僕は怒りを感じたいんだ ドラマ

誰も何も言わなくなると死にたくならないか。
友里香 42 0 0 05/21
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第一稿

◯学校・全景(朝)

◯同・体育館・中(朝)
   全校生徒が並んでいる。
   国木田富男(59)が舞台上でマイクに向かって、
国木田「…ええ亡くなった高島くんは、勉学 ...続きを読む
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◯学校・全景(朝)

◯同・体育館・中(朝)
   全校生徒が並んでいる。
   国木田富男(59)が舞台上でマイクに向かって、
国木田「…ええ亡くなった高島くんは、勉学にもとても励んでいて、真面目で礼
 儀正しい青年でした…なぜ…」
   国木田が言葉に詰まる。
   女子生徒1と女子生徒2がひそひそと身を寄せ合う。
女子生徒1「ねえどうして自殺しちゃったんだろ」
女子生徒2「高島くん、全然そんな風に見えなかったのに…」
   ボーっと一点を見つめる野田悠馬(18)。

◯(回想)同・教室
   悠馬が成績表を見ている。
   成績表をじっと見つめる悠馬。
   成績表には“3年A組19番野田悠馬”と“学年順位2位”の文字。
   ふと前を見る悠馬。
   悠馬の前に座っている高島爽志(18)。
   高島の手には成績表。成績表には“学年順位1位”と“高島爽志”の文字。
   悠馬はじっと見つめる。
悠馬「1位…」
   振り返る高島。
   悠馬は目を逸らす。
高島「羨ましい?一位が」
悠馬「…そりゃまあ」
高島「喜んで譲るよ」
悠馬「譲るって…」
高島「あのさ」
   高島の遠くを見つめる目。
高島「誰も何も言わなくなると死にたくならないか?」
悠馬「…」
   悠馬は高島を見つめる。

◯同・体育館・中(朝)
   悠馬はボーッと一点を見つめる。

◯同・3年A組の教室
   3年A組の看板。
   生徒達は各々談笑している。
   悠馬は一人で本を読んでいる。
   周りを見渡す悠馬。
   談笑する生徒の笑顔。
   悠馬はふと前を見つめる。
   悠馬の前の席は空席。
   悠馬の持っている本の表紙には“人間失格”の文字。

◯野田家・中・リビング(夜)
   食卓でご飯を食べる悠馬と野田瑠美子(46)と野田利光(48)。
利光「今度の期末テストの調子はどうだ?」
悠馬「良い感じ」
瑠美子「そう。良かった。今のままなら二学期の成績も問題なさそうね。きっと
 悠馬なら東大受かるわ」
利光「親子二代で東大は俺も嬉しいよ」
悠馬「あのさ…俺…」
瑠美子「どうしたの?」
利光「何だ?」
悠馬「俺…友達一人もいないんだ」
   悠馬は俯く。
   利光と瑠美子は顔を合わせる。
瑠美子「ああそんな、気にすることないわ」
利光「そうだぞ、今の子はそういうの、ぼっちとか言って気にするみたいだけ
 ど、皆んな人それぞれ。お前はお前でいいんだから。な?」
悠馬「…」
   悠馬は静かに頷く。

◯学校・3年A組の教室
   生徒は全員席についている。
   斎藤隆弘(33)が教壇に立っている。
斎藤「はいそれじゃ、期末テストの総合成績表渡すんで呼ばれた人から取りに来
 て」
   ざわつく教室。
   × × ×
   悠馬が成績表を手に持ち席に座る。
   成績表には“学年順位1位”の文字。
   悠馬は前を見る。
   空席。

◯公園(夕)
   悠馬が歩いている。
   騒いでいる男子生徒二人。悠馬と同じ制服。
   悠馬、立ち止まる。二人に向かって歩いていく。
   二人は悠馬に気づき、静かになる。
男子生徒1「野田?」
   悠馬は二人を見つめ、
悠馬「…俺と…、俺と友達になってくれないか?」
男子生徒2「え…」
   二人は顔を見合わせる。
男子生徒1「何言ってんだよ!」
   笑う二人、悠馬を挟むように立つ。
   悠馬、戸惑う。
男子生徒2「俺たち同じクラスだろ?友達に決まってんじゃん」
男子生徒1「え逆に野田は俺たちのこと友達だと思ってなかったのかよ」
   悠馬を見つめる二人。
悠馬「…」
   悠馬も二人を見つめる。
悠馬「そっか…」
   悠馬は俯く。

◯住宅街(夜)
   悠馬は一人、俯きながら歩く。
女の声「勉強なんかもうどうだっていいの!」
   悠馬は声のする方へ顔を向ける。

◯山下家・全景(夜)
   “山下”の表札。
   二階の窓。山下沙織(18)の後ろ姿。
   窓は開いていて沙織の叫ぶ声が家の外まで響く。
沙織「立ち直れるわけないでしょ!忘れろとか、私の気持ち知らないくせにそん
 な無責任な事言わないでよ!」
   沙織が教科書を投げ飛ばし、振り返る。
   沙織、ピタッと止まる。

◯同・全景(夜)
   悠馬はじっと見つめている。視線の先には二階の窓で涙を拭く、沙織の
   姿。
   沙織も悠馬を見つめている。
   悠馬はゆっくりと歩き出す。

◯本屋・中(夜)
   呆然と本を見つめる悠馬。
   本を一冊手に取る。表紙には“蜘蛛の糸”の文字。
   悠馬はふと横を見る。
   店員が本を陳列している。
   悠馬はじっと店員を見つめる。

◯学校・3年A組の教室(夕)
   誰もいない教室に悠馬と斎藤が向かい合い、立っている。
悠馬「…すいません」
   俯いている悠馬。
斎藤「勉強のストレスで万引きなんかやったんだろ?お前のことだからきっと自
 分のこと相当追い詰めてたんだろ」
   俯いている悠馬の肩に手を置く斎藤。
   微笑む斎藤。
斎藤「もう二度とこんなことしないように、次から気をつけなさい。いいな?」
   斎藤は去っていく。
   悠馬は徐に歩き出す。
   呆然と空席を見つめる悠馬。涙を流す。
悠馬「何で…」
   悠馬は机に抱きつくようにうなだれる。
   悠馬の涙が机を濡らす。
悠馬「何で死んだんだよ!」
   悠馬は机を強く抱きしめる。
   突然、紙がクシャッと鳴る音。
   悠馬、ゆっくりと机の中を見る。
   机の真裏に白い紙がテープで貼られている。
   悠馬は紙を取る。
   悠馬の目から涙が溢れる。
   紙には大きな文字で、
   “高島爽志 遺書
   いい加減にしろ!お前は本当に駄目でどうしようもない人間だ!一からや
   り直せ!”と書かれている。
   涙を流す悠馬の背後に人影。振り向く悠馬。
   沙織が立っている。沙織の目からは涙が溢れている。
   沙織はゆっくりと悠馬に近づき、
沙織「…生きてて欲しかったね」
   悠馬は頷く。

◯イメージ
   黒い雲の隙間から差し込む朝日。

◯学校・正門(朝)
   生徒達が登校している。
   悠馬が歩いている。立ち止まる。
   沙織が歩いている。立ち止まる。
   正門の端と端で悠馬と沙織が見つめ合う。
沙織「おはよう」
   沙織が微笑む。
悠馬「おはよう」
   悠馬は静かに微笑む。

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