百合と桔梗 ドラマ

売れっ子画家の七嶋桔梗(50)だったが息子で同じく画家の柊太の大麻所持事件により世の中から追われることになる。騒動も落ち着き画家としての活動も辞め、ひっそりと生活している時に訪問客が来る。彼女は柊太の妻だという。そして彼女は桔梗にあるお願いを申し出るのだが・・・
伊能エト 12 0 0 04/12
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第一稿

人物

七嶋桔梗(50)(60)画家
七嶋(坂本)百合子(22)(32)桔梗の嫁
七嶋柊太(32)桔梗の息子 画家
七嶋桜(5)百合子の娘
プロデューサーA
マネージ ...続きを読む
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人物

七嶋桔梗(50)(60)画家
七嶋(坂本)百合子(22)(32)桔梗の嫁
七嶋柊太(32)桔梗の息子 画家
七嶋桜(5)百合子の娘
プロデューサーA
マネージャーA

○百合子の部屋(夜)
テレビ画面に厳しい表情の七嶋桔梗(50)が映っている。桔梗の隣には正確に描かれた向日葵の油絵が掛けられている。
桔梗「これは凡人です。何度も言いますが、絵というものは自分の心を描くことです。このように見た物をただ正確に描いたのでは意味がありません」
ゴミだらけの部屋でテレビを見ている坂本百合子(22)
桔梗「物を見て感じた心を描きましょう」
笑顔でお辞儀をする桔梗。

○TV局・収録スタジオ
カメラの前で笑顔でお辞儀する桔梗。
ADの声「はい、オッケーです」

○同・廊下
お辞儀をしながら歩く桔梗。
プロデューサーAが後方から小走りで桔梗に追いつく。
プロデューサーA「七嶋先生お疲れ様です。先生の油絵査定コーナー評判ですよ」
桔梗「ありがとうございます」
プロデューサーA「息子の柊太さんも若手画家として大人気で親子で大忙しですね」
桔梗「ありがとうございます。息子はまだまだですが宜しくお願いしま」
マネージャAの声「七嶋先生、大変です」
マネージャーAが携帯を持って走って来る。
携帯を受け取る桔梗。
桔梗「え、息子が?大麻?そんなバカな」

○ホテル・朱雀の間
沢山の報道陣が陣取りフラッシュがたかれる中、桔梗が深々とお辞儀をしている。

○桔梗の家・アトリエ
寝ている赤ん坊の油絵を桔梗が眺めている。
桔梗「バカ息子が・・・」
桔梗、油絵に布をかぶせる。

○同・リビング
T「10年後」
インターフォンが鳴る。
モニターの通話ボタンを押す桔梗(60)
桔梗「はい。どなた」
ADの声「七嶋桔梗先生ですか?私ニコニコテレビの番組で、あの人気者は今、のコーナーを担当しているものですが」
桔梗「私は用はないよ。はい、さようなら」
モニターを切りソファーに座る桔梗。
桔梗「ふん、私をあんなに叩いたテレビに誰が出るかい」
インターフォンが鳴る。
桔梗「うるさいね」
インターフォンが一度止まり、再度鳴る。
桔梗、通話ボタンを押す。
桔梗「しつこいね!出ないと言ってるだろ」
百合子の声「私、柊太さんの妻の百合子と申します」
×   ×   ×
リビングのソファーに座る桔梗と百合子(32)
桔梗「あのバカ息子と結婚する女がいたとはね」
百合子「はい。娘の桜と三人で暮らしています」
桔梗「ふん、半人前のクセに子供もいるのかい。で、今日は何しに来たんだい」
百合子「柊太さん、少しずつ油絵の方も再開していて。今度、お母さんと二人で個展を開いてはと思いまして。そのお願いに」
桔梗「は?あの子と二人で個展を?嫌だね。帰っておくれ」
百合子「きっと二人にとって良い再スタートになると思うんです」
桔梗「だいたいね。その息子が来てないじゃないか。10年も音信不通だったクセに頼み事があった時だけ言いに来て。しかも、嫁をよこすなんて。あの子の性根は変わって無いわね」
百合子「いや、この件は私が独断できたんです。柊太さんはお母さんには合わす顔がないって言ってて」
桔梗「もう帰っとくれ。知らない間に息子が勝手に結婚した嫁なんて、私からみたら他人なのよ。だいたいね、私はもう絵は描かないって決めたの」

○同・玄関
玄関か俯いて出る百合子。

○同・リビング
電話している桔梗。
桔梗「すまないが、息子の事を調べてもらいたいんだが」

○同・玄関
インターフォンの前に立つ百合子。
桔梗の声「何度来たって一緒だよ。もう絵は描かないんだから」
百合子「じゃあ、お母さん、私に油絵を教えてくれませんか?私、絵を描きたいんです」
桔梗の声「もう描かないと決めてるのに素人相手に絵を教えるのはもっと嫌だよ。もう切るよ」
トボトボと帰る百合子。

○同・アトリエ
沢山置かれたキャンバスには布がかぶされている。
桔梗が部屋の中央にある真っ白なキャンバスを見ている。
桔梗「もう絵なんて・・・」
○同・リビング
桔梗、資料を放り投げるようにテーブルに置く。
インターフォンが鳴る。
×   ×   ×
対面で座る桔梗と百合子。
百合子「入れて頂きありがとうございます」
桔梗「うちの息子のこの10年を調べさせてもらったよ。あんたと出会ってやっとマシになったみたいね。そこで、逆に不思議なのはあんたはなぜあの子と一緒になったのかい?あの子と一緒にならなくても他に男はいくらでもいるだろ」
百合子「私が柊太さんと出会った時、私も人生のどん底だったんです。柊太さんはコッソリお母さんの描いた赤ちゃんの絵の写真を見せてくれたんです。そして、この絵は母が俺を描いてくれた絵なんだ。この絵には母の優しさや厳しさが現れている気がするんだ、と。私もその絵を見た時に心の中が温かい物で溢れたんです。だから、こんな素晴らしい感性を持つ人と一緒になろうと思ったんです」
桔梗「・・・あのバカ息子がね・・・」
百合子「お母さん、絵を描いてくれませんか。お母さんは以前テレビで、絵は自分の心を描くこととおっしゃっていました。今のお母さんの心を描いてくれませんか」
桔梗「うるさいね」
百合子「描かないんじゃなくて描けないんじゃないですか?このままじゃ、お母さんの心は止まったままです。絵を描いて下さい」
桔梗「・・・わかった。今日はもう帰っておくれ」
百合子「お母さん・・・」
桔梗「今度、来るときは息子を連れてきな」
百合子「良いんですか?」
桔梗「それと、汚れても良い格好でおいで」
百合子「え」
桔梗「あなたと私の孫に絵を教えてやるのよ」
百合子「お母さん・・・ありがとうございます」
笑顔でお辞儀する百合子。

○同・玄関(夜)
玄関前に七嶋柊太(32)と七嶋桜(5)が立っている。
玄関を開け桜の頭をなでる桔梗。
桔梗「百合子さんは?」
柊太「お母さんと一緒に絵を描くために画材を買ってから行くって」
桔梗「画材なんて、うちにいっぱいあるのに」

○歩道(夜)
大きな袋を抱え、信号待ちをしている百合子。
信号が青になる。
小走りで横断歩道を渡る百合子。
車のライトが百合子に当たる。

○桔梗の家・アトリエ
白いキャンバスの前に桜を膝の上に乗せた桔梗が座っている。
桔梗「お母さん、遅いわね。みんなで一緒に絵を描こうと待っているのに」

○病院・救命救急室
気管チューブを挿管された百合子が心臓マッサージされている。
モニターの心電図がフラットになる。

○個展会場・入口
『七嶋親子展 十年の沈黙を破り新作親子個展』と書かれた看板がかかっている。
入口には多数の来場者がいる。

○個展会場内
壁には、大きな百合とその周りに桔梗の花が描かれた油絵が掛かっている。

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