お菓子と酒は最大の敵 ミステリー

ある日、若いカップルの殺人事件が起きた。加害者となってしまった女性の母親は知り合いの弁護士事務所「北条弁護士事務所」へ弁護の依頼をする。しかしその事務所もまたつぶれかけのがけっぷち。話を聞きに行ってみれば加害者となった女性は自分は被害者と同意のもと殺害を行ったと証言。若くして所長で弁護士の彩芽は事件を解決できるのか。そして事務所の運命は…?
奈々瀬りん@脚本家志望 132 0 0 06/09
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第一稿

人物
北条彩芽(26)
宮本大輝(21)
前田さくら(24)
須川了(23)
前田典子(48)
北川敦(45)
咲夜(23)
桜田(30)
城山(40)
警察官 ...続きを読む
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人物
北条彩芽(26)
宮本大輝(21)
前田さくら(24)
須川了(23)
前田典子(48)
北川敦(45)
咲夜(23)
桜田(30)
城山(40)
警察官

○宮本家・リビング・中
包丁持った前田さくら(24)が立っている。
さくら「ごめんこうするしかないの」
大輝「しょうがないよ。お前のためなら仕方ない」
包丁で宮本大輝(21)を刺すさくら。
刺された反動で倒れる大輝。
さくら「(泣きそうな声で)…ごめんね」
大輝と一緒に崩れ落ちるさくら。

○北条弁護士事務所・中
書類と睨み合う北条彩芽(26)。
彩芽「まずい…」
頭を抱える彩芽。
須川「大丈夫ですか」
須川了(23)がお茶を差し出す。
彩芽「まずい…流石にこのまま依頼来ないと…」
彩芽の隣には大量の請求書。
須川「僕も解雇ですか」
彩芽「縁起でもないこと言わないで」
須川から目をそらす彩芽。
彩芽「なんか依頼来ないかなぁ…」

○警察署・取り調べ室・中
バンッと机を叩く警察官。
警察官「なんでこんなことしたんだ!」
桜「…」
うつむいたままの桜。

○コンビニ・前
コンビニから出てくる北条彩芽(26)。
その胸には弁護バッチ。
手持ちの買い物袋には大量のお菓子。
彩芽「やっぱ仕事中は甘いものだよねー」
満足気な彩芽。
目の前でパトカーがサイレンを鳴らしながら走っていく。
彩芽「忙しないね、世の中は」
ため息をつく彩芽。
彩芽、パトカーを横目に、棒キャンディーを咥える。

○北条弁護士事務所・外観

〇同・前
  事務所の中から出てくる前田典子(48)。
  中に入っていく彩芽。
  典子、彩芽とすれ違いざまに彩芽の弁護士バッチを見る。
典子「あの!」
彩芽「…え、私?」
  振り向く彩芽。
典子「娘をお願いいたします」
  そういってそそくさと去っていく典子。
彩芽「…え?」

○同・中
彩芽「ただいまー」
  資料を一心不乱に読んでいる須川。
彩芽「何やってんの」
須川「ちょ、ちょっと、どこ行ってたんですか。大変なんですよ!」
須川、彩芽に飛びついてくる。
彩芽「な、なに。事件?」
須川「知ってるんすか」
彩芽「だってパトカーいたから」
須川「今やってる事件じゃなくて。この事務所に依頼がきたんです」
彩芽「嘘」
事務所内を見渡す彩芽。
寂れた事務所内。
彩芽、自分の頬を思いっきりつねる。
彩芽「嘘!」
須川「依頼書です」
手紙を彩芽に渡す須川。
依頼書を見る彩芽。
彩芽「殺人事件?」
須川「今いただいたほやほやです」
彩芽「ってことはあのおばさんが…」
  背後を振り向く彩芽。すぐに資料に目を戻す。
彩芽「裁判長って北川さん?」
須川「それが何か」
彩芽「(難しい顔をして)…ちょっとやばいかも」
  キョトンとする須川。
彩芽「…犬猿の仲?」
  首をかしげる彩芽。

〇裁判所・中
  早足で歩く北川敦(45)。
彩芽「待ってください先生!」
  北川を追いかける彩芽。
彩芽「裁判をしないってどういうことですか」
  彩芽を一瞥する北川。
北川「彼女の弁護、君がやるのか」
彩芽「うちの事務所の経営がかかってるんです」
北川「だから検事になればよかったのに」
  そういって歩き去っていく北川。
彩芽「だからあの人嫌いなんだよ!」
  北川が見えなくなってから、ごみ箱をける彩芽。

〇北条弁護士事務所・中
彩芽「あーむしゃくしゃする!」
  地団太を踏む彩芽。
須川「え、じゃあ、検察は裁判をしないんですか」
彩芽「裁判はするわよ。でもあの様子じゃ、もう判決は決まってる」
須川「それじゃ事務所つぶれんじゃ…」
彩芽「潰さないわよ絶対に」
こぶしを握り締める彩芽。
彩芽「絶対あいつなんかに負けない」

○警察署・面会室・中
中に入ってくるさくら。
立ち上がる彩芽。
彩芽、頭を下げる。
×  ×  ×
彩芽「何でこんなことしたの」
さくら「べつに?ってかおばさん弁護士?いらないんだけど」
彩芽「いるのよ。あなたのお母さんに依頼されたから」
さくら「だって関係ないじゃん。あの人もう一緒に住んでないし」
彩芽「おしゃべりはいいから質問に答えて」
さくら「だから、私殺しはしたけどそれは同意のもとだったんだって。それで普通の殺人事件と同じように扱われるってなんか違くない?」
彩芽「やったことは認めるの」
さくら「まぁ。でも人殺しにも人権があるから裁判するんでしょ?なら正しい背景知るべきじゃないですか」
彩芽「…」
考え込む彩芽。
疑うようにさくらを見る。

〇道
  早足で歩く彩芽。
須川「なんなんすか。いきなり呼び出されたかと思えば、ホストクラブ行くって!」
  彩芽に小走りでついてくる須川。
彩芽「いいでしょ。暇じゃん」
須川「暇じゃないですよ。請求書の整理とか管理組合との話とか一応事務的な仕事やってんですよ」
  彩芽、振り向いて須川の手を握る。
彩芽「あなたの力が必要なの付き合って」
須川「…はい」
彩芽「よし」
  さっさと歩いていく彩芽。
須川「なんかしてやられた感あるんすけど」
  ため息をつく須川。

〇ホストクラブ・前
須川「俺、もうホストじゃないですよ」
彩芽「知ってる」
  中に入っていく彩芽。
  後を追う須川。

○ホストクラブ・中
咲夜「話ってなんすか。営業時間前なんすけど」
席に座っている彩芽と須川。
その向かい側には咲夜(23)が座っている。
須川「朝早くすみません」
咲夜「ほんとですよ。今日も夜から営業なんですよ」
彩芽「飴いる?」
咲夜「いりません。何ですか。大輝の話なら、俺ら知りませんよ」
彩芽「大輝さんの事件の話なんて一言も言ってないけど?」
咲夜「…すみません。最近、刑事さんとかよくそれで来るんで」
彩芽「事件のこと、知らなくていいけど弁護士として被害者がどんな人だったか知りたいだけよ」
咲夜「俺、仲良くなかったし」
彩芽「彼女、知ってる?」
さくらの写真を差し出す彩芽。
さくらの写真をじっと見る咲夜。
咲夜「この子、うちのお客さんすよ」
彩芽「それほんと?」
咲夜「うす」

〇北条弁護士事務所・中
須川「メンヘラ?」
  事務所の隅でコーヒーを淹れている彩芽。
彩芽「そう。というかストーカー?店が終わってからも被害者宅まで押しかけて最終的に同棲までしていたみたい」
須川「何すかそれ。そのホストもよく同棲しましたね」
彩芽「お金欲しかったみたい。でもおかしいのよ。被害者の実家はそこそこ裕福な家だし、彼自身、元銀行マンだし。加害者の親だってそう裕福じゃないはずよ」
須川「女の人は家庭環境が複雑であればあるほど、そういう世界に憧れるもんでして。男側の動機はいろいろだと思うけど」
彩芽「よく知ってんじゃん」
須川「元ホストなんで」
彩芽「そうだったね。明日またさくらさんに会いに行ってくる」
眠たげに目をこする彩芽。
須川「…最近寝てますか」
彩芽「(笑って)大丈夫。心配しないで」
  心配げに彩芽を見る須川。
  彩芽、資料をじっくり見る。

〇拘置所・面会室・中
  彩芽と向かい合っているさくら。
彩芽「あなたはなんで大輝さんと同棲を?」
さくら「…そんなこと聞きに来たの」
  顔をしかめるさくら。
さくら「好きだったから。それ以上でもそれ以下でもないんだけど。なんか理由必要?」
彩芽「でもホストってほかの女の子とも飲んだり騒いだりするんだよ嫌じゃない?」
さくら「嫌ですよ?だから同棲したの。おかしいですか。そんなに」
彩芽「いや…でもそんな好きなら何で刺したの」
さくら「だからおばさんの狭い価値感じゃわかんないでしょ」
  バカにするように笑うさくら。
彩芽「(ひきつった笑顔で)…お、おばさん」
  机の下でこぶしを握り締める彩芽。
  
〇北条弁護士事務所・中
彩芽「勝てる気がしない…」
  机にふせって元気のない彩芽。
須川「別に無罪じゃなくてもいいんでしょう。じゃあ適当にこなしとけばいいじゃないですか」
彩芽「そんなんだから司法試験通らないの。適当にやって勝てる裁判なんて結果が残らないじゃない」
  資料とにらみあう彩芽。
須川「でも依頼人は罪を少しでも軽くと…」
彩芽「知らないわよ。請け負ったのはあんた。でも自分じゃ解決できないんでしょ。文句言わない」
須川「どうするんですか」
彩芽「現場に行く。」
須川「はあ?」

〇宮本家・前
  じっくりと建物を見ている彩芽。
桜田の声「あの…」
  振り向く彩芽。
  お辞儀をする桜田(30)。
桜田「もしかして弁護士さんだったりします?」
彩芽「何で?」
桜田「僕、前田さくらのいとこの桜田と言います。二人のことでちょっと」
彩芽「何か知ってんの」
桜田「知ってるというか…あの、彼女、最近すごい変わっちゃって。前はこんなことする子じゃなかったんです」
彩芽「どういうこと」
桜田「ホストとか行く感じでもなかったし」
彩芽「じゃあなんでこんなことに?」
桜田「昔から自尊感情が低かったんです。成績もそこそこでおばさん達からもよく怒られてましたし。自分を認めてくれる相手に出会って、頼み事されたら断れなかったんじゃないですか」
  頭を下げて去っていく桜田。
  考え込む彩芽。
彩芽「(ぽつりと)…同意のもとの殺人か」
  振り向く彩芽。
  遠くに桜田が歩いている。
彩芽「ねえ君!」
  振り向く桜田。
彩芽「お願いがあるんだけど」

〇裁判所・法廷・中
T「裁判当日」
彩芽「私は被告人に疑問があります」
  立ち上がる彩芽。
彩芽「裁判長、おかしいと思いませんか。普通、同棲するほど人が好きなのであればなんで殺人なんて行為に及んだのか。確かにメンタルヘルスと言われる人種がいるのも事実。しかしこの一件はそんな安くかわいくかまってちゃんな犯行と決めつけていいのか」
北川「何が言いたいんですか」
彩芽「今回の裁判は被告人の言い分のみで成立している虚構部分が多いということです。こちらご覧ください」
  棒グラフ資料をモニターに移す彩芽。
彩芽「確かにメンヘラと言われる人たちは年々増えています」
  スイッチで画面を切り替える彩芽。
彩芽「しかしながら、自尊感情が低い若者達も年々増えてはいます」
北川「近年はユーチューバーですか。そういった行為をする子たちも増え、そのようには感じられませんが」
彩芽「自尊感情と、承認欲求は似て非なる感情です。そして意外と本人も自尊感情が低いことに気づいていないことが多いのが近年の傾向とも言えます」
  さくらをじっと見る彩芽。
彩芽「あなたは大輝さんのことが理由もなく好きだといった。でもそれは自分を肯定してくれる彼のもとがいやすかったからではないですか」
さくら「…まるで利用していたかのような言い草ですね」
彩芽「利用?そうかもしれない。でもその言葉を用いるならばあなたはこの場であの日何がどうなっていたのか説明の義務がある」
  うつむくさくら。
彩芽「裁判長、本件に関する証人申請をしてもいいでしょうか」
北川「事前申請がありません。どのような方ですか」
彩芽「被告と被害者の事件当時の行動を一番よく知る人物です」
北川「どうぞ」
  ×  ×  ×
T「証人尋問」
  証言台に立つ桜田。
桜田「僕は彼女が殺人を犯すとは思えません」
  検察側の席で城山(40)が立ち上がる。
城山「なぜでしょう。彼女は自白までしてるんですよ」
桜田「あなたは彼女たちを見ていないからだ。二人を間近で見てきた僕は心から彼女が本心でこの事件を起こしたのではないと言い切れる」
  ざわめく傍聴席。
  ×  ×  ×
  証言台に立つさくら。
北川「被告人、何かありますか」
さくら「私、殺したくなかったです。ずっとあの人と一緒にいたかった」
  涙ながらに崩れ落ちるさくら。
彩芽「一緒にいたいなら、彼を止める勇気を持つことも大事だったんじゃないいかな。以上のことから本件については懲役5年の同意殺人罪に問われるのではないでしょうか」
  ×  ×  ×
T「判決」
  法廷に北川含め裁判員が入ってくる。
  にらみ合う彩芽と北川。
北川「判決を言い渡します」
  彩芽、こぶしを握り締める。
北川「被告人を懲役7年。同意殺人罪に処する」
  さくら、彩芽を振り向く。
彩芽「罪は罪。やったことについては償うのね」
  法廷を出ていく彩芽。

〇裁判所・前
  典子と向かい合う彩芽。
典子「ありがとうございました」
彩芽「結局、無罪にはできませんでした」
典子「いいんです」
  裁判所を振り返る典子。
典子「それもこれもあの子が選んだ人生なので。今回の料金はきっちりお支払いします」
彩芽「それはもちろん。今回の相談料500万はこの口座に振り込みをお願いします」
  メモを渡す彩芽。
  メモを見てあきれる典子。
典子「500万?」
彩芽「本来であれば無期懲役を懲役7年にしたんです。安いものでしょ」
  不服そうな典子。
  しぶしぶうなずき、階段を下りていく。
須川の声「北条さん、やっといた!」
  典子とすれ違うように階段を駆け上がってくる須川。
彩芽「何」
須川「わかったんだよあの借金をチャラにする方法!」
彩芽「え?何?」
須川「お菓子の無駄買いと食べもしない無駄な高級食材仕入れんのやめよ!」
  顔面蒼白になる彩芽。
彩芽「い、いやだ…」
須川「北条さん?」
彩芽「それだけは絶対ヤダ!」
  逃げ出す彩芽。
須川「ちょっと!」
  彩芽を追いかけていく須川。

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