具なしのおにぎり 恋愛

とある社会人の弁当箱には、綺麗に握られた具なしのおにぎりがあった。 それにまつわる、甘酸っぱい過去話。
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第一稿

☆場所・ある小学校・調理実習室

その授業内容は、一班で弁当を完成させること。
一人の元気な男の子・ユウタは、面倒がって一番楽そうなおにぎりを担当した。


先生「それ ...続きを読む
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☆場所・ある小学校・調理実習室

その授業内容は、一班で弁当を完成させること。
一人の元気な男の子・ユウタは、面倒がって一番楽そうなおにぎりを担当した。


先生「それでは、班のみんなで話し合って担当の具を決めてください」

ユウタ「はいはい!俺おにぎり!一番楽だろ!」


☆場所・調理実習室・少し時間が経っている

下手くそすぎて丸にもならないご飯を見て、ユウタは半泣きになっていた。
騒ぐユウタに注意する女子と、隣からそれを見て笑う同級生の男子、シュン。

ユウタ「……あーー!無理だってこんなの!」

遠くにいる女子「そこの男子うるさーい」

ユウタ「……くっそー……」

シュン「うわっお前ぐちゃぐちゃじゃん!」

ユウタ「う、うっせえ!これだから家庭科は嫌なんだって……」

嘆きながら半ば諦め、勝手に休憩に入るユウタ。
そして、違う班のおにぎり係を観察しようとする。
そこで目に入ったのは、同じおにぎり係の女の子・マイだった。

☆(回想)

場所・昼休みの教室

元気に教室を走り回っているユウタ。
傍ら本を静かに読んでいるマイ。

二人は全く接点など無い事を現すシーン。


(回想終わり)

☆場所・調理実習室

こっそりマイが握っているおにぎりを覗くユウタ。
すると、それはそれは見事な三角おにぎりだった。


マイ「……」真剣におにぎりを握っている

ユウタ「……すげぇ」

思わず声が出るユウタ。

マイ「……!な、なに?」

ユウタ「え、い、いや……」

そんな感嘆の声を聞いてマイは反応する。
思わず彼女から目を逸らすユウタ。頬が少し赤く染まっている。


ユウタ「お、お前すげえな!俺のも握ってくれ!」

マイ「え!?い、良いよ……?」

なぜか気恥ずかしくなって、ままよと叫ぶユウタ。
驚くが、頼ってくれた事が嬉しくて急いでおにぎりを作るマイ。

マイ「ちょっと待ってね、よいしょ、よいしょ……」

鮮やかな手つきで握っていく彼女。
あっと言う間に出来たそれを見て、不意に彼女の表情は曇り、ミスに気付く。

マイ「……あっ!具入れるの忘れちゃった――」

ユウタ「――い、良いって!おにぎりは具なしが一番好きなんだ、じゃあありがとな!」

思わず誰にでもわかるような嘘をついて、ユウタはそのおにぎりを貰って自分の席に持っていく。
顔は真っ赤で、それを隠すように走って。

☆場所・調理実習室・授業終盤

それぞれが担当した具を詰めていく中、ユウタの担当したおにぎりは酷いものだった。
班のみんなにそのおにぎりを渡し、嫌な顔をする班の全員。
そして苦言を言うシュン。

シュン「ふざけんなお前!四角のお握りがあるかよ……何で自分の隠してんだ?」

ユウタ「なんでもない!」

ユウタはまるで隠すように自分の弁当箱の蓋をしめていた。
その中には、自分だけのマイの作ってくれた具なしのおにぎりが入っているから。

☆場所・ある会社の屋上・昼

サラリーマンとなったユウタ(30歳ぐらい)が、屋上で座りながら弁当を広げている。
隣には、入社したての元気な男の後輩が同じく昼飯を食べていた。

不意に思い出すようぼーっとしながら呟くユウタに、後輩が声をかける。

はっとするユウタ。


ユウタ「……何で急にこんな事思い出したんだろ……」

後輩「……せんぱーい?大丈夫っすか?」

ユウタ「あ、ああ」


☆(ユウタの心の声)

ユウタ「時は経ち、俺も三十歳。あの頃は良かったなあ……」

(心の声終わり)


ユウタの弁当箱を見て、おにぎりを指しねだる後輩。
きっぱり断るユウタ。


後輩「おっ先輩またそれ入ってますね!上手く作りますな~ほんと。一個下さい」

ユウタ「ははは、やらん!」

後輩「……知ってました。そういや、先輩って『具』は何派なんすか?」

質問する後輩。

そして。

ユウタ「はっはっは、おいおい知ってるか?おにぎりは具無しが一番美味いんだよ!良いか?塩と米だけってのが~…………」

決め顔で喋り出すユウタ。
得意げに話すユウタの弁当箱には、マイの作ってくれたおにぎりが昔そのまま入っている。
そのまま、話途中でユウタの心の声。

(ユウタの心の声)

ユウタ「アレから二十数年経っても、あの時のおにぎりは……今もずっと俺の弁当箱が独占している」

(ユウタの心の声・終わり)


終わり。

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