マッシロになれない私たち ドラマ

ばらばらだった家族。旦那の姑との同居につかれていた小百合がある日家を飛び出した。小百合はどこに行ったのか。彼女が向かった場所とは?家族が絆を取り戻すその裏側に潜む本当の黒幕。さああなたに分かるだろうか。
奈々瀬りん@脚本家志望 8 0 0 07/28
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第一稿

人物
渡部璃子(17)
渡部昭(35)
渡部小百合(32)
笹原陽子(42)
渡辺ミチ(89)
渡辺カヨ(89)
須永純(18)

〇渡部家・リビング・中
お茶 ...続きを読む
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人物
渡部璃子(17)
渡部昭(35)
渡部小百合(32)
笹原陽子(42)
渡辺ミチ(89)
渡辺カヨ(89)
須永純(18)

〇渡部家・リビング・中
お茶を飲んでいる渡辺カヨ(89)。
カヨ「(大声で)小百合さん!小百合さん!」
台所から顔を出す渡部小百合(32)。
小百合「はい!」
カヨ「疲れたわ。肩もんで」
小百合「…一時間前にも方もみましたけど」
カヨ「姑に口答えするのあなた」
小百合「…」

〇同・中(夜)
昭「でも母さんもわざとじゃないんだろ」
  リビングに入ってくる渡部昭(35)。
小百合「でも結婚してこの3年カタモミは日課だし一時間置きだし家のことできないし」
昭「夕飯、作ってないのか」
小百合「貴方、外でって言ったじゃない」
昭「それは仕事だから…」
小百合「私はまだやることあるからご飯食べれない」
昭「…ふうん」
小百合「ふうんってそれだけ?大変だねとかないの」
昭「別に。お前が容量悪いんじゃん」
  部屋を出ていく昭。
  花瓶を投げつける小百合。
小百合「…サイテー」

〇同・玄関・外(夜)
  家の前でカギを開けようとしている渡部璃子(17)。
  ガシャンと何かの割れる音。
璃子「(気まずそうに)…ただいま」
  ン中に入っていく璃子。

〇同・リビング・中
  食卓に置かれた手紙。
  手紙を手にする璃子。
璃子「…お母さん」
  誰もいないリビングの中。

〇渋谷・スクランブル交差点・外観

○同・山手線・改札口
  改札から出てくる小百合。
小百合「…来ちゃった」
人ごみに唖然とする小百合。
小百合「…こんなに東京って人多いの」
陽子「お姉さん、お姉さん!」
笹原陽子(42)に声をかけられる小百合。
小百合「…はい?」
陽子「あんた今、幸せかい」
小百合「え」
陽子「それじゃ駄目ね。自分に自信ないって顔してる」
小百合「幸せじゃない?…私が」
陽子「そう。きっとあなたは導かれるべき人なのよ」
  
〇渡部家・リビング・中
昭「お母さんがいなくなった?」
璃子「そう。急に。心配じゃない?」
昭「そんな子供じゃないんだから。すぐに帰ってくるさ」
  「行ってきます」と家を出ていく昭。
璃子「薄情者!」
 玄関をにらみつける璃子。
璃子「別に、一人でお母さん探しに行くから」

〇バス停
  行列に並んでいる昭。
  バス停に止まるバス。
  バスに乗り込もうとする昭。
璃子の声「薄情者!」
  乗り込もうとする昭の体が止まる。
運転手「お客さん?乗るの、乗らないの?」
昭「…あ、すみません」
  急いで立ち退く昭。
  ×  ×  ×
  早歩きで歩きながら電話している昭。
昭「あ、もしもし。あの…」
  話そうとしてつながらない電話。
  発信先は璃子の学校。
昭「璃子…」
  昭、駆けだしていく。

〇白い建物・前
  建物の前に止まるタクシー。
  中から小百合と陽子が出てくる。
小百合「ここは…」
陽子「ようこそわが家へ」
小百合「わが家?」
陽子「先生にあわせないと」
  小百合の手を引いて中に入っていく陽子。
小百合「…」

〇大広間・中
  きらびやかな大広間の中。
  中に入ってくる小百合と陽子。
小百合「これは…」
陽子「改めて歓迎するわ。ようこそ」
小百合「ここは何なの」
陽子「ここ?幸せの家よ」
ミチの声「いやねえ。家族と言ってちょうだい」
広間に入ってくる渡辺ミチ(89)。
小百合「…お母さん?」
ミチ「初めまして」
陽子「この施設の最長老のミチさん。みんなにはお母さんって呼ばれてるのよ」
小百合「お母さん、ですか?」
陽子「ミチさん、不思議な力があってね。相談するとなんでも解決するの」
小百合「…は」
固まる小百合。
満面笑みの陽子。

〇駅・ホーム
スマホ片手に立っている璃子。
璃子「お父さんの薄情者…おばあちゃんも気にせず買い物とか行っちゃうし」
ホームに電車が入ってくる。
璃子「お母さん返ってこなかったらどうするつもりなんだろ…」
〇タクシー・中
昭「もっと速度上げられないんですか」
運転手「そうは言われてもですね…」
昭「人の命がかかってるんです」
運転手「(苦笑いして)そんな大げさな…」

〇大広間・中
  教壇に立っているミチ。
  その前に膝間づいている小百合。
小百合・N「私はこんなことするために東京に来たわけじゃないのに」

〇渋谷・ハチ公・前
純「珍しいじゃん。お前が東京来るなんて」
  璃子のもとにやってくる須永純(18)。
璃子「急にごめん。忙しかった?」
純「別に。従妹の頼みだしさ。それより、おふくろさんいなくなったって本当?」
璃子「本当」
純「まじか…」
  純と璃子の目の前で勧誘している陽子。
純「ああいうのはやってるから心配だよな」
璃子「ああいうの?」
陽子「お兄さん、こういうの興味ある?」
  寄ってくる陽子。
純「いや全く」
陽子「あ、でもお姉さんが興味ありそうな顔してる」
璃子「いや別に…」
陽子「こないだは言ってくれた人も最初は半信半疑だったのよ」
  顔を見合わせる純と璃子。
璃子「ちょっと二人で相談してもいいですか」
陽子「もちろん」
  ×  ×  ×
  陽子から離れてひそひそ話をする純と璃   
  子。
純「やめとけって」
璃子「でもお母さん、こういうの騙されやすい人だから…いるかもしれない」
純「でも…」
璃子「来ないならいいよ。一人で行くから」
陽子の声「話し合い、終わった?」
璃子「はい!」
  振り向く璃子。
璃子「行きます!」
 満面の笑みの陽子。
  頭を抱える純。

〇白い建物・前
  建物の前に立つ璃子と純。
  二人の前に立つ陽子。
璃子「幸せの家?」
陽子「ええ。私たちは家族を大事にしているの。だからここはみんなの家なのよ」
純「(ひそひそ声で)胡散臭いよ。帰ろう」
璃子「一人で帰れば。こういう場所こそお母さん居そう…」
  ×  ×  ×
(フラッシュ)
  紛い物の宝石に目をキラキラさせる小百 
  合。
  ×  ×  ×
  頭を抱え、ため息をつく璃子。
璃子「いる。多分絶対いる…」
陽子の声「早く!中行くわよ!」
  振り向く璃子と純。
  ドアを開けて待っている陽子。
  息をのむ二人。
純「お前が行くなら付き合うよ」
璃子「今最高にかっこいいって思った」
純「まじで」
璃子「いや、冗談」
  肩を落とす純。
  さっさと歩いていく璃子。
純「その冗談、きつくない?」
  莉子を追いかける純。

〇代官山・駅前
  止まるタクシー。
  中から出てくる昭。
昭「何で、小百合も璃子も電話でないんだよ…」
  ながらスマホで町を歩いていく昭。

〇渡部家・前
  ポストを覗くカヨ。
  はがきが一枚入っている。

〇同・リビング・中
  中に入ってくるカヨ。
カヨ「全く老人一人きりにするたぁ何事だい」
  バッグを食卓の椅子に置くカヨ。
  はがきを取り出して中を読む。
カヨ「…あら珍しい。ミチからじゃないか」
  はがきには後ろを向いた姿の小百合と道の写真。
カヨ「全く。くだらないことしてるわね」
  ため息をつくカヨ。

〇教団・大広間・中
小百合・N「私が東京に来てやりたかった事」
  教壇の前で膝間づく小百合。
小百合・N「あの人から逃れてまでやりたかったこと」
  広間に入ってくるミチ。
  ミチ、小百合の隣に座る。
ミチ「歓迎するわ」
  ミチを見つめる小百合。
  ミチの顔がカヨと重なる。
小百合・N「この人は信じちゃいけない。わかってるのに」
  小百合の目からあふれる涙。
  いつの間にか泣きじゃくっている小百合。
  小百合の頭をなでるミチ。

〇同・トイレ・鏡前
  スマホを見る璃子。
  昭からの着信数の履歴が膨大に入ってい 
  る。
璃子「すっごい着信数…」
  折り返し電話する璃子。
  ワンコールでつながる電話。
昭の声「璃子か。無事か。学校休んだって本当か」
璃子「休んだというか…今日代休だから」
昭の声「だから電話が…。で、今どこにいるんだ」
璃子「渋谷。の、よくわからない白い建物。安心して。お母さんは連れて帰るから」
  電話を切る璃子。

〇代官山・道
昭「おい、ちょっと!」
  電話越しに怒鳴る昭。
昭「なんなんだあいつは…」

〇教団・大広間・前
  トイレから出てくる璃子。
  広間の前で待っている純と陽子。
陽子「大丈夫?遅かったけど」
璃子「はあ…?」
  広間の中から聞こえる叫び声。
純「この声…」
璃子「お母さん…」
  大広間の中に飛び込んでいく純と璃子。

〇同・中
  大広間の中に駆け込んでくる璃子と純。
  見つめあっている小百合とミチ。
璃子「いや間違えた」
  引き返そうとする璃子。
純「間違えてない間違えてない」
  璃子の肩をつかんで引き留める純。
璃子「間違えてんでしょ。確実に!」
  ミチと小百合を指さす璃子。
璃子「私は母親のレズいラブコメ観に東京までこの人探しに来たわけじゃない!」
小百合「璃子…」
璃子「大体、何やってんのよ。お父さんも心配してんのよ」
小百合「ごめんなさい…でもあの人は私のことなんて」
昭の声「気にしていないと思っていたか」
  息を切らして中に入ってくる昭。
璃子「お父さん…」
昭「情報少なすぎなんだよ。渋谷と代官山の中間にこの場所あったからいいけどなかったらどうしたんだ」
璃子「絶対たどり着けないと思ってた」
昭「俺を役立たずみたいに言うな」
小百合「実際そうじゃないの」
昭「お前まで…」
  笑いだすミチ。
  一同、ミチを振り向く。
ミチ「姉さんが言っていたよりもずっといい家族じゃないかねえ」
  顔を見合わせる小百合、璃子、昭。
小百合「姉さん?」
ミチ「気がつかなかったかい。私、あんたの姑のカヨの双子の姉妹さ」
小百合「お義母さんの?」
  昭を振り返る小百合。
  「何も知らない」というふうに首を振る昭。
ミチ「知らなくて当然さ。親戚には私は死んだことになってるからね」
  フフフと笑うミチ。
ミチ「今じゃ私を知ってるのはカヨ一人だよ」
  さみし気に目を伏せるミチ。
  顔を見合わせる一同。

〇山手線・改札口
  小百合、璃子、昭と向かい合っている純。
純「本当にいいのここで」
璃子「うん。ありがと」
小百合「ご迷惑をおかけしました」
  頭を下げる小百合。
純「いえ…気を付けて」
  愛想笑いで見送る純。

〇電車の中
  椅子に並んで座っている小百合、璃子、昭。
小百合「今日はほんとにごめんなさい」
昭「全くだ」
璃子「お父さんもこれから気にかけてあげるんだよ」
  声に元気のない璃子。思いつめた様子。
昭「?」
璃子「嫌われたかなあ」
  頭を抱える璃子。

〇山手線・改札前
  スマホ片手に歩いている純。
純「…俺やっぱ嫌われてるのかな…」
  電話が鳴る純のスマホ。
純「…もしもし」
カヨの声「あ、純君?元気」
純「…ばあちゃん。何」
カヨの声「妹にあったんだって?どうだった?」
純「(一瞬考え)…ばあちゃんたちのせいで最悪だよ」
  電話を切る純。
  大きくため息をつく。

〇教団・大広間・中
  椅子に座ってたそがれているミチ。
陽子「普通に帰してしまっていいのですか」
  振り向くミチ。
ミチ「いいのさ」
陽子「ですが、彼女たちは我々のことを」
ミチ「私の唯一の肉親が許せと言ってるんだ。許さない理由がないだろう」
  儚く笑うミチ。
  黙る陽子。

〇道
  並んで歩く小百合、璃子、昭。
  家の前にたどり着く。
昭「お母さん、お疲れ様」
  鍵を開けて小百合の荷物を受け取る昭。
  唖然とする小百合と璃子。
昭「…なんだよ」
璃子「今までそんなこと一度もしたことなかったのに…」
小百合「私が急にいなくなったのがそんなに堪えたのかしら」
  笑う小百合と璃子。
昭「二人ともやめろって…」
  顔を真っ赤にする昭。

〇(回想)代官山・道
  莉子との電話が切れた後、呆然とする昭。
昭「渋谷…白い建物…わからん、こっちか!」
  あてずっぽうで駆けだす昭。
昭「勝手に死んだら許さないからな、小百合。璃子!」

〇渡部家・玄関
靴を脱ぐ3人。
カヨ「おかえりなさい3人とも」
  出迎えるカヨ。
小百合「お義母さん…」
カヨ「無事でよかったわ。妹がごめんなさい」
小百合「いえ…」
カヨ「おなかすいたでしょう。ご飯食べましょう」
  感極まって泣き出す小百合。
  小百合に唖然とする昭。
カヨ「なんでも一人で抱え込まなくていいのよ」

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