夢追人とリアリスト 日常

前途洋々な青年達にとって、 『夢を追うこと』 『現実を見ること』 それらは、自由である。 未来を選択する権利を持っているのは、 他でもない、彼らなのだから。 ――夏の夜。星空の下で語り合う?二人の小話
白石 謙悟 15 0 0 06/05
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第一稿

『夢追人とリアリスト』

登場人物

天野(アマノ)……大学生。天文学に惹かれ、宇宙にロマンを抱く青年
間宮(マミヤ)……大学生。天野の友人。クールで皮肉屋。自 ...続きを読む
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『夢追人とリアリスト』

登場人物

天野(アマノ)……大学生。天文学に惹かれ、宇宙にロマンを抱く青年
間宮(マミヤ)……大学生。天野の友人。クールで皮肉屋。自称、リアリスト



   明転
   双眼鏡を持ち、夜空を見上げている天野
   その横に座り、つまらなさそうな様子の間宮

天野 「いいかぁ、あの一番光ってるのがベガ。そんで、あれがアルタイルで…。
    あっちがデネブな」
間宮 「うん」
天野 「この三つを結ぶと、見事な直角三角形になります。はい、これを何という
    でしょうかっ!」
間宮 「うん」
天野 「その通り、夏の大三角です!はい、次、南の空に見えますのは…」
間宮 「なぁ」
天野 「あの赤っぽい星、わかるか?あれはアンタレスっていって、
    さそり座の一部……」
間宮 「なぁ、おい。天野!」
天野 「何だよ!解説中なんだから、静粛に願うよ!」
間宮 「もう帰らねぇ?」
天野 「はあああ!?何言ってんだ、お前!?」
間宮 「だってさー…。やっぱつまんないよ、天体観測なんて」
天野 「お前、馬鹿!何でこのロマンがわかんないかな!」
間宮 「暇だったから来てみたけどさ、俺にはそのロマンはわからないみたいだ」
天野 「はぁ、やれやれ…。間宮、お前は人生の半分は損してるぞ」
間宮 「そんなに?」
天野 「この広大な宇宙に広がる数々の星!まさに自然の神秘とも言える!
    どうだ、ワクワクしてくるだろうが!」
間宮 「いや、別に…」
天野 「かぁぁ、つまらん奴!」
間宮 「悪かったな。俺はお前と違って、リアリストだ。
    ロマンチストとは対極だよ」
天野 「出たよ、間宮君の決め台詞が」
間宮 「カッコいいだろ」
天野 「全然よくないね!男は、ロマンを追うために生まれてきたと言っても
    過言ではない」
間宮 「そんな簡単に男の存在意義を定義されてたまるか」
天野 「じゃあ、男の価値って何だよー、言ってみろよー」
間宮 「決まってんだろ。どれだけ良い女と付き合えるか、だよ」
天野 「この下種が!」
間宮 「うるっせーよ!結局なぁ、男なんてそんなもんなんだよ」
天野 「俺は違うからな」
間宮 「どうせ星見るんなら、彼女と見たいぜ…。ああ、俺何やってんだろ。
    切なくなってきた」
天野 「ふっ、独り身は寂しいな」
間宮 「お前もだろうが」
天野 「俺は星々と恋をしている」
間宮 「お前、何言ってんの」
天野 「あたかも織姫と彦星のような恋をしたいわけだ」
間宮 「よくわからんけど、お前も一応、男の子なんだな」
天野 「二人は一年に一度しか会えないんだぞ。まさに一夜限りの逢瀬。
    ああ、なんて儚いのだろうか…」
間宮 「あー、遠距離って確かに嫌だわ。せめて一週間に三回は会いたい」
天野 「お前の意見は聞いていない!ちょっとは話合わせてよ」
間宮 「嫌だね。俺は人間だ。星の気持ちなんてわかんねぇよ」
天野 「はー。本当につまらん奴だな」
間宮 「うるっせぇ。帰るぞ」
天野 「まぁ、待てよ。もうすぐ面白いものが見れるぞ」
間宮 「面白いもの?」
天野 「ペルセウス座流星群」
間宮 「何それ」
天野 「簡単に言えば、流れ星の大群」
間宮 「マジでそんなの見えるのか?」
天野 「俺の観測に狂いはない。今日がピークだ」
間宮 「ふぅん……」
天野 「お?ちょっとワクワクしてるだろ?」
間宮 「し、してねぇし」
天野 「ははは、心配するな。俺なんて興奮し過ぎて全身が痙攣している」
間宮 「変な興奮の仕方だな」
天野 「まぁ、とにかく。もうすぐだから大人しく待ってろって」
間宮 「へいへい。せっかくだから付き合ってやるよ」
天野 「そうこなくては!ちゃんと見てろよ。見逃さないようにな!」

   楽しそうに双眼鏡を覗き込み、夜空を見上げる天野

間宮 「……お前ってホント、無邪気な奴だな」
天野 「ん?何か言った?」
間宮 「いや、お前みたいに熱中できるものがあれば、もっと人生楽しいんだろう
    なって思って」
天野 「お前も星観ればいいじゃん。楽しいぞ!」
間宮 「悪いが魅力を感じん」
天野 「かぁぁ!じゃあ、お前の楽しみって何だよ?」
間宮 「それが無いから困ってんだよ。彼女と別れてから急激にやることなくなって、
    最近つまんねぇし。あーあ、ホントつまんねぇなー」
天野 「別に女が全てってわけじゃないだろ」
間宮 「いいや、全てだね。原動力みたいなもんだ」
天野 「この下種が!」
間宮 「ふっ……。お子様にはわからんだろうな」
天野 「同い年だろうが!じゃあ、女以外の楽しみを今から見つけろ!」
間宮 「ないって、そんなもん」
天野 「もっと夢見ろよ!ロマンを抱け!ボーイズ・ビー・アンビシャス!」
間宮 「うるせぇな〜…。じゃあ聞くけど、お前の夢は?」
天野 「宇宙飛行士」
間宮 「…………」
天野 「ロマンだろ?」
間宮 「小学生?」
天野 「あ〜あ、本当は俺、天文学部に入りたかったんだよー。
    いやさぁ、なかなかないんだよ、天文学部って」
間宮 「そ、そうか。お前大学生だったよな、うん。俺と同級生なんだよな。
    信じがたいけど」
天野 「まぁ、俺は独学でもやってやるけどね。宇宙と星々が俺を待ってる」
間宮 「今時、宇宙飛行士を夢見てる大学生って……いないよなぁ」

   どうでもよさそうにケータイを弄りだす間宮

天野 「ここにいる!」
間宮 「本気かよ」
天野 「ああ、本気さ」
間宮 「悪い事は言わないからやめとけ」
天野 「何でだよ」
間宮 「お前、馬鹿だから」
天野 「何ぃぃ!?」
間宮 「宇宙飛行士のことなんてよく知らねぇけどさ。お前じゃ無理だよ。
    星が好きなだけじゃあ、宇宙には行けねぇって」
天野 「そんな簡単に決めつけるなよ!」
間宮 「じゃあ聞くけど、宇宙飛行士になるために、お前は何をしてる?」
天野 「そ、それは…その……」
間宮 「眺めてるだけじゃあ、行けないだろ。そういうもんだよ。夢を見るのや
    語るのは自由だけど、それに向かって努力してる奴なんて、実は結構
    少ないんだ」
天野 「でも、何の目標もないよりかましだろ!」
間宮 「目標があってもなくても、行動しなきゃ意味ないだろうが!」

   間宮の剣幕に少しだじろぐ天野

間宮 「……俺、夢を語り合うのって、嫌いなんだ」
天野 「何で?」
間宮 「楽しそうに夢を語る奴を見ると、ちょっとイラっとする」
天野 「それって……俺のこと?」
間宮 「さぁ〜な。だからもう、この話はやめだ、やめ」
天野 「…………」

   無言で双眼鏡を覗きこむ天野
   間宮も空を見上げる

間宮 「なあ、その何とか流星群っての、まだ?」
天野 「…………」
間宮 「今日がピークっていっても、時間帯によるんじゃないの?
    そこらへん、調べてんだろうな?」
天野 「…………」
間宮 「おーい、聞いてる?」
天野 「それでも、俺は!」
間宮 「?」
天野 「宇宙飛行士に、俺はなる!」
間宮 「無理」
天野 「お前が、何と言おうともだ!」
間宮 「絶対に無理」
天野 「あーあー、聞こえなーい!」
間宮 「お前、経済学部だろ」
天野 「だから、本当は天文学部がよかったんだよ!でもいいんだ、
    独学でいくから!」
間宮 「理系の学部卒業じゃないと無理なんだよ」
天野 「…………え?」
間宮 「あと、英語ペラペラじゃないと無理。ちょっと話せる程度じゃ駄目だぞ。
    ペラペラレベルな」
天野 「はああああ!?」
間宮 「お前、英語の講義、オール追試だろ」
天野 「ば、馬鹿な……」

   ガックリと膝を付く天野

間宮 「な?無理だろ?」
天野 「っていうか、何でお前、そんなに詳しいんだよ!?宇宙飛行士なんてよく
    知らないんじゃなかったのか!?」
間宮 「実は……俺も、宇宙飛行士を目指してた時期があってな……」
天野 「嘘!?」
間宮 「嘘だよ」
天野 「てめぇ……」
間宮 「さっき暇だったから調べてみたんだよ、ケータイで。
    そしたら、一番上に出てきたぞ」
天野 「知らなかった……」
間宮 「よくそんなんでなろうと思えるな」
天野 「…………(落胆)」
間宮 「まぁ、これで踏ん切りがついたろ。もっと現実的になることだよ。
    俺みたいにさ」
天野 「よし、俺、編入するわ」
間宮 「はあ!?」
天野 「英語も今から勉強する」
間宮 「お前……何、言ってんの」
天野 「あ、いや……編入っていうか、転部?理系の学部ならどこでもいいや」
間宮 「……何で諦めないんだよ」
天野 「だって、そうしないとなれないんだろ?だったら、やるさ」
間宮 「お前は何でそんなに前向きでいられるんだ?」
天野 「夢のためなら頑張れる!」
間宮 「ふざけんな!叶わないから、夢っていうんだよ!」
天野 「……なぁ、間宮。どうしてそこまで否定するんだよ」
間宮 「…………」
天野 「ちょっと変だぞ、お前」
間宮 「関係ないだろ…」
天野 「もしかして、お前……」
間宮 「…………」
天野 「俺のこと、嫌いなんだ……」
間宮 「馬鹿だ、こいつ……」
天野 「やっぱり、そんなんだ……」

   落ち込む天野。ちょっと泣きそう

間宮 「めんどくさっ…。あー、嫌いだね。お前みたいに根拠のない夢を
    嬉しそうに語る奴は」
天野 「いいじゃん…夢見たって……」
間宮 「そんな生き生きしたところを見てると、自分が惨めになってくる」
天野 「え?」
間宮 「自分にもできるんじゃないかって思えてくる。だから嫌なんだよ」
天野 「間宮…?」
間宮 「あぁもう、何でもねぇ!忘れて」
天野 「いいや、聞き捨てならん!やっぱり、お前にも夢があるんだろ!?」
間宮 「ないって」
天野 「隠すなよ!語り合おうぜ、星空の下で!う〜ん、青春!」
間宮 「……わかったよ、そこまで言うなら、教えてやる」
天野 「おう!何だ何だ?」
間宮 「間宮君のウハウハ・ハーレム天国建国」
天野 「この下種野郎―ッ!(掴みかかり)」
間宮 「いいだろ、別に」
天野 「何だ、その中学生みたいな夢は!?お前、本当にそれでいいのか!」
間宮 「その中学生みたいな夢を信じるお前はやっぱり馬鹿だよ」
天野 「はあ!?また嘘かよ!?」
間宮 「さぁね」
天野 「おい、そんなに夢を持つのが怖いのか!?」
間宮 「怖いとか、怖くないとか、そういう問題じゃないだろ」
天野 「いいや、お前は逃げてるんだ。自分に嘘ついて、楽な道に行こうとしてさ!」
間宮 「知った風な口を利くのはやめろ」
天野 「大体何だよ、クール振りやがって。お前、そんなキャラじゃなかった
    だろうが!」
間宮 「お前だって、天体好きとか最近になるまで片鱗すら見せなかったじゃねぇか!
    どうせ何かの漫画に影響されて熱が入っただけだろ。
    安っぽい夢だよなぁ!」
天野 「てめぇ、もう一回言ってみろ!人の夢、馬鹿にすんな!
    お前なんか何もないくせに!」
間宮 「あればいいってもんじゃねぇよ!夢見るだけなら誰にでもできる!
    お前はそれに酔ってるだけだ!」
天野 「理想も持てない臆病者に言われる筋合いはないね!」
間宮 「んだとォ!?」
天野 「やんのか、コラ!」

   喧嘩勃発。お互い協力なパンチを繰り出す
   それがクロスカウンターの形になり、二人とも吹っ飛ぶ
   倒れ込む二人

天野 「いってぇ!」
間宮 「……あぁ、くそ。くだらねぇ、何でこんな深夜に二人で殴り合いなんて
    してんの。補導されるぞ」
天野 「おっしゃぁ…来いよ!」
間宮 「しねぇよ、馬鹿。痛ぇし。勝手に一人でやってろ(寝転ぶ)」
天野 「お前、本当につまらん奴だな!ここは拳で語り合うところだろ!?
    男として!」
間宮 「だから、勝手に男を定義するなってんだよ……」
天野 「けっ!」

   ふてくされ、間宮とは逆方向に座り込む天野

間宮 「……俺、漫画家目指してたんだよ」
天野 「……は?」
間宮 「ほら、笑えよ」
天野 「いや……何言ってんの、いきなり」
間宮 「臆病者は、ちょっとムカついたから」
天野 「漫画家って……お前が?マジで?」
間宮 「もうやめた。魔が差したんだ」
天野 「何でやめるんだ!いいじゃん、漫画家!夢がある」
間宮 「なれねぇって。自惚れてたんだ、俺は。ちょっと絵が上手いからって、
    調子に乗って……」
天野 「そんな簡単に諦めんなよ!」
間宮 「だから、お前みたいに現実見ない身の程知らずが嫌いなワケよ。
    わかった?」
天野 「わからん!」
間宮 「あ〜〜……。やっぱ話すんじゃなかった…。面倒くせぇ……」
天野 「そうか、漫画家か……。漫画家……」
間宮 「あんまり連呼すんな!」
天野 「いいこと考えた!名案だぞ、おい、間宮!」
間宮 「…………(無視し)」
天野 「俺の体験記を漫画にすればいいんだよ!」
間宮 「……はい?」
天野 「何たって、宇宙を目指すんだからな!超大作になるぜ!」
間宮 「はっはっは……お前、やっぱり馬鹿だわ」
天野 「本気だよ、俺は!そしたら、俺もお前も、夢が叶うじゃん!」
間宮 「はいはい、もうどうでもいいって。…にしても、腹減った……。
    なぁ、流星群まだ?」
天野 「こら、話を逸らすな!な、そうしようぜ?」
間宮 「逸らすなって言うけど、それが目的で来たんだよね?」
天野 「間宮!」
間宮 「わかったわかった。じゃあ、話の続きはファミレスでやろう。
    マジで腹減った」
天野 「望むところだ!ふっふ、楽しくなってきた」
間宮 「いいよなぁ、単純馬鹿は……」

   そんなことを言いながら間宮がはける
   天野もはけようとするが、途中で双眼鏡を忘れていることに気付く
   それを拾った時、何かに気付き、空を見上げる

天野 「ん?……ああぁッ!おい、間宮っ!来てる来てる!流星群!」

   天野が走ってはける

                                  完

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