〇登場人物
・櫻庭宗介
・沢城千秋
・三柴雄太
・松本一樹
・野上あきえ
・佐々野智也
・長谷川なつき
・聖川琉華
・竹野内亮
〇『PART7』・厨房(夜)
雄太と一樹が空いた皿を持ってくる。
雄太「これで終わりでーす」
一樹「札も準備中に返してきました」
千秋「ありがとー」
亮「お疲れー。じゃあ今日はこれで終わりだな」
宗介「今日もお疲れ様でしたー」
雄太「お疲れっす」
一樹「お疲れ様です」
亮「オーナー。俺、今日先に上がりますね」
千秋「うん。今日はありがとうね。お疲れ様」
亮「じゃ、お疲れでーす」
厨房を出て行く亮。
入れ違いにあきえが入ってくる。
あきえ「お疲れ様ですー」
宗介「あ、お疲れ様です。今店終わったんでもう少し待ってて下さい」
あきえ「分かりました。じゃ、あっちで待ってます」
ホールに行き席に着くあきえ。
千秋「ちょっと宗ちゃん」
宗介「何だよ」
千秋「俺も一緒に行く」
宗介「え?何で?」
千秋「何でって…」
宗介「夜結構忙しかったし千秋も疲れただろ?先家に帰ってゆっくり
休んどけよ」
雄太・一樹「お疲れ様でしたー」
宗介「お疲れー(千秋に)じゃ俺行ってくる」
宗介の手を掴む千秋。
宗介「!」
千秋「一緒に行く」
千秋がホールへ行く。
〇同・ホール(夜)
宗介と千秋が出てくる。
千秋「お待たせしました」
あきえ「いいえ…あれ?」
千秋「俺も一緒に同行させてもらいます」
あきえ「?」
宗介「ちょ、千秋」
千秋「俺、ここの代表者なので、どんな写真を使われるか、確認して
おきたいので」
あきえ「わ、分かりました…じゃあ行きましょう」
〇MADOKAWA出版社・会議室・中(夜 )
宗介、千秋、あきえが写真の確認をしている。
あきえ「じゃ、こんな感じでいいでしょうか?」
宗介「はい。いいよな?」
千秋「うん」
あきえ「じゃ、これで作成しますね。また稿了しましたら、伺ってお
見せしますので。今日は遅くまでありがとうございました」
宗介・千秋「ありがとうございました」
宗介「じゃ、帰るか」
会議室を出ようとする宗介と千秋。
あきえ「あ、すみません」
宗介「え?」
あきえ「あ、ちょっとオーナーさんに…」
千秋「俺ですか?」
あきえ「はい…」
宗介「じゃ俺、先出てる」
会議室を出る宗介。
千秋「何か?」
あきえ「あのぉ…」
千秋「どうかしましたか?」
あきえ「違ってたら非常に申し訳ないんですが…」
千秋「?」
あきえ「あの、オーナーさんって、櫻庭さんの事好きだったりします
?」
千秋「え!」
あきえ「あぁ、やっぱり…?」
俯いてしまう千秋。
あきえ「後、もう一つ…」
千秋「え!」
あきえ「私と、櫻庭さん二人きりになってしまうので、それでもしか
して着いてきたとか?」
千秋「もう、それ以上止めて下さい」
吹き出して笑うあきえ。
千秋「…」
あきえ「ごめんなさい。あっ私ゲイとか偏見無いですから」
千秋「はぁ」
あきえ「何か、沢城さん純粋だなあって思って。そういうの素敵だな
あって…頑張って下さいね」
千秋「はぁ…どうも」
あきえ「ちなみに私、結婚して子どもも居ますんで。櫻庭さんの事な
んて、なぁんとも思ってませんのでご安心下さい」
〇同・廊下(夜)
千秋が礼をして出てくる。
前のソファーに座って、転寝をしている宗介。
千秋M「もぅ…でも、かわいい…」
宗介の体を揺らす千秋。
千秋「宗ちゃん」
宗介「(目を覚まして)あ?…俺、寝てた?」
千秋「ごめんね、待たせちゃって」
宗介「あぁ、いいけど(伸びをして)何の話だったんだ?」
千秋「いや、掲載の契約書とかそういう話」
宗介「ふーん」
千秋「後はもう、出版社にお任せすればいいから。帰ろうか」
宗介「おぅ…腹減ったな」
千秋「何か食べて帰ろ」
〇ラーメン屋・中(夜)
宗介と千秋が真ん中に餃子を挟んでラーメンを食べている。
宗介「あぁ。腹減ってたから余計にうめぇ」
千秋「ねぇ、宗ちゃん」
宗介「ん?」
千秋「デートの事なんだけど」
ラーメンを吹き出す宗介。
千秋「忘れてないよね?」
宗介「ちょ…(周りを見て)わ、忘れてねぇよ」
千秋「忘れてたくせに」
宗介「忘れてねぇって」
千秋「じゃあ、今度の週末開けたらデートしてよね。週末は店に人
も結構来るから休めないから」
宗介「分かったよ。じゃあ来週月曜日にするか?」
千秋「うん(嬉しい)」
宗介「ってか男とデートして、どこに行くんだ?」
千秋「どこって…」
宗介「あ?何も考えてねぇの?」
千秋「それは今から考えるよ」
宗介「今から…」
千秋「いいじゃん、別に。当日まで楽しみに待ってて」
宗介「…」
〇シェアハウス・玄関・中(夜)
宗介と千秋が帰ってくる。
宗介「ただいま」
千秋「ただいまー」
宗介「誰も居ねぇのかな?」
千秋「もう、皆寝てるんじゃない?」
二階からフラフラとしながらなつきが降りてくる。
宗介「あ、なつき…ってか顔色大分悪くないか?」
千秋「ちょ、ちょっとなっちゃん?」
宗介と千秋の前で座り込むなつき。
千秋「なっちゃん、どしたの?」
宗介「病気か?動いてないで寝てろよ…」
なつき「終わった…」
宗介「終わった?何がだよ?」
なつきが顔を上げると泣いている。
宗介「な、泣いてるぞ…」
千秋「なっちゃん!」
千秋に抱き着くなつき。
宗介「え…?えぇ…?」
なつき「やっと終わりました!」
〇同・リビング(夜)
お茶を飲んでいる、宗介、千秋、なつき。
なつき「はぁ、美味しい」
呆れている宗介。
宗介「ったく、こっちは何か病気でもなったんじゃないかって心配して
たのに。原稿が完成しただけで」
なつき「ちょっとー!しただけって…!こっちは不眠不休でダメ出
しを修正して描き上げたんだから」
宗介「わ、わりぃ…」
千秋「これ、持って行けば稿了になるの?」
なつき「多分…担当さんも本気で色々考えて出版出来たらやっぱ沢山売
れて欲しいって思ってるから。厳しくダメ出しもされちゃうんだけど
でもこれで終わりにしたい」
宗介「それで終わるならいいけど…」
千秋「ちょっと、宗ちゃん!」
宗介「いや、そういう意味じゃなくて。だってここまで寝ないで頑張っ
てきてさ、体でも壊したらって」
なつき「宗ちゃん。ありがとう…取り合えず明日これ持って行って、出
版社から連絡くるまでとりあえず休む。もう泥のように眠ってやるん
だから」
〇同・キッチン(日替わり・朝)
宗介が朝食の準備をしている。
琉華の声「ただいまー」
〇同・リビング(朝)
琉華が疲れてソファーに座っている。
宗介「おかえりー」
琉華「おぅ、お疲れ」
宗介「飯食う?」
琉華「うん」
× × ×(時間経過)
朝食を取っている宗介と琉華。
宗介「あのさぁ、琉華」
琉華「ん?」
宗介「ちょっと聞きたい事があんだけど」
琉華「聞きたい事?何?」
宗介「あのさ…」
琉華「何だよ?はっきり言えよ」
宗介「お、男同士で…デ、デート」
琉華「デート?宗介デートするのか?」
宗介「違うよ!!お、俺の友達がな…久しぶりに会ったんだけど、そい
つゲイだったんだよ。それで、今度デートするって言ってたから、男
同士でデートってどういう事すんのかなあって」
琉華「それ、何で俺に聞くんだよ」
宗介「何でって…まぁこのシェアハウスの中では一番経験豊富かなあっ
て」
琉華「経験豊富って…まぁ間違いでもねぇけど」
宗介「謙遜しねぇ…」
琉華「まぁデートって異性間のデートと一緒じゃねぇの?普通に買い
物行ったり車あればドライブとか映画見に行ったり飯食いに行った
りだろ」
宗介「そっか…やっぱ同じだよな」
琉華「は?」
宗介「いや、何でもねぇ」
琉華「あぁ、俺もたまにはデートとかゆっくりしてぇなあ」
宗介「店の客としてんじゃん」
琉華「それは仕事としてだろ。店に来てもらって売り上げを上げなきゃ
なんねぇしさあ。ってか、来る客女だし!そうじゃなくて彼氏でも
作ってデートしてぇなあって」
宗介「琉華も、色々と大変だな…」
琉華「おぅよ…所で、宗介は誰とデートすんだ?」
宗介「!」
琉華「教えろよー」
宗介「俺がするんじゃねぇの!」
立ち上がる宗介。
琉華「何怒ってんだよ…」
宗介「飯食ったら片付けとけよ!」
リビングを出て行く宗介。
首を傾げる琉華。
〇同・二階・宗介の部屋・中(朝)
仕事の準備をしている宗介。
宗介「そうだよ。異性間のデートと、一緒だ…一緒のはずだ」
鏡の中の自分の顔を見る宗介。
宗介「…」
〇宗介の妄想
デート帰りの宗介と千秋。
千秋「今日は楽しかった。ありがとう」
宗介「お、おぅ…」
千秋「宗ちゃん」
宗介「ん?」
宗介を抱きしめる千秋。
宗介「!」
宗介にキスをする千秋。
宗介「!!!!!!」
〇妄想戻り
鏡に青ざめた顔が映っている宗介。
宗介「ありえねぇ…マジで…」
続。
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