マンネンヒツの洗いかた ドラマ

父の万年筆が、やさしい思い出を連れてかえってきた。
やまもこ 20 0 0 05/31
本棚のご利用には ログイン が必要です。

第一稿

人 物
真山優斗(6・26) 文具屋の店主
渡来晶(6・26)  出版社勤務
真山達矩(42)   優斗の父、文具屋の店主
川添(50)     編集長


〇小学校 ...続きを読む
この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
 

人 物
真山優斗(6・26) 文具屋の店主
渡来晶(6・26)  出版社勤務
真山達矩(42)   優斗の父、文具屋の店主
川添(50)     編集長


〇小学校・教室
   真山優斗(6)、ボールペンでノート
   に試し書き。が、まったく色が出ない。
   その横、口をひん曲げる渡来晶(6)。
   顔が歪み、鼻が膨らみ、泣きわめく晶。
晶「ウゥエ~~! 優斗がペン壊したァァア
 アア! もぉゼーッタイおうち行かない!」
   ノートのそばに水の入ったコップ。
   優斗、目を充血させ、天井を見上げる。

〇真山家(まやま文具)・外観(夕)
   古い木造の一軒家。
   『まやま文具』と看板が掛かる。

〇同・玄関・内(夕)
   優斗、うつむいて入ってくる。
   笑顔で迎える真山達矩(42)。
真山「おかえりぃ! ん、どした?」
   優斗、唇が小刻みに震え、鼻息で肩が
   上下し、堰を切ったように泣き出す。
優斗「ボク、直そうと思ったの! パパがい
 つもやってるように! けど、けどね……」
   真山に飛びつく優斗。顔を押しつける。
   真山、驚くが、抱いて頭をなでてやる。

〇同・書斎(夕)
   真山、万年筆のペン先を外し、グラス
   の水に浸す。そのグラスを優斗の前に。
   水が青緑色に染まっていく。
   優斗、袖で目をこすり、それを見守る。
真山「こう、したのか?」
優斗「(鼻声)ウン」
真山「ハハハ。こうやって掃除するのは万年
 筆だからだ。晶は怒ったらしぶといぞぉー」
優斗「マンネンシツ?」
真山「万年ヒーツ。優斗も使ってみるか? 
 カワイイやつは、あ、る、か、なー、っと」
   真山、ペン立てから1本選んで取る。
   優斗に持たせ、その手を覆って握る。
   便箋を取り、一緒に文字を書いていく。

〇出版社・オフィス
   T『20年後』
   デスクで、万年筆を眺める晶(26)。
   『T.Mayama』と刻印がある。
   後ろを通る川添(50)。立ち止まる。
川添「渡来、もう出たら? 遠いんだろ?
 堀先生の原稿は誰かに行かせるから」
晶「……はい、編集長。そろそろ」
   晶、足元に置いた紙袋を開ける。
   喪装用の黒いバッグと靴が入っている。

〇まやま文具・店内(夜)
   レジ台に座り、青緑のインクボトルを
   指先で触る優斗(26)。
   その手元が影で覆われる。
晶の声「探しているものがあるのですが」
   台に万年筆が置かれ、顔を上げる優斗。
   畳まれた紙を開き、差し出す晶。
晶「このきれいな色のインク、ありますか」
   優斗、紙を受け取る。
   青緑の大きな文字。優斗(6)の声で。
   『かわりに おとうさんのマンネンヒ
   ツあげます だから これからも お
   うちきてください ごめんね ゆうと』
   優斗、便箋を持つ手が震えている。
   涙が落ち、『ヒ』の辺りが滲んでいく。
晶「優斗も、泣くんだね」
   晶、優斗の頭に手を置き、なでる。
   並ぶインクボトルと万年筆。
   そこに、ふわっと便箋がかぶさる。

                  〈終〉

この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
本棚のご利用には ログイン が必要です。

コメント

  • まだコメントが投稿されていません。
コメントを投稿するには会員登録・ログインが必要です。