罪人 ドラマ

ある日、中学生の真央は、小学一年生の弟が可愛がっていた野良猫が、道端で死んでいるのを発見してしまう。猫に餌をやりに行った弟を、公園まで迎えに行く真央。現れるはずもない猫を待ち続ける弟に、真央はなんと声をかけたらいいのか分からなくなってしまうのだった。
金田 萌♤ 28 1 0 05/15
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第一稿

<登場人物>
・桂木真央(6・12) 中学1年生。
・桂木拓海(6)   小学1年生。
・桂木優子(32・39) 真央と拓海の母。
・桂木洋一(36)   真央と拓斗の父 ...続きを読む
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<登場人物>
・桂木真央(6・12) 中学1年生。
・桂木拓海(6)   小学1年生。
・桂木優子(32・39) 真央と拓海の母。
・桂木洋一(36)   真央と拓斗の父。
・野次馬の女
・ドド
・ララ


〇通学路(夕)
  制服姿の桂木真央(12)、一人歩いている。
  と、道の先に人だかりを発見。
  近づき、野次馬の女に声をかける。
真央「あの、何かあったんですか?」
野次馬の女「ほら、あれ。猫が飛び出して引かれちゃったの」
  野次馬の女が指さす先を見る真央、瞳が揺れる。
真央「……クロ?」

〇桂木家・リビング(夕)
  夕食をテーブルに運ぶ桂木優子(39)。
  そこへ、真央が入ってくる。
真央「ただいまー」
優子「真央、お帰りなさい。帰ってきたところ悪いんだけど、向かいの公園に拓海がいるから呼びに行ってくれない? ご飯できたよって」
真央「……拓海、何しに行ったの?」
優子「いつも通り『クロと遊んでくる』って。ほら、あの子動物アレルギーでしょ? 家で動物飼えないから、その分、野良猫可愛がりたくて仕方ないんだよ」

〇公園・ブランコ(夕)
  小さくブランコを漕ぐ桂木拓海(6)。
真央の声「拓海」
拓海「(振り返り)お姉ちゃん」
真央「ご飯できたって。一緒に帰ろう?」
拓海「……クロがいない」
  真央、悲しそうに眉を下げる。
拓海「クロのご飯がまだだから、戻って来るまで待ってる」
  真央、ブランコの端に置かれた、小さな皿と未開封の猫の餌に気付く。
真央「ダメだよ。ママが心配するでしょ? クロは野良猫なんだから、拓海がご飯あげなくたって大丈夫だよ」
  真央、拓海の腕を摑もうとする。
拓海「(腕を払い)嫌だ。僕がご飯持ってくると、クロ、すごい喜ぶんだよ? いつも『ニャー』って鳴きながら走ってくる。きっともうすぐ来るから、ここにいる」
真央「来ないかもしれないでしょ」
拓海「絶対来るもん!」
真央「拓海!」

〇フラッシュ
  ぐったりと倒れているクロの姿。

〇公園・ブランコ(夕)
  真央、拓斗の前にしゃがみ込み。
真央「あまり言いたくなかったんだけど、クロは今日――」
  その時、頭上の木にとまっていた雀が、バサバサッと一斉に飛び立つ。
  思わず頭上を見上げる真央と拓海。
  真央、優雅に飛び回る雀を眺めている。
真央M「子供の頃、よく聞かされた。嘘をつくと地獄に落ちて、閻魔様に舌を抜かれるんだって。でも私はあの時、確かに救われたんだ。閻魔様もびっくりするような、小さな小さな嘘で」

〇(回想)桂木家・リビング
T『7年前』
  大声で泣きわめく真央(6)。
真央「ウサギさんって約束したじゃん!」
  机の上には『真央ちゃん お誕生日おめでとう』のチョコプレートと共にケーキが。
  真央に優しく声をかける優子(32)。
優子「拓海が動物アレルギーだから、お家でウサギさんは飼えないの。でもね、真央が楽しみにしてたの知ってるから、別のプレゼントを用意したんだ」
  優子、布のかかった鳥籠を真央の前へ。
優子「(布を外し)じゃーん! オカメインコのドドちゃんとララちゃんだよ」
  鳥籠には、黄色いオカメインコが二羽。
真央「(泣き続け)違う! そんなのいらない! 真央はウサギさんが欲しいの!」
  優子、困ったように眉を下げる。
  その時、インコのドドが喋り始める。
ドド「ドドのおやつ頂戴。おやつ頂戴」
真央「(顔を上げ)……何? 今の」
ドド「ドドのおやつ頂戴」
  真央、ポカンと口を開けている。
優子「ウサギさんはお喋りしないけど、この鳥さんはできるんだよ。(真央に餌を渡し)ほら。ドドちゃんがおやつ欲しい、って」
  おやつをドドに与える真央。
ドド「美味い! 美味い!」
  真央の顔が一瞬にして晴れる。

〇通学路(夕)
  ランドセルを揺らし、息を切らして走っている真央。

〇桂木家・リビング(夕)
真央「ただいま!」
優子「お帰りなさい」
真央「ドドちゃんとララちゃんにも挨拶してくる!」
  真央、急いで部屋を出て行く。
  それ見ていた桂木洋一(36)、微笑む。
洋一「相当気に入ってるみたいだね」
優子「毎日一人でお世話してるんだよ。一か月前までウサギが欲しいって泣いていたあの子が。本当感心しちゃうわね」

〇空(朝)
  ギラギラと照り付ける太陽。
  セミの鳴き声が聞こえる。

〇桂木家・真央の部屋(朝)
  カーテンが全開の部屋。
  太陽の光を浴び、暖められている鳥籠。
ドド・ララ「暑い。暑い。暑い」
  ドドとララ、『暑い』と連呼している。
真央「暑いよね。もう7月だから」
  ランドセルを背負う真央。
真央「じゃあ、行ってくるね!」
  真央、部屋を出て行く。
ドド・ララ「暑い。暑い。暑い――」

〇同・同(夕)
  掃除機を持って部屋に入る優子。
  ふと、鳥籠に目をやると、ドドとララがぐったりと倒れている。
優子「(駆け寄り)ドドちゃん、ララちゃん⁉」
  ドドとララ、応答しない。
優子「(声が震え)どうしょう……」

〇道端(夕)
  鳥籠を乗せ、全力で自転車を漕ぐ優子。

〇ペットショップ・店前(夕)
  優子、自転車を駐車し、店に駆け込む。
優子「すみません!」

〇通学路(夕)
ランドセルを揺らし、息を切らして走っている真央。

〇桂木家・真央の部屋(夕)
  クーラーの電源が入っている。  
  勢いよく扉を開けて入ってくる真央。
真央「ドドちゃんララちゃん、ただいま!」
  真央、鳥籠に被せられている布を外す。
真央「……えっ?」

〇同・リビング(夜)
  優子と洋一、座って話し合いをしている。
洋一「じゃあ、ララちゃんは助かったんだな?」
優子「うん。あの子が悲しむと思って、私、ドドちゃんそっくりな子を探したの。でも、同じインコはいないって店主が……」
洋一「……生き物はいつか死ぬんだ。辛いけど、真央には本当のことを話そう」
優子「……わかった」
  と、そこへ焦った様子の真央が登場。
真央「ママ! パパ! 大変だよ!」
  机の上に鳥籠を置く真央。
真央「見て見てほら‼」
  籠の中にはララちゃん、そして青色のインコが入っている。
  ゴクリと息をのむ優子と洋一。
真央「ドドちゃんの色が変わった‼」
  優子、洋一を一瞥してから。
優子「……凄いじゃない!」
洋一「ああ、これは凄いな!」
  洋一、優子、真央、これ以上ないと言うほどの笑顔を見せて喜んでいる。
(回想終わり)

〇公園・ブランコ(夕)
拓海「お姉ちゃん?」
  我に返った真央。
  目の前にはブランコに座っている拓海。
拓海「クロが、何?」
真央「……クロはね、今日、来ないと思うの。帰り道、商店街歩いてるの見かけたから」
拓海「えっ! 本当?」
真央「……うん」
  真央、ブランコに腰を掛ける。
真央M「この決断が正しかったのか、今はわからない。でもその答えは、いつか嘘だとバレた時、拓海が決めることなんだ。これが真っ赤な嘘なのか、それとも真っ白な嘘なのか」
  拓海、俯き気味でぼそぼそ喋る。
拓海「でもやっぱり、あと5分だけここにいたい」
真央「……仕方ないな」
  拓海、顔を上げる。
真央「一緒に待とっか。拓海の気が済むまで」
  拓海が微笑む。
  真央も微笑む。
<了>

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