恨み孕みヒーロー ドラマ

透はあきと学校で偶然会い、少し面識を持つ。そして、あきがヤクザに狙われているところ を透が助ける。あきは山本組組長の娘でもある。 透の親は誰かに殺され、恨みを孕んで暮らしている。だが、人一倍正義感は持っている。
こたろう 30 1 0 05/31
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第一稿

人 物
比屋根透(17)三鷹高校二年生。あきと同級生
山本あき(17)三鷹高校二年生。山本源の娘
金城晶(30)山本組の若頭
山本源(52)山本組の組長
ヤクザ1
ヤク ...続きを読む
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人 物
比屋根透(17)三鷹高校二年生。あきと同級生
山本あき(17)三鷹高校二年生。山本源の娘
金城晶(30)山本組の若頭
山本源(52)山本組の組長
ヤクザ1
ヤクザ2

○美鷹高校・2ー1教室(朝)
   教師、黒板に数式を書いている。
   ノートにいそいそと書いている学生達
   校庭でサッカーをしている学生達。
   窓際の列の真ん中に透が座っている。
   透、頬杖を付き、校庭を見ている。
   教師、チョークを置き、教壇前に立つ。
教師「(見渡しながら)この問題わかるやつ」
   学生達、目を伏せる。
   教師、しかめ面になる。
教師「こんな問題もわからないのか」
教師、見渡しながら、透に目が留まる。
教師「比屋根、外を見る余裕があると言うことはこの問題はわかるんだろうな」
   透、ちらっと教師の顔と黒板を見る。
   透、小さくため息をつく。
   透、立ち上がり、黒板の方へ向かう。
   透、チョークを取り、かつかつと黒板
   に数式を書いていく。
   ☓   ☓   ☓
   透、チョークを置き、席に戻る。
   透、すっと座り、頬杖して、外を見る
   教師、小さく舌打ちをする
教師「せ、正解だ」
   学生達、ひそひそする。

○同・購買部(昼)
   学生達、行き交う。
   ショーケースを挟んで、笑顔でおばちゃんが立っている。
   透、ショーケースの前に立ち、
透「焼そばパンとサンドイッチと飲むヨーグルト」
おばちゃん「はい、ありがとう」
✕   ✕   ✕
   透、おばちゃんから焼そばパンとサンドイッチと飲むヨーグルトを両手に抱えて受け取
   る。
   透、くるっと後ろを向き、髪が靡く。
   透、出ていく。


○同・屋上前階段(昼)
   透、階段を上がってくる。
   階段には男女が座って談笑している。
   透、ため息を付き、階段を下っていく。

○同・体育館裏・扉前(昼)
   透、石段に腰掛け、焼そばパンを頬張っている。
   蝉の声が鳴り響く。
   山本あき(17)、小さい手提げかばんを手に持ち、とことこと歩いてくる。
   透、あきをちらっと見る。
   あき、透と反対側の石段端にと座る。
   透、あきを全身隈なく見渡す。
   あき、手提げかばんを膝の上に置き、中から弁当箱と箸箱を取り出す。
   あき、弁当箱の蓋を開け、箸箱から箸を出す。
   あき、箸を持ちながら手を合わせ、
あき「(小声で)いただきます」
   透、あきを横目に半分の焼そばパンをかじる。
   あき、弁当を食べ始める。
   透、あきをちらちら見る。
   あき、笑顔で口をもぐもぐさせている
   透、焼そばパンを食べるのを止め、あきへ顔を向け、
透「ねぇ、あなた、私が隣にいることには何も触れないの?」
   あき、箸に摘んだ卵焼きを口に入れようとしたが止め、きょとんとした顔で透を見る。
   あき、驚いた表情で
あき「えっ、いたの?」
透「えっ、気づかなかったの。それすごいね」
あき「全然気づかなかったよ。あっでも、あたしのことはいない人と思って、食べるの続けて」
透「いや、その、それは無理。気になる」
あき「そうなの?あたしは気にしないな」
   透、ため息を付く。
透「私がおかしいのかな…まあ、いいや、ご飯中に話しかけてごめん。私も気にしないようにす
 るわ」
あき「(笑顔で)うん、わかった」
   あき、箸で摘んだ卵焼きを一口で食べる
   透、正面を向き、焼そばパンを食べる。
   茂みからガサガサと音がする。
   茂みから黒猫が顔を出す。
   あき、笑顔で、
あき「(大声で)あっ、クロ」
   透、驚いた表情であきを直様見る。
   あき、弁当箱と橋を置き、黒猫に駆け寄る。
   透、あきを目で追う。
あき「(撫でながら)今日も可愛いな。憂いやつ憂いやつ」
   黒猫、猫なで声で鳴く。
   透、手を額に当て、ため息を付く。
透「(小声で)気にするなって言われても…」
   あき、黒猫と戯れている。
   透、焼そばパンを一気に口に入れ、サンドイッチと飲むヨーグルトを手に持ち立ち上が
   る。
   透、歩き、角を曲がる。
   あき、黒猫と戯れている。

○同・2ー1教室(夕)
   学生達、ざわざわと談笑している。
   透、リュックサックを背負い、学生達の隙間を縫って、歩く。
   透、扉を開け、出ていく。

○同・近くの路地(夕)
   透、歩いている。
   ツクツクボウシが鳴いている。
   あき、焦った表情で走っている。
   あき、息を切らしている。
   あきの後ろにはヤクザ1とヤクザ2が追いかけてきている。
ヤクザ1「待ちやがれ」
   透、後ろを振り返る。
   あき、角を全速力で曲がってくる。
   あき、透の肩に打つかる。
透「痛ぁ」
   あき、体がぐらつくが走りをやめない。
   あき、振り返り、走りながら、
あき「(前を向きながら)ごめんなさい」
   ヤクザ1とヤクザ2が角を全速力で曲がってくる。
   ヤクザ1とヤクザ2が透の横をすり抜けていく。
   透、あきの背中を見る。
透「あれは…」
   透、走り出す。

○美鷹高校近くの路地・袋小路(夕)
   あき、強張った表情で壁に張り付く。
   ヤクザ1とヤクザ2、あきに迫る。
ヤクザ2「やっと追いついた。今日は用心棒がいなくてラッキーや。さあ、おれらと一緒に来るん
 や」
あき「い、いや…」
   ヤクザ2、あきの腕を掴む。
ヤクザ2「おら、言うこと聞け」
あき「(涙目で)いや、やめて」
   透、角を曲ってくる。
透「おい、やめろ」
   ヤクザ1とヤクザ2、振り返る。
   あき、透を見る。
   ヤクザ1、透ににじり寄ってくる。
ヤクザ1「あん?なんや、嬢ちゃん。早う家に帰り。お前が来る場所やないわ」
透「一度だけ言う。その手を離せ」
ヤクザ1「あん?」
透「しょうが無い」
   透、右足でヤクザ1の顎を蹴りあげる。
   ヤクザ1、壁まで飛び、地面に倒れる。
   ヤクザ2とあき、驚いた表情で立ち尽くす。
   ヤクザ2、透に駆け寄り、
ヤクザ2「何しとんじゃ、われ」
   ヤクザ2、右拳を構え、透の顔に向かって繰り出す。
   透、すっと避けて、左足でヤクザ2の顎を蹴り上げる。
   ヤクザ2、壁まで飛び、地面に倒れる。
   あき、口がぽかんとし、その場に座る。
   透、あきをみて、近づく、
透「(手を差し出し)大丈夫?」
あき「(手を掴む)あ、ありがとう」
   あき、立ち上がる。
   透、あきについた土埃を手で払う。
   あき、透の両手を握り、
あき「(笑顔で)す、すごい、あなた強いんだね」
透「う、うん、これぐらい、なんてことない」
あき「か、かっこいい」
   あき、その場で跳ねる。
   ドタバタとした足音が近づいてくる。
   金城晶(30)、角を全速力で曲がってくる。
   金城、息を切らしながら
金城「お、お嬢、大丈夫でしたか」
   金城、倒れているヤクザ1とヤクザ2を交互に二度見る。
   あきと透、金城を見る。
   金城、あきと透を交互に二度見る。
金城「あれ?」

◯山本組本部・大広間(夜)
   山本源(52)、透、金城が正座している。
   山本と透、お互い正面に座っている。
   山本の左後ろに金城が座っている。
透「お嬢さん、本当にヤの付く職業の人の娘でしたんですね」
   山本、土下座する。
山本「本日は娘を助けていただき、ありがとうございます」
透「いえ、とんでもない。通りすがりみたいなものですよ」

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