終わりなき悪夢 第三夢「いつまでも夢を」 ホラー

締め切りに追われる売れっ子小説家の神崎ミホ。編集者の執拗な催促に追われ、極限状態の中でなんとか新作原稿を書き上げた彼女は、「死んだように寝る」と告げてベッドに倒れ込む。 目を覚ますと、そこにはミホを「癒す」ために現れた3人の美しい男たちがいた。至れり尽くせりのもてなしと甘い言葉に、ミホは「努力へのご褒美」と疑いもせず溺れていく。 夢と現実、そして彼女自身が書き上げた「小説の結末」が交錯する時、誰も予想しなかった最悪の真実が明かされる。
あゆむ。 15 0 0 09/05
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第一稿

〇マンション・神崎家・書斎(夕)
   神崎ミホ(38)が苛立ちながら新作の小説の執筆をしている。
   溜息をつき、煙草の箱を開け煙草を取り出そうとするが切らして
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〇マンション・神崎家・書斎(夕)
   神崎ミホ(38)が苛立ちながら新作の小説の執筆をしている。
   溜息をつき、煙草の箱を開け煙草を取り出そうとするが切らして
   いる。
ミホ「もうっ!」
   苛つきながら、新しい煙草のフィルムを開け煙草に火をつけるミ
   ホ。
   煙を吐き出し溜息をつく。
ミホ「進まない…」
   インターホンが鳴る。
ミホ「来た…」

〇同・玄関(夕)
   ドアを開けるミホ。
   編集者の有野(30)が笑顔で立っている。
有野「先生。お疲れ様です」
ミホ「お疲れ様}
   ミホがドアを閉めようとするが、すかさず有野が足を挟みドアを
   止める。 
有野「先生(真顔で)今日はもう待ちませんよ」
ミホ「…」

〇同・書斎・中(夕)
   ミホがパソコンに向かって執筆をしている隣で、有野が今まで書
   いているミホの原稿を読んでいる。
有野「まぁまぁいい感じに進んでるじゃないですか。もう終盤に入って
 ますし後少しですね」
ミホ「そうね」
有野「これだったら、明日の朝には初稿出来るんじゃないですか?」
ミホ「は?」
有野「もちろん、さぼらなければの話ですが」
   舌打ちをするミホ。
有野「前回の先生の本、好評だったんですから、今回も当てましょう
 よ!」
ミホ「…」
有野「ねぇ、先生!」
ミホ「あぁもう、隣でうるさいわね!気が散るの!」
有野「じゃあ、明日の朝までに書き上げて下さいね!」 
ミホ「分かったわよ!書くわよ!書けばいいんでしょ!」
有野「分かりました。じゃあ明日の十時頃にまた伺いますので」

〇同・玄関・前(夕)
   有野が出てくる。
有野「じゃ明日十時に伺います。失礼します」
   ドアを閉め歩き出す有野。
有野「先生アドレナリン出てたし、明日には大丈夫かな。書けるなら最
 初から書けってんだよ。めんどくせぇなぁ」
   エレベーター前に行きボタンを押す有野。

〇同・書斎・中(夕)
   ミホが、パソコンに向かって原稿執筆している。
ミホ「有野、見てなさい!」
   キーボード操作が早くなる。
   × × ×
   朝。
   いつの間にか眠っていたミホ。
   有野が押すインターホンが聞こえゆっくりと目を覚ますミホ。
ミホ「あ…」
   伸びをして壁時計を見るミホ
ミホ「え!何で?何でもう十時?!」
   慌てるミホがパソコンを見ると『完』が打ってある。
ミホ「いつの間にか書き終わってた」
   しつこくインターホンを鳴らしている有野。
ミホ「ったくうるさいわね!」
   × × ×
   ミホが原稿をプリントアウトをし、有野が手に取りながら読んで
   いる。
有野「遂に、逃亡したのかと思いましたよ先生」
ミホ「うるさいわね。早く感想言いなさいよ」
有野「これで最終ページです…まぁ。いいでしょう。取り合えずこれで
 いつまでも夢をの初稿は終わりです。お疲れ様でした」
   原稿を揃え封筒に入れる有野。
有野「一度社に戻って、確認して数日後にまた連絡しますね。少し変更
 とかも出てくるかもしれないですから」
   タバコを吸っているミホ。
有野「先生。あまり、煙草の吸いすぎは体に毒ですよ」
ミホ「いいの。もう、前から毒に侵されてるようなものだから」
有野「またまたぁ…じゃあ僕はこれで戻ります」
ミホ「あぁ、これで、ゆっくり眠られる」
有野「ですね。ゆっくり休んで下さい」
ミホ「もう、死んだように寝るからね。電話かかってきても出ないか
 ら」
有野「いいですけど、修正の話の連絡だけは出て下さいね」
ミホ「分かったわよ。もう用は済んだでしょ?早く帰って。私今から
 寝るから」
有野「はい!では、気の済むまでゆっくり眠って下さい。では失礼し
 ます」
   書斎を出ていく有野。
ミホ「あー寝るぞー!」

〇同・寝室・中
   ベッドにダイブして数秒もしないうちに寝息を立て始めるミホ。

〇ミホが見ている夢
   寝息を立てているミホ。
   寝室にイケメン執事のような者が三人入ってくる。
   人の気配に気付き目を覚ますミホ。
ミホ「え?」
   怖くなり起き上がるミホ。
ミホ「え?誰?誰なのあんた達」
   ミホを囲むようにして笑顔で立っているタカ、ユウ、ヒロ。
タカ「長い執筆お疲れ様でした。
ミホ「ど、どうも…いやいや…だからあなた達」
ユウ「僕達はミホさんを癒しに来たんですよ」
ヒロ「そうです。ストレスの溜まる執筆も終わり、これからはもうゆっ
 くり休んで頂きたくて派遣でやってきたのです」
ミホ「派遣?そんなの頼んでないけど」
タカ「やだなぁ、忘れちゃったんですか?」
   ミホの隣に座るタカ。
ヒロ「まぁ、いいじゃないですか。折角なん だし、ゆっくり休みまし
 ょうよ」
ユウ「さぁ、ミホ様」
ミホ「ミ、ミホ様って…(嬉しい)」
ユウ「僕は、夕食を作ってまいりますので、それまでゆっくりお休み下
 さい。では…」
   ユウが寝室を出ていく。
タカ「僕とヒロでミホ様が眠るまでゆっくりマッサージをしてあげま
 す」
   × × ×
   タカとヒロが片腕ずつマッサージをしている。
タカ「どうですか?痛くはないですか?」
ミホ「うん、丁度いい…」
ヒロ「他にも凝ってる所があったら言って下さいね」
ミホ「ありがとう…」
   と、言いながら気持ちよくなり眠ってしまうミホ。
   ミホの寝顔を見て微笑んでいるタカとヒロ。

〇同・リビング
   ソファーに座っているミホに両脇にタカとヒロが座っている。
   テーブルには、サラダやフルーツが並べられている。
ユウ「お待たせしました。メインディッシュです」
   ユウが作ったステーキをミホの前に置く。
ミホ「うわぁ、すっごく美味しそう」
ユウ「召し上がれ」
ヒロ「僕が食べさせてあげますよ」
   ナイフで肉を切り、フォークでミホの口に運ぶヒロ。
   味を噛みしめるミホ。
ミホ「あー、美味しい!」
ユウ「ありがとうございます」
タカ「ワイン入れますね」
   グラスに赤ワインを注ぎミホに渡すタカ。
ミホ「ありがとう(ワインを飲んで)あぁ幸せ」
   笑顔でミホを見つめているタカ達。
ミホ「こんなに幸せな日が毎日続くといいのになぁ」
   タカの肩に顔を寄せ甘えるミホ。
   タカはミホの髪を撫でながら
タカ「安心して下さい。今日から毎日続きますよ」
ミホ「え?」
   ユウとヒロが笑顔で頷いている。
タカ「今日から、僕達はミホ様の癒し係になったのですから」
ミホ「癒し係…」
ユウ「まぁまぁ難しい事は考えず。楽しみましょう」
ヒロ「そうですよ。心ゆくまで、ゆっくりと…」
ミホ「はーい」
   ワインを一口飲み、グラスをテーブルに置くと急に胸が痛くなる
   ミホ。
タカ「どうかしましたか?」
ミホ「うん、ちょっと胸が…でも、大丈夫」
ヒロ「少し休みますか?」
ミホ「そうね」
ユウ「じゃあ、僕がエスコートします」
ミホ「ありがとう」
   ユウに支えられ寝室へ行くミホ。

〇同・寝室・中
   目を覚ますミホ。
   タカが紅茶を持ってやってくる。
タカ「お目覚めですね」
ミホ「おはよう」
タカ「お目覚めのミントティーどうぞ」
   タカから、ミントティーを受け取り飲むミホ。
ミホ「美味しい」
タカ「良かった」
ミホM「こんな毎日。本当に夢みたい…今まで頑張ってきた神様からの
 ご褒美かな」
タカ「今日もよろしくお願いしますね」
   笑顔で頷くミホ。
ミホM「ただ…」
   胸を押さえるミホ。
ミホM「日に日に体がだるくなってくるし、胸も苦しい」
   ユウとヒロが来る。
ユウ「朝食いかがですか?準備できてますよ」
ミホ「うん」
   ベッドから出て、起き上がるミホだが立ち上がった瞬間胸が急激
   に苦しくなる。
ミホ「あ…」
   蹲り苦しみながらゆっくりと顔を上げるミホ。
   笑顔のままのタカ達。
ミホ「く、苦しい…」
   手を差し出すミホだがタカ達は笑顔のまま動かない。
ミホ「たす…け、て…」
   タカ達の体にノイズが走り出す。
ミホ「え?」
   ジジジッと音を立て一斉にタカ達の姿が消える。
ミホ「ちょっと…助けて…私一人にしない…で…」
   暗転。
     
〇同・玄関・前
   有野とマンションの管理人塚田(62)が来る。
有野「ご理解頂きありがとうございます。先生と連絡が取れないものだ
 から心配になって」
塚田「いえいえ。連絡が取れないってのは確かに心配ですからねえ…」
   鍵を差し込み塚田がドアを開けると異臭がしてくる。
塚田「うっ…」
有野「(ハンカチで口を押え)なんだこの臭い…」
   中に入っていく有野と塚田。
有野「僕見てきますので、ここで待っててもらえますか?」
塚田「わ、分かりました…」

〇同・廊下
   顔をしかめ、ハンカチで口を押えている有野。
有野「この臭い、どこからだ…?寝室か?」

〇同・寝室・中
   ノックしてドアを開ける有野。
有野「先生…入りますよ」
   ゆっくりと寝室に入ってくる有野。
有野「え…」
   ゆっくりとミホが眠ってるベッドへ行く有野。
   異臭がきつくなる。
有野「う…」
   寝ているミホを見て目を見開く有野。
   持ってた鞄と書類を落とす。
有野「(声が震え)あ…あぁ…」
   怖くて腰を抜かし尻餅をつく有野。
   ミホは急激に痩せ骨と皮になり髪はほとんど抜け落ちミイラのよ
   うに屍になっている
有野「どうなってんだよ…うわぁ!!!!」
   腰を抜かし叫びながら寝室を出ていく有野。
   ミイラになったミホ。
   顔だけは笑っている。
   タカ達の不敵な笑みが聞こえながらF.O

〇書店・中
   新書コーナーにミホが書いた『いつまでも夢を』が沢山並んでい
   る。
   『神崎ミホの遺作品!』『衝撃のラスト!』等の宣伝POPが書
   いてある。
女Aの声「ねぇ、これ読んだ?」
女Bの声「読んだ。夢の中で主人公の理想の男が三人出てきて癒しを捧
 げるんだよね」
女Aの声「そう。でも、彼らって実は生気を吸い取って夢の世界から出
 られなくして主人公がミイラ化して死んでしまうんだよね」
女Bの声「そうそう。それでさ…噂だけどこれ書いた作者も本の終わり
 みたいにミイラになったって噂らしいよ…」

終。

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