セイギノミカタ 後編 (2005年) コメディ

新聞記者の青年とヤクザの娘。 ロミオとジュリエットも匙を投げるこの恋の行方やいかに! いよいよ最終回。 正義の味方と正義の見方についての物語
竹田行人 60 0 0 09/30
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第一稿

「セイギノミカタ 後編」(2005年)


登場人物
沢木優(23)朝売新聞社員
大谷薫(23)優の恋人
大谷勲(50)薫の父・大谷組組長
大谷美智子(52)薫の母
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「セイギノミカタ 後編」(2005年)


登場人物
沢木優(23)朝売新聞社員
大谷薫(23)優の恋人
大谷勲(50)薫の父・大谷組組長
大谷美智子(52)薫の母
大谷聡美(20)薫の妹
亀山忠(23)優の同級生・便利屋
小山田義郎(63)国会議員
市山剛志(57)市山組組長


========================================


○風見百貨店・屋上・イベントスペース
   ステージが組まれている。
   親子連れで溢れている。
   大谷薫(23)、最前列にいる。
   大谷聡美(20)、ステージの上で衣装を着てマイクを握っている。
聡美「じゃーよいこのみんなー。せーのでアンパンマンを呼ぼうねー。せーの」
薫「あーんぱーんまーん!」
聡美「あれー。おこえがちーさいなー。もっとげんきなおこえでー! せーの!」
薫「あーんぱーんまーん!」
   アンパンマンのマーチが流れる。
   薫、手を振る。

○カフェ「Sea La Canth」
   薫と聡美、通りに面したテーブルで向かい合って座っている。
   テーブルにミルクティーが2つ置かれている。
薫「やっぱいいよね。アンパンマンショー」
聡美「最前列で楽しめる23歳女子」
薫「いや。マジでやなせたかし先生のお言葉は最高だから。本当の正義というものは、けっして、かっこいいものではないし」
聡美「そのために必ず自分も深く傷つくものです。もうミミタコ」
薫「だよね。私が小さい頃から英才教育したもんね」
聡美「その結果。今があります」
   薫と聡美、微笑み合う。
聡美「そういや薫ねぇ。一緒に住んでる人とはどうなの」
薫「あー。それがさー」
   薫と聡美、目を見合わせる。

○タイトル「セイギノミカタ 後編」

○大谷家・正門(早朝)
   黒い外国車が走っていく。
   薫の悲鳴。

○同・玄関(早朝)
   薫と聡美と亀山忠(23)、たたきに並んで立っている。
   沢木優(23)、血を流して土間に倒れている。
   薫、沢木に駆け寄る。
薫「ユウ。ゆう。優」
聡美「ひどい」
   水の流れる音。
   大谷勲(50)、玄関横にあるトイレから玄関に出てくると、沢木を一瞥し、玄関横の階段に向かう。
薫「お父さん!」
勲「救急車ならもう母さんが呼んだよ」
薫「そうじゃなくて。なんかないの?」
勲「脱臼くらいなら何とかできるが、焼け石に水だな。このケガじゃ」
聡美「誰がこんなことを」
薫「便利屋さん。優なにか言ってた」
亀山「いえ。でも電話が。相手は確か」
勲「そういえばその客人。隣町の産廃処理場の問題にえらくご執心だったらしい」
薫「え」
   沢木、顔を上げる。
   沢木と勲、目を見合わせる。
   勲、階段を上っていく。
亀山「電話の相手。宮澤って。小山田義郎の秘書ですよ。国会議員の。住民の反対押し切って隣町に産廃処理場を作ったんです」
   亀山、走り出そうとする。
   薫、亀山の腕を掴む。
薫「待って。まだなにがなんだか」
聡美「そのとき。隣町の組と組んで相当あくどいことやったって。噂だけど」
薫「隣町って。市山組じゃん」
   亀山、走り出す。
   聡美、追いかける。
聡美「待って! 市山はホンモノだよ。便利屋さんが1人で行っても」
亀山「わかってますそんなことは」
聡美「だったら」
亀山「敵う敵わないの問題じゃないんすよ。優は。オレのダチなんす」
   亀山と聡美、目を見合わせる。
沢木「カメ。止めとけ」
薫「優。喋んなくていい。血出てる」
沢木「力しかないのか? 自分の正義。貫くのに。金とか。権力とか。暴力とか。力がないとダメなのか?」
   沢木と亀山、目を見合わせる。
沢木「オレは。自分の正義。貫くために。真実を探してる」
   沢木、気絶する。
薫「ユウ。ゆう。優」
   薫、沢木を抱きしめる。
   救急車のサイレン。

○狛江総合病院・外観
   鉄筋8階建ての建物。
   壁に「狛江総合病院」の文字。

○同・病室
   リノリウムの床。
   ベッドが6床。
   沢木、頭に包帯を巻いて窓際のベッドで上半身を起こし、テーブルの上でノートPCを操作している。
勲の声「仕事熱心だな」
   勲、ドアの前に立っている。
沢木「え。あ。いや。すみません。落ち着かなくて。え。と。あの。わざわざ来てくださったんですか」
勲「散歩のついでだ」
沢木「ありがとうございます」
勲「妻は。私と君が似ていると言っていた」
沢木「僕と。お父さんが」
勲「私は君のお父さんじゃない」
沢木「すみません」
勲「しかし、どうも違うな。私はここまで直情径行じゃない」
沢木「お恥ずかしい限りです。いつもそうなんです。詰めが甘いっていうか」
勲「君は本当に真実で正義が貫けると思っているのか」
   沢木と勲、目を見合わせる。
沢木「わかりません」
勲「だったら」
沢木「でも。真実より強いものを、僕は見たことがないんです」
   沢木と勲、目を見合わせる。
   カーテンが風に揺れている。

○大谷家・居間
   亀山、ソファに腰かけ、独り言。
亀山「聡美お嬢さん。いや。聡美。オレと」
   聡美、入ってくる。
聡美「呼んだ?」
亀山「いやっ。呼んでないっす。いえっ。呼びました」
聡美「なにそれ」
   聡美、亀山の横に座る。
聡美「便利屋さん。こないだは珍しくカッコ良かったじゃん」
亀山「珍しくって。ありごとうございます」
聡美「私の幸せは便利屋さんに任せて大丈夫なんだよね」
亀山「え。あ。ああ。ああ! はい!」
   亀山と聡美、微笑み合う。

○同・縁側
   薫と勲、将棋を指している。
   勲、駒を進める。
薫「黙ってるなんてひどい話でしょ」
   薫、駒を進める。
勲「脅迫電話か。市山らしい手だ」
   勲、駒を進める。
薫「ムカついたから殴っといた。他人みたいに扱わないでって」
   薫、を進める。
勲「待った」
薫「待たない。いくらお父さんが反対しても、私は彼と一緒にいる」
勲「それはいい。今の一手。待った。ちょっと。便所」
   勲、席を立つ。
薫「下手の考えなんとやら」
   美智子、薫の前に座ると、駒を進める。
美智子「良かったわね。お許しが出て」
   薫、駒を進める。
薫「え。あ。え。あ。え」
   美智子、駒を進める。
美智子「ホント。似たもの親子ねぇ」
   薫、駒を進める。
薫「え。どゆこと」
   美智子、駒を進める。
美智子「王手」
薫「え」
   薫と美智子、目を見合わせる。

○カフェ「Sea La Canth」
   薫と聡美、通りに面したテーブルで向かい合って座っている。
   テーブルにミルクティーが2つ置かれている。
薫「不思議な人だよね。お父さんって。何にも見てないようで、全部わかってる」
聡美「でも最近ちょっと変でさ。家でずーっと同じ記事ばっかり読んでるよ」
薫「それ。ただ年取って字が読みにくくなってきただけなんじゃない」
聡美「経済面の裏。スクラップもしてる」
   薫と聡美、目を見合わせる。

○狛江総合病院・病室
   沢木と勲、目を見合わせている。
   勲、くしゃみをする。
   沢木と勲、微笑み合う。
   カーテンが風に揺れている。

〈おわり〉

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