第2話 「正人とありさ」
ありさのバイト先へ訪れ、正人はありさがバイトしている店の外で待っていた。
ありさのバイトが終わり、2人は出会ったあの公園にアイスコーヒーを持ちながら来ていた。
ありさ)「まさか本当に来てくださるとは思いませんでしたよ、私のバイト先に」
正人)「いえ、せっかくだなと思ったし、それに暇だったので笑。あ、アイスコーヒーありがとうございます!」
ありさ)「いえいえ!ハンカチと来てくださったお礼です。そういえば、正人さんは何をしていらっしゃる方なんですか?」
正人)「一応、フリーでライターの仕事をしてます。」
ありさ)「へえ!ライターのお仕事されてるんですか?なんか記事とか書いたりするお仕事ですか?」
正人)「まあ、そんなところです。本当はもっとやりたいものがあるんですけど、、」
ありさ)「やりたいこと、、ですか?」
正人)「ありささんにはもしかしたら興味ないかもしれないんですけど、アニメの小説を書きたいんです。いわゆる、、、」
ありさ)「ライトノベルですね!」
ありさが食い気味に返した。
ありさ)「正人さん、アニメお好きなんですね!」
正人)「え?もしかしてありささんも?」
ありさ)「はい!好きですよ!深夜アニメとかよく見てますし。それに、、、私も正人さんと同じですし。」
正人)「同じってどういうことですか?」
ありさ)「そのままの意味です。私も、ライトノベルを書くので。」
正人)「ええ!ほんとですか!?」
ありさ)「はい、3年前にアニメになった”嫁が勇者になって私が魔王になりました”ってアニメご存知です?」
正人)「もちろん!”嫁勇者”は僕いつもリアルタイムで見てました!!」
ありさ)「あれ、私が作者なんです」
正人)「えええええええ!!!!」
驚いた。まさかこんなところに大型新人作家がいたなんて。しかも、”嫁勇者”は過去、このライトノベルがすごい!というライトノベルで由緒正しい賞でも3位に輝いている。
正人)「す、すごい、、ていうことはミツバチ花さんってことですよね?」
ありさは嬉しそうに答える。
ありさ)「そうです、ミツバチ花という名前で活動してます。」
正人)「いや、驚いた。まさか大型新人ライトノベル作家に会えるなんて。そして、どうしてすごい方がどうしてカフェのバイトなんてしてるんです?」
ありさ)「いや、ヒットしたのはあれだけですし、この先続くか分かりませんから、、」
正人)「なるほど、そうですよね。」
ありさ)「でも、私もいつかライトノベルだけで生活していきたいんです。そういう意味合いで私は正人さんと一緒です。」
正人)「いや、すごいですよ、一回でもヒットしてるのは。僕なんてまだ物語一つも書けずにいる。才能とかそれ以前に一歩が踏み出せないんです。母親の前では夢があるとか言ってますけど、、」
ありさ)「私だってそうでした。どうせ才能ないとか、やったとしても誰にも評価されずに終わるんだろうって。けど、本気でやりたいって思った時、どうでも良くなったんです。それからはガムシャラにやりました。そしたら、私の作品が選ばれた。見てくれる人がいるんだって感動しました。だからこそ、思ったんです。この仕事を一生の仕事にしたいって。」
正人)「ありささんはやっぱり僕よりすごいです。勇気も持って、才能も持っている。」
ありさ)「そんなの、誰にも分かるものじゃないですよ。私だって勇気が初めからあったわけじゃありません。才能なんて私にあるかどうかは知りません。1番大事なのは、これをやりたいかどうかです。やりたい気持ちが本物なら勇気が出るはずです。」
正人)「ありがとうございます。僕、頑張ります!そうですよね、やりたい気持ちですよね!」
ありさ)「そうですよ、やりたい気持ちを持てば正人さんだって遅くはないです。」
正人)「僕、早速家に帰って書いてきます!」
そう言って、正人はベンチから勢いよく立って家に帰ろうとする。
それを引き止めるように声をかけるありさ。
ありさ)「あの!正人さん!」
正人)「はい」
ありさ)「明日、よかったら私の家に来ませんか?」
正人)「え?いいんですか?」
ありさ)「同じ同業者ですし、よかったらぜひと思ったのですが、、」
正人)「ぜひ!行かせてください!!」
ありさが正人に駆け寄る。
ありさ)「なので!よかったらLine交換しませんか?」
正人)「あ、はい!交換しましょう!」
2人はLineを交換してそれぞれの家に帰る。
夜。正人は自分の部屋にいた。
Lineをじっと見つめる正人。ありさのトークルームを開いたままで、ありさにLineを送るべきかどうか迷っている。
その時、ありさからLineがきた。
「明日、夕方とかどうですか?」とありさからLineがきた。
少しだけ嬉しく思いながら、「仕事もあるので17時くらいになりそうです」と返信した。
了解です、家の住所送ります!また明日!そして、スタンプでおやすみなさいと返事がきて、正人はまた明日!そして同じようにスタンプを返した。
明日が楽しみだ。そう思いながら、正人はすぐに寝た。
ベットに入って正人は思った。
正人) (そういえば、夢、見なくなったな。)
第二話 完
第三話へと続く。
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