じゃじゃ馬玩具店 ドラマ

黒羽高徳(58)は、こすもす玩具店の店主であると同時に、保護観察中の少年少女等の社会復帰を支援する「協力雇用主」の1人。彼が次に受け入れることになった少女・佃優佳里(17)は、彼の想像を絶するじゃじゃ馬娘だった……!20枚シナリオコンクール 新井一賞 二次審査通過作品。
御子柴 志恭 111 0 0 10/04
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第一稿

<登場人物>
佃優佳里(つくだ・ゆかり)(17)
黒羽高徳(くろば・たかとく)(58) こすもす玩具店店主
朝日克己(あさひ・かつみ)(6)
子供A
同B


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<登場人物>
佃優佳里(つくだ・ゆかり)(17)
黒羽高徳(くろば・たかとく)(58) こすもす玩具店店主
朝日克己(あさひ・かつみ)(6)
子供A
同B


<本文>
〇こすもす玩具店・外観(夜)
   小さな店舗。出入口には『こすもす玩具店』の看板。

〇同・中(夜)
   玩具が並べられた店内。
   壁掛け時計は19時を指している。
   戸棚のあるレジには、エプロン姿の黒羽高徳(58)が座っており、書類を眺めている。
黒羽「佃優佳里、17歳。母親への傷害で保護観察中。動機は、貧困と虐待……」
   と、書類を雑に置く。
   書類には佃優佳里(17)の写真。
黒羽「今度の子は、手がかかりそうだ……」

〇路上(朝)
   優佳里が歩いている。

〇こすもす玩具店・外(朝)
   シャッターを開ける黒羽。
   優佳里が近づいてくる。
   黒羽、優佳里に気づく。
黒羽「悪いね、まだ開店前だよ……って、君が佃優佳里さんかい?」
優佳里「……(頷く)」
黒羽「待ってたよ! さ、入って入って」

〇同・中(朝)
黒羽「保護司さんから聞いてると思うけど、今日からさっそく働いてもらうよ」
   黒羽、戸棚からエプロンを出す。
黒羽「これが制服みたいなもんだ。着てね」
優佳里「こんなガキ臭いの、着ないといけないの?」
黒羽「だって、うちはおもちゃ屋だし」
優佳里「(ため息をついて)わかったよ」
   エプロンを着る優佳里―。
黒羽「よし。じゃあ佃さんには、レジ打ちのやり方を」
優佳里「そんなのいいよ。コンビニでバイトしてたから知ってる」
黒羽「そ……そうかい」
優佳里「一緒に店番すりゃいいんでしょ? ガキがあんまり来なきゃいいけど」
   勢いよくレジに座る優佳里。
黒羽「(やれやれという感じで)予想通り、手がかかりそうだ……」

〇同・中(夕方)
   レジで座っている、優佳里と黒羽。
   子供AとBが入ってくる。
子供A「こんにちは!」
黒羽「いらっしゃい。今日も来たんだね」
子供B「うん!」
   騒ぎながら店内をまわる、子供A・B―。
優佳里「(立ち上がって)お前ら、結局おもちゃは買うのか? 買わないのか?」
子供A「(驚いて)え、あ、その……」
優佳里「買う気がないなら帰れ! うっさいし目障りだ!」
子供A・B「……!」
   泣いて出ていく子供A・B―。
黒羽「佃さん、ありゃダメだよ。うちらは客商売なんだからさ」
優佳里「ああいう幸せそうなガキを見ると、イライラする。どうせ両親とかに甘やかされてるんだ」
黒羽「自分とは違って、かい?」
優佳里「(黒羽をにらんで)そんなんじゃない!」
黒羽「……すまん」
   壁掛け時計が、17時30分を指す―。
優佳里「(壁掛け時計を見て)あ、定時だ。今日はもう上がるよ」
黒羽「え、もうそんな時間か」
優佳里「明日も一応来るけどさ、やっぱりガキ相手は向いてないよ。辞めだこんなの」
黒羽「まだ一日目なんだし、そんなこと言わないでよ」
優佳里「いーや、無理だね」
   帰り支度をする優佳里―。
黒羽「……」

〇路上(夕方)
   つかつかと歩く優佳里―。
優佳里「嫌いだ。ガキもあの店も」

〇こすもす玩具店・外(日替わり)
   T『翌日』

〇同・中
   レジで座っている優佳里。
黒羽は出ていこうとしている。
黒羽「それじゃあ、私はちょっと出かけるから。店番お願いね」
優佳里「(投げやり気味に)はーい」
黒羽「在庫リストの紙ファイルは、レジに置いてあるから、何かあったら使ってね」
優佳里「このご時世に、紙で管理してんの?」
黒羽「そっちの方が使いやすいのさ。それじゃあ、頼んだよ」
   出ていく黒羽―。
   ×   ×   ×
   壁掛け時計は15時を指している。
   ぼーっとレジに座っている優佳里。
   朝日克己(6)が入ってくる。
優佳里「いらっしゃい」
   優佳里に近づく克己。
朝日「あの、僕克己っていいます。(指さして)あれください」
   指さした先には、『DXパワフルロボ』と書かれた、大きな玩具の箱がある。
優佳里「(苦笑いしながら)おいおい、おもちゃ屋に来て名乗るヤツがあるかよ」
   優佳里、レジから出て、箱を持ってくる。
優佳里「はい、これね。値段は……6000円ちょうどだ」
   朝日、500円玉を出す。
優佳里「これじゃあ足りねぇよ」
朝日「でも、これだけしかなくて……」
優佳里「ダメなもんはダメ。売れないね」
朝日「(涙ぐみながら)でも、でも……」
優佳里「泣いてもダメだ。買えるだけのお金が貯まったら、また来るんだね」
朝日「そんなの無理だよ」
優佳里「え?」
朝日「だってこの500円、母ちゃんが僕の誕生日にって、初めてくれたお金なんだ」
優佳里「……」
朝日「初めて、『これで好きな物買ってきていいよ』って言われたんだ」
優佳里「お前ん家……」
朝日「だから、だから……」
優佳里「わかったわかった、わかったよ」
朝日「本当!? じゃあ……」
優佳里「でもな、売れねぇものは売れねぇ……(ハッとして)ちょっと待てよ」
   優佳里、レジの戸棚から在庫リストの紙ファイルを取り出す。
優佳里「(ページをめくりながら)えーと、パワフルロボ、パワフルロボ……(手を止めて)なんだ、こんなに種類があるのか」
   優佳里、紙ファイルをレジの戸棚に戻す。
優佳里「要するに、パワフルロボのおもちゃが欲しいんだよな?」
朝日「うん」
優佳里「よしよし」
   優佳里、レジから出て、陳列棚をごそごそと探す―。
優佳里「あった、これだこれだ」
   優佳里、『食玩パワフルロボ』の箱を取り出すし、レジに戻る。
優佳里「克己、これでどうだ?」
克己「これ何?」
優佳里「食玩だ。おもちゃのおまけがついてるお菓子だな」
克己「へー」
優佳里「これは、パワフルロボの食玩だ。DXに比べりゃ小さいが、ちゃんとフィギュアが入ってるぞ」
朝日「本当!?」
優佳里「ああ。しかも、値段はちょうど500円。これならどうだ?」
朝日「買う! 買うよ!」
優佳里「よーし、決まりだな」
   優佳里、500円玉を取る。
朝日、『食玩パワフルロボ』の箱を手に取る。
朝日「(喜んで)お姉ちゃん、ありがとう!」
   朝日、勢いよく出ていく―。
優佳里「……(笑顔で見送る)」
   ×   ×   ×
壁掛け時計は16時を指している。
黒羽「ただいま」
   入ってくる黒羽。
優佳里「あっ、お疲れっす」
黒羽「どうだった、お店の方は?」
優佳里「変わりないよ。暇だった」
黒羽「(笑いながら)そうかそうか」
   黒羽、優佳里の隣に座る。
黒羽「ところで佃さん、明日からは……」
優佳里「来るよ」
黒羽「え?」
優佳里「明日も、今日と同じく出てくるよ」
黒羽「ってことは、ここで働いてくれるのかい!?」
優佳里「……(頷く)」
黒羽「昨日とは真逆じゃないか! 何かあったのかい?」
優佳里「いや、別に。……この店の在庫管理がローテクだから、手伝わねぇとなって思っただけ」
   レジの戸棚の紙ファイルを、笑顔で見つめる優佳里―。
黒羽「(優佳里と紙ファイルを見て)……?」
(終)

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