〇登場人物
・櫻庭宗介
・沢城千秋
・星七緒
・千堂孝介
・宮田由香
・三柴雄太
・松本一樹
・古川紘
・長谷川なつき
・聖川琉華
・竹野内亮
〇シェアハウス・前
門扉を開けようとする紘の前に孝介と由香が立っている。
紘「あぁっ!びっくりしたぁ」
孝介「悪い驚かせるつもりじゃなかったんだけど」
紘「いや…どしたの?
由香「紘、ちょっと時間ある?」
紘「え?」
孝介「話があるんだ…」
紘「話…」
孝介「無理か?」
紘「いや、無理って訳じゃないんだけど…ちょっと寄りたいところがあ
るから先にカフェで待っててくれる?必ず行くから」
孝介「お、おぅ…」
〇カフェ・中
孝介と由香が紘を待っている。
紘が走って店に入ってくる。
紘「(肩で息をしながら)ごめん、待たせちゃって」
孝介「おぅ、大丈夫だけど…何だ買物だったのか?」
紘「うん、今度のイベント用の」
由香「紘、今度のイベントに出るの?」
紘「あぁ、個人でだけどね。俺やっぱコスプレ大好きだから…自分の好
きな事やりたい事やり続けていたいから」
孝介「ごめん!」
紘「え?何で謝ってるの?」
孝介「いや…」
由香「私も孝介も紘の事気付かなかったから」
紘「いや、俺も隠してたって言うか話す事でもなかったしそういうの関
係なしで孝介や由香達とコスプレを楽しみたかったからさあ。だから
気にする事無いしそっちが謝る事じゃないよ」
孝介「初めチカちゃんから話聞かされた時、動揺して上手く言えなくて
紘に悪い思いさせたんじゃないかって」
紘「いやいや、そんな事。俺だって孝介の立場だったら動揺してたと思
うし。だから気にすんなって」
孝介「あのさ…紘が良かったらなんだけど」
紘「うん」
孝介「由香と俺と一緒にまた、コスプレのイベントに出たりしない
か?」
紘「え?」
由香「孝介と話した時にやっぱ紘が居なきゃって話になって。今まで一
緒にやって来たんだから」
紘「孝介も由香もそれでいいのか?」
孝介「あぁ。だからこうやってお願いしてるんだ」
紘「よし、もう一度やろう」
紘の笑顔、孝介の笑顔。
由香が涙を流している。
紘「由香、何泣いてんだよ」
由香「だって…仲間が傷ついてる時に何もしてあげられなかったし、そ
のせいで紘はサークルから抜けるって言いだすし…でも、良かった
…本当に良かった」
紘「もぅ、気にしすぎなんだって」
孝介「あ、チカちゃんだけどまた新しいレイヤーさんのファン見つけた
みたいだよ」
紘「そうなんだ…」
孝介「だから、もぅこっちには来ないと思う」
紘「そっか…新しくファンに付かれたレイヤーさん苦労しそうだな(笑
う)」
孝介「じゃ、改めて」
由香「よろしくね」
紘「おぅ」
三人で手を合わし笑顔になる。
〇シェアハウス・リビング(夜)
集まっている宗介、千秋、紘、なつき琉華。
紘「って事で、今度の日曜日イベントやるのでよかったら皆にも来ても
らいたいなって 」
なつき「僕は行くよー」
宗介「そうだなあ。コスプレのイベントなんて行った事無いから行って
みようかなあ。んで紘はどんなコスプレするんだ?」
紘「前にアニメでやってた鬼ヶ島の鬼塚」
ポーズを取る紘。
なつき「あぁ、あれ!鬼の住む島にやってきた女の子と恋に落ちるイ
ケメンの主人公だ」
琉華「日曜なら俺も休みだから、行こうかなぁ」
紘「琉華ありがとう」
千秋「俺も行きたいんだけど、店があるし宗ちゃん休むとなると人が居
なくなるからなあ…」
宗介「何とかならないか?折角の紘の誘いなんだし」
千秋「じゃあ俺、早朝から乗り込んで仕込みだけして亮さん達に申し送
りしてそのままそっちに行く」
紘「ありがとう。でも、無理はしないでくれ。別にイベントがこれだけ
ってわけでもないし」
千秋「うん」
紘「本当は七ちゃんにも来てもらいたいなって思ったんだけど」
琉華「修行中だもんな…」
なつき「じゃあ、紘の写真LINEで送っちゃおう。そしたら七ちゃん
も喜ぶと思うよ」
紘「そうだな」
宗介「紘、何か悪いものが取れたって顔してるな」
紘「そうか?」
宗介「うん、いい顔してる」
紘「宗ちゃん、惚れるなよ!」
宗介「あっ、それは無い!絶対にない!」
千秋が少し落ち込む。
紘「そんなムキにならなくても(笑う)」
宗介「ちゃんと、否定しとかないとここのメンバーは本当に危ないから
な」
琉華「んな事言って、実はもうゲイの魅力に片足突っ込んでんじゃねぇ
の?」
宗介「地球が爆発してもないな。じゃあ寝る!」
立ち上がり、リビングを出て行く宗介
〇コスプレイベント会場
会場の色んな所でレイヤーがポーズを決めたり、ファンがカメラ
やスマホを使って撮影をしている。
会場に来た宗介、なつき、琉華。
宗介「なんか、すげぇな…」
なつき「宗ちゃん、こういう所来るの初めて?」
宗介「当たり前だろ。こういう世界には縁がなかったんだから」
琉華「やっぱ、ヴィジュアルも大事だから結構イケメンも居るんだよな
あ」
宗介「それと結構きわどいコスプレイヤーも居るんだな」
水着やセクシーな衣装を着たレイヤーを見ている宗介。
なつき「何、ガン見してるの?」
宗介「べ、別にそんなんじゃねぇよ」
琉華「宗介、ノンケだし女のレイヤーに目が行くのは仕方ねぇよな」
宗介「だから、そんなんじゃないって」
琉華「往生際わりぃなぁ…」
宗介「うるさいなぁ」
なつき「ちーちゃんに言いつけてやる」
宗介「あぁ?」
なつき「何でもない。早く紘の所行こう」
× × ×(時間経過)
なつきが紘を見つける。
なつき「あっ居た!」
紘や孝介、由香達が鬼ヶ島のコスプレをしている。
紘達の所へ行く宗介達。
周りに沢山の人達が紘達を撮影している。
宗介「人、結構集まってるなあ」
なつき「紘はこの界隈で結構人気者だからね」
琉華「紘ー!」
紘が、宗介達に気付き軽く手を上げる
宗介「決まってんなあ。紘ーカッコいいぞ!」
紘が笑顔で応える。
宗介「紘、コスプレ中は声出さないのか?」
なつき「うん、アニメのコスプレってもう声優さんが声を当ててその
世界観があるから、レイヤーさんが声を出してその世界観が壊れな
いように極力喋らないって決めてるみたい」
宗介「へぇ、そうなんだー。でも、紘本当に楽しそうだな」
なつき「うん(嬉しい)」
〇『PART7』・厨房
千秋が亮に申し送りをしている。
千秋「って事でよろしくお願いします」
亮「了解しました。じゃあ早く紘君のとこ行ってあげて下さい」
雄太と一樹が来る。
雄太「千秋さん。後は任せて下さい」
一樹「早く行かないと、終わっちゃいますよ」
千秋「だね。じゃ行ってきます」
厨房を出て行く千秋。
〇道
千秋が、腕時計を見ながら走っている。
千秋「途中電車止まっちゃうんだもんなぁ…ヤバい。イベント終わっ
ちゃうかもしんないじゃん」
千秋のスマホが鳴る。
千秋「もう、誰だよ」
電話に出る千秋。
千秋「もしもし…」
電話の声に立ち止まる千秋。
千秋「…」
千秋の後姿。
〇コスプレイベント会場・入口
着替えを終えた紘や宗介達が出てくる
宗介「結局千秋、来なかったなあ」
琉華「店はもう出たって言ってたんだろ?」
宗介「うん、亮さんはそう言ってたけど」
紘「まぁ、何か、急用があったかもしれないじゃん。別に今日だけがイ
ベントじゃないし今度は七ちゃんも来てもらって全員でさ見に来てほ
しい訳よ」
なつき「ねぇ、あれ…」
なつきの視線の先に千秋が走ってくる。
千秋「ごめん…遅くなっちゃって」
宗介「何してたんだよ。店電話しても、もう出ちゃったて言うしさあ」
千秋「電車が途中で止まっちゃって」
宗介「え?マジ?」
千秋「電車がら下りた時今度気分が悪くなっちゃって」
宗介「おい、マジで大丈夫か?」
なつき「確かにちょっとちーちゃん顔色悪い…」
千秋「ちょっと休ませてもらったから大丈夫…なんだけど紘、間に合
わなくてごめん!」
紘「ちーちゃん、気にしなくっていいって。でも、本当に大丈夫?」
千秋「うん」
琉華「じゃあ、飯でも食って帰るか?千秋の奢りで」
千秋「えぇ…まぁ、いいよ」
琉華「いぇーい」
千秋「牛丼でいい?」
宗介「牛丼かよ(笑う)」
笑いながら帰って行く宗介達の後姿。
千秋M「ごめん…体調が悪くなったって…嘘ついて…」
〇シェアハウス・玄関・前(夜)
宗介達が帰ってくる。
宗介が門扉を開けると、玄関の前に七緒が座り込んでいる。
宗介「わっ…!」
千秋「え?どしたの?」
宗介「誰?」
ゆっくりと顔を上げる七緒。
千秋「七ちゃん」
紘「え?」
なつき「七ちゃん帰って来たの?」
琉華「ってか、何で家に入ってねぇんだよ?」
七緒「実は…修行に行く時、鍵を持って行くのを忘れまして…」
宗介「んで、ずっとここに居たの?」
七緒「はい」
宗介「はいって…ってか誰かに電話すればよかったじゃん」
七緒「実は、スマホも…忘れておりました」
溜息を付く宗介達。
千秋「もう、家に入ろう」
鍵を開けドアを開ける千秋。
〇同・同・中(夜)
宗介達が入ってくる。
なつき「七ちゃんにもイベント見に来てもらいたかったなあ紘カ
ッコ良かったんだよ!」
琉華「ギャラリーも結構居たもんな」
七緒「やはりそうでしたか。私の占い通り」
宗介「え?」
七緒「修行の成果なのか色々と見えてきだして。だから今日の紘
君のコスプレイベントも成功するというのが見えてました」
紘「そうだったのかぁ。だったら教えてくれたらよかったのに…
ってかスマホ持ってなかったんだよな」
七緒「すみません…(立ち上がり)でも、私、七緒は恐山で修業
を経て復活したのであります!」
片手で拳を振り上げた瞬間、もう方片の手に乗せていた水
晶玉が滑り落ち床に落下し割れてしまう。
宗介「あっ!」
千秋「あっ!」
紘「あぁ!」
なつき「えぇっ!」
琉華「あぁあっ!」
七緒「あ…復活してなかったみたいです…」
第四週「灰色に包まれた恋」へ続く。
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