パソコン部の人々 学園

バスケ部は大会を目指している。吹奏楽部はコンクールを目指している。じゃあパソコン部が何してるか、みんな知ってる?
マヤマ 山本 3 0 0 05/17
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第一稿

<登場人物>
蔵本(12)パソコン部部員
釜田(12)同
石田 輝久(12)蔵本、釜田の友人
中村 大海(12)蔵本のクラスメイト

部員A~D



<本編> ...続きを読む
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<登場人物>
蔵本(12)パソコン部部員
釜田(12)同
石田 輝久(12)蔵本、釜田の友人
中村 大海(12)蔵本のクラスメイト

部員A~D



<本編> 
○メインタイトル『パソコン部の人々』

○中学校・外観

○同・廊下
   「1―3」と書かれた表札。

○同・教室
   机を挟んで向かい合って座る蔵本(12)と釜田(12)。そこにやってくる金髪の生徒、石田輝久(12)。
石田「ねぇ、クラ」
蔵本「『ね』を付けんな」
石田「お、カマもいるし」
釜田「『お』を付けんな。何の用?」
石田「いや、クラがサッカー部辞めたって聞いたから、飛んできただけだし」
蔵本「あ~、その話か。何か、急にヤンキーな先輩が戻ってきたりして、馬が合わなくなっちゃったから」
石田「で、どうすんの? ウチの中学、部活動必須なんだし、次何部入んの? バスケ部とか?」
蔵本「いや、運動部に途中入部するの、何か嫌だから……」
釜田「パソコン部入るんだってさ」
石田「パソコン部? 何で?」
蔵本「文化部で男子いるの、パソコン部くらいだから」
石田「いや、吹奏楽部に二人居るし」
蔵本「確かに。でもまぁ、パソコン部だったらカマも居るから」
石田「そっか。……でもパソコン部って、実際何してんの?」
蔵本「……さぁ?」
   釜田に視線を向ける蔵本と石田。
釜田「部員数は二年が三人くらいで、一年はクラが入れば十人。でも二年は全員幽霊部員だし、顧問も全然部活来ないから、自由」
蔵本「大会は?」
釜田「ある訳ない」
石田「じゃあ、尚更何してんの? 超気になるし」
釜田「(ニヤリと笑い)じゃあ、教えてやろう」

○(回想)同・パソコン室
   パソコンに向かう釜田ら部員達。
釜田の声「やる事は、皆それぞれでな」
    ×     ×     ×
   タイピングソフトを使う部員A。
釜田の声「ある部員は、ひたすらタイピングスピードを鍛えてる」
   ランキング一位に名前が載る部員A。
釜田の声「コイツの野望は、パソコン室の全パソコンのランキングのトップ5を独占する事らしい」
石田の声「そいつ、そんなにタイピング早いの?」
   同じタイピングソフトを使う釜田。結果、ランキングに入れない。尚、一~五位は部員A。
釜田の声「すでに多くのパソコンのランキングがヤツの手に落ちているよ」
蔵本の声「そういう大会があったら、良い所まで行ったんだろうな」
    ×     ×     ×
   部屋の隅、旧式のパソコンの前に座る部員B。傍らにはプログラミングの本。
釜田の声「またある部員は、独学でプログラミングを学んでいる」
蔵本の声「そんなんも出来るの?」
釜田の声「ウチのパソコン室は基本的にウィンドウズなんだけど、昔の、黒い画面に文字打つだけのパソコンが部屋の隅に二台だけ残っててな」
    ×     ×     ×
   部員Bが使うパソコン、簡単なゲームが起動する。それをプレーする釜田。感嘆。
石田の声「でもそんなん、独学でやるくらいなら先生に聞いた方が早そうだし」
釜田の声「あぁ、そうそう。言い忘れてたけど、ウチの顧問はパソコン全く知らない人だから」
蔵本の声「そりゃ、来ない訳だ」
    ×     ×     ×
   筋トレをする部員C。
釜田の声「またある部員は、ひたすら体を鍛えてる」
石田の声「何で?」
釜田の声「コイツ、本当は野球部入りたかったらしいんだけど、親に『金かかるからダメ』って言われて、それでパソコン部に入ったらしい」
石田の声「だからって、何でパソコン部なんだし」
釜田の声「曰く『他にやりたいスポーツもないし……』」

○(回想)同・校舎裏
   ジャージ姿で走る部員C。
釜田の声「『やりたくもないスポーツの、男子運動部の上下関係に耐えられる気がしない』んだって」
蔵本の声「何かわかるわ……」
   部員Cから大きく遅れる釜田。
釜田の声「ちなみにその自主トレの結果、この間の体育の一五〇〇メートル走で陸上部に勝ったらしい」
石田の声「凄すぎだし」

○(回想)路上
   フォークギターを演奏しながら歌う部員D。
釜田の声「それから、路上で歌ってる部員もいるな」
石田の声「どんどんパソコン関係なくなってるし」
釜田の声「ちなみにこいつは、テニス部を一日で辞めてる」
蔵本の声「早すぎだから」
釜田の声「まぁ、それだけ色んなヤツが集まってるって事だ」

○(回想)中学校・パソコン室
   パソコンに向かう部員D。音楽ソフトを使用している。
釜田の声「ちなみに、ソイツもパソコン使って曲作ってるから、パソコン関係なくもない」

○同・教室
   蔵本の席を囲む釜田、石田。
釜田「とまぁ、こんな感じだ。他は大体、幽霊部員だな」
蔵本「本当、自由だな。他の部からしたら、考えられないから」
石田「うんうん……あれ? 肝心のカマが何してるか聞いてないし」
釜田「俺は別に何も。夏は冷房を浴び、冬は暖房を感じる予定」
蔵本「自由だな」
中村の声「よっしゃ、上がり!」
   盛り上がる声が聞こえ、目を向ける蔵本、釜田、石田。そこでは中村大海(12)らイケてる風男子達が、何やらカードゲームをして遊んでいる様子。
石田「あれ、何してんだし」
蔵本「大富豪。今、ウチのクラスで流行ってんだよ」
石田「トランプ持ってきてんの? ズルいし。校則違反だし」
釜田「お前が言うな」
蔵本「それにアレ、校則違反ではないから」
石田「どういう事?」
   机の中からプリントを取り出し、裏返して「◇3」と書く。
蔵本「こういうプリントの裏紙にトランプのマークを描いて、トランプの代わりにしてるだけ。ただの落書きだから、先生に没収される事もない」
石田「へぇ、頭いい~」
   なにやら思案中の釜田。
蔵本「? カマ、どうした?」
釜田「いい事思いついちゃった」
蔵本&石田「?」

○同・パソコン室
   パソコンでペイントソフトを使う蔵本と釜田。スペードやダイヤなどのマークをトランプさながらに配置していく。
    ×     ×     ×
   プリンターから印刷されてくるトランプ柄の紙。A4用紙1枚につき18枚分のトランプの柄が描かれており、計3枚ある。その出来栄えを見て満足気に頷く蔵本と釜田。

○同・教室
   先のトランプを使って大富豪をする蔵本、釜田ら。
釜田「八切り、上がり!」
   蔵本らの盛り上がりに気付き、やってくる中村。
中村「何これ。もはやトランプじゃん」
蔵本「まぁな」
釜田「パソコン部の作品だよ」
中村「いいな~」
釜田「なら、要る?」
   もう一組、同じトランプの束を中村に差し出す釜田。
中村「え、いいの?」
釜田「別に、一回作っちゃえば後は大した手間じゃないし」
釜田「それに、紙代もインク代もタダだから」
中村「サンキュー。一個貸しにしとくわ」
   仲間の元に戻っていく中村。
釜田「パソコン部による学校制圧作戦第一、まずは順調だな」
   顔を見合わせ、笑う蔵本と釜田。
                   (完)

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