊大好きでしょう? 
 ハッピーパワー大好きよね? チョコも
 いつでもHEROになれるのよ? だから
 目の見えない人達を導いて守ってあげてね。」

チョコ「わぁふっ。(がんばるっ)」
鞠子「そうそう、グッボーイ! がんばって
 ね。」

チョコM「僕は、鞠子さんのあの優しい匂い、
 言葉は、絶対に、忘れないんだ。」

鞠子「チョコ、大好きよ。 盲導犬になれた
 なんて、本当に凄い! 嬉しいわ。 
 チョコは、私のHEROよ!」

   チョコをハグする音。
   チョコのしっぽがパタパタする音。

チョコ「(それから、僕は、HEROになるって
 決めて、紫音ちゃんの所に来たんだ。)」

   ホームから大勢の人が階段を登る音。

悠太「はっくしょん」

チョコM「くぅん。(マスク男が、斜め下から
押されないように、僕たちを守ってくれている
……。本当に、紫音ちゃんに、惚れてるんなら、
声を掛けたらいいし、なんで、何もしないんだ
ろう? 自信が無いとか? ま、良く見ると、
目は薄い茶色で、綺麗な目してるし、背は、
170センチぐらいかな? 紫音ちゃんは、
164センチだから、ヒールは、履きにくい
けど、まぁ、ヒール履かないしね。 見た目も
お似合いっちゃ、お似合いなカップルになり
そうだけど……イヤイヤいかん! だまされ
ちゃいかん! これは、ヤツの手なのか? 
障がい者詐欺の始まりの手段なのか? 
また、僕の悩みの種は増えていくばかりだ……。」
紫音「チョコ? 最近、ここらへん来ると元気
ないね。 やっぱり、大変かな? 電車の時間
もっと早くしようか?」
チョコ「わふーっ(今だって、準備の為に凄く
早く起きているじゃない? これ以上なんて
体に無理来るもん。だから、そんな事させた
くないんだよぉ。)」
悠太「へっぐしゅんっ」
紫音「(小声で)なんか風邪の人多いのかな?
流行っているみたいね。」

電車アナウンス「黄色の線の内側へお下がり
下さい。電車が参ります。」

チョコM「ワウン。(マスク男風邪でも
引いたのか? あの様子じゃ明日は、来そう
にないな……。 明日は金曜日、めちゃ
めちゃ混むぞ……大変だ……。 やっぱ、
早い時間にして貰おうかな? ただでさえ、
準備に時間が掛るから早起きしてる紫音
ちゃんに、無理はさせたくないんだけど
……。)」

   カレーうどんを注ぐ音。
   チョコのドッグフードを入れる音。
   2人の食事する音。

紫音「今日も混んでいたけど、明日は、もう
少し早く準備するわ。」
チョコ「クゥ?」
紫音「本当は、今日もめちゃめちゃ混んでい  
 たんじゃない?」
チョコ「ワフゥワフゥ(あっ、ばれちゃった
感じ?)」
紫音「もしかして……誰かが居るの?」
チョコ「ワフフッ(やばっやばっやばっ!)」

   チョコを捕まえ、抱きしめ撫でる音
   チョコのしっぽのパタパタ音
紫音「やっぱり! チョコは、嘘つく時、
そうやって、ワフフッて言うじゃない? 
ちゃんと紹介してくれる?」
チョコ「ふんっ(いやー、そればれてた
のっ?キツイわ―。 それにあのマスク
男は、絶対的に僕のライバルだもん。 
なんで、紫音ちゃんに、恋のライバル
紹介しなきゃいけないんだよ! 
SPガード問題が少し解決しそうで、
 助かるのは、助かるんだけどぉー。)」
紫音「もしかして、黙っていてくれとか
 頼まれていたりするの?」
チョコ「ワフフッ?(ちげーよ!ちげーよ!)」

   チョコのしっぽのバタバタ音。

紫音「きっと謙虚な人なのね・・」
チョコ「ワフワフ(なんで、そうなるかなぁ
 ー。 なぁーんで、マスク男がHEROち
 っくな扱いになりつつあるんだよ!)」
紫音「チョコー、そんな慌てなくったって
 ……どんな人なのかな? もしかして、
 イケメンだったりする?」
チョコ「クゥ?(えっ?)」
紫音「やーだー、冗談よ!」
チョコ「ワフゥー(まじ、まじ、ありえ
 ないんだけど……マスク男の野郎!
 問題複雑化してんじゃねーか!)」

チョコの苛立ったしっぽのバタバタ音

紫音「チョコー、さっ、もう寝るよー。
 バタバタうるさいよぉ。」
チョコ「クゥン(これが……、これが、
 マスク男の計画だったんだなぁ~! 
 SPガード問題は、長期洗脳計画なのか? 
 マスク男ますます怪しすぎるわ!)」

   目覚ましの音。
   カーテンを開ける音。
   窓を開ける音。
   ドッグフードを入れる音。
   オーブントースターの音。
   朝のTV番組の音。

紫音「ごはんよー、チョコー!」

   チョコの足音。
   チョコがごはんを食べている音。

紫音「今日こそ、紹介してよね? 少し、
 早く行く事にしたから。」
チョコ「ワフッ(まじっすか。 
 でも来るかな? マスク男……。)」

   電車の音。
   駅ホームで人の行きかう音。

紫音「チョコ、いる?」
チョコ「クゥーン?(いねーな。 
 やっぱ風邪悪化したんかな。 へへ。 
 らっきぃー(笑))」
   
    嬉しそうにふるしっぽの音

紫音「……もしかして、風邪を引いて
 いた人なの?」
チョコ「ワフッ(あ、やべ!)」
   
    パタンっとしっぽが床に落ち
    る音。
   
    しばらくして電車がホームに
    入る音。

紫音「……チョコ?」
チョコ「ワフゥ(行こうよ! せっかく
 早く来たんだから!)」
紫音「あら、チョコ電車に乗れるの?」

   紫音に、誰かの足音が近づいて来
   る。

チョコ「クゥ(あれ、こっち見てる人、紫音
ちゃんの知り合いかな? 同年代っぽいよな
 ?)」
愛佳「あれ……? 紫音?」
紫音「チョコSTAY。 えっと……?」
愛佳「あ、高校の同級生の愛佳よ、覚えて
 る?」
紫音「あー、久しぶり。」
愛佳「事故に合ったって聞いたけど……」
紫音「えへ。 で、今、こんな感じなんだ。」
愛佳「そっか……がんばってるね。 私も
 がんばらなくちゃ。」
紫音「うん……でも、がんばると続かない
 から、ま、ぼちぼちとね。」
愛佳「あ!そう、そうだね! 私ったら、
 何か良いこと言わなくちゃって……」
紫音「うん、大丈夫、わかる。
 ありがとう。」

電車のアナウンス「武蔵小山~、武蔵小山~」

愛佳「あ、電車来たよ。一緒に行こう。」
紫音「うん。 チョコ、ゴー。」
チョコ「フフッ。(あ、紫音ちゃん、
 嬉しそうだな。 ……良かった。)」

   電車内の音

紫音「今日は、いつもより早いんだ。 
 だから、少し空いてるようにも感じるわ。 
 この電車にしようかな。」
愛佳「そうしなよー、私は、これが遅い電車
 の時間だから、これ以上は遅く出来ないんだ。」
チョコ「ウォンッ(お!いいかも、いいかも! 
 これで、マスク男とおさらばだ!)」
紫音「私にとっては、早い時間なんだ。 
 準備とか結構掛るから……」
愛佳「そうだよねー、大変だよね。 そういえば、
 この間、悠太といたでしょう?」
紫音「え?悠太?」
チョコ「グフフッ?(悠太って? あのマスク男? 
 まさかマスク男のことか?)」
愛佳「マスクしてたけどー、悠太だったよ。
 あれは! 紫音、好きだったでしょう?
 初恋だったっけ? よく、試合見に行った
 じゃない? ってか、悠太のバスケの試合、
 1人じゃ無理って、よく連れてかれたわよ
 ね? 私?」
チョコ「グフッ!(ちょい待ち! 
 なんだぁってぇー? マスク男は、
 紫音ちゃんの初恋の人だって言うのかぁ?)」
紫音「え、いやだ。 そんなこと覚えてるの?」
愛佳「じゃ、悠太、声掛けられなかったのかな? 
 私も声かけるの少し勇気がいったし。」
チョコ「ウー(怒ってる唸り声)(なんでだ?)」
紫音「そうだったの? ……ごめん。」
チョコ「ウー(怒ってる唸り声)(なんで、
 声かけねーんだよ! ありえねー!)」
愛佳「いやだ。なんで紫音が謝るの? 私、
 変な事、言っちゃったかな? 悪い意味で
 言ったんじゃ無いんだけど……ごめんね。」
チョコ「ヴー(もっと怒ってる唸り声)
 (あ・り・え・ねー!)」
紫音「チョコ、静かに。 うん、解ってるよ。
 愛佳、勇気がいったんだよね。 
 私も事故の前ならそうだったと思う。 
 声かけてくれて、ありがとう。」
チョコ「グゥー(なんで、声をかけねーんだ! 
 あのマスク野郎―、悠太てめー!)」
愛佳「今度、飲みにでも行こうよ! ねっ!」
紫音「うん、……そうだね。」
チョコ「クゥ?(あ、紫音ちゃん、
 凹んじゃったかな?)」

電車のアナウンス「目黒~、目黒~」

愛佳「あ、私このまま、この電車だから、
またね。」
紫音「うん、またね。」
チョコ「(紫音ちゃーん……大丈夫ですか?)」
紫音「チョコ……、ベンチで休んでいいかな?」
チョコクゥ?「(紫音ちゃん、大丈夫?)」

   しっぽを振る音
   紫音とチョコの足音
   手でベンチを確かめる音。

紫音「グッボーイ、はぁ……。」

   駅のベンチに座る音
   チョコのしっぽを振る音

紫音「ちょっと現実聞いて、落ち込んだだけ。」
チョコ「クゥン?(ん、どういう意味?)」
紫音「悠太くんに、障がい者って、思われたん
 だなぁーって。 同級生じゃなくさっ。」
チョコ「クゥ―(そこかぁー! 確かに
 同級生から、障がい者って思われるのって少し
 落ちる?……のかなぁ)」
紫音「やっぱさー、可哀想に見えちゃうよね……」
チョコ「ワゥン?(えっ……ちょっとちょっと!
 紫音ちゃん、泣かないでよ! いや、困る、
 それが一番困るってば!)」
紫音「……ぐすん」
チョコ「きゅーん(な・ん・と! 紫音ちゃんに、
 泣かれるのが一番困るんだってばー、
 おいらはー!泣かないでおくれよぉー)」

   近づいてくる足音。

チョコ「ヴゥー」
紫音「ノー! チョコ、どうしたの? 
 仕事中よ?」
悠太「(あ、やっぱ先に行ってたんだ。 
 良かったぁ~。)」
チョコ「ヴゥ~」
悠太「ごほほっ(えっ? 僕、なんで吠えら
 れちゃうんだ?)」
紫音「ノー! チョコ、仕事中でしょう? 
 まさか……名美濃……悠太くん? 悠太くん
 いるの?」
チョコ「ヴゥーヴゥー(マスク男、
 名乗れよ!)」
悠太「ごほほっ(いや、まだ……、
 本当に……、心の準備が……出来てない
 んだ……)」

電車アナウンス「目黒~、目黒~」
   
   電車から人が降りてくる音

チョコ「わふー!(あいつ、逃げやがったなぁ! 
 最低野郎がぁー!)」
紫音「人違いかな。 あ、チョコ行こう? 
 遅刻しちゃうよ? チョコ、ストレイトゴー」
チョコ「(本当に……マスク男は、
 最低野郎だ~!!!)」

   TV「料理戦隊パワーレンジャー」
   のOP音楽

チョコM「(……あれから、紫音ちゃんは、
 あんまり笑わなくなった。 僕には、 
 解るんだ。絶対、マスク男のせいなんだ
 と思う。 あの野郎、今度見つけたら、
 ただじゃおかないからな!) ……クゥン?」

紫音「あ、チョコ、ちゃんと見てるよ?」

パープルレンジャー「お腹一杯美味しい一杯
 食べたら戦いなんか止めたくなっちゃうぞ!
 幸せパープルパワー!(シャキーン)」

チョコ「わぉんっ!(パープルレンジャー
 かっこいいぞ!)」
紫音「チョコ~、そんな気を使わなくていい
 から。」
チョコM「クゥン(ええ? だって、暗い
 じゃん! 紫音ちゃん、絶対落ちてるじゃん! 
 僕、どうしたら、いいんだろう……紫音
 ちゃんに、何かしてあげることってある
 のかなぁ?)」

紫音「さっ、チョコ、仕事行こうか!」
チョコ「オンッ(いつもより、早い時間
 だけど……。あのマスク男には関わり
 たくないから、急がなくちゃ!)」

   玄関のカギを閉める音。
   門を開ける音。

チョコ「きゅんきゅん(しっぽを振る音)
 (愛佳ちゃん、おはよう!)」
愛佳「紫音、チョコ、おはよう」
紫音「愛佳? おはよう! 今日も一緒に
 行けるね。」
愛佳「最近、紫音と行くから、遅刻が無く
 なって上司に褒められて、良いことばっ
 かりよ。」
紫音「そんなに、遅刻多かったの?(笑)」
愛佳「ほら、私、高校の時も遅刻の女王だっ
たでしょう? 低血圧だからさ、覚えてい
る?」
紫音「あははっ、そうだった、そうだった
 ー!」

チョコM「クゥン。愛佳ちゃんのお蔭で、
 やっと通常の紫音ちゃんに、戻ったって
 感じかな? 僕は、ほっとしていたんだ。 
 そして、一生マスク男には、関わり合い
 たくないって思ったんだ。」

電車アナウンス「武蔵小山~、武蔵小山~」

悠太「ごほんっ……痛っ」
通行人A「おい、ぼっと立っているんじゃ
 ないよ。 これだから、近頃の若いやつは!」
悠太「ごほほっ……すいません。」

悠太M「高校時代……、手塚紫音は、
 バレンタインに、アーモンド入りの
 チョコを持ってきてくれたんだっけ……。」

紫音「……悠太君、……チョコ……バレンタ
インチョコ貰ってくれる?」
悠太「あ、ぼっ僕に?」

悠太M「あれが、嬉しくて嬉しくて……
 チョコ貰ったーって……だから、恋愛的に、
 優位な気持ちになっていたのかな? 
 でも僕は、この歳になっても誰とも付き
 合った事なくて、どう彼女に接したらい
 いか? 本当、解んなくて……。 
 SPのように、ガードするしか方法が
 浮かばなかったんだよな。 あーあ、
 これ言い訳だ。 僕が、手塚紫音を
 傷つけた事には間違いがない。 
 どうしたら、会えるんだろう……。 
 待ち伏せとか、キモ悪がられるかな? 
 まさか、引っ越しとかしちゃったのかな。 
 あーあ、携帯の番号なんて聞こうと
 思えば、いつでも聞ける機会が沢山
 あったはずなのに……。」

   雨の音

悠太M「雨だ……床、滑りやすいよな
 ……。チョコは、左に寄る癖がある
 し、乗客の傘の先っぽは、チョコには
 凶器にもなって危険だし……目黒駅の
 連絡通路大丈夫かな。 早めに仕事切
 り上げて、待ち伏せとかしてみるかな。
 あ、でも気味悪がられるから、声は
 かけないで……それなら大丈夫かな。」

   電話を切る音。
   就業ベルの音。

紫音「おつかれさまでーす。」
会社の人「お疲れさまー」
紫音「さっ、チョコ、終わったよー。 
 チョコ、カム。」
   
   チョコのしっぽを振る音。
   雨の音

紫音「雨降ってきたみたいね。
 気を付けて、ゆっくり帰ろう?」
チョコ「ワゥン(お任せあれー!)」

   自動扉が開く音。
   雨が降っている音。

チョコM「クフフ(凄い雨だ。 
 こんな日は、鞠子さんを思い出し
 ちゃうな)」

   雨の音。
   雨の中、車が走る音。
   タイヤが水を跳ねる音。

鞠子「チョコ、そうよ! 雨の日は、
 ゆっくり、ゆっくりよ。 チョコは、
 不器用だけど、何度も練習すると 
 出来ちゃうでしょう? 知ってる? 
 世の中の天才と言われている人達は、
 みーんな努力の人達なのよ?」
チョコ「クーゥ?」
鞠子「あら、チョコ、信じないの?」
チョコ「ワフッ」
鞠子「名前の残った天才達は、何度も
 練習して、極めて、名前を残すのよ? 
 解った?」
チョコ「ワフゥ(へー、へー、練習
 がんばりますよ。 今は、鞠子さん
 の為にもね。)」

   雨の音。
   車が水を撥ねる音。
   横断歩道の階段を降りる足音。

紫音「駅は、もうすぐね。ライトゴー」
チョコ「ヴゥー(あ・い・つ・だぁー!
 よけて歩かなくちゃ!)」
紫音「チョコ、どうしたの? 唸らない。
 訓練所に戻りたいの?」
チョコ「クゥン(それ言われると
 つらいんですけど緊急事態なんだ
 よぉー!)」
紫音「まさか、悠太くん居るの……?」

   壁に頭がぶつかる音。

紫音「痛いっ……」
チョコ「キャンッ(やばっやばっやばいっ! 
 僕、床ばっかり見ていて、上のデッパリ
 ……鉄骨で、頭打ったよね? 
 大丈夫かな?)」
悠太「ごほほっ、あ…大丈夫? 
 手塚さん、紫音さ……ん?」

   紫音が倒れる音。

チョコ「キューンッ、キューンッ
 (やだ、紫音ちゃん! 紫音ちゃん!
  大丈夫?)」
悠太「頭、切れたな……すみません! 
 どなたか救急車呼んで貰えませんか?」
通行人のおばさん「今、電話したよ。 
 大丈夫かい? あ、わんちゃんは、
 大丈夫なの?」
悠太「はい、大丈夫です。ちょっと
 びっくりしてますけど……
 ご心配ありがとうございます。」
チョコ「キューンッ、キューンッ
(僕のせいだ! 僕のせいだ!)」
悠太「チョコ、大丈夫だから。 
 頭の怪我は、派手だから、ビビるけど、
 血が出た方がすぐ治るから……ね?」
チョコ「ワフッワフッ?(そうなの? 
 でも、すげー血、出てますけどぉー。)」

   救急車のサイレンの音。

チョコ「キュンッ」
紫音「痛っ……」
悠太「あ、気が付いた? 頭少し
 縫ったけど、明日、退院だって。」
チョコ「キュンキュンッ(良かった! 
 良かった!」
紫音「……名美濃くんなの?」
悠太「うん、悠太だよ。 ……
 この前は、ごめん。」
紫音「何が、ごめんなの?」
チョコ「(あ、この空気……紫音ちゃん、
 マジ切れしてる……)」
悠太「この前だけじゃないよな? 
 何度も声かけようと思ったんだけど、
 僕、勇気なくてさっ……。」
紫音「私が、可哀想な人になって
 いたから?」
悠太「えっ?」
紫音「ほっといて構わないから、
 チョコもいるし、私は、大丈夫だから!」
悠太「えっと……最近、時間変えた?」
紫音「愛佳と通勤してるし、可哀想に
 思われてこっそり、SPばりのガード
 されるの迷惑だから。」
悠太「迷惑……かぁ。 宅丘と一緒に
 通勤しているんだ。 良かった……。」
紫音「良かったって……?」
悠太「え、1人じゃないんだなぁって、
 ほっとしたよ。」
チョコ「(おい、悠太、ちょい待て!)」
紫音「……私は、いつもチョコと一緒
 だわ! 1人でなんか居ないよ?」
悠太「あ、そうなんだけど……」
紫音「私は、盲導犬もいるのに、1人
 じゃ出歩いちゃいけないってこと?」
チョコ「(あー、まじ怒っちゃった。 
 紫音ちゃんこうなると長いのよ~)」
悠太「いや、そんなつもりじゃなくて
 ……困ったなぁー。」
紫音「勝手に、心配して、勝手に困ら
 ないでくれる?」

   病室に慌てて入ってくる足音。

愛佳「悠太から、家に電話あって……」
紫音「愛佳?……ごめん。」
愛佳「なんで、ごめん? 心配したわー! 
 あ、チョコー、気にすんなー。 
 雨の日は、ただでさえ大変なんだから
 ……でも、いつもの道なのに、
 どうした?」
悠太「あ、それ、僕のせいかも……」
愛佳「えっ?」
紫音「私を守る為に、チョコは、
 左に寄ったのかもしれないわ……」
悠太「やっぱ、僕のせいだよね。 
 ごめんな。」
紫音「……」
愛佳「え……、何かあったの? 私だけ
 話が見えないんだけど?」
悠太「僕……帰るよ……」
愛佳「えっと……私が帰った方がいい
 かな?」
紫音「愛佳は居て! 困るわ!」
悠太「じゃ……あのー、また、来るよ。 
 その時に、二人で話そう?」
紫音「……」
愛佳「どうしたの、紫音? あ、
 じゃまたね。悠太……。」

   悠太の遠のく足音。

チョコM「ワフフッ(こじれちゃ
 った! こじれちゃった! 紫音
 ちゃんは、あーなると大変なんだ! 
 僕は、ご機嫌取り上手いから、
 すぐ解決するけど、マスク野郎には、
 出来やしないだろうなーへへへっ。)」

紫音「ぐすん……」
愛佳「ほーら、泣かないで話して紫音? 
 どうしたの?」
チョコ「ワフッ?(えっ? えっ? 
 紫音ちゃん、それって、恋愛的な反応
 なの? そういうこと?…そういう事?)」

   鳥の鳴き声

愛佳「―えっ? ずっとSPガードをして
 くれてたの? 悠太が?」
紫音「うん、多分……、半年以上ぐらい
 かな?」
愛佳「えー、声かければいいのに……。」
紫音「私が、障がい者になったからじゃ
 ないかな?」
愛佳「え? でもさー、好きでも何でも
 ない人をSPばりのガードなんてする
 かな?」
チョコ「ワフッ(うん、うん。 僕も
 そう思う!)」
紫音「じゃあ、何のため?」
愛佳「えー、私に言わせるの? 紫音は、
 もう解ってるんじゃない?」
チョコ「クゥン?(え、え、どういう
 意味?)」
紫音「今度、ちゃんと聞いてみるよ」
愛佳「そ、何でも考え込んじゃ解ん
 なくなっちゃうからね。 恋愛は、
 2人でするものだから。」
チョコ「グフッフッフッ
 (恋愛ってぇ――?)」

看護師「検温の時間です」

   看護師のPC機器を移動する音。

看護師「腕出して下さい。 ……
 あのー、先ほどいらした方って、
 浪越悠太郎さんですよね?」
愛佳「……浪越さん?違いますけど?」
看護師「あ、違いましたか! 
 すみません。」
紫音「有名な方なんですか?」
看護師「料理戦隊パワーレンジャー
 って知ってますか?」
チョコ「ンフッ(好きですけど?)」
紫音「はい、好きですけど……」
看護師「あの方、パープルレン
 ジャーじゃありませんか?」
紫音「え? まさか!(笑)  
 ねぇ、愛佳!」
愛佳「えっと……」

    体温計の音
    PC機器入力音

看護師「……大丈夫そうですね。 
 明日、退院出来そうですよ。 
 じゃ、失礼します。」

   看護師のPC機器を移動する音。
   遠のく看護師の足音。

愛佳「なんかね……噂にはなってた
 んだよね。」
紫音「そうなの?」
愛佳「声優のメンズグランプリって、
 あるじゃん? それで、準優勝した
 らしくって。」
紫音「え、じゃ本当なの? 
 チョコ聞いてる?」
愛佳「大丈夫、チョコ? 
 伏せってるよ?」
紫音「腰抜かしてるんじゃない
 かしら? チョコ、小さい頃からの
 大ファンなのよ……。」
愛佳「あらま。」
チョコ「ウォーン(まじ、
 ありえねぇー?どうして気づ
 かなかった?)」
愛佳「ね……でも、変じゃない? 
 勤め人でもないのに、毎朝通勤
 電車のるかしら?」
紫音「―そう言えば、そうだよねぇ? 
 じゃ、毎日、悠太はどこに通勤してるんだろう?」
愛佳「紫音の為なんじゃない?」
紫音「まさか!」
愛佳「好きじゃなきゃSPガードなんて 
 しないって……。」
紫音「でも! 私、ふられてるんだよ?」
愛佳「それって、高校時代の話でしょ?
 ま、ちゃんと話し合って……じゃあね? 
 チョコ? 紫音を頼むよ?」
チョコ「ワゥン(はいよ! でも、
 マスク男が、複雑過ぎて……
 マスク野郎のバカヤロー! ……
 でも、パープルレンジャーは、
 大好きだぁー!)」

   看護師のPC機器を
   持ってくる音。
   
看護師「検温の時間でーす。 
 脈もはからせてくださいね。」
紫音「今日、退院出来るとしたら、
 何時ですか?」
看護師「この血圧で決まると思うん
 だけど……、はい、大丈夫ですよ。 
 先生のOKでると思うので、もう
 少しお待ち下さいね。」
   
    遠のく看護師の足音

紫音「チョコ、準備するわよ。」
チョコ「クゥン?(え、悠太来る
 って言ってましたけどぉ?)」
紫音「まだ、話したくないし、
 話せないもん。」
チョコ「クーゥ?(本当にそれで、
 いいの? 後にしたって、いつか
 は話さなきゃいけないんでしょう?)」
紫音「チョコ、準備したら行くよ。」
チョコ「……」

   病室にやってきた看護師の足音。

看護師「手塚さーん、退院のOK出
 ましたよ。 でも、気を付けて下さいね。 
 少し、ふらついたりするかもしれないか
 ら、本当は、タクシーで、帰って欲しい
 んですが……?」
紫音「給料日前で。 一駅だし、気を
 つけまーす。」
看護師「はい、気を付けて。 あ、浪越
 さんだったら、サインよろしくでーす!」
紫音「あはは、お好きなんですね? 
 そうだったら、聞いてみますね。」
看護師「他のレンジャーは、揃って
 いるので、後は、パープルレンジャー
 だけなんですよ。」
紫音「うわ。 責任重大(笑)」
チョコ「ワフッ(いいな、それ、
 拝んでみたい)」
紫音「あはっ、チョコも見たいみたい(笑)」
看護師「見せます! 見せます!」
看護師先輩「後輩! 急いで。」
看護師「あ、はい! じゃ、手塚さん、
気をつけて!」
紫音「ありがとうございましたー。」

   看護師の早足の音。

紫音「チョコ、ストレイトゴー」
悠太「あ、間に合った!」
通行人のおばさん「あーら、
 ごめんなさいよ。」

   人同士がぶつかる音。

悠太「いっ・・痛いっ」

チョコM「フフッ(あーあ、
 マスク男、ぶつかられた上に、
 足踏まれたなー。 あのおばちゃん、
 重そう。 ふっ、天罰だ! 
 紫音ちゃん泣かしたんだかんね!)」
紫音「・・・チョコ、駅行くよ。 
 ストレイトゴー」

   チョコと歩く足音。

悠太「あっ、手塚紫音! 待って!」
紫音「痛っ」
悠太「あ、ごめん。 腕、痛かった?」

   チョコと立ち止まる足音。

悠太「やっと追いついたぁー」
紫音「……料理戦隊パープルレン
 ジャーしてるって、本当?」
悠太「本当だよ。 ラッキーで、
 受かってやってるよ。」
チョコ「クゥン。(声作ってんなぁー。 
 全然、気づかなかったよ。 
 ファン失格だよ)」
紫音「なんであんな朝早く
 通勤してるの?」
悠太「結構今さぁ……
 ファンとかに囲まれている。」
   
    数人の女の子たちの
    ザワザワした声

紫音「えっ? 目立ってるってこ
 と?」
チョコ「お、凄い集まってきちゃった。 
 声優ファンなめんなって感じです
 かね? ま、なめてないけど……。」
ファンA「浪越さん、サインと写真
 お願いできますか?」
悠太「あ、今、大事な話をしている
 から、後ででもいいかな?」
ファンA「……後って、いつですか?」
悠太「え……?」
ファンA「浪越さんに会えるのは……
 私には、今、この一瞬しかないと
 思いますもん!」
悠太「僕だって……」
紫音「先に、帰るね。 また。」
悠太「え? ちょっと待って。」
ファンB「私もお願い出来ますかー?」
ファンC「私も写真とサインお願い
 します!」
悠太「え? ちょっと待ってってば!」
ファンD「私もー! あ、パパは、
 待ってて!」

チョコM「ワフゥ(パープルレンジャー
 人気すげえな。 でも……現実は、
 マスク男だからな。 ふん。 あー、
 いちファンより、パープルレンジャー
 を知っている優越感来るなぁ、
 上がるなぁ。 へへ。)」

紫音「チョコ、ストレイトゴー。 
 駅に行くのよ。」
チョコ「ワォン(えっ? サインと
 写真は? 僕、2枚ずつ絶対欲しい
 んですけどぉ!あ、そんな空気じゃ
 ない……よね?)」
悠太「手塚―、ごめん。 後で、
 すぐ行く!連絡するからー。」
ファンA「(小声で)毎日電車
 乗ってるって、ガセじゃなかった
 んだ?」
ファンB「(小声で)えっ、まさか
 ラブじゃないよね? 阻止でしょ?」
ファンC「(小声で)完全阻止だよね?」
ファンD「お付き合いとか、結婚とか
 絶対許せないから!」
悠太「あの!」

   悠太から離れて歩いていく
   チョコと紫音の足音。
   信号機から音楽が鳴る。

紫音「チョコ? ストレイトゴーよ? 
 チョコ?」
チョコ「ハゥ(僕、こういう時、
 自分嫌になる……)」
紫音「チョコ……ごめんね。 
やっぱ、サイン欲しかった?」
チョコ「グシュ(耳が良いから、
 聞こえちゃったんだよ!)」
紫音「チョコ、泣いてるの? 
 そんなに、サイン欲しかったの? 
 ごめん、ごめん、ごめん!」
チョコ「グシュ(紫音ちゃーん
 マスク男がさぁ…紫音ちゃん
 のこと、言ってるの
 聞こえちゃったんだよ」

   信号機の音楽止まる。
   車が走る音。

紫音「チョコ! 交差点で、
 ダウンなんかしないで? 
 再訓練になっちゃうよ?」

チョコM「僕だって、こんな事、
 絶対したくないと思うんだけど…… 
 紫音ちゃんの初恋だからさ……、
 協力したくないけど、……
 するよ……。」

   悠太の近づく足音。

チョコM「ワフッ(悔しいけど、
 パープルレンジャーには、誰も勝てや
 しないよ……。 悠太も初恋なんだって! 
 どうしても無くしたくない恋なんだとさっ。 
 ファンの子たちに……ってか、あの子
 たちは、追っかけだと思うけど……。 
 はっきり言ってたよなー)」

悠太「紫音―!」

   悠太の走ってくる靴音と呼吸音。

紫音「あ、……えっと、ファンの人達、
 いるんじゃない? 噂になったりした
 らさっ、迷惑……」

   服のこすれる音。

チョコ「ワウウッ(うっぉーーー! 
 いきなり、ハグッすか? 
 ファンとしては、刺激強すぎ……)」
悠太「声が声だから、目立つし……、
 ホワイトデーさっ、フラれてるから。 
 中々、声掛けられなくて、ごめん!」
チョコ「クゥ?」
紫音「ん?」
悠太「んっ?」
紫音「えっとぉー、何? 
 ホワイトデーって?」
悠太「手紙とマシュマロ入れといた
 けど、返事無くて……。」
紫音「手紙? マシュマロ?(笑)」
悠太「昔は、マシュマロだったじゃん。」
紫音「あ、まぁーそぉだけどぉー」
悠太「え? ……貰ってないの?」
紫音「あて名のない手紙なら、確かに
 記憶あるけど、誰から来たのか
 解んないし、返事のしようが
 なくて……。」
悠太「普通、僕って思うんじゃ
 ない? チョコ渡した後だしさー」
紫音「私、そんな自信家じゃないし!」
悠太「手紙、何度も綺麗に、書き
 直してさー」
紫音「あー、だからだ! 字が綺麗
 すぎて、真っ先に悠太は、推測
 から、外されたんだよ?」
悠太「えぇ? そんなぁ!」
チョコ「ワフフッ(お2人さん、
 目立ちそうだから、移動しない?)」
紫音「チョコが、行こうって。」
悠太「いいんだ。 ファンには
 僕の想い、知っていて欲しいし。」 

   悠太がハグする音

悠太「ファンにはちゃんと言ったよ
 初恋で大事な恋だから
 応援してってさっ」
紫音「……うっ(泣)」
悠太「よく、解るなぁー。 紫音は、
 人より先に、色々解っちゃうとこ、
 今、役に立ってるね。」
紫音「チョコとだから! 
 チョコだから、解るんだと
 思うよ。2人で1人前だけど(笑)」

   しっぽのフリフリする音。

チョコ「アフアフッ(感動し
 すぎて、うれしすぎて泣け
 ちゃう! どうしよう?)」
悠太「じゃ、僕も……、僕も
 入れてよ? メンバーに?」
紫音「そう? どーしよっ
 かなぁー?」
悠太「えー、入れてよぉ?」

   しっぽの不愉快そうな
   ダンダンと叩く音。

チョコ「ウー(ちょい待て。 
 これから、このカップル特有の
 デレデレ期のバカップル会話を
 僕は、1人、ずーっと1人で、
 聞いていなくちゃいけないん
 っすか? こちとら、おいらの
 憧れのHERO像がぐちゃ
 ぐちゃなんだよぉー。)」
   
   チョコ歩き始めた音

紫音「チョコ、ちょっと待ってよぉ。」
悠太「チョコー、ステイだっけ?」
紫音「チョコってば!」

   紫音と悠太の笑い声
   チョコのしっぽの
   ダンダン音。

チョコ「ワフフッ。(あぁ! 
 僕のHEROどこいったぁー? 
 マスク野郎のせいで、紫音ちゃん
 と三角関係発展して、問題複雑化
 じゃないかぁ―!)」
                

 終わり

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