短編ホラー③『鏡の奥から覗くモノ』 ホラー

深夜零時。小学校の女子トイレの鏡に十年後の自分の姿が映る。この都市伝説には恐ろしいルールが一つあって……
美野哲郎 6 0 0 07/20
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第一稿

 人物
理奈(11)
亜由美(12)
女(21)
男性教師
女子A、B、C

〇小学校・外観(夕)
   下校する生徒達。

〇同・廊下(夕)
   亜由美( ...続きを読む
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 人物
理奈(11)
亜由美(12)
女(21)
男性教師
女子A、B、C

〇小学校・外観(夕)
   下校する生徒達。

〇同・廊下(夕)
   亜由美(12)、女子A、Bが女子トイレのドアを押え付ける。
   内側から抵抗あって、

〇同・女子トイレ(夕)
   理奈(11)、ドアを開けようと必死に引いている。
理奈「開けて、出してよ亜由美ちゃん」
亜由美の声「リナリナ、ちょっと静かに」
理奈「どうして意地悪ばっかりするの」
亜由美の声「リナリナ、静かにして。いいから振り返ってみ。『未来ミラー』あるでしょ」
   理奈、振り返る。洗面台に小さな鏡。
   上部にヒビが入っており、遺影の額縁の様。
   洗面台には包丁が置かれている。

〇同・廊下(夕)
   亜由美、他の二人にドアを任せ、
亜由美「未来ミラー。深夜零時ピッタリに包丁くわえてその鏡を覗くと、
 十年後の自分の姿が見えるんだって。知ってた?」
   返事が無い。亜由美、ドアを強く蹴る。
亜由美「リナリナ答えてー」

〇同・女子トイレ(夕)
   理奈、泣きそうな顔。
理奈「その呼び方やめて。私、何か亜由美ちゃんに嫌われるようなことした?
 ねえ、したなら謝るから」
亜由美の声「知ってるかって聞いてるの」
理奈「知ってるよっ、だって私が亜由美ちゃんに教えたんじゃん、未来ミラー。
 ずっと昔、低学年の頃。こんなの迷信に決まってるでしょ」
亜由美の声「包丁は用意しておいたからね。親切でしょ。
 言っとくけど私、リナリナのこと大好きだから」
   理奈、洗面台に置かれた包丁を見る。

〇同・廊下(夕)
   亜由美、手元のスマホを見る。
   動画の中、ユーチューブにアップされた理奈の姿。
   自室で、マスクをした理奈がフリフリのドレスを着て歌っている。
   動画タイトル『リナリナ、『〇〇(流行りの曲名)』歌ってみた』。
   再生回数、一桁。
亜由美「リナリナ、アイドルになりたいんでしょ。
 さっさと未来ミラーで確かめちゃえばいいじゃん。親切で言ってんの」
   女子C、階段から走りくる。
女子C「先生来たよ」
亜由美「みんな帰って。後は私やっとく」
   亜由美以外、去って行く。他に生徒が残っている気配は無い。

〇同・女子トイレ(夕)
   ドアが開き、亜由美が入ってくる。
   思わず体を引く理奈。
   亜由美、消灯して包丁を取り、理奈の手を引いて個室の中へ。
   扉を閉める。

〇同・廊下(夕)
   見回りの男性教師、女子トイレを軽く覗く。
   個室の扉は死角にある。

〇同・トイレの個室(夕)
   亜由美、包丁を理奈の目の高さに持ち上げる。
   理奈、恐怖して息を呑む。

〇同・廊下(夕)
   男性教師、去っていく。

〇同・女子トイレ(夕)
   個室から出てくる理奈と亜由美。
亜由美「リナリナ、ケータイ出して」
   理奈、ガラケーを出して亜由美に渡す。
亜由美「はい。これ私の。充電バッチリだから」
   亜由美、スマホを理奈に渡すと、包丁を洗面台に戻す。
亜由美「じゃ、深夜零時に鏡覗く時、証拠動画も撮っておくこと。
 動画撮るの得意でしょ?」
   亜由美、理奈の踊りをバカにして真似する。
理奈「それ? それなの? 私がアイドル目指してるのが気に入らないの?」
亜由美(笑う)「アイドル? マスクで顔隠してるくせに?
 見て欲しいのか見て欲しくないのか、どっちなんだよお前」
理奈「だって……私は、可愛くないから。
 歌が認められたら、メイクして可愛くなるから」
亜由美「ああ、ごめんごめん」
   亜由美、理奈の頬に触れる。
亜由美「理奈は今でも可愛いよ。十年後にアイドル、なれてるといいね。
 でも未来ミラーに映る自分がアイドルになってなかったら、もう諦めて」
理奈「映るわけないよ未来の自分なんか。
 ねえ亜由美ちゃん一人にしないで、怖い」
亜由美「電気点けちゃダメだよ。あ、後もし、零時に鏡に映った自分を見て、
 ビックリして包丁落としたら、死んじゃうから。気をつけてね」
   亜由美、廊下に出てドアを閉める。
   理奈、薄暗いトイレに残される。
   ドアの前で立ち尽くす。振り返り鏡を見る。
   恐る恐る近づいて、覗き込む。
   顔が遺影のよう。
   理奈、洗面台の包丁をそっと握り、持ち上げる。
   鏡に映る理奈の顔と包丁。
   理奈の後方に、トイレの個室が映っている。
   薄暗く不気味。上げたままだった便器の上蓋、ひとりでに落ちる。
   理奈、ビクッと驚く。

〇同・外観(夜)

〇同・女子トイレ(夜)
   窓から月明かりが差し込む。
   扉を開けた個室の中、便器の上に体育座りで丸まっている理奈。
   泣き疲れて眠っている。
   扉が閉まる音がして、目を覚ます。
   泣きはらした顔を上げ、スマホの電源を入れる。
   表示時刻は23時55分。
   理奈、目をこすり、鏡の前に立つ。
   恐る恐る包丁を口元に運び、横にしてくわえる。
   月が雲に覆われ、月明かりが薄れる。
   理奈、包丁をくわえた口元が安定せず、危うい状態でスマホのカメラを鏡に向ける。
   表示時刻は23時59分。
   視線をずらすと、鏡に映る個室の一つ、扉が閉まっている。
理奈(緊張)「……?」
   表示時刻は深夜零時。
   スマホを向けたまま、鏡に映る自分を見つめる。
   後方の個室の扉が、ひとりでにゆっくりと開き始める。
   理奈、目線が鏡から後方に吸い寄せられる。
   ゆっくりと振り返る。
   扉が開いた個室の中、闇が濃くてよく見えない。
   理奈、鏡に目線を戻す。
   と、いつのまにか鏡の中、目の前に笑う女の顔。
女「ビックリした?」
理奈「!?」
   ギョッとする理奈、包丁から口から外れ、床に落ちる。
   理奈、スマホも落として自分の口を押え、泣きそうに恐怖。
   恐る恐る顔を上げる。
理奈「……?」
   女、一歩下がっている。
   フリフリのドレスを着て、理奈に向けてターンして見せる。
女「どう?」
理奈「……あの」
女「あ、包丁? 関係ないない。あれからなんも起こらなかったから」
   女、指先で理奈を手招く。
女「おいで。こっち」
   鏡の向こう側の女、鏡に手を当てる。
理奈「……?」
女「あなたの歌。みんなが待ってるから」
理奈「私の、歌?」
   理奈、怯えながら震える腕を上げ、女に手を合わせる形で鏡に触れる。
   鏡越しに二人の手が合わさる。

〇女の部屋(夜)
   女(理奈)、鏡に映った表情から一転、驚いて今いる部屋を見渡す。
   一人暮らしの部屋に配信機材一式。
   前を見る。
   そこには鏡ではなく、PCモニター。
   暗い女子トイレに立つ理奈(女)が映っている。
   先程までの怯えは消え、余裕の表情の理奈(女)。
理奈(女)「十年後、みーんなマスクしてるんだから。
 あなたは見た目なんて気にしないで。好きな歌を歌えばいいの」
女(理奈)「……?」
理奈(女)「でも、今歌わせてあげるのは一曲だけね。さ、みんな待ってるから」
女(理奈)「みんな……? どこで……?」

〇小学校・女子トイレ(夜)
   理奈(女)、先ほど扉が開いた個室を覗く。
   扉の内側の死角に隠れていた亜由美、苦笑。
亜由美「見つかっちゃった」
   理奈(女)、呆れた溜め息。
理奈(女)「ごめんね、亜由美。あなたの知らない私が勝手にアイドル目指して」
亜由美「は?」
理奈(女)「リナリナってなんだよって。置いてかれそうで怖かったんだよね」
亜由美「……誰だよ、お前」
   理奈(女)、手にした包丁を、亜由美の顔の脇、壁に突き立てる。
   亜由美、髪の端も包丁に巻き込まれ、愕然。
亜由美「──!?」
理奈(女)「安心して。どんな形でも、リナリナは絶対夢を叶えるから」

〇女の部屋(夜)
   PCモニター画面、切り替わる。
   Vチューバー「リナリナ」と、同接数千単位の視聴者数の表示。
女(理奈)「へ? ……え? ……これ、私?」
   女(理奈)の声に合わせて、リナリナの表情が変わる。
   PC前にマイクセット。
   チャット欄、リナリナの次の曲を求めている。
   『早く歌って』
   『幻の『歌ってみた』のやつ!』
   『リナリナ~ 見てるよ』
   やがて曲のオケが流れ出す──理奈が『歌ってみた』動画で歌っていた曲。
   女(理奈)、やがて理解し、
女(理奈)「……リナリナ。歌います」
   あの曲を歌い出す。

                            終わり

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