ダンスウィズミー 舞台

私立宮野川ダンス学園に入学することになった踊子(おどるこ) 私立宮野川ダンス学園はダンスのうまさで全てが決まる異常な世界だった。 ダンスを支配するクイーンにそれは違うと言う踊子だったが、ダンスバトルに負けてしまい、最下層のダンスヒエラルキーに落とされてしまう。 同じころ、クイーンに反旗を翻すレジスタンスがクイーンへの反逆計画を企てていた・・・。それに巻き込まれる踊子。果たして踊子の運命やいかに
山本友樹 26 0 0 03/19
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第一稿

踊子が舞台中央にいる。

踊子「ここが今日から入学する私立宮野川ダンス学園か!ワクワクが止まらないよ!ここで今日から5年間1にダンス、2にダンス、3,4も多分ダンス、5もほぼダ ...続きを読む
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踊子が舞台中央にいる。

踊子「ここが今日から入学する私立宮野川ダンス学園か!ワクワクが止まらないよ!ここで今日から5年間1にダンス、2にダンス、3,4も多分ダンス、5もほぼダンスな生活が始まるんだね!」

踊子、ルンルン気分で舞台端へ向かい、はけていく。暗転。

学校の倉庫。

村野出てくる。明転。何かを踊っている村野。うまくはない。

村野「あっ!」

村野ボックスをミスしてこける。

村野「いたたた・・・・」

こけたところを気にして手でさする村野。

踊子舞台端からやってくる。

踊子「迷った・・・・って君!なにやってるの?」

村野「うわぁ!」

驚く村野。

村野「見ての通りダンスだよ。ダンスの練習。」

踊子「そんなの見ればわかるよ。私が聞きたいのはこんな薄暗くて狭いところで踊ってるの?って事。」

村野「そんなの決まってるじゃないか。僕が下手だからだよ。」

村野立ち上がる。

踊子「なんで下手だとここで踊るの?(マップを取り出す)これによるとここには体育館は10個近くもあるんだよ?他にもダンスルーム、クラブルーム、よりどりみどりだよ?ここ倉庫だよ?」

村野「そんなの使えるわけないよ?」

踊子「なんで?」

村野「なんでって、ねえ?」

村野、とあることに気付く。

村野「君、バッジは?」

踊子「?」

村野「バッジだよ、バッジ!」

踊子「この制服新品だよ?そんなくさかったりするかな?」

村野「いやばっちいって言ってるわけじゃくてね。」

踊子「じゃあなんなの?」

村野、感づく。

村野「もしかして君、転校生?」

踊子「うん、今日からこの学校に入学することになったの。踊り踊子、よろしく。」

村野「転校生って事か。村野翔です。」

踊子「転校生って事ね。」

村野「だったらばれない様に早く貰いに行こう。」

クイーン、登場。(姿は見えない)

クイーン「その必要はなくてよ?」

村野「まさか!」

全体が光り、クイーンが映る。クイーンの周りには何人かの付き人がいる。

村野「クイーン・・・・!」

クイーン、村野と踊子の方へと歩いてくる。

クイーン「私への朝のお世話もすっぽかして踊るなんていい度胸してるじゃない?」

村野「すっぽかす?え?」

村野、腕時計を見る。青ざめる。

村野「ああああああああ!!すいませんでした!(土下座する)」

クイーン「あなたのせいで私の靴は汚れたまま土を踏むことになったじゃない。どうしてくれるの?」

村野「大変申し訳ございません!」

クイーン「さっさと来なさい!この愚図!」

村野「クイーン、少しよろしいでしょうか?」

クイーン「何よ愚図。こんな汚い所に1秒だっていたくないんですけど?」

村野「なんでここが分かったのですか?ここはこの学校でほとんど使われていない倉庫。この場所を知る人間は誰だっていないはず。」

クイーン「はははははは!」

高笑いするクイーン。

クイーン「あなたってつくずく愚かね。」

村野「愚か?」

クイーン「ええ。いいダンスの匂いは嗅覚をくすぐり、私の才能を刺激する、だけど、ゴミみたいなダンスを私は排除したくなるの。私の敷地内で低俗なダンスをするのはゆるせないの。学費を払ってるからって。はぁ、とても気持ち悪い。」

踊子「ちょっと!さっきから黙って聞いてれば!」

踊子、かなり怒っている。

クイーン「?見ない顔ね?階級は?」

踊子「階級?なにそれ?」

付き人A「クイーン、こいつ!もしや反乱分子!」

村野「違います!この子どうやら今日転校してきたみたいで!ここの事よく分かってないみたいで!」

踊子「この子が何したのよ!ダンス踊る学校でしょ?ダンス学ぶ学校でしょ?ダンス踊って何が悪いの!あんたパン屋でパン食べてる人にキレるわけ?」

村野「君!」

クイーン「はははは!面白い!実に面白いわ!いいわ!ここであなたを試してあげる!」

踊子「試す?」

村野「この子はまだ来たばかりで何も分かってないんです!だから勘弁してやってください!どうか!」

クイーン「黙りなさい!」

村野を足蹴にするクイーン。

踊子「足で何踏んでるのよ!」

クイーン「これが彼の仕事よ?」

踊子「(目つきが変わったようになる)仕事?(頭を横に振る)いいから足を離して!謝って!」

クイーン「どこまでも挑戦的ね!いいわ気に入った!もっと気に入った!」

踊子「私は全然気に入ってないんだけど!」

クイーン「インスタンスエディケイション!クローム!」

周りざわつく。

村野「ちょっと待ってください!この子は今日来たばかりなんですよ!インスタンスエディケイションは!」

クイーン「へぇ、奴隷の癖に私にたてつくのね?」

村野「違います!まだ彼女は来たばかり・・・・」

踊子「インスタンスエディケイション!」

村野「!?」

踊子「ここはダンスの学校、要は踊ればいいんでしょ?」

クイーン「話の呑み込みが早いわね。」

実況、横からやってくる。

実況「さあ!始まりました!インスタンスエディケイション!こんな朝早くからインスタンスエディケイションが見られるなんて思いもしませんでした!こんな熱い試合を!インスタンスエディケイションをこんな朝早くから実況できるとは夢にも思いませんでした!実況はわたくしダンス放送部のダンスあるところに私の声があり!梶原がお送りします!」

踊子、さっそく踊り始める。

実況「さっそく踊り始めたのは踊子選手!華麗に舞っております。」

数分間踊り続ける踊子。ピンスポで追う。

村野「踊子ちゃん、うまいな。これならクイーンにも勝てるかも?」

踊り終わる踊子。

実況「ここでフィニッシュ!素晴らしいダンスでした!続いてクイーン!」

クイーン「格の違いってもんを見せてあげるわ!」

クイーン、踊り始める。ピンスポがそれを追う。

暗転。真っ暗になる。

明転。踊り終わったクイーンがいる。

踊子「ごはっ!」

血を吐いて吹き飛ばされる踊子。

村野「踊子ちゃん?」

踊子「これが、クイーン!」

クイーン「実力の差というものが分かったみたいね。」

踊子「圧倒的なダンス力、表現力、全てが完璧・・・・!」

クイーン「差が分かったところであなたにも身分をあげるわ。ここで生きぬくためにもね。」

クイーン、踊子にバッジを投げる。クイーンの周りにいる1人がそれを拾い、踊子にバッジをつける。

暗転。

明転。教室。踊子と村野が学生机と椅子に座って喋っている。

村野「さっきは災難だったね。」

踊子「このバッヂなんなのよ?外しちゃいけないってどういう事なの?」

村野「そういうルールなんだから仕方ないよ。」

踊子「そんなルール、私知らないよ。これなんかださいし。」

村野「そんな元も子もない・・・・」

踊子「捨てちゃお!」

村野「あっ!」

バッヂを服から取り外し、投げようとする。

ビー!ビー!と警報音が鳴り響く。

村野「いわんこっちゃない・・・・」

溜息をつく村野。

踊子「え?何?」

舞台にやってくる委員会5人。

委員会A「番号2291番!踊り踊子!貴様!バッヂを外したな!」

踊子「え?何?何?」

委員会A「お前が転校生の踊子だな?」

踊子「は、はい。」

委員会A「貴様!バッヂを今すぐつけろ!」

踊子「いやよ!ダサいもん!」

村野「ちょっと!踊子ちゃん!(委員会に)すいません!この子ここに転校してきたばかりで!」

委員会A「貴様の意見は聞いていない!」

村野、委員会Aに殴られる。

村野「ぐえっ!」

踊子「ちょっと!殴ることないでしょ!」

委員会A「うるさいだまれ!」

村野「踊子ちゃん!バッヂをつけて!」

踊子「わ、わかったわよ!つければいいんでしょ?つければ!」

踊子バッヂをつける。

委員会A「よし、それで良しだ。二度と舐めた真似はするなよ。」

委員会A出て行く。

踊子「なんなの?一体。」

村野「この学校にいるってことはそのバッヂを永遠につけ続けるって事なのさ。」

踊子「冗談じゃないわよ!そもそもどうしてこのバッヂをつけなくちゃいけないのよ!」

村野「身分だよ。」

踊子「身分?」

村野「どれだけ踊れるかの身分。僕だって。ほら。」

村野、バッヂをポケットから取り出して見せる。

踊子「村野くん、バッヂ外してるじゃない!」

村野「僕は踊子ちゃんより身分が上だからね。」

踊子「身分身分うるさいわね。そんなに見下していい気分?」

村野「そんな事ないよ。僕だって最近まで踊子ちゃんと同じ身分だったから。」

踊子「身分について色々教えてよ。私、こんなの間違ってるって言いたいもの。」

村野「分かった。」


シーン 身分紹介のシーン。

クイーンとキング、四天王が壇上に登場。

村野「まず1番上の身分グループがエレフェス。クイーンととキングの2人を中心としたグループ。その2人に従う四天王の6人のグループ。」

クイーンとキング、四天王が壇上に退場。委員会メンバー壇上に登場。

村野「そして上から2つめのグループ、テレボロト。これはエレフェスに認められた委員会や部活動に参加している人がこのグループに入ってる。約100人ほどのグループ。テレボロトの中でも細かく分かれてるらしいけどそれはちょっと詳しくは分からない。」

踊子「細かく?」

村野「うん。彼らが着けているバッヂに色が少し変わってるらしいんだよ。」

踊子「その中でも派閥争いが起こってるってわけか。」

委員会メンバー退場。

村野「そしてその下の身分。バラコロ。僕のいる身分だね。ここが1番おおいんじゃないかな。1番平凡で普通の身分。」

バッヂを踊子に見せる村野。

村野「そして1番下の身分。ジュードラン。踊子ちゃんのいる身分だね。」

踊子「私のいる身分。」

村野「常に番号で呼ばれる。エレフェスの奴隷として扱われる。」

踊子「奴隷?」

村野「うん。」

踊子「ちょっと!ふざけないでよ!私はダンスをしに来たんだよ?ダンサーになりたくてここにきたのになんでこんな事に付き合うことになるのよ!」

村野「それが決まりだから、仕方ないよ。」

踊子「決まりだったらなんだって従うの?」

村野「・・・・・。」

踊子「こんなのおかしいって思わないの?1つも?微塵も?」

村野の両肩を持つ踊子。

村野「そんなの分かってるよ!」

大声を出す村野。踊子の腕を振り払う。

村野「そんなの誰だって分かってるよ!こんなの間違ってるって!みんな平等にダンスをしてお互いを高め合うべきだって!そんな事・・・・分かってるんだよ!」

踊子「じゃあなんで・・・・・。」

村野「どうにも出来ないんだよ。誰にも。」

踊子「どうにも・・・・。」

村野「踊子ちゃんも早く身分を上げるんだ。じゃないと」

踊子「じゃないと?」

村野「この学校でダンスが出来なくなっちゃうよ?」

踊子「え?」

チャイムがなる。


シーン 豪華な円卓が並ぶ。その上には豪華な食事が並んである。そこにクイーン、キング、四天王が円卓を囲むように座っている。

四天王①(シーナ)「そういえば今日朝に言っていた転校生は結局どうしたんですか?」

キング「確かに。この時期に転校生なんて珍しいからねえ。」

クイーン「ちょっと?その話ぃ?勘弁して。ちょっとは見どころがあると思ったんだけど私の筋違いだったわ。」

キング「そういう言い方するって事は何か嫌なことでもあったのかい?」

四天王②(パイロック)「あっ、これもーらい!」

四天王②、円卓の上にあるお菓子をつまむ。

四天王③(アレン)「おいおい、マナーがこれじゃなってないじゃないか。ついてるよ?」

四天王③、四天王②のお弁当をハンカチでぬぐう。

パイロック「ふへへ~ありがとう。」

四天王④(カイザ)「どちらにしてもクイーンを不愉快にさせる存在など許してはいけない!そいつをぶっ潰してシオシオノパーにしてやらんと!噂によればそやつ、バッヂを外して委員会が出動したそうではありませんか!」

キング「なんだって!それは本当かい?」

パイロック「それ知ってるー!」

パイロック、アレンとじゃれている。

シーナ「そいつマジ身の程も知らねえんだなw」

キング「ダンスというものがなんたるかを僕たちが教えてあげないとね。」

カイザ「いや、お2人が出る必要はありませんよ。ここは我ら四天王がけちょんけちょんのぼっこぼこのずったぼろ・・・・」

じゃれていたパイロックとアレンの右腕がカイザの頭にガンと当たる。

カイザ「痛い!何するんだ貴様!」

アレン「これはこれは申し訳ない。」

パイロック「ごめんねー」

カイザ「私が大切な話をしているというのに貴様らは!」

パイロック「だってカイザのお話長くなるんだもーん」

カイザ「なんだと?」

シーナ「確かに言えてる。」

カイザ「シーナまで?」

シーナ「まあそう怒るなって。」

シーナ、カイザの目の前に置いてあったお菓子を食べるシーナ。

カイザ「おい、取っていたんだぞ!」

シーナ「私2つ食べたけどとてもおいしかったよ!」

カイザ「俺は1つも食べていないんだ!おいまて!」

カイザ、シーナを追いかけて出て行く。

アレン「やれやれ騒がしいねえ。」

パイロック「でもさ、ダンスは騒がしいほうが好きでしょ?」

アレン「君とだからさ。」

パイロック「もう!」

アレン「クイーン、キング、私たちはそろそろ。」

パイロック「そろそろ!」

アレン、パイロック、出て行く。

キング「まったく、みんな変わらないな。」

クイーン「これが平穏。でしょ?」

キング「ああ。僕たち高貴なものとしての責務、ノブレスオブリージュ。」

クイーン「あなた好きね。そういう言葉。」

キング「男は誰しもカタカナが好きなものさ。」

クイーン「誰が言ったのよ。」

キング、クイーンをあごくい。

キング「僕が決めたのさ。」

クイーン「まるで自分本位で世界が動いてる、そんな言い方ね。」

キング「この世界は僕を、いや、君と僕を中心に回っているのさ。だから太陽は朝を持ってくるのさ。僕たちを毎日祝福するためにね。」

クイーン「じゃあ月は?」

キング「太陽だと僕たちを強く照らしすぎるからやってくるのさ。夜と月化粧のパウダーを手土産にね。」

クイーン「あなたのそういうところ嫌いじゃないわ。世界は自分を中心として回っている。その方が合点がいくもの。」

キング「僕も君も太陽で月なのさ。」

クイーン「2つで1つ、ね。」

口づけを交わす2人。すぐに2人は背を向ける。

クイーン「で?例の件は?」

キング「2つともだろ?ああ。順調さ。」

クイーン「素敵ね。美しき世界を構築するために。」

キング「美しき世界を構築するために。」

シーン。食堂。

村野「ここが食堂。」

踊子「お腹すいたよ~!午前中ってなんでこんなに長いのよ!」

村野「そんな事ないよ。踊子ちゃんの場合、寝ている時間が半分を占めるんだから。」

踊子「勉強時間は午前中のが長いじゃない。」

村野「あと3時間で授業が終わるんだからさ。」

踊子「そういう問題?」

村野「そういう問題じゃないの?」

踊子、食券売り場で様々な食券パネルを眺める。

踊子「おいしそう!きつねうどんにわかめうどんにカレーうどん!あ!ハイカラうどんも!」

村野「踊子ちゃん、うどんが好きなんだね。」

踊子「なんでそんな事分かったの?」

村野「え?」

踊子「もしかしてストーカー?」

村野「いやいやいや!違うよ!決して!断じて!」

踊子「本当?」

村野「本当だよ!なんで会ったばかりの人のストーカーしてるのさ!」

踊子「まぁ、そうよね。」

ピーピー!と笛の音が鳴る。委員長が出てくる。

委員会A「(踊子を指さして)そこの貴様!」

踊子「私はあんかけうどんかな~?村野くんはどうするの?」

村野「なんでうどん限定なの?いや、僕は実は弁当作ってきてるんだ。」

踊子「そうなの?女子力高いね。今日から名前は『村野女子力高い』だね!」

村野「何その名前。」

委員会A、もう一度笛を鳴らす。

委員会A「踊り踊子!人の話を聞かんか―!」

踊子、笛を取り上げる。

踊子「さっきからうるさいわね!食事中は静かにするものよ!」

委員会A「あ、すいません!ってちがーう!お前のせいだ!お前の!」

踊子「私の?ちょっと朝の事から因縁つけすぎじゃない?」

委員会A「因縁もいんげんもあるものか!貴様はこの食堂を利用することは固く禁じられているんだよ!」

村野「どういう事ですか!それ!」

委員会A「貴様!村野か!貴様だって・・・・といいたい所だが貴様は今の階級は違うんだったな。バラコロは昨日からこの食堂を使用できなくなったのだよ!」

村野「そんな!そんな事ってないですよ!」

委員会A「貴様にそんな事を言う権利はありはせん!」

踊子「ちょっと待ってよ!なんで食事をすることまでとやかくあれこれ言われないといけないのよ!」

委員会A「うるさい!貴様はこっちにこい!」

舞台から委員会が4人ほどやってきて踊子を取り押さえる。

踊子「なにするのよ!」

委員会A「連れていけ!」

踊子、委員会連中は出て行く。

村野「踊子ちゃん・・・・・。」

シーン牢獄。その中に3人の男性(隼人、健太)と1人の女性(香)があぐらをかいて座っている。

そこに委員会連中が踊子を連れてやってくる。

委員会A「貴様はそこの中に入れ!」

踊子、部屋の中へ叩き込まれる。

踊子「いったぁい!年頃のレディになんてことするのよ!」

委員会A「もっとおとしやかになってそういう言葉は言え!」

委員会連中出て行く。

隼人「嬢ちゃん、なんかやらかした口かい?服は新品同様だが。」

踊子「冗談!」

健太「とにかくお前も食えよ!数は少なくなってるけどな。」

健太、踊子に食いかけのスティックタイプのパンを渡す。

踊子「ちょっと食べかけなんだけど!」

香「あんたが来るのが遅いのよ!」

踊子「知らないわよ!私ここに今日来たんだから!」

健太「ほう、転校生か。」

香「転校初日に何しでかしたらここに来るのよ。」

隼人「みんな、詮索は後回しでいいだろう。」

健太「さっさと食っちまいな。ただでさえ少し消費期限が過ぎてる。」

踊子「それ先に言ってよ!」

踊子、パンを急いで口に放り込む。薫子、隼人に耳打ち。

香「(耳打ちしながら)んで、隼人、この子は入れるの?」

隼人「いや、こんな無垢に見える子は入れられんかもな。それどころかもしや裏切るかもしれん。」

踊子「(パンを呑み込み)何の話?」

隼人「君に関係ないプライベートな話さ。そんな事より君の名は?私は隼人。」

踊子「私、踊子。」

隼人「踊子か。いいじゃないか。まるで踊るために生まれ、育ってきたような名前だ。」

踊子「えへへ。この名前気に入ってるんだ。お母さんがつけてくれたんだ。」

健太「てめえの身の上話なんかいいんだよ。」

隼人「おい、健太。ああ、こいつは健太、そっちが香。」

香「よろしくね。」

踊子「よろしく。」

隼人「で、君はどうしてここにいるんだ?ここはジュードランの中でも相当やらかしてるやつが来る場所だ。君のような子が来るとは到底思えない。」

踊子「私ね、怒ったんだ。」

健太「怒った?」

踊子「うん、私の友達がバカにされてたんだ。ダンスが下手だからって。ダンス1つで人を支配して、人を足蹴にして、ダンスをする権利すら奪う・・・そういうのはおかしいよ。」

香「あんたは間違った事をちゃんと間違ったって言える性格なんだな。羨ましいよ。」

踊子「そう?誰だって言えるよ、言ってるんじゃない?」

香「そういう性格はいいことだよ。でもここではやっていけない。」

踊子「え?」

健太「出る杭は打たれる。その結果がここだ。」

踊子「どういうこと・・・・・」

チャイムが鳴る。

隼人「君もいずれわかる。」

暗転。

明転。チャイムが鳴る。学生机と学生椅子に村野と踊子が座っている。

村野「これで今日の授業は終わりだね。」

踊子「つ、疲れた・・・、ここ進学校ってくらい勉強やるじゃない。」

村野「ははは、勉強あまり得意じゃないのかな?(小声で)というかよく転入試験通ったな。いや、ギリギリ通ったのかな?」

踊子「ちょっと何?失礼じゃない?」

村野「ご、ごめん。」

踊子「いや、まあ、確かに?勉強あまり得意じゃないよ?この学校に来ればダンス漬けの毎日だと思ってたのにちゃんと勉強あるんだもん。」

村野「文武両道だよ、全ての道はダンスに通ずる。何の役にも立たない座学もいずれはダンスに役立つって事。知らない?あの有名なシェイクスピアの名言だよ?」

踊子「シェイクスピアって流石だなぁ。先見の明あるなぁ。」

村野「偉い人は昔から偉かったって事だね。」

踊子「違うよ、昔の人だから偉いんだよ。」

村野「深いね。」

踊子「そんなことないよ。」

村野「そういえば食事の時、どこに行ってたの?」

踊子「そう!それ!思い出した!なんで食堂が使えるって言ったのさ!」

村野「それについてはごめん。でも、僕も知らなかったんだ。少し前までは確かに身分制度こそあったもののこんな格差は無かった。みんな使いたい施設は使ってたし、みんなダンスが好きって気持ちはどこか一緒だったのに。」

踊子「そんなすぐに規則って変わるものなの?」

村野「上の人間のいう事が全てだからね。」

踊子「それはとても悲しいことだよ。」

村野「って!そんなんじゃなくて!昼の時にどこに行ってたの?って話!」

踊子「なんかよく分かんないところ。」

村野「どういうこと?」

踊子「とりあえず言えることは牢屋みたいなところだった。」

村野「牢屋?」

踊子「うん。地下に連れて行かれてね。私以外にも何人かいたわ。」

村野「本当に牢屋じゃないか!」

踊子「その人たち曰くここには相当やらかした人が入るところだって。」

村野「やらかした、ねえ。僕には踊子ちゃんがそんなにやらかしたようには思えないんだけどね。」

踊子「とにもかくにも賞味期限が切れたパンを少し食べただけだったわ。散々よ、今日と言う日は。」

村野「災難だったね。そんな踊子ちゃんに。」

村野、バックからパンを取り出す。

踊子「なにこれ?」

村野「スペシャルドック。この学校の人気メニューさ。」

踊子「いいの?」

村野「あの時無理やり連れていかれた踊子ちゃんを待ってたら僕自身も満足に食べなかったんだ。」

踊子「いっただっきまーす!」

踊子、口いっぱいに頬張る。

踊子「うん!おいしい!」

村野「でしょう!なんてったってこの学校の名物だからね。」

踊子「捨てる神あれば拾う神があるとかないとか、こういう事を言うのかもね。」

村野「結構ひどいこと言ってない?」

踊子「え?」

暗転。


明転。部屋の一室。香、健太、隼人がいる。

健太「今日のあいつがそれって事ないですよね?」

香「どうかしらね。でも彼女からはそれを感じられなかったわ。そういうオーラって身にまとってるものじゃないの?」

隼人「さあな。だが急にここに連れてこられたってのは少し留意すべきだと思う。」

健太「で?どうするんですかい?」

隼人「?どうするって?」

健太「とぼけないでくださいよ。あの子を俺たちに引き入れるかどうかって事ですよ。」

隼人「俺個人としては反対だ。」

香「どうして!1人でも多いほうがいいと!」

隼人「分かっている。だが彼女の眼は腐ってはいなかった。そういう子を巻き込むのはいささかどうかと思った。」

香「私情じゃないですか!」

隼人「あの輝きを殺すことを俺たちのポリシーにも反するんじゃないか?俺たちの目的は正しき未来を作り出し、跡に続く者を探し出すことだ。反感を買う人物を作り出すことじゃない。」

健太「しかし!」

隼人「ただの私情だけじゃない。彼女は我々のフラッグになってくれるかもしれないということは私自身も感じている。」

香「じゃあ!」

隼人「ただ焦るなということだ。気が熟すまでは。」

暗転。

明転。四天王たちがいた部屋。そこにはクイーンとキングがいる。

キング「で?どうなんだい?」

クイーン「そうね。」

キング「覚醒は促せそうかい?」

クイーン「あれだけの事をやってもまだへらへらしてるわね。」

キング「だからこそ周りもここまで苦労したんだろう?」

クイーン「こればっかりは仕方ないわね。彼女がどんな人生を送ってきたのかはおおよそのデータは見たけどこれだけ様々な境遇を受けたせいである意味では心臓の方が強くなってしまったのかもしれないわね。」

キング「そう仕向けたのは君だろ?」

クイーン「まさか。全部が全部じゃないわよ。気味の悪いこと言わないで。」

キング「それは申し訳ない。」

クイーン「それよりあなたは?」

キング「なぁに。彼らはいいように働いてくれるさ。」

クイーン「彼女の気が熟すまで何とか待ってないといけないわね。」

何かに気付くクイーン。

クイーン「で?あなたはなんでここにいるの?カイザ?」

カイザ現れる。

カイザ「決してやましい気持ちや反逆の気持ちがあったわけではございません。お許しください。」

クイーン「別にそんな脅迫をするつもりはないわよ。私は悪魔じゃないわ。今は少なくともね。」

カイザ「はっ!」

キング「で?何用なんだい?わざわざ盗み聞きしにきたわけではなかろう?」

カイザ「そうですね。前に言われていた予算案についてなんですが・・・・」

暗転。

明転。教室、踊子と村野がいる。

踊子「そういや村瀬くんはこの後何か予定あるの?できたらこの街を案内してほしいなって。」

村野「ごめん、今日は無理なんだ。」

踊子「そんなぁ」

村瀬「バイトなんだよね。」

踊子「まぁバイトなら仕方ないよね。」

村野「踊子ちゃんはバイトしないのかい?あ、僕のところくる?人手、不足してるんだよね。」

踊子「まあ別にいいかなぁって。勉強ついていくのもやっとだし。」

村野「今後もやる可能性低いの?」

踊子「まぁ別にお金に困ってるってわけじゃないし。」

村野「珍しいね。」

踊子「そう?」

村野「僕たちのような身分は基本的にお金に困ってるもんだよ。知ってると思うけどここの学費はダンスの優秀度合で変わっていくからね。」

踊子「そうなの?」

村野「知らなかったの?」

踊子「うん。」


村野「なんで転入できたんだ・・・・・?」

踊子「村野くんって私以上に失礼よね。」

村野「差し支えなければでいいんだけどお金の工面ってどうしたの?やっぱり家がボンボンとか?」

踊子「いや、普通だよ。普通の家庭だよ?ここくるまで働いてたし。」

村野「ならなんで?」

踊子「ほんとはお金ないから中学出たら働くつもりだったの。実際少しの間だけど町工場で働いてたし。でもね、ある時お母さんが交通事故に合ったの。その時に何故か大量のお金が通帳に入っててね。その通帳にはあなたは私立宮野川ダンス学園ってメモを添えて。」

村野「!」

泣き出す村野。

踊子「ちょ!ちょっと!」

村野「ちょっとごめん。泣いちゃって!いい話だなぁ!」

踊子「バイト先、泣き顔で接客することになるよ?」

村野「そうだね、ごめんね。エリフリャーブランソバーザメンドゥーザ専門店で泣いて接客するわけにはいかないね。」

村野、涙を止める。

踊子「え?今なんて?」

村野「エリフリャーブランソバーザメンドゥーザだよ。」

踊子「いや、その知ってますでしょ?のノリで来られても困るんだけど。」

村野「え?もしかして知らないの?エリフリャーブランソバーザメンドゥーザ。」

踊子「聞いたことも見たこともないし、想像もできないし、今後人生生きてて聞くこともないと思う。」

村野「てことはダウンソードーサインフェリアンも知らないの?」

踊子「さっきからすごい横文字!」

村野「と言うことはキュウレンパトトルジェイオーンも?」

暗転。
明転。15年前。病院(産婦人科)素子、助産師Aがいる。

助産師A「元気な女の子の赤ちゃんですよ!」

助産師は赤ちゃんを抱きかかえ、満面の笑みを見せる。

素子「出産時刻は?」

助産師A「え?」

素子「出産時刻は?と聞いている!」

怒鳴り散らした素子に驚く助産師。

助産師A「12時ジャストですが・・・・・。」

素子「全ての条件はそろったわね。」

助産師A「そんな事よりこの子、可愛いですよ。ほら見て」

素子、助産師の言葉を遮るように

素子「雫緒子(だおこ)、入ってきなさい。」

雫緒子(少女、のちのクイーン)、入ってくる。

雫緒子「かわいい。この子弟?妹?」

素子「妹よ。でもね、妹にはならないわ。」

雫緒子「?どういう事?」

素子「踊り神の伝説は知ってるでしょう?」

雫緒子「それがどうしたの?」

素子「それに従うのよ。」

悠斗、入ってくる。

悠斗「ごめん、仕事が片付かなくて。(赤ちゃんに気付く。)これが、僕たちの赤ちゃん?」

素子「ええ、そうよ。でもあと少ししたら私たちのではなくなる。」

悠斗「?・・・・!(気づく)もしかして?本気でやるのかい?」

素子「ええ。そのためにこの子を産んだのよ。」

雫緒子「(察する)もしかしてお母さん、その子を捨てるの?」

素子「ええ、そうよ。」

悠斗「君はあんな伝説を本気で信じているのか?無理だ!あれは幻想に過ぎない!」

素子「黙りなさい!私のお金が目的で結婚した男が私に大きな口を叩くというのか!なんなら今ここで離婚して貴様をみすぼらしい売れないあの時のダンサーのようにしてやろうか!」

悠斗「そうか、だからお母様もお父様もいない・・・・・!」

雫緒子「父さん!何とか言ってよ!」

悠斗「ごめんな、父さん、母さんには逆らえないんだ。」

雫緒子「え?」

素子「分かったらさっさと動くわよ。」

素子、起き上がり、雫緒子の髪を優しくなでる。

素子「あなたは世界一のダンサーにならなくちゃいけないの。その為ならなんだってしなくてはいけないのよ?」

雫緒子「私はこの子が欲しい。私は・・・・・」

素子「今日の事は全部忘れなさい。いやな夢を見たのよ。」

ここまでのやり取りを聞いていた助産師が食いつく。

助産師A「さっきから聞いていればなんですか!あなた方は人の命をなんだと思っているんですか!」

素子「命?ええ大切ね。だけどそれ以上に成し遂げなければいけない使命があるの。あなたなのような浅はかな人間には理解できない、使命。」

助産師A「ふざけんな!おまえらの都合で赤ちゃんが・・・・・・!」

素子「ならその赤ちゃんをあげるわ。」

助産師A「あげる・・・ですって?」

素子「名前は・・・そうね。雫緒子のライバルになってほしいから踊子なんてどうかしら?」

助産師A「何をいきなり?」

素子「え?あなたが引き取るのではないの?だから私に言いに来たのでしょう?」

助産師A「じょ、上等じゃないの!この子は私が引き取って育てて見せます!あなた方のような最悪な家庭に引き取られることなく立派な娘に育てて見せます!」

素子「計画はもう始まっているの。お忘れなく。その子は人生いばらの道を突き進むことが決定してるの。不幸を抱えた少女になるのよ!(高笑い)」

暗転。

明転。チャイムが鳴る。明転。村野、踊子がいる。学生机と椅子が2つ用意されており、それに座っている。

村野「そういえば部活入らないの?」

踊子「うーん、それなんだよね。」

村野「なんか悩んでるの?」

踊子「どの部活入ろうかな。ってのは考えてるんだけど、この身分でしょ?こう迫害とか受けないかなって。」

村野「まぁ確かに。」

踊子「チアリーディングとか花形の部活だけどああいうのって、ねえ。」

村野「ねえ?」

踊子「偏見かもしれないけどさ、組織内でのいじめとか多く感じない?」

村野「全世界のチアやってる人へ謝るべき発言だと思うけど僕もそう思う。実際内部抗争激しいと聞くし。」

踊子「私はもうそういうのは食事処で十分なんだよね。」

村野「そういう事なら、僕の所属してる部活に来ない?」

踊子「まぁ行ってみるかな。」

暗転。

明転。舞台の右2割だけ明かりがついている。部室前。踊子と村野がいる。

踊子「部室って結構小さいんだね。」

村野「そんなに人数いないからね。」

村野、部室のドアをノックする。ドア越しにゲイツがいる。

ゲイツ「合言葉を言え。」

村野「砂漠に蝶は舞うか?」

ゲイツ「入れ。」

ゲイツ、ドアを開ける。明かりが全部つく。弥勒とアストリーがいる。

部室内

ゲイツ「村野殿~今日はアルバイトと聞いていたのですがな~」

村野「多分それ間違いですよ。」

ゲイツ「ありゃ。そうだっけ?まあいいさ。」

踊子「村野くん、これが部活?」

村野「悪い人じゃないよ。」

ゲイツ「じょ、女性?」

いきなり驚くゲイツ。

踊子「ひ、ひぃ?」

村野「この部室棟に女性?」

村野、「女性だ―!」と叫びながら倒れる。

踊子「なんなのこの人?」

奥の方から声が聞こえる。(弥勒、アストリーの叫び声)

村野「みんなどうしたのさ?」

弥勒、アストリーが暴れまわる。

踊子「なんなのよ一体!」

村野「みんなテンション高いなぁ」

踊子「テンション高いで済むのこれ?」

弥勒、アストリーが倒れる。

暗転。

明転。部室棟。踊子、村野、ゲイツ、弥勒、アストリーがいる。

ゲイツ「いやー驚かせて申し訳ない。女性なんて希少生物と喋るのなんてひっさしぶりでね。私はゲイツ。残りはゲイツと愉快な仲間たちだ。」

アストリー「誰が愉快な仲間だ。俺はアストリー。皇族の息子さ。」

弥勒「僕は弥勒。公務員の息子さ。」

踊子「私は踊子・・・・よろしく。」

踊子、かなり引いてる。

村野「どうしたの?なんかちょっと顔色悪いけど。」

踊子「ちょっと、ね?で何する部活だっけ?」

弥勒「オタ芸さぁ!」

踊子「お、オタ芸?」

アストリー「知らないのか?オタ芸。」

ゲイツ「箱入り娘か?」

踊子「いや、別に普通だけど?」

弥勒「じゃあ実際に見てもらおうよ。」

ゲイツ「いい提案だ。」

アストリー「みんな、行くよ!」

ゲイツ、弥勒、村野「おう!」

ゲイツ、弥勒、村野、アストリーがグループになり、アニソンが流れ始め、踊り始める。村野は少し遅れたり、間違ったりする。

掛け声、コール、全てが完璧なオタ芸を見せられ圧倒される踊子。

踊子「すごい、すごいよ!」

オタ芸が終わる。

踊子「オタ芸って正直あんまりいいイメージ無かったけど何というか、こう、痺れたよ!」

弥勒「そりゃあよかった。(おもむろにスマホを弄りだす)」

アストリー「やっぱ村野はまだまだやなぁ。」

村野「すいません。」

アストリー「そんだけ伸び白あるってことやろ。」

村野、水を飲む。

踊子「もうこれプロの領域だよ!」

ゲイツ「そりゃあそんな事私たちが分かってる。だけどそういうの、嫌なんだ。」

踊子「え?ダンサーになるためにこの学校入ったんじゃないの?」

ゲイツ「私はそんなつもりはない。元々ダンスが好きだったわけでもないからね。」

踊子「え?」

弥勒「この中でダンスで食べていきたいななんて考えているのは村野くんだけだよ。ね?」

村野、頷く。

ゲイツ「私はアニメが好きだからダンスで隠れ蓑にしてるだけだ。親は俺がダンスさえしてたら文句を言ってこないからな。」

弥勒「僕もこの学校入ったのは偶然ダンスがうまかったってだけやしなぁ。趣味レベル以上の事するつもりないし。アストリーなんてダンス嫌いやろ。」

アストリー「勝手に断言するな。まぁ、事実だけどな。」

踊子「ダンスが好きじゃないならなんでダンスなんてするのよ。」

ゲイツ「私もアストリーも就職の潰し程度にしか考えていない。アニメの方が好きだし、アストリーはオタ芸以外のダンスに興味ないし、弥勒はバイトしたくないって理由でこの部活にいるし。」

踊子「なによ!それ!ちょっとダンスに失礼じゃない?みんな全力でやってるのに!この学校だって落ちたって人もいるんだよ?」

何かを察する弥勒。

弥勒「いつもの、だね。」

アストリー「おい、踊子、お前、野球は見るか?」

踊子「え?ええ。少しは。」

アストリー「打席に立ってるバッターが、ボールを投げる投手が、白い三角を守る男が、みんながみんな、野球が好きでやってると思うか。」

踊子「え?」

アストリー「偶然野球がうまいから野球で飯を食ってる可能性はないか?」

黙り込む踊子。

アストリー「サラリーマンが、作家が、アイドルが、俳優が、農家が、全部好きでやってると思うか?楽しいってやってると思うか?」

アストリー「世の中、そうしてる人も多くいる。だけど、そうじゃない人間だっている。間違いなく。それが俺だったりもする。そうするしか手段を持たぬ人間だっている。」

ゲイツ「悪いところが出てるぞ。アストリー。」

アストリー、咳払い。

アストリー「要はお前の好きのお度合いを人に押し付けるなってこった。お前が好きなのは自由だ。だけど他人にとってはそんなでもないかもしれない。人の好きって温度は人それぞれって事だ。長くなって悪かった。」

踊子「価値観の違いって事ね。」

アストリー「そういう事だ。」

踊子「じゃあみんなはどうするの?この後。」

ゲイツ「少なくとも今の事で手一杯だね。この学校は間違っている。それはどうにかしたい。上の人間が言うダンス以外を排除してダンスという定義すら破壊しようとするのは止めないと。私たちのような人間が割を食わないように。」

踊子「どういう事?」

村野「この部活、成果を残してないから廃部寸前なんだよね。あとオタ芸なんてのはこの学校じゃダンスと認められてないんだ。」

ゲイツ「他の部活はガチでダンスをしているんだがこの部活はあくまでエンジョイ、しかも周りにダンスをと理解されにくいオタ芸。競い合う基準もないし、どっちかと言うとライブなんかのパフォーマンスで盛り上げ役。他のダンスに比べてゲスで破廉恥で下世話なものだと考えている奴も多い。」

踊子「でもさっきの、すごかったよ?」
弥勒「でも、それでも伝われないのが現状なんだよね。やっぱりくだらないと言って入ってるから頭ごなしで否定して終わってしまう。どうしてもその結論で終わってしまう。くだらないものはくだらないで終わるのさ。」

踊子「そうなのかな・・・。」

村野「でも、踊子ちゃんみたいにそうやって思ってくれる人がいるならこの活動にも意義があるって思える、でしょ、ゲイツさん。」

ゲイツ「そうだな。」

村野「踊子ちゃんはダンス大好きでしょ?」

踊子「ええ、もちろんよ。」

村野「だからその心を大事にして他の誰かと分かり合えたらな。って。これが僕たちオタ芸部の心からの願いなんだよ、ね、ゲイツさん」

ゲイツ「さっきから私に振るなぁ・・・・。まぁそうだけど。踊子ちゃん、あなたはダンスは相当うまいと聞く。あなたがこのダンスを変えてくれ。ダンスにルールはいらない。ダンスは好きに踊っていいんだって変えてくれ。私たちみたいなはみ出しものでもダンスを踊っていいって声を大きく言えるような社会を作ってくれ。」

どこか優しい笑顔を浮かべるゲイツ。

アストリー「ちょっと村野借りていくぞ。」

村野「あの件ですか・・・・・。」

アストリー「そういう事だ。」

村野、アストリー出て行く。

弥勒「もし、自分がとても大切な使命を生まれた時から授かっててその使命が分かったら、踊子、君はどうしたい?」

踊子「え?いきなりなんですか?」

弥勒「ああ、最近そんな漫画を読んでね、ちょっと他の人ならどうするか聞きたくて。」

踊子「それって私は知ってるんですかね?やらなくちゃいけない事なんですかね?」

弥勒「そうだね、私がやらないとみんなが困ってしまう。」

踊子「(少し考えて)やります。私ならやって見せます。みんなが私の行いで助かるならやってみせます。」

弥勒「その言葉、忘れないでね。」

踊子「え?」

アストリーと村野がいる。

アストリー「決まりだな。あの女はそういう女だ。やはりあいつらの報告は正しかった。」

村野「僕にはそう思えてもそうは思えません。ダンスを純粋に愛する人間を巻き込むのは反対のはずです。」

アストリー「敵はそうは言ってくれない、そして本部の決定も彼女を神輿に上げると決定したようだ。」

村野「そんな・・・・」

アストリー「作戦実行は明後日、さっさと心づもりだけはしておけ。」

村野、踊子、アストリー、ゲイツ、弥勒がいる。部室棟。

ゲイツ「で、どうする?部活入るか?」

踊子「え、えーっと・・・・。」

どたどたどた!と大きな物音を立てて委員会が3人が部室へと侵入してくる。

委員会A「御用改めである!」

村野、踊子、アストリー、ゲイツ、弥勒が固まる。

ゲイツ「御用改め?と言う事は三用改めとか四用改めなんてのもあるのか?」

弥勒「違うよ!要は僕たちを捕まえに来たって事。」

ゲイツ「なるほど。」

弥勒「ゲイツくん、海外生活長かったもんね。」

ゲイツ「勉強になった。」

委員会B「さっきから何をごちゃごちゃ喋っている!」

ゲイツ「うるせえ!今お勉強中だ!」

委員会C「どういう事なんだ?」

アストリー「何かが原因でバレたって事か?」

村野「どうしよう・・・・・」

踊子は状況を理解していない。

ゲイツ「ここは俺たち2人に任せて逃げろ!」

弥勒「アストリーくんがいれば何とかなるって。だからここから逃げて。」

アストリー「そうか。分かった。死ぬなよ。」

ゲイツ「ああ。」

踊子「え?逃げるって何?どういう事?どこから?」

村野「掃除用具入れに入って!」

村野、踊子を連れて掃除用具入れに突入する。

踊子「どういう事なのーー!」

ゲイツも掃除用具入れに突入。3人は姿を消す。

委員会A「掃除用具入れが隠し扉にでもなっていたのか?」

委員会B「どうりでこの部屋ちょっと汚いわけだ。」

弥勒「それはただ単に掃除してないだけよ。」

委員会C「ええい!早く奴の後を追うぞ!」

アストリー「ここからは一歩も通さない。ここからは六用改めである!」

弥勒「ダンスバトル勝負!ミュージックスタート!」

暗転。

明転。アストリー、踊子、村野が暗い地下をさまよっている。

アストリー「何とか脱出できたはいいが、これは困ったな。」

村野「新しくなってから1回行ったくらいですもんね。」

踊子「どこなのよ、ここぉ!」

村野「奴らから逃げ出すため、隠れるための地下通路さ。」

踊子「そんなさも当然みたいに言われても。」

アストリー「確かそろそろのはずだ。」

村野「ここの赤いバツマーク!ありましたよ!」

アストリー「よし!やるぞ!準備をしろ!」

村野「はい!」

踊子「え?」

アストリー、村野「けろけろけろ!明日明後日しあさって!ドンでけででどん!どんでけででどん!」

真剣なまなざしで歌いながら踊るアストリー、村野。

踊子「え?なにこれ?」

ドアが開く音がする。

アストリー「よし、行くぞ!」

暗転。


明転。部室棟。ゲイツ、弥勒、委員会メンバーがいる。

ゲイツ「弥勒、行くぞぉ!」

弥勒「おう!」

ゲイツ、弥勒、ミュージックと共にオタ芸を踊りだす。ピンスポで2人がひたすらに踊っている。

ピンスポ終了。

委員会A「そんなダンスが通用するとでも思っていたか?」

委員会B「笑わせてくれる。」

ゲイツ「まさか!」

委員会C「そのまさか!」

委員会A,B,C上着を脱ぐ。そこには防弾チョッキを着ていた。

弥勒「防弾チョッキ・・・・!」

委員会B「貴様らの行動など読めているんだよ!」

ゲイツ「防弾チョッキなんて着ていたらオタ芸は効かない・・・・!」

委員会A「次はこちらの番だな!」

委員会C「ミュージック!カモン!」

委員会3人、踊りだす。

ゲイツ「なんてダンスだ!」

弥勒「隙がない!」
委員会3人踊り終わる。

弥勒、ゲイツ「ぐはっ!」

弥勒、ゲイツ血を吐いて倒れる。

委員会A「ふん、手こずらせてくれたな。掃除道具入れを調査しろ。」

委員会Bが掃除用具入れのドアを開くも何も異常がない。

委員会B「奴ら、どこへ?ここへ隠れたのではないのか?」

弥勒「お前らには分かるまい!」

ゲイツ「ちょっとした、いや、ちょっとどころではない細工をしているのさ!」

委員会C「細工だとぉ?なんだその細工とは!」

ゲイツ「バカには分からないんだよ!」

委員会C「なんだとぉ!」

委員会C、ゲイツの胸倉を掴んで殴る。

弥勒「ゲイツ!」

委員会B「やめておけ。捕虜として連れて行くぞ。」

弥勒「捕虜?」

委員会A「連れて行け。」

暗転。

地下通路。明転。弥勒とゲイツが手を縛られて倒れて眠っている。委員会3人もいる。

委員会A「起きろ。」

委員会A、弥勒とゲイツの頬を叩き、目を覚まさせる。

委員会A「おきたか。」

ゲイツ「ここは?」

弥勒「薄暗い・・・・・。」

ゲイツ「よくわかんねえもん吸わされてそっから記憶がないな。」

弥勒「コナンでそういうの見たことある。」

委員会B「ほう、コナン、好きなのか?」

弥勒「いや、別に。」

委員会B「そ、そうか・・・・。」

委員会C「なんでちょっとがっかりなんだよ。」

委員会B「いや私三度の飯とコナンが好きなもので。」

ゲイツ「ちょっと待て!このまま吸わされて体が小さくなるとか無いよな?冗談じゃねえぞ!」

委員会B「お前、コナン好きなのか?」

ゲイツ「いや、別に。」

委員会A「もう少しであのお方がここに来られる。それまで抵抗することなくここでじっとしているんだな。」

ゲイツ「こうも縛られていたら動くも動けねえよ。」

弥勒「あのお方?」

委員会B「この世界の主人公とヒロイン、いや、主人公とヒーローと言うべきかな。」

ゲイツ「世界の主人公って言い方、気に食わねえな。」

委員会B「太陽というのは輝き続けるものだからな。」

クイーン、登場。エプロンをし、調理用ヘラを持っている。委員会3人敬礼をする。

クイーン「楽にせい。」

委員会3人敬礼をやめる。

ゲイツ「俺たち的にはラスボスって言ってほしかったな。倒すべき悪!諸悪の根源!」

弥勒「例えるならジンとかウォッカとかね。」

委員会B「お前絶対コナン好きだろ!」

クイーン「で?」

委員会C「先ほど目を覚ましたばかりで特に何も。」

クイーン「まぁあれだけ寝てたものね。せっかく料理を中断してきたんだからきちんと割ってもらわないと。それだけの効果があるものなの、あれ。」

委員会C「安価で効果ばっちりでございましたね。」

ゲイツ「(顔を激昂させ)てめえ!何飲ませやがった!」

弥勒「何かまずいものっぽいわね。」

クイーン「カモミールの茶葉よ。」

ゲイツ「てめえ!きっちりぐっすり眠れるやつじゃねえか!」

クイーン「犬がギャンギャンうるさいわね!」

ヘラでゲイツを殴る。

ゲイツ「痛熱い!肌で分かるぜ!畜生!結構いい油使ってやがるな!」

弥勒「私はゲルググ派よ!」

クイーン「例のアレを持ってきて。」

委員会A「はっ!」

委員会A、B退場。

委員会C「お前、ガンダム好きなのか?」

弥勒「SEEDとダブルオーしか見たことない。」

委員会2人戻ってくる。委員会Aは薄型ノートパソコンを、Bは段ボールを所持している。

ゲイツ「なんなんだ?」

弥勒「段ボール?」

クイーン「どうせどれだけ痛めつけたところであんたらは口を割らないでしょうからね、拷問よ。」

ゲイツ「ほう、痛めつけることの無意味さを知っていながら他の手段をとるのか。よく分からないものだ。」

クイーン「メンタルを攻撃する方がいいものよ。」

クイーン、段ボールからたこ焼きを取り出す。

弥勒「嘘でしょ・・・・。」

クイーン「明石産の高級で新鮮なタコを使用したアツアツのたこ焼きよ?」

ゲイツ「弥勒?どうした?おいしそうなタコ焼きじゃないか。」

弥勒「ダメなんだ・・・・・。」

ゲイツ「え?」

弥勒「タコ、食べれない・・・・。」

ゲイツ「は?」

クイーン「日本有数のタコの名産地である兵庫県明石市出身なのにいや、実家が魚屋なのにタコが苦手なんてとんだお笑い草だわね。草生える。」

委員会A~C笑い出す。

委員会A「草生える。」

委員会B「草草の草ァ!」

委員会C「草(ビブラート)」

ゲイツ「うるせえ!黙ってろ!弥勒、大丈夫さ。お前、いかは食えるじゃねえか。割とおいしく食えるだろ?」

弥勒「ダメなんだよ、タコのあのにゅるにゅるした感じとかエイリアンっぽい見た目とか・・・・。」

ゲイツ「見た目かあ・・・・。」

弥勒「昔から明石に住んでたせいで色んなタコ料理を食わされたよ・・・・たこ焼きを始め、タコ飯、タコの甘辛煮、タコのカルパッチョ、タコの天ぷら、タコの竜田揚げ、タコときゅうりの酢の物、タコス、ドンタコス・・・・」

ゲイツ「ドンタコスもダメだったか・・・・!」

弥勒「タコを食いたくなくてここまで来たのに・・・・!クソ!」

クイーン「さ、食べてもらいましょうかね。それともあんたたちがもってる情報を喋るか。」

弥勒「誰が喋るか!」

じわじわ近づくクイーン。

弥勒「人思いにやれぇ!」

口を大きく開く弥勒。

クイーン「さあアツアツをおあがり。」

クイーン、弥勒の口にたこ焼きを運んでいくが直前でたこ焼きを弥勒の頬に当てる。

弥勒「あつぅ!」

ゲイツ「弥勒ゥ!クイーン!てめえ!てめえには人の心ってのがねえのか!」

クイーン「テロリストが言う言葉かしら?」

弥勒「ゲイツの言うとおりだ。なかなかいい油使ってやがる!」

クイーン「そうかしら?1本あたり5000円ほどよ?」

ゲイツ「結構するじゃねえか!」

弥勒「ディオールのちょっとしたもの買えるじゃねえか!」

クイーン「次はちゃんと食べてもらうわよ!」

弥勒の口にたこ焼きを運んでぱくっと食べる弥勒。

弥勒「外はもちろんカリカリ、中はとろけるような柔らかさ!明石タコの特徴である柔らか目な実が口さわりにやさしくバウンドする。そして極めつけのソース!濃厚でありながらすっきりした味わい!これはまさしくキングオブたこ焼き!!!」

倒れる弥勒。

ゲイツ「弥勒ゥ!てめえ!せめて!最後に人情ってものがねえか!たこせんなら!せめてたこせんならどうにかなったものを!」

弥勒「(つぶやくように)こいつら!プロだ!それも拷問の!ゲイツ!気をつけろ!」

クイーン「人情?ねえ?耳にタコができるほど聞いたわね。でも私にはそんなものはないわ。次はあなたよ。」

ゲイツ「残念だが俺はタコは好きだぞ!ギリギリオクトシャークがダメなくらいだ!」

クイーン「あなたはまた違うものよ。例の物を。」

委員会A、段ボールから女性の写真集を取り出す。それをクイーンに渡す。

クイーン「これが何か分かるかしら?」

ひらひらと写真集をさせるクイーン。血眼になるゲイツ。

弥勒「どうした?ゲイツ?ただの写真集だぞ?」

ゲイツ「あいにゃんの1st写真集!それも新品未開封だと・・・・!」

クイーン「大当たり。3か月前に突如蒸発した伝説の地下アイドル、会田まさみ、通称あいにゃん。その写真集。新品未開封。少し値が張ったけどまぁそんなもんよね。」

弥勒「そういえばゲイツって地下アイドル大好きだったなぁ・・・・。」

ゲイツ「新品未開封はフリマサイトでも大して出回っていないんだぞ!・・・・・まさか?」

クイーン「そのまさかよ。あなたがメルカリでいいねしてるであろう転売屋の高額分から買ったわ。」

ゲイツ「貴様!あれキープしてたんだぞ!あれのために俺バイト頑張ってたんだぞ!維持費考えてバイク通学から自転車通学切り替えたんだぞ!あ、あと転売屋から買うな!」

クイーン「オタク特有の早口ね。」

クイーン、本の内装を破こうとする。

ゲイツ「やめろ!」

弥勒「というかなんで新品にこだわるんだよ。中古だって・・・・」

ゲイツ「他の奴の手垢がついてるかもしれないし、実用用かもしれないからな。」

弥勒「あぁ・・・・そういうね・・・・。」

ちょっと引く弥勒。そんなものお構いなしに破いていくクイーン。

クイーン「強情ね。」

びりびりと内装を破いたクイーン。

ゲイツ「すいません!あいにゃん!俺は君と同じくらい仲間が大切なんだ!すまん!」

ゲイツ、涙を振り払う。

クイーン「次はこれよ。」

委員会Aがパソコンを開き、ゲイツに見せつけている。

ゲイツ「それ、俺のパソコン!」

クイーン「あいにゃんに会わせてあげるわ。」

ゲイツ「え?」

クイーン「DMMR18現FANZAにアクセス!アクセスコードは・・・・みなみ(21歳)と発音。)」

委員会A~C「みなみ(21歳)」

ページが出てくる。

弥勒「あれ?これさっきのあいにゃんじゃね?」

ゲイツ「なんだと・・・・!」

クイーン「あいにゃんは地下アイドルを卒業したあと素人もののエロエロビデオに出てたわ!そして来月プロデビューすることに決まったわ。」

ゲイツ「嘘だ!これはあいにゃんじゃない!あいにゃんは俺の俺たちの天使なんだ!うんこもしない子がこんなものに出るわけないじゃないか!」

クイーン「レビューを読み上げなさい。」

ゲイツ、やめろ―!と叫ぶも委員会Cに口抑えられる。

委員会B「ガイ30歳のレビュー。この作品を購入しました。間違いなくあいにゃんですよね?これ。鼻筋とおへその上のほくろが間違いなくあいにゃんです。地下アイドルを引退したと思ったらこんな事してたなんて。☆5です。ダイチ27歳のレビュー確かアイドル時代は19って言ってたからサバ読んでたのかよ。草生える。ワロリンゴ。」

委員会A~C「ワロリンゴ!」

弥勒「☆5じゃないか!」

委員会C、ゲイツの口を自由にする。

ゲイツ「これはあいにゃんじゃない。あいにゃんじゃ・・・・。」

弥勒「ゲイツはおしり派であったか。」

クイーン「サンプル動画再生しなさい。」

エロい声が響き渡る。

ゲイツ「あいにゃん、君はそんな声出したことなかったじゃないか。いつだってエンジェルボイスだったじゃないか。」

クイーン「アイドル時代の楽曲再生!」

アイドル時代の曲が流れ始める。

ゲイツ「あいにゃん、君はそんなあられもない姿僕たちにも見せたことないじゃないか・・・・。そんな姿も見せたことないじゃないか・・・・。」

いやーん!と言う声と共に暗転。

明転。ぐったりうなだれたゲイツ。目を輝かせている弥勒。それを眺めるクイーンと委員会3人。

弥勒「あとでディスク予約しよ。」

ゲイツ「俺も・・・・」

暗転。

暗転。扉が開く音がすると出しながら明転。地下組織。踊子、村野、アストリーがいる。

アストリー「さあ、くるぞ。」

扉が開かれるとサイゼ、セントレス、宮川がパンツいっちょで立っている。

サイゼ「ヌーディスブルー!」

セントレス「ヌーディスブラック!」

宮川「ヌーディスグリーン!」

3人「ヌーディス!ファイブ!」

爆発音。

宮川「お二人さん、久しぶりじゃないか。」

村野「ええ。お久しぶりです。」

アストリー「みなさん、変わりないようで何よりです。」

セントレス「いや、変わらんというのも考え物さ。」

サイゼ、踊子に気付く。

サイゼ「君は?」

踊子「ちょっと待って!みんな!なんでこの人たちパンツいっちょなのよ!」

サイゼ「おかしいかね?」

踊子「おかしいわよ!」

セントレス「やっぱりな。」

宮川「そりゃ違和感マックスだよな。」

村野「ですけど皆さんは今この場ではしのぶ姿でやっていただかないと。」

宮川「いや、だがこのお嬢さんの言うとおりだ。我々にパン一なんざ似合わない。そういう事だろ?」

サイゼ「よし!脱ぐぞ!」

パンツを脱ぎ始める3人。

踊子「ちょっと!何脱いでるのよ!」

サイゼ「なんだね。違和感があるんじゃないのか?」

踊子「そうですよ!なんでパンツ姿なんですか!」

宮川「じゃあ脱ぐしかないじゃないか!」

踊子「なんでそうなる!」

セントレス「注文の多い女だな。お前は俺たちに脱いでほしいのか!脱いでほしくないのか!どっちなんだ!」

踊子「脱いでほしくないに決まってるでしょ!」

静かになる。

宮川「村野、なんなんだこの女は!」

村野「すいません!ほら、踊子ちゃんも謝って!」

踊子「なんでよ!」

アストリー「お前ちょっと調子乗ってるぞ!どれだけこの人たちがどんだけ偉いのか分かってるのか!」

踊子「パンツしか履いてない人が偉い訳ないでしょ!」

サイゼ「やっぱり全裸でなければ伝わらんか。」

踊子「だからなんで全裸なのよ!」

アストリー「裸はこの人たちの名刺代わりみたいなものなんだぞ!」

踊子「意味が分からないよ!」

村野「この人たちはヌーディスファイブ。裸で踊ることを得意とする人たちなんだ。」

アストリー「ヌーディスってヌーディストって意味だからな。」

踊子「ああ・・・なるほど。いや、なるほどって事でもないけど。ちょっと変態の集団なのかなって。」

セントレス「おい女、お前今変態、とか言わなかったか?」

踊子「え?」

セントレス「変態ってのはなぁ!人に迷惑かけて嫌な思いをさせる奴の事を言うんだよ!俺たちがいつお前さんに迷惑をかけた?ええ?」

サイゼ「落ち着け。セントレス。」

セントレスを宥めるサイゼ。

サイゼ「いいか、あくまで俺たちは芸術としてのダンスをやってるんだ?わかるか?お前はもしかしてダビデ像を見て顔を赤らめるのか?裸のマハをみて下品と思うのか?」

踊子「いえ。」

サイゼ「つまりそういう事だ。芸術なんだから。ダンス踊ってるだけなんだから。やましい気持ちは1つもない。観客にやましい気持ちを持って見に来てるやつはいるかもしれんが我々はあくまでやっているのは芸術的なダンスなんだ。」

踊子「私、少し誤解していたかもしれません。すいませんでした。」

サイゼ「分かってくれたならそれでいいんだ。俺はサイゼ、そっちがセントレス、向こうが宮川。実をいうとこの学校の生徒ではないんだ。」

踊子「え?」

サイゼ「ああ、ヌーディストなことをやっていたら退学させられてな。ダンスとは認められんとさ。そんで今はここを隠れ蓑にしてるってわけだ。」

踊子「そうなんですか。」

サイゼ「まあとりあえずぬごっか?」

踊子「はい?」

サイゼ「頭で分かっても実際にやってみないとどうにも分からんだろ?ほら。」

嫌がる踊子。

村野「ミラノさん、そんなたわけたことをやっている時じゃありません。」

アストリー「奴らが本格的に動き始めました。」

宮川「ついに来ちまった。」

セントレス「まじかよ・・・・。」

サイゼ「で、運命の少女ってのは見つかったのか?」

村野「その少女がここにおらせます、踊子ちゃんです。」

踊子「え?」

宮川「ほう、君が。」

踊子「村野君、どういうこと?」

セントレス「運命の少女がいるなら鬼にカネボウとまでは言わないがどうにかいけるはずだ。」

サイゼ「俺たちだっているし、増援だって期待できる。なんとか勝てるぞこの戦。」

踊子「ちょっと!さっきから何を言っているの?」

サイゼ「よろしく、運命の少女。」

踊子「誰か説明してよ!」

サイゼ「つまり我々は現在の生徒会、もとい学校のやり方に異を唱えるために結成された反乱軍と言う訳。君だってやり方は気に食わんだろう?」

踊子「ええ、まぁ。いや、そこが1番聞きたいわけじゃなくて。」

村野「昔話をしようと思う。」

踊子「え?」

暗転。薄暗く明かりが点灯し、2人のモブが出てくる。

モブA、モブB、激しく踊っている。村野、踊子、それぞれにピン。

村野「かつて戦争があった。ダンスが盛んな世界。人類の70パーセントがダンサー、そしてダンスが最も美しいとされた世界。だけどそれに反するように銃や剣、戦車にとって代わってダンスが全ての暴力の頂点に立っていた世界。ダンスによる力、通称ダンス力(ちから)が高いものが戦争を制するという世界。様々な国家がしのぎを削りダンス力を高める兵士を養成。戦場に駆り出され、散って行った。」

踊子「え?いきなり何の話?」

村野「やがて戦争は大きくなり、世界を真っ二つに分ける戦争へと発展していった。ダンスによる死傷者は億を超えるものになっていった。そこにダンスに愛された戦士が2人。この戦士はそれぞれ対立する国家に所属しており、それぞれの国は彼女らをエースダンサーとして戦場へと駆り出していった。」

踊子「ちょっと待って?話止めてくれない?意味わかんないんだけど?」

村野「この2人には共通した特徴があった。ダンスを踊っていると体に金色のオーラを身にまとうという事だ。このダンスは人を殺すこともさることながら世界で一番美しいダンスと言われ、戦場に舞う天使のダンスと呼ばれた。だけど戦争は悪化し、ついに2人が衝突することになる。勝敗は喫し、生き残った片方は戦争を終わらせた功労者としてたたえられることになる。だけど、世界の人口は10数人にまで減っており、存亡の危機へと陥る。そこまで人類は戦い続けてしまったのだ。だけど彼女はそこで1人の異性と結婚。そして今までの出来事、そして自分がなぜオーラを身にまといここまで美しいダンスを書いたかを記し、地下に籠りながら地球を見守り続けた。そこから地球は大きな災害に見舞われることになる。災害に対応できなくなった人類は滅び、やがて恐竜と呼ばれる存在が姿を現した。そんな生物も滅び、また人類というものが復活を遂げる。それが先の人類の大戦を生き抜き、結婚をした2人、みんなが知るアダムとイブだったんだ。」

踊子「え?・・・・・・えーーーーーーー!!!!!なにそれ全然意味わからないよ!理解はできるけど頭が追いつないよ!」

村野「その書物をアダムとイブは誰にも見つからない様に隠した。ダンスが再び軍事利用されないように、これからの世界はではダンスは平和の象徴として使われることを願ったんだ。そしてアダムとイブは忘却の舞いを踊り、記憶を消去。新たな人類のスタートが切って降ろされたという事なんだ。」

明転。踊子、頭を抱えている。

村野「そうしてアダムとイブの願いが通じたのかダンスは平和利用されているって事だね。」

踊子「頭が痛い、意味を分かろうとしたら頭が全力で拒否してくる。」

アストリー「どうした?バファリン飲むか?」

踊子「多分そういう問題じゃない。」

踊子、頭を切り替える。

踊子「で?なんで私が運命のなんとかなの?」

サイゼ「それに関しては私から話そう。」

暗転。うす軽く光は点灯している。素子出てくる。

サイゼ「20年前。ここの理事長、つまりクイーンの母親は有名なダンサーだった。彼女は財閥の出で工事なんかも請け負っていた。そんな中アダムとイブが書き記した書物を偶然発見、彼女の手に渡る。」

素子、本を読みだす。

サイゼ「それにはさっき言った通り様々なことが書かれているわけだ。それを見た彼女は驚愕する。世界で一番のダンサーになるやり方が記されていたんだ。だけど彼女には無理だった。条件を整えるにはすべてが遅すぎた。彼女の年齢では不可能だったんだ。彼女は有名で優秀なダンサーだったが賞をもらった事が無かった。周りから愛されていた彼女だったがそんなコンプレックスをこじらせた彼女の心に大きな闇の炎がメラメラと燃え始める。世界一のダンサーになるという夢をあきらめ、彼女は自分の子供に自らの夢を託すことに決める。」

踊子「話長いなぁ。」

素子、本を閉じ、その本を投げ捨てる。そして舞台からはける。

サイゼ「その条件はこうだ。まず赤ちゃんを産む。その子は大切に育て上げる。愛情を注ぎ、じっくりかけてダンスへの思いを育て上げるんだ。そしてその5年後にもう一度赤ちゃんを出産する。その赤ちゃんは自らの手で育てることなく捨てる。そしてその赤ちゃんには15年ほど不幸な目に散々合わせる。そして憎しみのオーラを利用する。そしてその後2人のダンス戦士を戦わせる。その2人のダンスは生死をかけた壮大なものになるらしい。そして生き残った方が全てのダンスを凌駕し、全てを統べるダンスの王者になる・・・・らしい。」

踊子「え?」

サイゼ「これが奴らの狙い。これが記された書物、舞踊風来記にはそう書かれている。」

踊子「ちょっと、ちょっと!よく分からないんだけど。そんな不確かな物にみんな踊らされているの?」

サイゼ「不確かなものさ。でも実際にこの書物にはダンス事情、そのほかにもさまざまな経済事象が予測されていて、全部的中させてきた。たとえば世界大戦とかリーマンショックとか。ダンスの事だってそらこんな眉唾でも信じるだろう。」

セントレス「悪いことを言うがお前さんの不幸は生徒会長を育てるための餌にされてたってことさ。」

踊子「え?」

宮川「辛い事実かもしれないが君が生まれてこの学園に来るまでの間、君と君の周りの人生は生徒会長の手の上で踊らされていたんだよ・・・・。」

踊子「え?何を言ってるの?嘘でしょ?」

サイゼ「そのために俺たちもひどい仕打ちを受けてきた。奴らの計画のせいで俺たちは退学処分になったし、自分のやっていることを否定された。」

踊子「全部私のせいって事?」

サイゼ「そうは言ってない。でも、君自身にもし、この話を聞いて責任を感じているのなら、我々に協力してほしい。頼む。」

頭を下げるサイゼ、それにつられてみんな踊子に向かって頭を下げる。

突如として警報音が鳴り響く。

踊子「え?何?」

セントレス「そろそろここもばれてしまったか。」

サイゼ「奴らもずいぶん躍起になっていると見える。」

宮川「とにかく逃げるぞ。」

全員で逃げる準備をする。が、カイザとシーナが現れる。それにつられるように委員会A~Cも現れる。

カイザ「その必要はないさ。」

シーナ「お前えらはここでおしまいなんだからよ!」

けたけたと下品な笑みを浮かべるシーナ。

村野「四天王の2人?なんだってここに!」

カイザ「我々を甘く見ていたという事だろう。」

セントレス「カイザ!シーナ!俺たちと共に踊ったあの日は全部ウソだったのか?あれだけときめいていた日々は嘘だったのか?」

カイザ「やれ!」

委員会A~Cが四方を囲むように展開する。

サイゼ「ここまでか・・・・・と言う言葉は似あわんか。」

踊子「私のせいなんですか?」

サイゼ「え?」

踊子「私のせいでこうなってしまっているんですか?」

サイゼ「君に罪はないがそういう事になるかもな・・・・。」

踊子「だったら、私が。」

サイゼ「待て!君が今ここで!」

踊子前に出る。

踊子「あなたたちの相手はあたしよ!」

踊子が踊ると委員会A〜Cが吹き飛ばされる。踊子踊り終わると疲れ果てて倒れる。

村野「踊子ちゃん!」

踊子に駆け寄る村野。

カイザ「これほどのものとはな」

四天王メンバーも圧倒されており、軽々とは身動きが取れない。

サイゼ「何はともあれここは撤退だ!」

宮川「煙幕ダンスで撒くぞ!」

宮川、煙幕ダンスを踊る。

暗転。

明転。

委員会A~Cと四天王2人だけがいる。

カイザ「逃げられたか・・・・!」

パイロック、アレンが現れる。

パイロック「やらかしちゃったねーー!」

アレン「無様という言葉がふさわしい。」

カイザ「うるさい!黙れ!」

クイーン登場。

クイーン「そうね、無様ね。これしきの事で動じてしまった、私たちがね。」

カイザ「クイーン!いつの間に!」

四天王、敬礼。

クイーン「奴は明らかに覚醒している・・・・。」


洞窟。何とか逃げ出した踊子一向。

サイゼ「隠れ家を失ったのはキツイな。」

宮川「死者が出なかっただけましってもんさ。」

村野「それにしても踊子ちゃん大丈夫かな?」

セントレス「さっきから寝息を立てて寝ているんだ。きっと大丈夫。」

村野「だといいんですけど・・・・。」

サイゼ「そろそろかな。」

扉が開く音がする。

サイゼ「ここか・・・・。」

そこには隼人、健太、香がいた。

村野「ここは?」

サイゼ「ここは最終防衛ライン。」

隼人「サイゼ、久しいな。」

踊子「ん?」

目覚める踊子。

村野「踊子ちゃん?起きた?」

踊子「ここは?」

サイゼ「さっき説明した。」

踊子「そう・・・・・。」

アストリー「まだ寝ぼけてるのか。それもそうか。あんなすごいことをやってのけたんだからな。」

完全に目が覚める踊子。

踊子「ってえ?本当にここどこ?というかなんで私の事担いでるの?」

村野「おはよう、と言っても時間的にはおそようかな。」

踊子「え?いやそれは知らないけど・・・・。なんで私担がれてるの?」

アストリー「お前覚えてないのか?」

踊子「なんとなく踊ってたというのは記憶にあるかな・・・・?それだけ。とりあえず降りるね。」

踊子、村野から降りる。

村野「何はともあれだよ。」

アストリー「お前はものすごいダンスをして四天王の奴らを追っ払ってそんまま寝てたんだよ。」

踊子「そんな・・・なんでだろう?」

アストリー「んなこたぁ俺たちが知るかよ。」

コホンと咳立てる香。

香「もうそろそろいいかしら。」

アストリー「すんません。」

踊子、3人に気付く。

踊子「あー!あの時の!なんで?」

健太「久しぶりだな!いや、体感的にはそうでもない!大体1時間半くらいの気分だ!」

踊子「というか色々誰か説明してよ!頭パンクしちゃいそうだよ!」

村野「踊子ちゃん、実はね。」

村野、踊子の耳元に近づき、これまでの事を話す。

踊子「最終防衛ライン・・・・。そこまで追い詰められているのね。」

隼人「だが我々もやられぱなしという訳にはいかない。大規模反攻作戦に打って出る。運命の少女、踊子手伝ってくれるな?」

踊子「運命の少女ってしっくりこないなぁ。」

村野「そのうち慣れるよ。」

踊子「そんな事ないと思うんだけどなあ。」

健太「で?どうするよ。俺たちも本気出すとして、ヌーディな奴らは?戦えるのか?」

隼人「2人欠けたままだが戦えるのか?サイゼ?」

サイゼ「当たり前だ。レッドもピンクもいないが俺たちのダンスは十分戦えるダンスだ!胸を張って!誇りを込めて言える!」

踊子「そういえばなんで3人なのにファイブなんだろう。」

村野「あー、それはね・・・・。」

サイゼ「俺たちから話そう!」

アストリー「サイゼさん・・・・。」

サイゼ「少しだけ、いや、かなり昔の、半年前の話だ。」

暗転。

明転。半年前の体育館。サイゼ、シーナ、カイザがいる。

サイゼ「それにしても意外だよ、君たち2人がヌーディストに興味があるなんて。」

カイザ「まぁもともとダンスという項目には全て目を通したい。そういう願望が強いからな。俺たちの考えてるダンスだけがダンスなのか?その問いをここで見つけられたらいいな。そう思っている。」

シーナ「確かに古臭いけど温故知新というかさ、やっぱ昔の部族とか私たちの先祖てさ、裸で踊ってたわけでしょ。私たちの今のダンスにも何か生かせるところというか、ねえ?」

サイゼ「いい心がけだ。最近じゃこういうのはお下劣だとかフェミニズムだとか色々批判を浴びまくるからな。」

セントレス出てくる。

セントレス「今でもトップクラスのダンス力を持つ2人が来てくれるならこのヌーディスト部も安泰だな。」

宮川「2人に負けないように頑張らないとね。」

暗転。
サイゼ(ナレーション)「こうしてあの2人はこの部活に入ることになった。やはりダンスについてはトップクラスの性能を持っている2人が所属しているだけあってこの部活の人気もあなご、いや、うなぎ上りと言ってよかった。裸一貫で全てを表現すること、それだけを追求し続けた俺たち、そこに一つの迷いも無かった。みんな楽しみながらヌーディストの可能性を追い続けた。」

明転。体育館。サイゼ、セントレス、宮川、カイザ、シーナがいる。

サイゼ「そろそろ文化祭の季節か。」

宮川「今年はどうしたものか。」

カイザ「何かあったのか?踊ればいいじゃないか。」

セントレス「そういう訳にはいかない。」

シーナ「どうして?」

セントレス「やっぱり学校側からしてみればこういう破廉恥緒極まりないものは出させたくないのだろう。去年は認められなかったからすっごい暗いところですっごく厳かにやったぞ。」

宮川「私たちの事だけダンスと認めないなんて許せない!」

サイゼ「いや、それが世間一般の声なんだろう。怒ることではなく、いかにして認めてもらうか、これについて考えた方が建設的じゃないか?」

カイザ「サイゼは前向きだな。」

サイゼ「俺は常に未来を見据えているだけさ。・・・・・そうだ!」

何かを思いつくサイゼ。

サイゼ「子供に良さを伝えればいいんだ!」

シーナ「え?」

サイゼ「子供に良さを伝えるんだよ!」

カイザ「だから!なんで!」

サイゼ「子供に良さを伝えればその親だって分かってくれるし、未来の子供たちにも良さがきっと伝わるはずなんだよ!」

カイザ「このコンテンツこそ子供に見せるにはあまりにも早すぎるんじゃないか?」

サイゼ「そんなことはない!逆に今から伝えるんだよ!」

セントレス「さすが俺たちのリーダー!」

サイゼ「カイザ、お前にレッドをやってもらたい。」

カイザ「え?」

サイゼ「戦隊ものの言えばレッドだろう。」

カイザ「いや、なんで俺なんだ?お前がリーダーだろう?」

サイゼ「生徒会所属で我々に理解がある、そんな人間をレッドにしない手段はないだろう。」

カイザ「客寄せパンダって事か。」

サイゼ「いや、違うな。俺は本当にお前がリーダーたる資格をもっていると思っている。だからレッドにしたんだ。あ、ちなみに俺はブルー、セントレスは黒、宮川は緑な。あ、シーナちゃんは紅一点だからピンクね。」

セントレス「勝手に決まるのか!」

サイゼ「そりゃ女の子1人なんだからピンクしかないだろう?まぁ最近は黄色が女性ってパターンも多いけど。」

宮川「そうじゃなくて!なんで俺たちの色まで勝手に決められるんだって話だ!」

サイゼ「ああ、そうか。なら勝手に色決めていいぞ。ぐんじょういろとかふかみどりとか艶消し黒とか赤13パーセント、白75パーセント、黒12パーセント、フレッシュ少量とか。」

宮川「そんな色の戦隊見たことないよ!¥というか最後の何の配合色だよ!」

サイゼ「いや、知らん。」

シーナ「で、やることは決まったけどこれからどうするの?」

サイゼ「そうだな、戦隊ものにミュージカル要素なんてのはどうだ?」

シーナ「中々攻めてる・・・・。」

サイゼ(ナレーション)「それぞれ本番に向けて特訓が始まっていった。」

それぞれが特訓している動作をしている。

暗転。

サイゼ(ナレーション)「だけど悲劇はここから始まっていった・・・・。」

明転。サイゼ、カイザ、セントレス、宮川、シーナがいる。

サイゼ「本番までもう2時間。みんな準備はいいか?それにしてもシーナ、遅いな。」

カイザ「お前にこうもつき合わされるとはな。」

サイゼ「周りを巻き込むのは俺のいいところだ。」

カイザ「自分で言うかね。」

サイゼ「自分で言うさ。」

クイーン、キング入ってくる。

サイゼ「クイーン、カイザがいるから見に来てくれたのか。」

クイーン「カイザ、あなたはいつまでたわけたことをしているの?そんなくだらないことに付き合う時間は終わったはずよ。シーナはここを潰す準備に取り掛かってるのよ?」

サイゼ「いきなり何言い出すんだ!カイザ、お前からも何か言ってくれよ!」

戸惑うカイザ。

クイーン「あなたは新たな四天王になるために、手柄が欲しいからこんなくだらないゴミみたいなダンスの部活に入ったのでしょ?だったら早くしなさい。」

サイゼ「カイザ?どういう事だ?カイザ?」

セントレス「お前!自分のために俺たちを利用したのか?」

カイザ「違う!」

宮川「何が違うの!」

カイザ(ナレーション)「確かに俺は自分の手柄のためにこいつらに近づいた。でもこいつらと踊っている時間はそうじゃ無なかったんじゃないか?本当に嫌ならもう今頃は・・・・・。俺はこいつらとのダンスを楽しんでいたんじゃないのか・・・・・?」

サイゼ「カイザ!」

カイザ「ああ!そうだよ!俺が!お前らを利用した!そして今からお前らをぶったおし、俺は!四天王の1人になる!」

セントレス「貴様ぁ!」

暗転。

サイゼ(ナレーション)「あとは簡単だった。クイーンを始めとした部隊が攻め込んできて俺たちはなすすべもなく倒されていった。でもそこで助けてくれたのが隼人たちだった。」

llll明転。踊子、村野、アストリー、ヌーディ3人、隼人、健太、香がいる。

隼人「あの時は俺たちは権力者の監視を行っていたからな。なんとなしに調べていてあんなことになっていたなんて思いもしなかったよ。とにもかくにもあの時は君たちを助けられてよかったよ。」

踊子「本当にあの人はダンスの道を究めるためなら何だってしてきたのね。」

健太「さっきのはほんの一例さ。実際はもっとひどい惨劇にあっているケースの方が多い。」

香「だけどそんな歴史も今日でおさらばよ。私たちが新たな未来を作るのよ。」

踊子「新しい世界・・・・。」

健太「明朝仕掛ける。みんな、それまで寝とけよ。」

暗転。

明転。踊子を始めとした一団が立っている。それを眺める委員会A~C。

踊子「私たちはダンスの自由を求めるダンス義勇軍。新たな自由と新たなダンスを追い求める正義の意志をもつものなり。自由が欲しいというのならその道をあけなさい!」

ざわざわという声がする。その声をかき分けるかのようにカイザが出てくる。

カイザ「ええい!ひるむな!お前ら!今こそクイーンとキングへの忠誠心を見せて見ろ!」

サイゼ「カイザ・・・・!」

セントレス「シーナはどうした!出てこい!俺たちの戦いだ!決着つけようぜ!」

宮川「私たちを利用して裏切ったこと、後悔させてやるんだから!」

シーナ「そうね。」

シーナ、出てくる。

シーナ「あの時あなた達をきちんと倒さなかったつけを今ここで清算するわ。」

サイゼ「踊子ちゃん、先に行って。ここは僕たちのステージだ。」

踊子「先、行くね。」

3人を置いてはける踊子たち。

サイゼ「なぁ、カイザ。一つ答えてくれないか?」

カイザ「これは戦いだぞ!」

サイゼ「あの時お前は本当に俺たちを裏切ったのか?俺たちが楽しんでいたダンスは全部ウソだったのか?お前は本当に利用しただけだったのか?」

カイザ「それを今聞いてどうする!」

サイゼ「俺の質問に答えろ!」

カイザ「(かなり迷う。)ああ!そうだよ!最初からお前らを利用して四天王に入るつもりだったんだよ!何回も言わせんじゃねえ!」

サイゼ「そうか。その言葉が聞けて良かった。俺もお前とこれで心置きなくダンスバトルができる。」

暗転。

踊子「これが本拠地?」

村野「そう、ここが奴らの本拠地、ダンス五重塔。5つのフロアから構成されていてそれを全て倒さないとクイーンとキングのいる部屋へはたどり着けない!」

踊子「実に分かりやすいわね。」

村野「分かりやすいところがいいところだからね。」

健太「俺たちは別ルートから捕まったやつらの救出に向かい、アストリーと合流する。正面からは頼む。」

健太、香、隼人はける。

暗転。

明転。踊子と村野がいる。

踊子「とりあえず扉、あけるよ。」

扉を開ける踊子。ユウヤがいる。

ユウセイ「待っていたぞ!俺はカードゲーム部のサカキユウセイ!共に行こうぞ!相棒!」

踊子「カードゲーム?ダンス関係なくない?」

村野「知らないのかい?踊子ちゃん。あのトランプが何故48枚なのか分かるかい?それははるか古代に踊っていた部族の踊りが48パターンだったところからきてるんだ。だからトランプもといカードゲームは実質ダンスなんだよ。」

肩に乗っけているアイボを眺めている。

ユウセイ「グレムリンとモリンフェンを攻撃表示で召喚!ターンエンド!」

グレムリンとモリンフェンのコスプレをした人間が出てくる。

踊子「さっきからあの人一人で何やってるの?あとなんか出てきたけど。」

村野「なんて勢いなんだ・・・・!」

踊子「意味が何一つわからない・・・。」

アイボが落ちる。

ユウセイ「相棒!」

アイボを抱きしめるユウセイ。

ユウセイ「目を覚ましてくれよ!相棒!あいぼおおおおおおおおお!」

泣き崩れるユウセイ。

村野「先、行こうか。」

踊子「そうだね。」

暗転。

明転。踊子、村野がいる。

踊子「セカンドフロアって書いてるわね。」

村野「セカンドフロア、確かカイダン部だったと思う。」

踊子「怪談部。怖い話ってことね。これこそダンスに関係ないわね。」

村野「いや、これが実は関係あるんだよ。」

踊子「扉、開くね。」

扉を開く踊子。

暗転。ドアが開く音。

明転。シルバー聖闘士がいる。

シルバー聖闘士「ペガサス!流星拳!」

ペガサス流星拳を行うシルバー聖闘士。

踊子「(バレエを踊りながら)いや、そっちのカイダンかーい!」

シルバー聖闘士「ぐはぁ!」

倒れるシルバー聖闘士。

村野「すごい!たった1ダンスで倒しちゃったよ!」

踊子「普通カイダンって聞いたら怪談話の方を思いつくよね?なんでコスモ抱きしめてんのよ!」

村野「いや、そうでもないよ。」

踊子「じゃあなんで怖い話で聞いたときに話がかみ合ったのよ!」

村野「いやだって車田先生の絵たまに鬼気迫るところあるじゃん?」

踊子「いや知らないけど・・・・。次、行くよ。」

暗転。


明転。香、健太、隼人がいる。

隼人「そろそろか。」

爆発音。

アストリーが出てくる。

アストリー「ダンス爆弾成功しました!今から救出を開始できます!」

健太「いこうか!」

暗転。

明転。踊子と村野がいる。

踊子「次はサードフロア。中盤ってことね。」

大きなファンファーレが鳴り響く。

踊子「え?何?何?」

村野「踊子ちゃん!ボーナスステージだよ!」

天の声「ふぉふぉふぉふぉ!そなたの好きな食べ物は何かね?」

踊子「え?いきなり?」

天の声「5・・・・4・・・・・」

踊子「うどん!うどん!大好きうどん!」

天の声「正解!9.99ポイント差し上げよう!ではさらば!」

こんにゃくが落ちてくる。

村野「すごいよ!踊子ちゃん!9・99なんて今までで最高記録なんじゃないの?」

踊子「なんかよく分からないけど・・・・。でこんにゃく落ちてるんだけどこれが景品か何か?」

村野「いやなにこれ。こわっ・・・・。」

踊子「不審なこんにゃくね。」

村野「でも今日の晩御飯、おでんにしようと思ってたからちょうどいいかな。」

こんにゃくをポケットにしまう村野。

暗転。

踊子「やっと次こそはサードステージね。」

村野「次は確かテニス部だったかな?テニスとダンスの親和性はね・・・」

踊子「はい入るよ。」

扉を開ける踊子。

暗転。

明転。隼人たちとアストリーがいる。アストリーは疲れ切ったゲイツと弥勒を抱えている。

香「この2人が最後ね。」

健太「さすが拷問のプロだ。ここまで焦燥しきっているとは。」

隼人「奴らどんな拷問を行ったんだ?」

弥勒「タコと」

ゲイツ「女に気を付けてください。」

健太「タコと女?」

アストリー「奇妙なワードだ。」

香「きっとそれだけ凄惨な拷問だったのね。」

弥勒「めんぼくない。」

ゲイツ「これ以上無様な恰好を見せたくないな。」

アストリー「こういうのはお互い様だろ。お互い様。」

弥勒「なんだかむずかゆいね。」

ゲイツ「そういう事にしといてやる。」

隼人「やっぱりそれくらいの方がたくましくていいな。」

健太「で、その女とタコってどういう意味だ?」

弥勒「それはですね。」

ドカーンという爆発音と共にオクトウーマンが現れる。

オクトウーマン「そこまでよ!これ以上貴様らのいいようにさせないわ!このオクトウーマンの名に懸けて!」

隼人「タコと・・・・」

健太「女・・・・。」

香「あれが・・・・。」

アストリー「確かにタコと女だ。あれに拷問を受けたのか!」

ゲイツ「え?」

隼人「多分そうなんだろう。言葉に出来ないという事は。」

アストリー「てめえ!ぜってえ許さねえ!」

怒りをあらわにするアストリー。

オクトウーマン「え?何の話?」

香「さすが悪党・・・・。これまでの悪行すら覚えてないってことね。」

オクトウーマン「いや、私初対面なんだけど?」

アストリー「健太さん、ゲイツと弥勒を置いて先いってください。踊子たちも待っているでしょうし。」

健太「?なんで2人を置いていくんだ?」

アストリー「分かりませんか?この場でこのタコ女を叩きのめして目の前で敵討ちしてやろうって話ですよ!」

香「だけどあんたが勝てる見込みはあるの?」

オクトウーマン「え?」

アストリー「俺だって伊達にダンスの練習をしてきてないですよ。」

オクトウーマン「あの・・・・。」

健太「そうか、お前の太極拳ダンスは奴らのデータに入っていないはず。それを使おうというのか。」

オクトウーマン「ちょ・・・・」

隼人「なるほどな。ならこの2人は置いていく。俺たちは先に向かう。死ぬんじゃないぞ。」

アストリー「はい、隼人さんたちこそ。(ゲイツと弥勒が倒れているところを向きながら)ゲイツ、弥勒、見ててくれ。今からお前らの敵を討つからな。」

ゲイツ「お、おお・・・・・。」

オクトウーマン「あの。みなさんとは初めましてなんですけど・・・・。」

アストリー「てめえだけはぜってえ俺の手で倒す!」

オクトウーマン「あの初対面なんですけど・・・・。聞いてる?」

間。

ゲイツ、弥勒「初めまして。」

オクトウーマン「初めまして。」

アストリー「受けてみやがれ!俺の!太極拳ダンス!はぁ!」

暗転。

明転。踊子と村野がいる。

村野「テニス部だけど・・・・」

踊子「どうしたの?」

村野「すごい強敵なんだ、今までの比にならないくらいに。」

踊子「今までも強敵だったかと言われたらそうではないんだけど。」

村野、扉をひらく。

カイザ、シーナ、委員会A~Cとヌーディ隊。

カイザ「奴らの対策は完全に見えている!各員、頭にタイガースセレクトショップで買った帽子をかぶれ。」

各員(カイザ、シーナ、委員会A~C)かぶる。

シーナ「これであなた方のダンスは効かないわね。あなた方がよく分かっているはずよ。タイガースセレクトショップで買った帽子はヌードダンスの攻撃を無効にするって事を。」

サイゼ「そいつはどうかな?」

サイゼ、セントレス、宮川、服を脱ぐ。(顔だけ映るようにする)そして踊り始める。

カイザ「ふっ、効かないと知ってやけになったか?」

委員会A「ぐはぁ!」

委員会A、倒れる。

カイザ「一体どうした?」

委員会B、C続けて倒れる。

カイザ「奴らのダンスは俺たちには効かないはずだ。」

サイゼ「まったく、俺たちがそんな事読んでないとでも思ったか?」

全体が明るくなる。

前張りをしている健太、隼人、ハイレグを着ている香がいる。

カイザ「そんな・・・・・自分たちの流儀を変えてでも俺たちに勝ちに来たってわけか?」

セントレス「どうだろうな。」

サイゼ「俺はただお前と決着をつけたいだけさ。行くぜ。」

暗転。

明転。踊子、村野、奥にテニス部がいる。

テニス部A「(歌いながら)ゆけえ!山善!お前の行く手には~俺たちの世界がある~」

踊子、村野ダメージを受け吹き飛ばされる。

踊子「ぐっ!なんなのよこれ!」

村野「だから扉を開く前に言おうとしたんだ!テニス部だけどミュージカルに精通してるから注意した方がいいって!」

踊子「テニス選手とダンスの結びつきじゃないの?」
村野「そんなのないよ!テニスとダンスにどこが共通点があるのさ!」

踊子「ええ・・・・」

テニス部B「(踊りながら、歌いながらラケットを振り回しながら)勝ち残るぞ!勝ち残るぞ!どんな敵にもひるみはしない!」

踊子、村野、ダメージを受け倒れる。なんとか立ち上がる。

踊子「今までで1番ダンスしてるわね。正しくはダンスじゃなくてミュージカルだけど。」

村野「とりあえずなんとかしないと。ミュージカルの経験とかある?」

踊子「昔ライオンキングを見たことなら・・・・・。」

村野「それだ!」

踊子「え?」

暗転。

明転。隼人たち。サイゼとカイザ以外は倒れている。息を切らした2人。

サイゼ(ナレーション)「今回もうまくいったな。」

カイザ(ナレーション)「ああ。そうだな。」

サイゼ、こほんと咳を立てる。

サイゼ(ナレーション)「最近、生徒会とクイーンがさ、色々生徒の中で評判悪いんだ。自分の認めないダンスを廃部に追い込んだり無理やりダンスバトル挑んで潰したり。何でこんな事になっちまったんだ?」

踊りだす2人。

カイザ(ナレーション)「評判が悪いのは俺の耳にも届いている。もちろん俺も違和感を感じている部分があってな。」

サイゼ(ナレーション)「じゃあなんで生徒会であるお前がクイーンを止めない!あいつのせいで色んな人が迷惑を受けている!廃部に追い込まれるならまだしも!学校を去ったやつだっている!確実に今クイーンの行っていることは悪だ!独裁だ!」

カイザ(ナレーション)「俺だって今がよくない事は百も承知だ!」

サイゼ(ナレーション)「じゃあどうして!」

カイザ(ナレーション)「俺はクイーンに忠誠を誓ったんだ!それに今までだってクイーンは様々なキセキを起こし、そして最上級にかっこよく、そして美しいダンスをしてきた!この一連の出来事だってなにかあるんだ!何かあるに違いないんだ!」

サイゼ(ナレーション)「そんなでたらめを信じろと言うのか!確かにクイーンは美しい。その美しさは俺だって分かっているつもりだ!だけど美しいからってなんだって許されるなんてのは違う!」

カイザ(ナレーション)「頼む!隼人!」

サイゼ(ナレーション)「カイザ、何のつもりだ?」

カイザ(ナレーション)「俺は今人生で初めて人に土下座をしている!俺の!俺のメンツに免じてどうか!クイーンを信じてやってほしい!この政策だってなにかみんなを喜ばすなにかがあるはずなんだ!」

サイゼ(ナレーション)「・・・・分かった。俺は信じる。クイーンを信じるわけじゃない。お前のその心を信じるんだ。」

カイザ(ナレーション)「ダンスで分かりあうことができたんだ。きっと。」

間。

カイザ(ナレーション)「クイーン!学内では我々の悪評でもちきりです。何故このようなことをしているのかお教えください!」

クイーン(ナレーション)「カイザ、黙りなさい。あなたはなにも気にしなくていいの。ダンスというものは高貴、そして華がないといけないの。わかる?」
カイザ(ナレーション)「僕はそうは思いません。ダンスはもっと気軽で踊ればそれがダンス。それがこの学校の方針ではないのですか?」

クイーン(ナレーション)「それは昔の話よ。これからもっとダンスは強くなっていかないといけない。」

カイザ(ナレーション)「どういう事ですかそれは!」

クイーン(ナレーション)「あなたが気にする必要があるの?そんなことよりあなたの所属しているヌーディ?あれをはやく潰しなさい。」

カイザ(ナレーション)「は?」

クイーン(ナレーション)「聞こえなかった?」

カイザ(ナレーション)「いや、何故・・・・。」

クイーン(ナレーション)「あなたがここに何故は入れてるか分かるなら、それができおるはずよ。才能はあったのにお金がなく夢をあきらめようとしてた時に手を差し伸べたのは誰かしら?」

カイザ(ナレーション)「父の会社の再建については感謝しております・・・。」

クイーン(ナレーション)「ならはやくしなさい!」

カイザ(ナレーション)「はい・・・・!」

サイゼ(ナレーション)「お前!あの時の言葉は嘘だったのか!」

間。

隼人(ナレーション)「何とか言えよ!」

カイザ(ナレーション)「この部活は潰す!それだけだ。」

隼人「きさまぁ!」
現実の場面へ戻る。

カイザ、サイゼ「うおおおおおおおおおお!!!」

暗転。

明転。踊子と村野がいる。

踊子「いやまさかああなるとはね。」

村野「とにもかくにも何とかなってよかったよ。」

踊子「いやまさか村野くんがライオンに変化するなんてね・・・・。」

村野「ライオンキングって聞いたときにそれだ!とひらめいてね。あれってライオンが戦ってキングになる話でしょ?」

踊子「いやー、さすがにミュージカルしながら敵にかみつかないんじゃないかなぁ・・・・。というか人間がライオンになるって別の話だし。」

村野「次の1本道がラストの壁だよ。」

踊子「ラスト。」

村野「今までの残ってる全戦力がここの防衛に注ぎ込まれているはずだ。」

パイロック、アレンが登場。

踊子「四天王の2人か!」

パイロック「ロックに行くぜ!」

アレン「僕の勝利に花を添えに来てくれるとはね。」

村野「鼻持ちならねえ奴だ!」

踊子「でもこいつら倒してクイーンを倒すだけの体力は・・・・・!」

村野「でもここを突破するしか」

健太、隼人、香が出てくる。

隼人「ま、ここは任せときな。」

健太「お前らは未来を作りに行け。」

宮川「こういうのなんかかっこいいね。」

香「とりあえずこいつら倒す?」

パイロック「アバレ倒したいんだ!お前ら満足させろよな!」

隼人「さぁ、未来を作りに行け!」

踊子「はい!」

踊子、村野走って出て行く。

隼人「久しぶりだが、いけるよな。」

健太「ああ。」

香、舞台そでのポールを持ってくる。

隼人「さぁ、ポールダンス、ショータイムだ。」

暗転

明転。踊子と村野、クイーンがいる。

踊子「やっとここまでたどり着いた。もう終わりよ。クイーン!」
クイーン「ここまで上り詰めてくるなんて流石ね。だからこそ倒しがいがあるってものよ!」

踊子「私は自分のためだけに他人を傷つけるダンスを踊り続けるあなたを絶対に許さない!」

村野「オーラがすごい!」

クイーン「さあ始めようか。破壊と創造をぶち込んだカオスを!」

踊子とクイーンが踊りだす。

しばらく踊ったあと踊子が体制を崩して倒れる。

クイーン「これでとどめよ!」

クイーン、とどめのダンスを踊る。

村野「危ない!」

村野、踊子をかばってダンスのダメージを食らって吹き飛んでいく村野。

踊子「村野くん!」

クイーン「邪魔を!」

踊子「よくも!」

クイーン「死ぬ順番が1つ遅くなったわね!」

踊子「死ぬ?まさか?」

クイーン「そうよ、あれだけのダンス力を受けたのよ!死んだわ!次はあなたよ!死になさい!そして私が世界で1番のダンサーに!」

踊子「死んだ?ダンスで?うううううう!うわあああああああああああ!」

叫ぶ踊子

もう一度とどめのダンスを踊るクイーン。

クイーン「しねえ!」

踊子「そんなダンスが!」

踊子にはとどめのダンスが効かない。

クイーン「とんでもないダンス力のはずよ!なんで何事もなく動ける?」

踊子「なんでそうも簡単にダンスで人を殺せるんだよ!なんだって!」

徐々にクイーンに近づいていく踊子。

クイーン「ほざけ!こうやって1番になることで今までの苦労が報われるのだ!」

踊子「苦労?そうか、今分かったわ。あなたも苦しんでいたのね。1番という重圧から。」

クイーン「貴様!なんだというのだ!」

踊子「私はダンスを憎しみには使わない!私は!」

クイーン「何故近寄れる?ここまでのダンス力!貴様だって!」

踊子「1番、2番なんて私には関係ない。私が考えるのはダンスがあるという、それだけ。」

近づきクイーンを抱きしめる踊子。

踊子「確かに許されることではない。だけどそれだけじゃ何も解決しない。」

クイーン「一体何が!ああ!ああ!」

倒れて眠りにつくクイーン。

踊子「これで、終わった。」

村野を見つける踊子。

踊子「ごめんね助けられなくて。」

村野、目覚める。

村野「ふああ・・・・。あれ?踊子ちゃん?」

踊子「村野くん?え?なんで?」

村野「え?なんでって?」

踊子「あの時の衝撃は?」

村野「わからない。でもこのこんにゃくが2つに砕けてるってことは。」

村野、こんにゃくを取り出す。

村野「こんにゃくが僕を守ってくれたのかもしれない。」

キング出てくる。

キング「そうなってしまったんだね。」

踊子「!」

キング「彼女はやっと救われた気がするんだ。ありがとね。」

踊子「え?」

暗転。

踊子(ナレーション)「こうして私たちの戦いはクイーンの敗北で幕を閉じた。新たな自由を掴みとった私立宮野川ダンス学園が始まる。」

明転。クイーン、踊子を中央に置いて四天王、隼人、健太、香、四天王4人、ポールダンスの3人がいる。

踊子「今より新たな時代が始まります。」

クイーン「2人の女王による新たな自由。」

委員会Aが駆け込んでくる。

委員会A「おい!隣のアイノミダンス学園がカチコミにきたぞ!」

ざわつく場内。

クイーン「ダンスは新たな火種を作るものね。」

踊子「でも大丈夫。またあの時のように分かり合えるはずだから。」


FIN

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