鬼ごっこの女王 コメディ

地球に住むお父さん、お母さん、ジュン、ミサ、タク、リコの一家6人が宇宙ツアーに参加し、ホームステイしながらいろいろな星の生活を見て回ります。地球では考えられないような文化や習慣・自然環境があり、驚きの毎日を過ごしながら家族が成長していきます。宇宙を旅するが宇宙SF小説とは違う異色ホームドラマ。アニメならば約10分、1話完結の物語。
トナミKK 30 0 0 11/20
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第一稿

【登場人物】
お父さん 45歳
お母さん 41歳
ジュン 16歳
ミサ 13歳
タク 10歳
リコ 7歳
HF=ホストファーザー
HM=ホストマザー
HS=ホスト ...続きを読む
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【登場人物】
お父さん 45歳
お母さん 41歳
ジュン 16歳
ミサ 13歳
タク 10歳
リコ 7歳
HF=ホストファーザー
HM=ホストマザー
HS=ホストシスター(ホストハウスの娘) 25歳
A(HSの恋人の男性) 28歳
B(Aの妹) 25歳


○空港を出たところの道

地球家族6人が歩いている。
母「のんびりした村ね」
父「さっき飛行機の中で聞いたけど、今日は5年に1度の村祭りらしいぞ。ツアーの日程をちょうど祭りに合わせたんだろうな」
そこへ、若い男性1人(A)、若い女性2人(B、HS)が話しかけてくる。
A「いらっしゃい。地球からわが星へようこそ」
ジュン「あ、はじめまして。ホストファミリーの方々ですか?」
A「実は、あなたがたが泊まる家の候補が2つあって、今ここで決めるところなんですよ。さあ、じゃんけんで決めましょう」
突然、BとHSがじゃんけんの構えをする。
B「ようし。じゃんけんぽん」
HSの勝ち。
HS「勝った。今日は私の家に泊まってください」
B「くやしい」
母「あなたたち、仲が良さそうですね。どういうご関係?」
A「僕の妹と、僕の恋人なんですよ」
A、Bを妹、HSを恋人であると紹介する。

○ホストハウスの居間

地球家族6人とHS。
母「結婚はもう近いんですか?」
HS「いえ、まだそこまで話が進んでいません。彼のほうが、あまり積極的じゃなくて。あーあ。今年も村祭りに参加することになるとは思っていなかったんだけどな・・・」
父「そういえば、今日がその村祭りだそうですね。どんなお祭りなんですか?」
HS「村祭りと言っても、独身女性たちの鬼ごっこなんですけどね」
タク「鬼ごっこ?」
HS「失礼ですけど、みなさんの中で独身の女性の方は?」
ミサ「私、ミサです。あと、リコはまだ小さいけど、一応、独身女性です」
HS「じゃあ、2人とも、鬼ごっこに参加しなきゃ。今日村にいる独身女性は全員、野原に集合です」
ミサ「えーっ。でも、楽しそう。ぜひ。でも、そんな大勢で鬼ごっごなんてできるんですか?」
HS「もちろん。最後まで逃げ切った女性が、女王になるの。前回の女王が、宝玉を持って誰かを追いかけ、捕まったら鬼になって玉を持つ。鬼は次の人を捕まえて、玉を渡して陣地から抜けるのよ。そして、最後まで逃げ切って女王になった女性は、丘にのぼって玉を置く。この玉は守り神と言われていて、女王は幸せな結婚ができるという大昔からの言い伝えがあるの」
ミサ「へえ」
HFが部屋に入って来る。
HF「そろそろ、バスの時間になるよ」
HS「はーい。じゃ、続きはあとで。鬼ごっこは夕方5時からだから、それまで一緒に観光しましょう」
ミサ「はい。よろしくお願いします!」

○夕刻の野原

若い独身女性たちがおおぜい集まっている。
その外を取り囲むようにして、多くの男女が見物している。
笛の音。
女性「さあ、鬼ごっこの開始!」
女性「逃げろ!」
ミサとリコも鬼ごっこのメンバーにいる。
リコが木と木の間のせまいすき間に隠れようとする。
ミサがリコに声をかける。
ミサ「リコったら、かくれんぼじゃないんだから」

○しばらくして、野原

鬼ごっこが続いている。
捕まえた女性は、捕まった女性に玉を渡して、外に抜ける。それを繰り返す。

○しばらくして、野原

すっかり暗くなっている。
野原に残っている女性は、鬼以外にあと3人。そのうちの一人がミサ。
ミサ「まさか、私がこんな最後まで残れるなんて。ひょっとして、最後まで勝ち残ったら、私が女王・・・ 幸せな結婚・・・」
ミサ、ちょっとほほえむ。
見物人男性「いよいよ残り3人になったぞ。さあ、ラストスリーは誰かな」
鬼の女性「ちょっと待って。あと一人、あそこに隠れているわ」
女性、木のあるところまでかけていく。そこには、木と木の間に隠れたリコがいた。
鬼の女性「さあ、捕まえた。隠れていてもいつかは見つかるものよ」
リコ「そうじゃないの。体が抜けなくなっちゃって・・・」
女性がリコを引っぱるが、抜けない。
女性「ちょっと! 誰が手伝ってください!」
見物人数人がかけより、リコを引っぱって助け出す。
鬼の女性「ふー。大変だったわね。かわいそうだけど、あなたが鬼。ラストフォーよ」
女性、リコに玉を手渡す。
見物人男性「さあ、今度こそ、ラストスリーは誰かな」
ミサ「とうとうリコが捕まったか。リコなんかに捕まるもんですか」
ミサ、走り出す。そこに、見物していた母が大声をかける。
母「ミサ、止まって!」
母、ミサのもとへ行く。
ミサ「え、どうして?」
母「あなた、リコに捕まりなさい。女王にはならないほうがいいわ」
ミサ「え?」
母「村祭りは、やっぱり村人たちのものだと思うの。1日だけの旅行者が女王になるのは、お祭りとしてふさわしくないんじゃないかしら」
ミサ「・・・」
母「女王になんかならなくても、ミサは幸せな結婚ができるって、お母さんは信じているから」
ミサ「お母さん・・・」
そこへ、リコが走って近づいて来る。
ミサ、ゆっくりゆっくり逃げる。
ミサ「さあ、リコ、私を捕まえて」
リコがミサに追いつき、玉を渡す。
ミサ「いよいよ、私以外にあと2人か・・・ え、ということは、私が女王を決めることになるの? うわ、責任重大じゃん・・・」
そのとき、それまで逃げていた2人の女性が勢いよくミサに近づいてくる。
ミサ「え、どうして? なんでこっちに来るの?」
2人の女性の顔がはっきり見える。その2人は、HSとBであった。
ミサ「え、うそ! HSさんとBさん・・・」
HSとB、ミサのすぐ近くまで来て、顔を見合わせる。
HS「まさか、あなたとの勝負になるとはね」
B「そうね。ここまで来たら、みっともない争いはやめて、この子に決めてもらったらどうかしら」
HS「そうね・・・」
B「ミサさん。あなたが決めるのよ。どちらかを捕まえて。その人がラストツーになるの。そして、残った一人がラストワン、つまり女王」
ミサ「・・・」
B「・・・」
ミサ「どっちかって言われたって・・・」
ミサ、しばらく沈黙する。
BとHSがミサを見守る。
ミサ「私にとっては、二人とも今日初めて会ったばかりで、ただ、HSさんとは、半日一緒に観光して、HSさんがいろいろ案内してくれた。その違いだけなんだけど、それだけのことで決めてしまっていいのかしら」
B「運命なんてそんなものよ。さっきのホストファミリーを決めるじゃんけんが明暗を分けたということね。仕方がないわ。さあ」
ミサ「わかりました。じゃあ、決めます。女王はHSさん。Bさん、ごめんなさい」
ミサ、Bにかけより、玉を渡す。
B、玉を受け取りながら驚く。
B「どうして? 何で私なの? HS、まさか、あなた、ミサさんに鬼ごっこの説明をしてなかったの?」
HS「う、うん、まさか、最後にこんなことになるとは思わなかったから・・・」
HS、うつむく。
ミサ、わけがわからずきょとんとしている。
ミサ「え、どういうこと?」
B「ルールはルールだから、もう無理よ。あなたが女王」
B、HSにかけより、玉を渡す。
HS、悲しい表情をしながら玉を受け取り、そのまま丘に向かって走り出す。
見物人の男性「あ、ついに女王が決まったな。かわいそうに・・・」
ミサ、まだ呆然としている。

○その夜、居間

地球家族6人とHF、HM、HS。
HSが泣いている。
ミサ「すみません、どういうことですか? さっぱりわかりません。教えてください」
HM「女王になると幸せな結婚ができるというのが大昔からの言い伝えだけど、それはあくまでも言い伝え。実際には、女王になった女性で、結婚できた人は今までに一人もいないんです」
ミサ「そ、そんな・・・」
ジュン「そんな悲しい村祭り、やめちゃえばいいのに」
HF「そうしたいんですけど、昔、一度やめてみたところ、その年に大災害が起きて、それで仕方なく続けることになったらしいんですよ」
ジュン「そうだったんですか・・・」
ミサ「それで、誰も女王になりたがらなかったんですね。じゃあ、どうしてみんな、鬼ごっこで逃げ回っていたんですか?」
HF「ミサさん、考えてみてください。みんな女王になりたがらないけれど、それと同じくらいなりたがらないのが、ラストスリー。今回でいえば、ミサさんの立場です。なぜならば、ラストスリーは女王を誰にするかを決めなければならないからです」
ミサ「確かに。今回私は誤解をしていたけど、いずれにしてもラストスリーはつらい役目だわ。女王になった人に対して、一生顔向けできないかも・・・」
HF「さて、それだけではありません。ラストスリーと同じくらいつらい立場の人がいます。それはラストフォー。今回で言えば、リコちゃんです。なぜならば、ラストスリーを誰にするかを決めなければならないからです」
ミサ「確かに、ラストフォーにもなりたくないわ。でもそうすると、ラストファイブもラストシックスも、どんどん考えていくと、参加者全員がつらい役目になるじゃないですか」
HF「そのとおりですよ」
ジュン「何だか変な気がするけど・・・」
地球家族全員、頭をひねる。
HM「変じゃありませんよ。少なくとも、この星では普通の考え方です」
ミサ「・・・」
HF「そう、この鬼ごっこは、みんなつらい思いをするんです。ただし、ただ一人例外がいます。それは、ラストツーです。今回で言えば、Bさんの役目です」
ミサ「そうか。もう女王が確定しているから、機械的に玉を渡せばいいだけですからね」
HF「そうなんです。おわかりいただけましたね。鬼ごっこでみんなが逃げ回っていた理由は、女王になりたいのではなくて、ラストツーになりたいからなんです」
ミサ「さらに頭が混乱してきたわ。でも、それでわかった。だから、ラストスリーが決まった瞬間、逃げていた二人が急に近づいて来たのね」
HF「そうです。その瞬間、鬼ごっこから奪い合いに変わるのです」
ミサ「ごめんなさい。事情を知らなかったものだから、こんなことになってしまって」
HS「いいのよ、私がちゃんと説明していなかったのがいけないのだから」
そのとき、玄関のドアが開く。男性の声。
A「こんばんは」
Aが居間に入って来る。
HM「あら、Aさん。どうしたの、こんなに夜遅くに?」
A「夜分すみません。どうしても今日中にと思って。HSさんにプロポーズしに来ました!」
HS「え?」
全員、驚きの表情。
A「僕も、鬼ごっこをずっと見物していました。最後の二人が、HSさんと僕の妹の二人になったとき、正直、目の前が真っ暗になりました。どちらかが女王にならなくてはいけないんだと思って。でも、僕は以前から、女王のこの悲しいジンクスをなんとかして無くしたいと思っていました。そして今、それを実現できるのが自分なんだと思ったんです」
A、HSと向き合う。
A「必ず幸せにするよ」
HS、ほほえむ。
A、ミサに近づく。
A「ミサさん。ありがとうございます。もしあなたが僕の妹を女王に選んでいたとしたら、僕の力ではどうすることもできませんでした。本当に助かりました」
ミサ「勘違いだったけど、結果的にうまくいって、よかったわ」
全員、笑顔になる。

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