純愛 恋愛

既婚者の女性と、その部下の恋愛。不倫の始まり。
葵カズハ 36 0 0 08/16
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第一稿

〇居酒屋 個室席 中(夜)
   高坂仁(25)と、野島若葉(33)が向かい
   合って座っている。机の上にはおつま
   みと、お酒が乗っている。高坂、おつ
   まみ ...続きを読む
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〇居酒屋 個室席 中(夜)
   高坂仁(25)と、野島若葉(33)が向かい
   合って座っている。机の上にはおつま
   みと、お酒が乗っている。高坂、おつ
   まみを食べたり酒を飲んだりしている。
   若葉、その様子を頬杖をついて微笑み
   ながら見ている。
   高坂、若葉の視線に気づき
高坂「なに?」
若葉「別に」
高坂「別にって顔じゃないよ」
若葉「いつも通りで良かったなって思って」
高坂「え?」
若葉「鬱陶しいって思われてると思ったから」
   高坂、唐揚げを箸でつつく。
若葉「顔に出てないだけか?」
高坂「答え辛い質問しないでよ」
   若葉、笑う。
若葉「優しいね、仁は」
   高坂、若葉、笑う。
   若葉、顔の前で指を二本立てる。
若葉「仁に謝りたいことが二つあります」
   高坂、箸をおいて若葉を見る。
若葉「この前の仕事、私が途中で口はさん
じゃってごめん」
   高坂、深いため息。
高坂「あのタイミングで出てきてくれたから
お客さん誤魔化せたんだし。謝るのはこっ
ちだよ」
   若葉、笑う。
高坂「二つ目は?」
   若葉机の上で両手を組み、頭を下げる。
若葉「……先週はごめん」
   若葉の手、力がこもっている。
   若葉の右手の薬指に指輪が光っている。
若葉「いくら本音とはいえ、酒の力を借りて
暴走が過ぎたって自覚してる」
   高坂、若葉を見ている。
若葉「未来ある若者になんて事を言ってしま
ったんだと、反省してます。ごめんなさい」
   若葉の手の爪先、白くなっている。
   それを見ている高坂、悲しそう。
   若葉、突然顔を上げ、笑顔で
若葉「ということで、今日は烏龍茶下さい」
   若葉、手を挙げて店員をに向かって。
若葉「烏龍茶とビール1つ。お願いしまーす」
   高坂、驚いてその様子を見ている。
   若葉、高坂を見て微笑む。
高坂「謝られると、なんかな」
若葉「煩わしたと思ったのは自意識過剰かな」
高坂「いや、滅茶滅茶患った」
   若葉、笑う。
高坂「好きな人に好きだって言われたら、患
うでしょ。普通。」
若葉「……まーね」
   店員がテーブルに来る。
店員「烏龍茶とビールでーす」
若葉「はーい」
   若葉、テーブルに置かれたビールを
   高坂の方に置き、烏龍茶を飲む。
高坂「暴走ったって何した訳じゃないし」
   若葉、咳き込む。
若葉「既婚者が若者捕まえて好きだって言う
 時点で、十分やらかしてるよ。もろ駅前で
 抱き着いて泣いちゃったし」
   若葉、頭を抱える。
若葉「その後のLINEが怖くて読み返せない」高坂「……そんなに?」
   高坂、不機嫌そうな顔。
   若葉、高坂の頭に手を伸ばし、髪を
   手でぐしゃぐしゃする。
若葉「仁は素直すぎだな」
   高坂、若葉にされるがまま。
   若葉、動かしていた手を止め、高坂を
   見つめる。深い深呼吸の後笑顔になる。
若葉「ちょっとトイレー」
   若葉、席を立つ。高坂、俯いている。

〇同 女子トイレ 中(夜)
   壁に頭を打ち付けている若葉。
若葉「(小声で)ダメだ―。」
   若葉、唸り声をあげてしゃがむ。
若葉「我ながら無理あるー」
   若葉、壁に頭を打ち付け続けている。
   深い溜息の後、両頬を手で叩き、立つ。

〇同 個室席 中(夜)
   歩いてくる若葉。個室のドアを開ける。
   高坂が、若葉の席に座っている。
若葉「え」
   若葉、向い側の席を見る。
   向かい側の座席、荷物が積まれている。
若葉「なに?新手のいじめ?」
   高坂、難しい顔のまま動かない。
   若葉、高坂を見てため息。
若葉「一緒にいるのも嫌か。嫌われたもんだ」
   高坂、座席を手で叩き、若葉を見る。
高坂「ここ座って」
若葉「なんでよ」
高坂「いいから」
若葉「よくないわ。仲良しカップルか」
高坂「言いたい事があるので座って下さい」
   若葉、唸り声をあげ、高坂の隣に座る。
   高坂、若葉に抱き着く。
若葉「おいこら」
高坂「ハグくらいいいでしょ。海外じゃ挨拶
 なんだし」
若葉「言いたい事があるって言ったじゃん」
   高坂、若葉を抱きしめる手に力が籠る。
   若葉、苦しそうに目を瞑る。
若葉「仁、やめて」
   高坂、若葉を抱きしめる手に力が籠る。
若葉「お願い」
   高坂、腕の力を弱める。
   若葉、腕を振りほどこうとする。
高坂「なんで?」
若葉「当然でしょ」
高坂「結婚してたら全部だめなの?」
若葉「仁」
高坂「ただ一緒にいて、喋って、笑って。そ
れだけだよ」
   若葉、苦しそうに顔を歪める。
若葉「やめて」
高坂「なんで?」
若葉「仁!」
高坂「……」
若葉「……」
   若葉、高坂の頭を胸に抱える。
   高坂、硬直している。
若葉「今からいう事は全部私の本音。でも、
聞いたら直に忘れて。誰にも言わないで」
   高坂、頷く。若葉、深呼吸。
若葉「人好きになるの久しぶり過ぎて、ちょ
 っとどうしたらいいか分かんなくて、毎日
 死ぬほど悩んだ。そん位、仁の事が好き」
高坂、顔を上げようとする。若葉がそ
れを制止する
若葉「だから幸せになって欲しいし、不幸に
なってほしくない」
若葉、微笑んで高坂の頭をなでる。
若葉「まだ人の事好きになれるんだって、び
っくりしたし、応えてもらえて死ぬほど嬉
しかった。ありがとう」
若葉、腕の力を強め、高坂の髪にキス。
腕の力を弱め、高坂と若葉が離れる。
若葉「……さて。宴も酣かな?」
   若葉、腕時計を見て笑う。
若葉「健全健全」
   高坂、うつむいている。
若葉「さっきから仁の後頭部しか見てないな」
若葉、高坂の髪をぐしゃぐしゃする。
高坂「……ビール、まだ飲み終わってない」
若葉「それ飲んだら行こ」
   若葉、座る。高坂、店員を呼び止める。
高坂「すみません。ビールピッチャーで2つ」
   若葉、驚き、店員に向かって
若葉「いりません!」
   高坂、店員を押し戻す。店員、去る。
   若葉、茫然とそれを見てる。
若葉「強引か?」
高坂「俺以外とそうだよ。知らなかった?」
若葉「知らなかった」
高坂「俺はあんたが涙脆い事知ってるよ」
若葉「……」
高坂「頑張りすぎて空回りする所も、本当は
恥ずかしがりやな所も」
店員が来る。ピッチャービールを置
いていく。若葉、店員に会釈する。
高坂「根は真面目で不真面目ぶってる所も」
若葉、烏龍茶を一気飲みして開いた
グラスにビールを注ぐ。
高坂「酒好きだけど、そんなに強くない」
若葉「うるさいっ。それ以上言ったらビール
ぶっかけるよ」
若葉、ピッチャーに手をかける。
高坂「ビール位いいよ。俺だって言いたい。あんたがさっきそうしたみたいに」
若葉、俯く。
高坂「でも、俺がこれから言う事は絶対忘れ
ないで」
若葉、目を強くつむる。
高坂「気づいたのは1週間前だけど、勘違い
だって思おうとしても無理だった。
本当に好きなんだ」
   若葉、顔を両手で覆う
高坂「不幸になんてなるつもりないし、する
つもりもないよ。それに、仮になったとし
てもあんたのせいじゃない。自分で選んで
るんだから」
  高坂、若葉の手を取る。
高坂「どうなりたいとかじゃないんだ。ただ
話したり、笑ったり、それだけでいい」
  高坂、若葉の手を額につける。
高坂「それでも、ダメなの?」
   高坂、目を瞑る。
高坂「ねえ」
若葉「ダメじゃないっていたらどうなるの」
高坂「今まで通りだよ」
   若葉、高坂の頭に自分の額をつける。
   二人、暫くそのまま動かない。

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