とある、愛のカタチのおはなし(後編) 恋愛

前回のとある、恋のカタチのおはなしから二年後の話。 バスケット選手への夢を持って海外へ行った自由と帰りを待つハル。 しかしハルはその淋しさに耐えられず新しい恋人が出来、自由も夢に挫折して ハルに内緒で自由をサポートし、そのまま恋人になった来夢(らいむ)と帰国していた。 そして二人は再会し二人の物語がまた動き出します。
あゆむ。 39 0 0 09/29
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第一稿

☆とある、愛のカタチのおはなし 後編


〇マンション・隼人の部屋・中(夜)
   ハルがテレビを見ている。
   少し離れた所で隼人が机の上に資料を広げノートに書き写し ...続きを読む
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☆とある、愛のカタチのおはなし 後編


〇マンション・隼人の部屋・中(夜)
   ハルがテレビを見ている。
   少し離れた所で隼人が机の上に資料を広げノートに書き写している。
隼人「ハル。ごめんな。もうちょっとで終わるから」
ハル「うん」
   顔を上げハルを見る隼人。
   明らかに寂しそうな顔をしているハル
隼人「ハル。前に言ってただろ旅行に行くって話」
ハル「うん」
隼人「今週末にしないか?ホテルも予約取れそうなんだ。いいだろ?」
ハル「明日バイト先で休み取れそうか確認してみる…」
隼人「おぅ…あぁもう止めた!」
   ペンを置きハルのソファーの所へ行き後ろから抱きしめる隼人。
ハル「!」
隼人「ハル…俺とハルの関係はこれからも続いていくよな?どこにも行かないでくれよな」
   隼人の腕に力が入る。
ハルM「隼人の言葉に応えられなくなっていく…みゅうの面影が脳裏をよぎる…」
隼人「ハル?」
   ハルの首筋にキスをする隼人。
ハル「ご、ごめん…」
隼人「え?」
   ハルから手を離す隼人。
隼人「ごめんって…?」
ハル「あっそういう意味じゃなくて…今日は帰る」
隼人「帰るって」
ハル「ちょっと体調悪くて」
隼人「だったら泊まってけよ」
ハル「そうしたいけど、あんまり外泊してたら親がうるさいから…今なら終電間に合うと思うし」
   立ち上がるハル。
ハル「ごめん」
   部屋を出るハル。
隼人「…」

〇楠木家・居間(夜)
   ハルが帰ってくる。
   由子がテーブルで突っ伏して眠っている。
ハル「ただいま」
   体を揺らし由子を起こすハル。
ハル「ちゃんと布団に入って寝なきゃ体壊すよ」
由子「あ、おかえり(伸びをして)こんなんで体壊すような、やわじゃないわよ」
ハル「そう言われてみればそうか」
由子「ちょっとハル」
   笑うハルと由子。
由子「どうだった?みゅう君とちゃんと話してきた?」
ハル「まぁ…」 
由子「折角日本に居るの分かったんだし。また一からやり直したらいいじゃない」
ハル「まぁそうだけど、色々とあってさ」
由子「何よ、色々って」
ハル「色々は色々だよ」
由子「なんか、もどかしいわねぇ。何を悩んでるのか分からないけど…」
ハル「僕、もう寝るよ」
由子「ハル」
ハル「ん?」
由子「自分が思った通りに行動しなさいよ。きっとそれは間違いじゃないから。結果誰かを傷つけるような事になるかもしれないけど…」
ハル「…」
由子「心配しないの!ハルにもみゅう君にも私や聡美さんが付いてるんだよ!あと飛鳥君にあかねちゃんも。だから自分が思ったように動いてみなさい。後悔だけはしないように」
ハル「う、うん」
由子「みゅう君聡美さんと喧嘩して家出てるんでしょ?感情的になって怒ってしまったって悔やんでた。聡美さんも凄く心配してるのよハルとみゅう君の事」
ハル「分かった。ありがとう…じゃあ寝るねお休み。ちゃんと布団入って寝なよ」
由子「分かってるわよ。お休み」

〇同・ハルの部屋・中
   ベッドで眠ろうとしているハル。
ハルM「もう、戻れない道なのは分かってたけど…もうこのままじゃいられない」
   眠るハル、そのまま暗転。

〇マンション・来夢の部屋・リビング(朝)
朝食を取っている自由と来夢。
自由「来夢。俺今日出掛けて来る」
来夢「どこに?」
自由「どこにって…し、仕事探しに」
来夢「それは別に心配しなくていいって言ってるのに」
自由「そういうわけにはいかねぇ」
来夢「まぁみゅうがそうしたいなら…でも出かけるって言った時ハル君に会いに行くのかなって思った」
自由「何でハルが出てくんだよ」
来夢「さぁ、何ででしょうね」
   トーストを食べ、意地悪そうに笑う来夢。
自由「…」

〇スポーツショップ「B.B」・前
   自由がバイト雑誌片手に歩いている。
   ウィンドウにバスケットユニフォームとボールが飾ってあり隣のテレビで選手の試合が流     
   れている。
   立ち止まり試合を見ている自由。
あかねの声「なぁに、見てんのよ」
自由「あっ、すみません」
   振り返るとあかねが立っていて、自由は驚く。
自由「あかね…?」
あかね「ハルから帰って来てたのは聞いたけど、まさかここで会うとはねえ」
自由「…」
あかね「何してんのよこんな所で」
自由「あかねこそ」
あかね「ここで働いてるのよ」
自由「え?」
あかね「何か。羨ましそうに映像見てたけど やっぱり未練あるの?バスケに…」
自由「…」
あかね「少し時間ある?私休憩なの。ご飯付き合ってよ」

〇食堂
   自由とあかねがご飯を食べている。
あかね「そっか…そんな事あったんだ」
自由「あぁ…」
あかね「みゅうの挫折かぁ。辛かったでしょ…だからこそ何でハルや私達に助け求めなかったのよ」
自由「だから、それはさっき言った」
あかね「かっこつけてたから?弱ってるのにかっこつけてる場合じゃないでしょ」
自由「…」
あかね「それで、どうするのよ。ハルとは」
自由「俺は、ハルに申し訳なくて、新しい彼と一緒にやっていけって言ったけど、ハルからもう、今のままじゃいられないって言われて、俺も気持ちが揺れてる」
あかね「ってか、ハルもいつの間に彼氏作ってんのよ。前会った時そんな事一言も言ってなかったのに」
   溜息をつく自由。
あかね「自由がため息つくなんてもうよっぽどの事よね…そういえば今仕事とかしてないの?」
自由「あぁ、ずっと彼の家で世話になってるけど、そろそろ仕事もしなきゃと思って探してはいるんだけど」
あかね「うちくる?今、販売員のバイト探してるんだけど」
自由「マジで?」
あかね「みゅうならバスケの事も詳しいし、お客さんにも上手く勧める事出来そうだからどう?」
自由「本当にいいのか?」
あかね「じゃあ、帰って主任に聞いてみるわ。それで、また連絡する」
自由「ありがとう」
あかね「ハルが覚悟決めようとしてるんだから、みゅうもケジメつけなさいよ。そして…またハルとやり直しなさいよ…あんた達二人お似合いだから」

〇マンション。・来夢の部屋・中(夜)
   自由が帰ってくる。
自由「ただいま」
来夢「お帰り。遅かったね」
自由「ごめん。仕事探してるのに時間かかって」
来夢「もう、帰って来ないのかと思った」
自由「なんでだよ」
来夢「なんとなく」
自由「遅くなったけど、おかげで仕事見つかった。友達の所なんだけど」
来夢「そう…」
   ソファーに座る来夢。
来夢「どしたの?座れば?」
自由「あぁ…」
   来夢の隣に座る自由。
来夢「ねぇみゅう?俺と別れたいとか思ってないよね?」
自由「何だよ急に。さっきからおかしいぞ」
来夢「みゅうも充分おかしい。前と比べて」
自由「…」
来夢「別れたら…死ぬからね。嘘か本当かどうとるかはみゅう次第だけど」
自由「そういうの…止めろ」
来夢「え?」
自由「止めろって言ってるだろ!」
   一瞬たじろぐ来夢。
   自由は立ち上がり
自由「気分悪い。外出る」
来夢「こんな時間にどこ行くんだよ」
自由「どこだって、いいだろ」
来夢「ハル君のとこに行くの?」
自由「…」
   勢いよくドアを閉める自由。
来夢「…」

〇街(夜)
   自由が歩いている。
   ポケットからスマホを出しハルに電話する自由。
ハルの声「もしもし…」
自由「ハル…今大丈夫か?」    
ハルの声「うん、今家にいるから大丈夫だよ。どうかした?」
自由「ハル…逢いたい」

〇楠木家・ハルの部屋・中(夜)
   ハルと自由。
ハル「もしかして、緊張してる?」
自由「あぁ…久しぶりだもんな。ここ来るの」
ハル「卒業式前夜以来?」
自由「(笑って)だな。ハルの母ちゃんにも会えるかなって思ったんだけど。まさか俺の家に行ってるなんて」
ハル「みゅうのお母さんと意気投合しちゃって。年も近くて話も合うし、しょっちゅう行き来してるんだよ。母さんもみゅうくんと会えたから聡美さんとも会えて友達ができたって喜んでた」
自由「そっか。そういや今日、本当に大丈夫だったのか?隼人さんとこ行くとかじゃなかった?」
ハル「今日は家に居るって決めてたから。そういえば尾形さんからメール来てたけど、尾形さんの所で働く事になったの?」
自由「あぁ。明日からな。まさか、あかねがバスケ関連の仕事してるとは思わなかった。あいつも相当バスケ好きなんだな」
ハル「でも良かった。ねぇみゅうはもうバスケの選手にはならないの?」
自由「あぁ、自分でも、もうよく分かんなくなってて…でも、あかねが働いてる店でバスケの試合の映像が流れてるのずっと見てたんだけど…やっぱりもう一度挑戦したいって思った」
ハル「そっか。高校の時みゅうがバスケやってた姿は格好良くて、みゅうを好きになってよかったってちゃんと思えるようになっ たんだ」
自由「そっか、それでハルから初めてキスしてくれたもんな…」
   恥ずかしくなるハル。
自由「あのさ、ハル」
ハル「ん?」
自由「俺、来夢と別れようと思ってる」
ハル「…」
自由「それで、もう一度ハルとやり直したい…だから、隼人さんと別れてほしい」
ハル「…」
自由「って、やっぱり俺のワガママだよな」
   ハルが自由の手を握る。
ハル「僕もやり直したい。前にも言ったでしょ?もうこのままじゃいられないって」
自由「あぁ…」
ハル「でも、みゅう…来夢さんとちゃんと別れられる?」
自由「まぁすぐには無理だろうな…でも時間かけてでも来夢には分かってもらうよう話をする。ハルの方は大丈夫か?」
ハル「僕の方も時間はかかると思うけど、分かってもらえるように頑張ってみる」     
   自由がハルにキスをする。
ハル「みゅう…」
自由「キスしたかった…ハルとキスがしたかった」
ハル「…」
自由「でも、続きはちゃんとお互いに相手と別れる事が出来てだな」
   頷くハル。
自由「今日は泊っていっていいか?」
ハル「うん」
自由「明日そのまま、バイト行って帰りは来夢の所に行ってくる。結果また連絡するから」
ハル「分かった」

〇××宅配所・前(夕)
   バイト終わりのハルが出てくる。
   クラクションが鳴り振り返ると隼人の車が止まっている。
   隼人の所へ行くハル。
ハル「隼人、どしたの?」
隼人「どしたのって、迎えに来たんだよ」
ハル「あ、ありがとう…」
隼人「これからさ、旅行に行く時の買物行かない?色々と二人で揃えたいからさ」
ハル「…」
隼人「どした?取り合えず、乗れよ」
ハル「うん。ねぇ買物の前にちょっと話がしたいんだけど」
隼人「(なんとなく察して)分かった。大事な話そうだから、家で話そうか」

〇マンション・隼人の部屋・中(夕)
   向かい合って座っているハルと隼人。
隼人「それで、話って何?」
ハル「うん…」
隼人「どうしたの?」
ハル「旅行の事なんだけど…行けない」
隼人「え?何で?バイト先で休み取れなかった?」
ハル「そうじゃないんだけど…」
隼人「(少し苛ついて)じゃあ何?」
   たじろぐハル。
隼人「言ってくれないと、分からないだろ」
ハル「うん…これ以上、もう隼人と一緒に居る事出来ない」
隼人「え…もしかして別れ話?」
   頷くハル。
ハル「ごめん…なさい」
隼人「別れたい理由って自由君が原因なのかな?」
ハル「まぁ…ごめん」
隼人「ごめんごめんって…」
   何も言えないハル。
隼人「俺、別れないよ」
ハル「隼人」
隼人「何があっても別れないから」
ハル「…」 
隼人「自由君にはもう新しい彼が居るんだぞ。ハル…もう昔の事は忘れろよ。俺が忘れさせてあげるから」
ハル「無理なんだ」
隼人「無理?」
ハル「忘れる事が出来ないんだ。どんなに忘れようと頑張ってみても…忘れる事が出来ない」
隼人「ハルは勝手だな…ハルにとって俺は何だったの…?」
ハル「…」
隼人「何だったんだよ!」
   テーブルを叩きつける隼人。
隼人「あっ(我に返り)ごめん…。今日は帰ってくれ。一回頭を冷やして冷静に考えよう。それからもう一度話そう」

〇マンション・来夢の部屋・中(夜)
   自由と来夢。
来夢「昨日、どこ行ってたの?」
自由「…」
来夢「電話しても連絡ないし、折り返しもしてくれないし…今日は何もやる気しなくて仕事も休んじゃった…」
自由「昨日はハルの所に行ってた」
来夢「やっぱり…」
自由「来夢。俺と別れてくれないか」
来夢「それってハル君が原因?」
自由「まぁ」
来夢「前に言ったよね?自由が別れるって言ったら死ぬって。それでも別れるって事?」
自由「それは…」
来夢「まだ、迷ってるなら別れるとか言わないでよ」
   甘えるように自由に抱き着く来夢。
   ゆっくりと来夢から体を離す自由。
来夢「…」

〇公園・中
   ハルが来る。
   ベンチに座ってる来夢に気付く。
来夢「(手を上げ)ハルくーん!」
ハル「あっ、どうも…」
   来夢の所へ行くハル。
来夢「ごめんね。急に呼び出して。あっ座って」
   頷いてベンチの隣に座るハル。
   しばらく無言の二人。
来夢「あっ、ごめんね。こっちが呼び出したのに…今日俺がハル君呼び出した理由知ってるよね?」
ハル「はい」
来夢「みゅうがね、俺と別れたいって言ってきたんだ」
ハル「…」
来夢「ハル君も隼人さんと別れてみゅうと一緒になるつもりなの?」
ハル「はい」
来夢「そっか…それなら仕方ない…」
ハル「え?」
来夢「だったら、身を引くよ…なんて言わないよ?俺は別れないから。俺はあんたが思うよりもずっとずっとみゅうの事が好きなんだ!俺がみゅうを脅迫して付き合う事になったのは申し訳ないと思ってるけど…けど俺はみゅうが好きだ遠距離になった淋しさから新しい男作ったあんたよりも」
   来夢が立ち上がり、ハルの方を向いて思い切りひっぱたく。
来夢「あんたは、俺も、自由も隼人さんも皆を傷つけてる。俺は絶対に別れないから」
   去っていく来夢。

〇カフェ・店内(夕)
   ハルと自由。
自由「来夢と会ってきた?」
   頷くハル。
自由「それで、殴られたのか?」
   頷くハル、頬が赤く腫れている。
ハル「やっぱり、やり直す事出来ないのかな…来夢さんの言う通り、僕はアメリカで大変な目に遭ってるみゅうの事も知らずに淋しさから隼人を頼るようになったりして…結局皆傷つけてしまった」
自由「それを言うなよ…だったら俺も同じだろ?」
ハル「うん…」
自由「もう後ろには戻れないんだぞ…もう一回俺来夢と話してくる」
   
〇マンション・来夢の部屋・中(夜)
   自由が帰ってくる。
来夢「おかえりー!今日はちょっと料理頑張ってみたんだ。早く着替えて一緒に食べよ!」
自由「来夢。今日、ハルと会ったんだよな?」
来夢「会ったよ」
自由「何、話したんだよ?」
来夢「知ってるくせに」
自由「…」
来夢「聞きたい?」
自由「いい。俺は例え来夢が死ぬ事を選んだとしても…俺は…ハルを選ぶよ」
来夢「…」
自由「俺、ハルが好きなんだ…(段々と涙声に)ハルが好きで好きで仕方ないんだ…俺が勝手な事言ってるのは分かってる。来夢にここまでしてもらって。アメリカでも散々助けてもらったのに来夢の気持ち裏切って…」
来夢「止めて」
自由「え?」
来夢「もう、止めて!」
   持ってた料理の皿を床に思い切り投げつける。
自由「来夢…」
   来夢が声を上げて泣き出す。
   自由が来夢を抱きしめようとするが躊躇してしまう。
自由「ごめん…」    
来夢「ハル君に、言っておいてくれる?何でやり返さなかったのかって」
自由「何を?」
来夢「遠距離の淋しさから新しい男作ったあんたより大好きだって言って殴った時に、俺も他人の男を横取りする奴より俺の方がもっと好きだったって…」
自由「…」
来夢「やっぱりお互いに好きな人は一緒にならなきゃだめだね」
   泣いてる顔で笑う来夢。
自由「…」
来夢「みゅう…別れよう」

〇隼人のマンション・前(夕)
   ハルと自由が来る。
ハル「みゅう、ごめんね付き合わせちゃって…」
自由「いいよ。俺もちゃんと隼人さんと話をして、ケリつけたかったから」

〇同・中(夕)
   隼人の前にハルと自由が座っている。
隼人「どうしたの?二人して話があるって」
自由「(頭を下げ)隼人さん。お願いがあります」
隼人「何?」
自由「ハルと、別れて下さい」
   ハルも隼人に頭を下げる。
隼人「嫌だって言ったらどうするの?」
自由「それは…」
隼人「君には、恋人が居るじゃないか?」
自由「それは、話し合って別れる事になりました」
隼人「俺がどんな思いでハルの事大切に思ってきたか分かる…?突然日本に戻って来て二人が再会して、やっぱりお互い忘れられないから別れて下さいって。勝手にも程があるだろ!」
   自由の胸ぐらを掴み睨みつける隼人。
自由「…」
ハル「ちょっと隼人止めて」
   二人の間に割って入るハル。
隼人「うるせぇな。黙ってろ!」
   ハルを振り払う隼人。
   ハルがよろけて倒れてしまう。
自由「ハル!」
隼人「あ…」
自由「ハル。大丈夫か?」
   隼人の手を払いハルを抱きかかえる自由。
ハル「大丈夫」
   自由から離れ、隼人に土下座をするハル。
ハル「隼人。別れて下さい。全部僕のワガママです。自由が忘れられません。自由と一緒になりたいです。お願いします」
隼人「止めろ」
ハル「…」
隼人「止めろって…」
   ゆっくり顔を上げるハル。
隼人「もう…分かったから。帰ってくれ…」
ハル「隼人」
隼人「もう一度言う。帰ってくれ」
自由「ハル…行こう」
   ハルと自由が部屋を出ていく。
   テーブルを叩きつけ泣きだす隼人。

〇マンション・久賀家・玄関・中(夜)
   ハルと自由が来る。
自由「ただいま」
   奥から聡美が出てくる。
ハル「こんばんわ」 
   いきなり聡美が自由の頬を引っぱたく
   頬を押さえる自由。
聡美「何で、殴られたかは分かってるよね?」
自由「…」
聡美「私やハル君達をどれだけ心配させたと思ってるの?」
自由「…」
   聡美が自由を抱きしめる。
聡美「でも、自由が苦しんでた事…気付かなくてごめん」
自由「いいよ。俺もちゃんと伝えてなかったから…」
聡美「母親なら電話の声だけでも、気づけたはず。理由を知ったら何を置いてでも自由を迎えに行ってたわ」
自由「母ちゃん…ごめん」
聡美「ハル君。ちゃんと自由を家に連れてきてくれてありがとう」
ハル「いいえ…」
聡美「今日は泊っていきなさい。由子さんには、さっき私から連絡しておいたから」
ハル「はい」

〇同・自由の部屋・中(夜)
   ベッドの中に入っているハルと自由。
自由「俺もハルも、沢山人を傷つけてしまったな」
ハル「うん」
自由「でも、俺は…ハルが一番大切な人だって分かった。ハル…ごめんな」
ハル「僕の方こそごめん」
自由「じゃあ、寝ようか」
ハル「うん」
   F.O

〇カフェ・店内
   ハルが入ってくる。
   奥で隼人が待っているのに気付きハルが行く。
隼人「おぉ。呼び出して悪かったな」
ハル「うん」
   席に着くハル。
隼人「この前は悪かったな…取り乱してしまって」
ハル「うぅん…僕が悪いんだから」
隼人「ハル…ありがとうな」
ハル「え?」
隼人「ハルと一緒に過ごせた日々は本当に楽しくて幸せだった」
ハル「…」
隼人「そんなハルが幸せになるのなら、俺が邪魔する権利なんてないよな。俺だけが思ってても駄目なんだよな。お互いに思ってなきゃ」
ハル「隼人」
隼人「今度こそ幸せになれよ。もう今日っきりで会うのはよそう。電話もしないから、連絡先もお互いちゃんと消そう」
ハル「分かった」
隼人「じゃあ、俺行くから」
   立ち上がる隼人。
隼人「ハルと出会えてよかった」
ハル「隼人…!ありがとう」
隼人「じゃあな」
   笑顔で軽く手を上げて店を出ていく隼人。

〇スポーツショップ「B.B」・前(夕)
   店内からバイト終わりの自由が出てくる、ポケットからスマホを出すと来夢からメールが
   届いている。
自由「来夢から…」
   メールを確認する自由。
来夢の声「明日。アメリカに帰ります」
自由「…」

〇マンション・久賀家・自由の部屋・中(夜)
   自由がハルとスマホで話をしている。
自由「うん。そうなんだ。だから、明日来夢を見送りに行ってきてもいいか?ちゃんとケジメつけて来るし、お礼も言っておきたいから…うん。見送ったらまた連絡する。うん、じゃあ」
   電話を切る自由。

〇羽田国際空港・中
   荷物を抱えた来夢がチケットと電光掲示板を見返している。
   自由が走って来て、来夢を見つける。
自由「来夢!」
   来夢が振り向くと、息を切らせた自由が立っている。
来夢「自由」
自由「昨日メールありがとう」
来夢「見送りに行くって返事来たけど…大丈夫って言ったじゃない」
自由「でも、ちゃんと見送りしたくて」
来夢「本当に見送りに来てくれるなんて思ってなかった」
自由「荷物…それだけだったっけ?」
来夢「そうだよ。あの家は、家族が日本に戻った時に使うもんだからさ。自分の身近な物だけ持って帰ればいいんだから」
自由「そっか…来夢。大丈夫か?」
来夢「そっちがふっといてよくそんな事聞けるよね」
自由「わりぃ…」
   来夢が笑っている。
自由「来夢?」
来夢「みゅうって、いじめると面白い」
自由「なんだよ、それ」
来夢「(笑って)みゅう、バスケ諦めないよな?」
自由「え?」
来夢「バスケ、もう一度やるだろ?」
自由「(少し考えて)あぁ。また一からやり直しだけどな」
来夢「また、アメリカで会えるの楽しみにしてるよ。今度はライバルとしてになるかもしれないけど」
自由「おぉ。負けないからな」
来夢「俺もな」
   握手をする自由と来夢。
来夢「あっ、みゅう」
自由「何だ?」
来夢「最後に一つだけお願い聞いてくれる?」
自由「お願い?何だよ」
   来夢が自由を強く抱きしめる。
自由「おい!来夢!止めろって…人が見てるだろ」
来夢「少しだけ。お願い!」
自由「…」
   自由から離れる来夢。
来夢「ありがとう」
自由「お。おぅ」
来夢「それじゃあね」
   搭乗口へ行く来夢。
自由「来夢!」
   振り向かず、立ち止まる来夢。
自由「ありがとう!」
   振りかえらずに手を上げて軽く振り搭乗口の中に入っていく来夢。
自由「…」
   来夢は泣いている。

〇マンション・久賀家・キッチン
   ハルが料理を作っている。
   自由が帰ってくる。
自由「ただいま。あれ、ハル一人?」
ハル「うん、聡美さんうちの母さん迎えに行ったし、尾形さんと飛鳥君は、後ちょっとで着くって、さっきメールがあったよ」
自由「そっか」
   ハルの隣に行く自由。
自由「結構手馴れてきたな」
ハル「前に比べたらねえ」
   料理を盛り付けているハルの手を握る自由。
ハル「ちょっと」
   ハルを見つめる自由。
ハル「何?恥ずかしい…」
   何も言わずハルにキスをしようとする自由。
ハル「今はダメだよ…」
自由「いいじゃん。今は二人しか居ないんだし」
   ハルの唇に自由の顔が近づいた時にインターホンが鳴る。
自由「え…」
ハル「はーい」
   玄関へ行くハル。

〇同・玄関・中
   ハルが来てドアを開けると聡美、由子、あかね、飛鳥が入ってくる。
ハル「え?皆一緒に来たの?」
あかね「下で、おばさん達と会ったのよ」
聡美「ハル君、料理任せちゃっててごめんね!すぐ手伝うから」
由子「私も手伝うわ」
聡美「さっ、皆入ってー」
飛鳥「おじゃましまーす」

〇同・リビング
   聡美達が来る。
あかね「あっ、みゅう。来たわよー」
自由「何だよ。皆でキスするの邪魔をして」
聡美「は?何か言った?」
自由「何でもねぇ」
聡美「ちょっと、邪魔するならあっち行って!ハル君、どこから手伝えばいい?」
ハル「はい。すぐ行きます」
   ハルと由子、あかねがキッチンへ行き料理を作り出す。
自由「何だよ。俺はのけ者かよ」
飛鳥「いいじゃないかー、女子全員で美味しい料理作ってくれるんだし」
自由「ハルは女じゃねぇ」
飛鳥「あーそうだったな(笑う)」
自由「飛鳥」
飛鳥「ん?」
自由「飛鳥にも、心配と迷惑かけたな。悪かった」
飛鳥「あぁ、別に俺は何もしてねぇけど(笑う)でも、まぁ心配はしてたからなぁ。改めてお帰り」
自由「ありがとう」
聡美「料理出来たわよー!さぁ食べましょ」
   × × ×
   ハル達皆で食事をしている。
聡美「みゅう!ちょっと、皆にちゃんと挨拶しなさい。あんたが皆に心配かけたんだから」
自由「お、おぅ…」
   立ち上がり咳払いをする自由。
自由「今日は皆、集まってくれてありがとう。そして沢山迷惑と心配をかけた。ごめんなさい」
   頭を下げる自由。
自由「俺は今あかねの所でバイトで働かせてもらってるけど、もう一度一から…あっゼロからバスケットの選手としてやっていこうと思う。そして、またアメリカに行って活躍できる選手になれるようにとも思って る」
由子「みゅうくん!頑張って!おばさん応援してるよ!」
自由「ありがとうございます。それと…ハルちょっと」
   ハルを手招きする自由。
ハル「え?」
   自由の隣へ行くハル。
   ハルの肩を組む自由。
自由「俺…ハルと結婚します」
   驚くあかね達の中、ハルは驚きすぎて言葉を無くしている。
聡美「まっ!聞いた由子さん!」
由子「聞きました!まぁハルを」
飛鳥「え?日本で同性結婚できるの?」
自由「飛鳥…日本じゃ出来ないよ…」
飛鳥「だよな…」
自由「ハル」
ハル「(我に返り)は、はい?」
自由「急にプロポーズしてごめん…でも、すぐに結婚とかじゃなくてさ。今の俺じゃまだまだハルを本当に幸せになんてできないからな…だからいずれはって事で…いいかな?」
ハル「(照れてる)はい…」
   由子と聡美が拍手をする。
   隣で酔っ払っているあかね。
あかね「みゅう!そこまで言ったのなら誓いのキスしなさいよ!」
飛鳥「おい、あかね…」
あかね「いいじゃないの!婚約キスしなさい!」
ハル「尾形さん酔っぱらってる」
あかね「酔ってないわよ!私達が見届け人になってやるから」 
   自由がハルにキスをし、ハルの顔は真っ赤になる。
   × × ×
   ハルがパーティーの片づけをしている
   自由が皿を持ってきて流しに居れる。
ハル「あっ、ありがとう」
自由「皆言いたい放題、食べたい放題で帰ってったな。てか、母ちゃんまでハルの家にまで行っちゃったし」
ハル「聡美さん、気を使ってくれたんだろうね。僕とみゅうが二人きりになれるようにって」
自由「あ、そうか…」
  皿を洗っているハルの手が止まる。
ハル「みゅう…」
自由「ん?」
ハル「ありがとう」
自由「(照れて)何だよ、急に」
ハル「さっきは、びっくりして上手く言えなかったけど、本当に嬉しかった。僕は一生みゅうに着いていくよ」
自由「ハル…」
ハル「これから二人で歩いていけばさ、また色々な壁にぶつかったりとか、悲しい事があったり切なくなる事があるかも…いや、あると思う。だけど、そんな時は二人で一緒に乗り越えていこう。そしてその思いを 大切にしていこう」
   自由が涙を流している。
ハル「みゅう…泣いてるの?」
自由「いや」
   恥ずかしくて顔を背ける自由。
ハル「こっち向いてよ」
自由「やだよ、恥ずかしい」
   自由の方に顔を合わせるハル。
自由「何だよ」
   自由にキスをするハル。
   視線を合わせ二人で頷く。

〇同・自由の部屋・中
   ハルと自由がベッドの中で抱き合っている。
自由「ハル…キスやりすぎ」
ハル「いいじゃん。僕、キス大好き。自由が教えてくれたんだよ。こんな優しいキス」
   何度も自由にキスをするハル。
   ハルの手が自由の下半身に行く。
自由「うっ」
ハル「もう、こんなになってる」
自由「ハルがそうさせたんだろ」
ハル「みゅうと…繋がりたい」
自由「ハルって、そんなに積極的だったっけ?(笑う)」
ハル「たまには…いいでしょ?」
   自由が頷き、ハルと繋がる。
   痛みに顔を少し歪めるハル。
自由「大丈夫か?」
ハル「うん…」
   二人が徐々に激しく絡み合っていく。
ハル「みゅう…大好き」
自由「俺も、ハルが大好きだよ」
   絡み合ったままF.O。

〇結婚式会場・新婦控室
   鏡越しに、胸元だけ写りドレスを着た女が写っている。
   ドアノックの音がし、自由が入ってくる。
自由「おっ綺麗…」
   椅子から立ち上がり、自由の方を向く女はあかね。
あかね「当たり前でしょ!私を誰だと思ってるの(笑う)」
自由「結婚式上げる時も強気だな」
   笑う自由とあかね。
あかね「ってか、飛鳥はどこに行ったのよ」
自由「ハルが探しに行ってるけど」
    ドアが開き緊張した飛鳥とハルが入ってくる。
ハル「飛鳥君…ほら、入って」
飛鳥「わ、分かってるって」
自由「飛鳥ぁ、どこ行ってたんだよ」
飛鳥「ト、トイレだよ」
ハル「緊張しちゃって、トイレから出てこられなかったんだって」 
飛鳥「ハルーそれは言わないって約束しただろ…」
ハル「あっごめん…」
   あかねが真顔でゆっくりと飛鳥の方へ行く。
自由「お、おい…あかね」
ハル「尾形さん…?」
飛鳥「あかね?」
   飛鳥の曲がっている蝶ネクタイを元に戻すあかね。
あかね「ネクタイ、曲がってる」
   ホッと胸をなでおろすハルと自由。
飛鳥「お、おぅ…ありがとう」
あかね「もう…しっかりしてよね」
飛鳥「わりぃ」
自由「もうすぐ式始まるんだから、逃げるなよ」
飛鳥「分かってるって」
   ハルがあかねのドレス姿を見つめている。
あかね「どしたのよハル、何か変?」
ハル「いや、綺麗だなって思って…」   
あかね「当たり前でしょ(ポーズをとって)私を…」
自由「誰だと思ってるの?」
あかね「ちょっとみゅう!私の決め台詞取らないでよね」
自由「もう聞き飽きたぞ」
あかね「もう!ハルー、もしかしてハルも着たいんじゃないの?ウエディングドレス」
ハル「え!まさか…僕は男だよ。ウエディングドレスなんて着れないよ」
あかね「いいじゃな、着ちゃえば。結婚式挙げるってのは出来ないかもしれないけど、写真館で撮影位ならできるでしょ」
ハル「…」
飛鳥「あかね。ハルは別に女になりたいって訳じゃないんだよ」
あかね「そうなの?」
ハル「ま、まぁ」
あかね「じゃあ、みゅうと二人でタキシード着て写真撮りなさいよ」
自由「おい、あかね。俺達を仕切ってんじゃねぇよ」
あかね「何よ、みゅう。ハルと結婚するんでしょ?私達の前でちゃんと言ったの覚えてるんだからね」
自由「ちゃんとするさ」
あかね「ハル」
ハル「はい」
あかね「みゅうとちゃんと幸せになるのよ」
ハル「はい!」
   壁に掛かってある時計を見る自由。
自由「もうそろそろ時間だ。俺達席に戻るか ら。じゃあな」
あかね「うん」
飛鳥「ありがとうな。ハルもみゅうも」
ハル「うん」
自由「おぅ」

〇同・廊下
   ハルと自由。
   自由がハルの手を握る。
   ハルも強く自由の手を握り返す。
   お互い顔を見合って笑う。
   二人の後姿、そのまま暗転

〇体育館・中
   バスケットコートで自由がチームメンバーと共にバスケの練習試合をしてい   る。
   ボールを受け取りゴールポストへシュートを決める自由。
自由「よっしゃー!」
   ドアを開け作った弁当を抱えたハルが入ってくる。
ハルM「あれからみゅうは、バイト先に来ていたバスケットチームの関係者に自分を売り込み、何度もお願いをして今のチームに入ってまたゼロからバスケを始めている」
   試合終了の笛が鳴り、自由がハルに気付く。
自由「ハルー!」
   自由が手を振っているのでハルも振り返す。
ハル「お弁当持ってきたよ!」
自由「サンキュー!」
ハル「よかったらチームの皆さんにも…」
自由「おっ、流石ハル。そういう所気が利くんだよな。皆喜ぶぞ!」
   ハルが照れている。
自由「皆さーん。ハルが弁当作ってきてくれたんです。皆で食べましょう!」
チームメイト達「うーっす!」
ハルM「みゅうは今のバスケチームの皆に僕達の関係の事を話している。別に話す必要はないのにと思ったけど、やはりチームの皆には嘘を付きたくないと言ってカミングアウトをした」
   チームメンバーが美味しそうにハルが作った弁当を食べている。
ハルM「メンバーの皆や監督さんは、どんなセクシャリティであってもみゅうはみゅうなんだからと温かく迎えてくれていた。僕も含めて…」
自由「あー美味かった。ハル、また腕上げたよな」
ハル「ありがとう。ねぇこの後なんだけど」
自由「おぅ、ちゃんと覚えてるよ。午後からもうちょっと練習あるからさ、それまで待っててよ。どこか店でも行ってるか?」
ハル「ここで見ながら待っててもいい?邪魔にならないかな?みゅうがバスケやってる所見ていたいから」
自由「お、おぅ…じゃぁ頑張ってくるわ!(チームメイトに)よし、もういっちょ頑張ろうぜー!」    

〇きくち写真館・スタジオ・中(夕)
   ハルと自由がタキシードを着てスタジオに入ってくる。
ハル「なんか…緊張してきた」
自由「ハルー。似合ってるじゃん」
ハル「止めて…恥ずかしい」
自由「すぐ、照れるんだから。ほんとハルは 可愛いなぁ」
ハル「もう、からかわないで!」
   写真館主の菊池(65)が来る。
菊池「準備はできましたか?」
自由「はい!よろしくお願いします」
ハル「よろしくお願いします」
菊池「はい、よろしくどうぞ。まぁ二人とも若いのに礼儀正しいねえ。じゃあそこに立ってもらおうかな」
   二人が移動してカメラの前に立つ。
菊池「しかし、私も長く写真家やらせてもらって、恋人やご夫婦の写真撮ってきたけど同性のカップルは初めてですな。光栄ですよ。どっちが彼女さんになるの?」
自由「(ハルを指さし)こっちです」
菊池「じゃあ、彼氏さんに腕組して下さい」
ハル「は、はい」
   自由の腕に手を通すハル。
菊池「じゃあ行きますよ」
   笑顔でカメラのレンズを見るハルと自由。
   カメラのフラッシュ。
菊池「はい、撮れましたよ」
   笑顔で幸せそうに写っているハルと自由。

〇街(夜)
   ハルと自由が手を繋いで歩いている。
自由「なぁハル」  
ハル「ん?」
自由「キスしていい?」
ハル「ダメ、ここ外だし」
   ハルをぎゅっと抱きしめてキスをする自由。
ハル「みゅう!人から見られちゃうよ」
自由「もういいよ。見られても」
ハル「…」
自由「離さない」
ハル「…」
自由「もう、絶対に離さないからな」
ハル「僕も…」
   今度はハルからみゅうにキスをする。
自由「続きは…」
ハル「家でね…」
   暗転。


〇××区役所・前
   字幕「時は流れ…」
   区役所の中からハルと自由が出てくる。
   自由が、嬉しそうにパートナーシップ証明書を眺めている。
自由「あぁ、めっちゃ嬉しい!」
ハル「もぅ、みゅう。はしゃぎすぎだって」
自由「何だよ。ハルは嬉しくねぇのか?」
ハル「嬉しいに決まってるでしょ!」
自由「だろ?だったらハルも一緒に喜べよ!」
ハル「ったくみゅうは…」
   はしゃぎながら歩いている自由と向かいから来る男二人組とぶつかる。
ハル「あ、みゅう!」
自由「イテッ…」
男A「あ…」
   弾みで証明書を落とす自由。
   証明書を拾い自由に渡す男A。
自由「すみません、前をよく見て無くて」
男A「いえ、こちらこそ…」
ハル「すみませんでした。もぅみゅう…ちゃんと前見てなきゃ」
自由「わりぃ。これが嬉しくてさぁ。ずっと見入っちゃってた」
   ハルと自由、男Aと男Bが顔を合わせ察する。
自由「それじゃあ…」
男A「それじゃ…」
自由「なぁ、あの二人もパートナーシップ証明書取りに行ったのかなあ」
ハル「なんかそんな感じがしたね」
   自由が笑っている。
ハル「どしたの?」
自由「いや…ハル。幸せになろうな」
ハル「うん」
   ハルと自由の後姿


  終。

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